「 副作用の個人差と遺伝子多型 」 日本臨床薬理学会2009

先週は、横浜で臨床薬理学会がありました。
今回も、新しいお話をたくさん仕入れてきました。
聴講後に調べた + α の内容を加えてありますので、ご容赦を。

「副作用の個人差と遺伝子多型」
 講演:千葉寛先生(千葉大学大学院薬学研究院)
 座長:乾賢一先生(京都大学医学部附属病院薬剤部)

● A型ADR(adverse drug reaction): 投与量に比例して起きる比較的頻度の高いもの

主作用あるいは既知の副作用(主作用以外)が強くでることによって起きる。
非臨床試験や臨床試験の過程でその存在が明らかにされることが多い。

(例)
メトプロロールによる除脈 - CYP2D6 多型

 CYP2D6 は,基質特異性が他のCYP に比べて高く、遺伝子多型は,*1 ~ *75(*1 は野生型).
 日本人では重要な多型 → CYP2D6 遺伝子欠損する*5,活性低下の*10(Pro34Ser, C100T)
 *10/*10,*5/*10 の遺伝子型保有者は,
 代謝能が完全に欠損した人(poor metabolizer: PM)と
 代謝能を完全に保持した人(extensive metabolizer: EM)との
 中間の代謝活性(intermediate metabolizer: IM)で、日本人頻度は、併せて約20% 
 *3(flame shift),*4(splicing defect),*5 でPM の90 %以上が特定可能.

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 メトプロロールは,CYP2D6 遺伝子多型により  血中濃度が大きく異なる.
 PM はEM に比較して最高血中濃度で3 倍,AUCで6 倍,血中濃度が高いことが示されており,
 IM はEM に比べ,AUC が約2.5 倍大きい.
 副作用については,PMでメトプロロールによる副作用の発現頻度が高いとの  報告がある一方,
 副作用や降圧作用には影響を与えないとの報告もあり,一定の見解が得られていない.

ちなみに私、院生時代に調べてもらったら、*5/*10 でした~^^;
CYP2D6の基質になるお薬は気をつけないとね。

ノルトリプチリンによる体位性低血圧 - MDR1 多型
ACEIによる空咳 - ブラジキニンB2受容体 多型
イソニアジドによる薬物性肝障害 - NAT2多型

● B型ADR(adverse drug reaction):数千人に1人といったまれにしか起こらない重篤なもの

既知の作用では予想しがたく、頻度も低い。
市販後はじめてその存在が明らかにされることが多い。


シンバスタチンによるミオパチー - SLCO1B1 多型
SJS・TEN などの重篤な薬疹 - HLA 多型

臨床に応用されるのには、まだまだクリアすべき課題の多いこの分野。
とはいえ、添付文書に記載が入りだしました。

今後の情報も見守りたいと思います。



☆ 「化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験」日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)
チトクロムP-450 を介した薬物代謝
医薬品開発におけるチトクロムP-450 遺伝子多型
チトクロムP-450の阻害に基づく薬物相互作用

(もう一つおまけ)
一度訪ねたかったAU BON VIEUX TEMPS

マッシュルームのキッシュ
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コンベルサシオンポワール
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ファーブルトン
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ヾ(*'-'*)
最終更新:2009年12月10日 22:09