覇権国家の契約事情・前編（BS51） - ラガドーン・タバーン

　動乱が続くブレトランドにおいて次々と名乗りを上げる新世代の君主達。だが、そんな彼等の中には、既に村や国を治める身でありながらも、未だ契約魔法師を持たぬ者達もいた。一方で、既に契約魔法師となるに足る実力を持ちながらも、未だ君主との契約を果たさぬ魔法師達もいる。これは、そんな彼等の「出会い」の物語である。

レギュレーション

使用可能ルール：基本1・2、AF、戦記DB、上級、百花繚乱、R&R記事
使用禁止スタイル：ウィザード
PCレベル：7
マスコン＆国ルール：使用せず

今回予告
　アントリア北西部に位置するマージャ村の北方には、巨大な魔境が広がっていた。一時はその魔境はマージャ村全体を飲み込み、その被害は周辺の村々にまで及ぼうとしていたが、マージャの仮領主となったレイン（PC⑤）達の活躍により、徐々にその魔境の勢力は減退しつつあった。
　先日、そのマージャ北部の魔境が、忽然と消滅した。誰かが浄化したのか、あるいは何らかの混沌の偶発的な作用によって消え去ったのかは分からないが、これによってマージャの住民達は長年悩まされた混沌災害から解放されることになり、村には歓喜の輪が広がった。
　そんな中、アントリアの筆頭魔法師ローガンの発案により、大工房同盟の首脳陣を集めた国際会議がマージャ村で開催されることが決定された。「アントリア領内に位置するノルド自治領」という、一種の中立地帯とでも呼ぶべき環境が、列強を集めた会議の場としてふさわしいと判断されたらしい。ヴァルドリンド、ノルド、ウィンザリア、ユーミル、メディニア、ファルドリア、ダルタニアなど、各国から要人達が集まることになり、村内では彼等の滞在のための高級宿舎の建設が急速に進みつつある。
　また、そんな要人達への歓待の意味も込めて、その同盟会議の翌日に、第三回・国際音楽祭の開催が決定された。今回の主催者はエーラムの高等教員バリー・ジュピトリス（PC①の元師匠）であり、優勝者には彼が盟友メルキューレ・リアン（PC②の師匠の実弟）と共同開発した新型の魔法具が贈呈されるという。
　更に、昨今のグリースとヴァレフールにおける魔法師団強化政策に触発される形で、大工房同盟の有力諸侯が集まるこの機に、新人魔法師斡旋の機会を設けようとする動きも展開されており、平和を取り戻したマージャ近辺では、急速に慌ただしい空気が漂い始めていた。

グランクレスト・セミキャンペーン「ブレトランドと魔法都市」第三話
「覇権国家の契約事情・前編」

混沌を収め、聖印に至れ！

PC①　推奨クラス：ロード
　キミはアントリア南西部の最前線に位置するカレ村の領主だ。この地は元来はトランガーヌ領であり、キミは村の領主アルベルト・サジタリアスの長子として生まれた後、幼少期に魔法師の才能を見出されてエーラムの高等教員クルプ・ジュピトリスの養子となり、そのままキミは魔法師としての道を歩む筈だった。
　ところが、3年前に祖国トランガーヌがアントリア軍の侵攻によって滅ぼされてしまったところから、キミの運命の歯車は狂い始める。キミの父アルベルトはやむなくアントリアの軍門に降ることで、カレの領主としての座を安堵されたが、数ヶ月前、何者かの手によって、キミの弟達と共に暗殺されてしまった（一説によれば、それはキミの幼馴染でもある元トランガーヌ騎士団長の息子・コーネリアスの仕業とも言われる）。
　アルベルトの遺臣達は生き残った唯一の血縁者であるキミを後継者とするために、エーラムに掛け合って、キミを魔法大学から退学させ、魔法の記憶を抹消させた上で、カレへと連れ戻した。こうして、キミは半ば強引に「村の領主」の座を継承させられることになったのである。
因縁：バリー・ジュピトリス（エレメンタラー 26歳男性）　推奨感情　メイン：任意／サブ：誠意
　キミの元師匠であるエーラムの高等教員。専門は元素魔法。元来はダルタニアの自然魔法師の一族であり、魔法発動時に演武を舞う独特の風習の継承者。投影体の血を引いていることもあり、実年齢よりも若そうな見た目を保っている。陽気な南国気質であり、音楽にも造詣が深いため、今回のマージャでの諸々の機会を利用して、音楽祭と就職説明会の開催を発案した。
※キャラクターシートに記入する邂逅因縁には「コーネリアス・バラッド」を推奨

PC②　ランス・リアン（メイジ/サモナー[青]）
　キミは、エーラムの魔法学生だ。グリースとヴァレフールでは諸々の事情で契約相手を見つけることが出来なかったが、次のアントリアでの就活の機会こそ、逃さないように頑張ろう。なお、師匠のアルジェントには、今度こそキミの契約を実現させるための「秘策」があるらしい。
因縁：オラニエ・ハイデルベルグ（アルケミスト 16歳男性）　推奨感情　メイン：任意／サブ：連帯感
　最近、アントリアでの実地研修から帰還した少年。元々は真面目で目立たない性格だったが、エーラムに戻って以来、なぜか図書館で「悪魔学」に関する書物を熱心に読み漁るようになり、そのせいでキミと同類扱いされるようになったらしいが、まだキミと直接話したことはない。

PC③　ラーテン・ストラトス（メイジ/サイキック[黄]）
　キミは、アントリアの次席魔法師クリスティーナ・メレテスの実弟であり、現在は姉の所轄で無任所魔法師としてアントリア国内の諸々の雑用に当たっている。さすがにそろそろ正規の契約相手を見つけたいところだが、果たして今回こそは「運命の相手」に出会えるのだろうか。
因縁：アルジェント・リアン（サイキック 28歳男性）　推奨感情　メイン：尊敬／サブ：任意
　キミが学生時代に世話になった高等教員の一人。子供のような外見（義体）とは裏腹の辛辣な口調で有名だが、なんだかんだで親身に指導してくれた。その彼から、弟子のランス（PC②）が就職活動でアントリアへ赴くことになったので、面倒を見てほしいという手紙が送られてきた。 

PC④　スュクル・トランスポーター（メイジ/プロフェット[藍]）
　キミは、アントリア南東部の最前線都市クワイエットの領主ファルコンの契約魔法師である。最近、彼の愛娘のミネルバが父から従属聖印を受け取り、騎士として叙勲された。それに伴い、ファルコンはキミに、彼女の（実質的な教育係を兼ねた）契約魔法師の選定を依頼する。
因縁：ミネルバ・トーラス（マローダー 9歳女性）推奨感情　メイン：庇護／サブ：任意
　キミの主君であるファルコン・トーラスの長女。一応、騎士級の従属聖印を得てはいるものの、まだ心身ともに幼すぎて、戦争のことも政治のことも何も知らない、ごく普通の無邪気な一人の幼女にすぎない。彼女がどんな君主に育つかは、ここで契約相手となる魔法師次第であろう。

スュクル7Lv予定データ

PC⑤　レイン・J・ウィンストン（ロード/セイバー）
　キミは、ノルドからアントリアに派遣された白狼騎士団の軍楽隊長であり、現在はマージャ村の仮領主を勤めている。上述のマージャ北部の魔境の突然の消滅には違和感を感じつつ、それはそれとしてマージャでの同盟会議と音楽祭の開催が決定したので、今はその準備で大忙しである。
因縁：漆黒の鎧の男　推奨感情　メイン：任意／サブ：好奇心
　キミの夢に現れた謎の人物。はっきり顔は見えなかったが、漆黒の鎧を身に纏ったその男は、マージャの魔境の混沌核から生まれ、周囲の全ての混沌を吸収し、七人の屈強な戦士達を従えて、高笑いと共に去って行った。キミがその夢から目覚めると、マージャの魔境は消滅していた。

レイン7Lv予定データ