今回予告
 エーラムの魔法師フェルガナ・エステリアは、悩んでいた。先日ブレトランドに派遣された盟友ノギロ・クアドラントが、消息を絶ったのである。出来ることならば自分自身の手で彼の捜索に向かいたいところだが、現在は長期間にわたる召喚実験の最中であり、自分がエーラムを離れる訳にはいかない。彼女には、優秀な内弟子のPC②・③・④がいるが、フェルガナには、彼女達をブレトランドに派遣したくない理由があった。故に、やむなく彼女は自身の護衛隊長であるPC①を現地に向かわせることを決意する。だが、それが誰も予想していなかったいくつかの「再会」と「再開」の引き金となることなど、まだ彼女は知る由も無かった。

グランクレスト・セミキャンペーン「ブレトランドの英霊」最終話

「受け継がれし魂」

混沌(カオス)を治め、聖印(クレスト)に至れ!

PC①
推奨クラス:ロード
性別:男性
年齢:21歳
 キミは、エーラムの魔法師フェルガナ・エステリアの護衛隊長だ。キミは聖印の持ち主だが、キミの聖印は混沌を浄化・吸収出来ないため、正規の君主とは認められていない。フェルガナはそんなキミの能力に興味を持ち、キミを「一人の戦士」として雇った。ちなみに、ブレトランドに出現した新興国家グリースの国主ゲオルグ・ルードヴィッヒは、キミの実弟である。
+ 以下、裏ハンドアウト
 キミの祖先は、ブレトランドの英雄王エルムンドの配下の七人の騎士の一人、パウザ・ディ・ネラだ。彼は七騎士の中で唯一、エルムンドに聖印を捧げていなかった。なぜならば、彼の聖印は通常の聖印とは異なり、「他人に譲渡することが出来ない特殊な聖印」だったのである。
 通常の聖印には、死んだ投影体の混沌核を浄化・吸収する力があるが、パウザの聖印は、投影体を殺すことなく、その中心の混沌核を「擬似聖印」に変える力を持っている(ただし、その代償として、その混沌核の規模に応じて「天運初期値」が永続的に数点失われる)。それはすなわち、元来はこの世界の住人ではない筈の投影体を「この世界の一員として迎え入れる能力」であり、いわばそれは「慈愛の精神の結晶体」である(なお、ここで作られた擬似聖印は投影体を浄化・吸収する能力は持たないが、聖印の力を用いた能力を使えるようになる者もいる)。
 そして、この聖印の特殊能力は、「深く愛し合った女性との間に生まれた長男」へと引き継がれていく。長男は産まれながらにして「この特殊能力を持った聖印」を体内に宿す形で生まれ、それと同時に、本来のこの聖印の持ち主であった「父」はその特殊能力を失い、その聖印は「通常の聖印」へと変化する。パウザは、この「愛の聖印」を継承する一族の末裔だったのである。
 そんな彼は、英雄王エルムンドと出会い、彼や他の七騎士の者達と共にブレトランドの平定のために尽力していたが、彼を含めた七騎士の全員が、大毒龍ヴァレフスの混沌核の力により、その聖印を混沌核へと書き換えられそうになってしまう。だが、他の者達が次々と「異形の怪物」へとその姿を変えていく中、彼の聖印だけは、その特殊な能力故に「完全な混沌核化」を免れた。ヴァレフスの混沌核の持つ「聖印を混沌核に変える力」と、パウザの聖印の持つ「混沌核を聖印に変える力」が衝突した結果、パウザの聖印は「持ち主の意思によって、『聖印』にも『混沌核』にもなりうる特殊な存在」へと転化したのである。
 すなわち、パウザが「聖印フォーム」の状態であることを望んでいる間は、彼の姿は従来の「人間」の姿のままだが、彼が願えばいつでもその聖印は混沌核へと変わり、その姿は「クライスタール(円谷)界」の投影体である「光の巨人」へと変化する。その姿の時の彼は、人間状態の時の何倍もの戦闘力を有するが、ただし、長時間にわたってこの「投影体フォーム」であり続けると、その心が混沌に侵されていくため、あまり多用は出来ない(1Rにつき、天運2点消費)。
 その後、彼はブレトランドの貴族家の女当主であったイレーナ・ルードヴィッヒと結婚する。そして、彼女がパウザの子を身篭った時点で、パウザの聖印は通常の聖印へと転化し、「光の巨人」への変身能力も失われた。それはすなわち、「擬似聖印を生み出す能力」と同時に「混沌核への転換能力」をも自らの子に引き継がれた可能性が高いということを意味していた。だが、幼い息子に後者の力も与えるのは危険と考えた彼は、七騎士と共に戦った仲間である「名もなき一人の魔法師」の力を借り、自身の魂を「息子の聖印」の中に憑依させた。これ以降、息子やその子孫がその力を暴走させないよう、管理し続けるために。
 こうして、パウザの魂とその聖印の能力は、以後の「ルードヴィッヒ家の長男」に受け継がれていくことになる。歴代の当主は、生まれた時点では「混沌を浄化出来ない特殊な聖印」であるが故に、エーラムからは「正規の君主」としては認められないが、「息子」が生まれた時点で、その聖印は「通常の聖印」となるため、その段階でエーラムに登録し、後継者としての立場を得る。それ故に、ルードヴィッヒ家の長男は歴代早婚の傾向があった。
 だが、この能力を引き継がせる際に、一つ重要な副作用が発生する。それは、母体となった母親が、長男を出産した後、混沌を引き寄せやすくなる、という傾向である。実際、キミの母親は、キミ(とゲオルグ)を生んだ数年後、自身の体内に異世界(地球)の胎児を出現させるという、奇妙な現象を引き起こしている。
 そして、キミの両親はその子を「天からの授かり物」と考え、無事に出産して育てようとするが、家臣の中にはその存在を快く思わない者もいた。そんな「妹」を不憫に思ったキミに対して、キミの心の中のパウザが語りかけてきた。「彼女を救いたいか?」と。幼かったキミは、その意図がよく分からないまま、その「心の声」に従って、「妹」の体内の混沌核を「擬似聖印」へと書き換えることに成功する(なお、その「妹」がその事実を知るのは、十数年後の話である)。
 その後、父から自身の聖印の秘密を聞かされたキミは、ルードヴィッヒ家の後継者となるべく、君主としての修行を積んでいく。そして、キミが14歳になり、両親がそろそろキミの婚約者を探そうとしていた頃、キミは領内の森で、一人の美しいエルフの女性と出会った。どうやら彼女はこの世界に来たばかりだったらしい。彼女はキミに興味を示し、キミは彼女の美しさに惹かれた。何度も屋敷を抜け出して彼女に会いに行く度に、キミの中での彼女への想いは強くなっていく。だが、投影体である彼女は、いつ消えてしまうか分からない存在である。そんな彼女を「生涯の伴侶」とするために、彼女に「この世界での命」を与えたい。そう考えたキミは、自身の能力で、彼女の混沌核を擬似聖印に書き換えようとした。
 だが、その試みは失敗した。どうやら彼女の混沌核は想像以上に巨大で、キミの手に余る存在だったらしい。彼女の体は消失してしまい、残った混沌核からは、恐ろしい混沌災害が生まれた。その災害は実家の所領全体を覆い、父母は命を落とし、弟や妹ともはぐれてしまう。自責の念にかられたキミであったが、混沌を浄化出来ないキミではそれを止めることは到底出来ず(仮に巨人化したとしても、数分間しか戦えない)、その場から逃げ去ることしか出来なかった。
 その後、キミは大陸南部へと渡り、傭兵として生きる道を選ぶ。そんな中、エーラムの魔法師であるフェルガナ・エステリアと出会ったキミは、彼女に気に入られて、彼女の専属の護衛隊長として雇われることになった。そして、彼女の内弟子であるPC②・③・④と出会い、やがて彼女達から好意を示されるようになるのだが、キミはまだ「初恋の相手」である彼女のことが忘れられないでいた。もしかしたら、これから先もキミは一生、彼女の幻影を追い続けていくことになるのかもしれない。あまりにも美しすぎたハイエルフの女性「ディードリット」のことを。

裏因縁1:ディードリット(エルフ ?歳 女性) 推奨感情 メイン:慕情/サブ:任意
裏因縁2:ゲオルグ(キャヴァリアー 20歳 男性) 推奨感情 メイン:任意/サブ:家族

特殊設定まとめ
  • 混沌核の聖印化は、混沌核の大きさに比例する形で天運を「永続消費」する。PC①は幼少期にルルシェを擬似聖印化する際にこの能力を使っているので、セッション開始時の天運は「2点」。
  • 「光の巨人」への変身中は、1Rにつき天運2点を消費(解除は自由)。天運が尽きた状態で巨人であり続けた場合、暴走チェックが発生する(「聖印」判定で30以上でなければ暴走)。
  • パウザの残留思念は、日頃は眠った状態で、基本的には「PC①から話しかけた時」か「上記2能力を使用する時」にのみ脳内に出現する(ただし、稀に彼の方から話しかけることもある)。パウザは、巨人化の能力に関しては、なるべく使用を控えるべきだと考えている様子。
  • PC①が子供を作る前に死んだ場合(および、長男を受胎中の母親が死んだ場合)、どうなるかは(前例がないので)不明だが、少なくとも巨大な混沌核が発生することは間違いない。
  • ルードヴィッヒ家の聖印の正体は一子相伝の極秘事項であり、特に巨大化の能力に関しては、「伴侶と長男以外には、絶対に教えてはならない」というのが家訓である。一方、擬似聖印化の能力に関しては、その能力で救われた者達を通じて「ルードヴィッヒ家の長男には混沌核を聖印に変える力がある」という伝承が伝わっている地域もあるらしい。

今回のセッションとは直接関係無さそうな補足設定
  • ゲオルグの聖印は、彼自身の手で生み出された代物なので、通常の聖印。
  • ゲオルグはPC①を嫌っている?(少なくとも、「B戦記」時の発言からはそう感じ取れた)
  • ルードヴィッヒ家が滅びた混沌災害の原因がPC①にあることは、おそらく誰も知らない。
  • PC①の消息を知る者は、ルードヴィッヒ家関係者の中には誰もいない。
  • この世界に現れたディードリットは『ロードス島戦記』本編よりも前の時代の彼女。

「光の巨人」のデータ
  • 出身:クライスタール(円谷)界
  • 【筋力】:100/33
  • 【反射】:100/33
  • 【感覚】:100/33
  • 【知力】:100/33
  • 【精神】:100/33
  • 【共感】:100/33
  • HP:1000
  • MP:100
  • 行動値:100
  • 移動力:21
  • 近距離単体攻撃
 ・名称:ウルトラチョップ
 ・射程:0Sq
 ・命中:4D+33
 ・ダメージ:5D+50(武器)
 ・消費:なし
  • 遠距離単体攻撃
 ・名称:八つ裂き光輪
 ・射程:1-10Sq
 ・命中:2D+33
 ・ダメージ:5D+100(炎熱)/BS 出血
 ・消費:MP10
  • 複数体攻撃
 ・名称:スペシウム光線
 ・射程:自分のSqから直線7Sq(自分は対象外)
 ・命中:3D+33
 ・ダメージ:5D+200(炎熱)
 ・消費:MP20
  • 防御力 50/50/50/0
  • エネミー特技:対軍存在、飛行能力
※回避その他の判定は、全て「2D+能力基本値」
因縁:フェルガナ・エステリア(メイジ 36歳 女性) 推奨感情 メイン:借り/サブ:任意

PC②・③・④
推奨クラス:メイジ
性別:女性
年齢:②23歳、③17歳、④14歳
 キミ達は、エーラムの魔法学院に通う魔法師だ。まだ契約相手は見つかっていないが、キミ達には気になっている存在がいる。それは、師匠のフェルガナ・エステリアの護衛隊長のPC①だ。彼は正規の君主ではないため、彼と契約を交わすことは出来ないが、出来ることなら、彼の心を「自分のもの」にしたいと願っている。ちなみに、キミ達は互いの素性は何も知らない。
+ 以下、PC②の裏ハンドアウト
 キミの本名は、リリア・カークランド。前アントリア子爵ロレイン(現子爵ダン・ディオードの元妻)の妹だ。数年前、キミは魔法の力に目覚め、エーラムの魔法師フェルガナ・エステリアの弟子として入門した。貴族の子女が魔法師の世界に入る場合、様々なトラブルを避けるために、元の出自を明かさずに、偽名を用いて入門することが多く、キミの場合も、キミの正体を知っているのは、エーラム内ではフェルガナと、ごく一部の事務関係者のみである。
 だが、キミの入門から数年後、キミの実家は姉の夫のダン・ディオードによって乗っ取られ、姉は殺されてしまった。キミの妹のミリアは、そんなダン・ディオード体制に反発する旧臣達を率いて戦っており、キミに対しても「アントリアに帰還して、私の契約魔法師になってほしい」と書かれた手紙を送ってきたが、キミとしては、PC①と別れたくない(そして、PC①がアントリアについてきてくれる保証もない)ため、なかなか妹の願いに応えられずにいた。
 そんな中、つい先日、もう一人の妹である「マリア・カークランド」を名乗る女性からも手紙が届いた。彼女は幼少時にコートウェルズで行方不明となっていた筈だが、その手紙の内容から(彼女達しか知らないことが書かれていたので)、本物であることは確信出来る。それによると、彼女は現在、ミリアと「今後の方針」について話し合っている最中らしい。その「話し合い」の内容については書かれていなかったが、その問題が決着するまでは、キミには帰ってきてほしくないとマリアが考えていることが、その文面からは伝わってきた。詳しい事情はよく分からないが、ひとまず、キミの猶予(モラトリアム)期間は、まだもうしばらくは続きそうである。
+ 以下、PC③の裏ハンドアウト
 キミの本名は、フィーナ・インサルンド。ヴァレフール伯爵ワトホートの長女だ。数年前、キミは魔法の力に目覚め、エーラムの魔法師フェルガナ・エステリアの弟子として入門した。貴族の子女が魔法師の世界に入る場合、様々なトラブルを避けるために、元の出自を明かさずに、偽名を用いて入門することが多く、キミの場合も、キミの正体を知っているのは、エーラム内ではフェルガナと、ごく一部の事務関係者のみである。
 ちなみに、キミがエーラムにいるを知る者はヴァレフールの中にも殆どおらず、キミは「旅先ではぐれて行方不明」という扱いになっている。これは、父ワトホートのキミへの配慮であった。つまり、ワトホートはキミを入門させると決めた時点で、キミの妹のレアを自身の後継者と明確に定めた上で、キミには魔法師として自由に生きてほしいと考え、実質的にキミを伯爵家から切り離したのである。これは、兄弟間での継承権争いに悩んだ彼だからこその決断でもあった。
 しかし、父の側近達の中には「レア様に何かあった時のために、フィーナ様にはヴァレフールの有力な貴族と結婚して、その血統を残してもらいたい」と考えている者達もいる(その筆頭格は、騎士団の副団長でもあるグレン・アトワイト)。だが、今のキミには、既に「生涯の伴侶」候補としてのPC①がいる。正規の君主ではなく、しかも他国の王の兄である彼との結婚に対しては、快く思わない者も多いだろう(また、それ以前の問題として、PC①が自分と共にヴァレフールに来てくれる保証もない)。よって、今のキミとしては、このまま「ヴァレフールには戻らない人生」を歩む以外の選択肢はなさそうである。
+ 以下、PC④の裏ハンドアウト
 キミの本名は、エレナ・ペンブローク。現トランガーヌ枢機卿(元トランガーヌ子爵)ヘンリーの長女だ。数年前、キミは魔法の力に目覚め、エーラムの魔法師フェルガナ・エステリアの弟子として入門した。貴族の子女が魔法師の世界に入る場合、様々なトラブルを避けるために、元の出自を明かさずに、偽名を用いて入門することが多く、キミの場合も、キミの正体を知っているのは、エーラム内ではフェルガナと、ごく一部の事務関係者のみである。
 現在、キミの実家であるトランガーヌ子爵領は崩壊し、父であったヘンリーは大陸に逃れた後、聖印教会の中でも特にエーラムを敵視する日輪宣教団と手を組んで、「トランガーヌ枢機卿」を名乗り、旧領奪回のための戦争を引き起こしている。そんなキミの元には、父から密かに「絶縁状」が届いている。そこには「お前と私は、もはや同じ旗の下では生きられぬ。お前は魔法師として、自分の人生を歩め」と書かれていた。
 一方で、キミの弟のジュリアンを中心とする何人かの旧子爵家の残党達は、PC①の実弟であるグリース子爵ゲオルグ・ルードヴィッヒに仕えて、ヘンリー達と対立しているようだが、彼等からは特に何の連絡もない。どうやら彼等の中には、キミのエーラムでの連絡先(&キミの偽名)を知る者はいないようだ。ただ、もしキミの存在が発覚すれば、血統の維持という観点から、キミの身柄を確保したい、あるいはキミを伴侶にしたいと考える者達も現れるだろう。キミとしては、PC①と離れたくないと考えている以上、PC①が自らグリースに仕える姿勢を示さない限り、今の自分の存在を旧臣達には知られない方が得策であろう。
因縁:PC①(ロード 21歳 男性) 推奨感情 メイン:慕情/サブ:任意

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最終更新:2015年02月21日 19:53