意識の二面性


意識の二面性、または意識の多義性とは、「意識」というものには本人にしか知られない主観的側面と、第三者からも観測できる客観的な側面の二つがあるということ。またそのために「意識」という用語がさまざまな意味で使われているという状況を指す。

このような混乱した状況は心の哲学の研究にとって障害となるため、デイヴィッド・チャーマーズは意識という概念を以下のように「機能的意識」と「現象的意識」の二種類に分けた。

1、機能的意識
機能的意識とは、「人間が外部の状況に対して反応する能力」のことである。脳を物体として捉える観点から言えば、入力信号に対して出力信号を返す脳の特性としての意識であり、外面的に観測することができる客観的な特性である。心理学的意識とも言われる。

2、現象的意識
現象的意識とは、「主観的で個人的な体験」のことであり、他者からは観測できない個人の主観的な特性としての意識である。これは意識体験、現象クオリアなどさまざまに呼ばれるが、機能的意識と対比させるときは現象的意識という名前で呼ばれる。

チャーマーズは、機能的意識については既存の物理学の範疇にある神経科学の方法論で解明できると考えたが、現象的意識については哲学的ゾンビの思考実験によって、既存の物理学の範疇にはないものとし、意識のハードプロブレム(意識の難しい問題)と呼び、物理学の拡張が必要であると主張した。


  • 参考文献
デイヴィッド・J. チャーマーズ『意識する心―脳と精神の根本理論を求めて』林一 訳 白揚社 2001年