ザイロリック錠の添付文書改訂を医薬品集に反映させよう調べていたら~@@
SJS/TENの素因が、ゲノム薬理学的に部分的に解明されたのですね~
アジア民族特有の因子らしい・・・。
去年の臨床薬理学会でも話題になっていたよう~^^;
私も参加していたはず???
(添付文書)
漢民族(Han-Chinese)を対象としたレトロスペクティブな研究において、
アロプリノールによる皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)及び
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)等の重症薬疹発症例のHLA型を解析した結果、
51例中全ての症例がHLA-B*5801保有者であったとの報告がある。
また、別の研究では、アロプリノールにより皮膚粘膜眼症候群及び
中毒性表皮壊死症を発症した日本人及びヨーロッパ人において、
それぞれ10例中4例(40%)、27例中15例(55%)がHLA-B*5801保有者であった
との報告もある。
なお、HLA-B*5801の保有率は漢民族では20-30%に対し、
日本人及びヨーロッパ人では1-2%である。
Hung,S.I.,et al.:Proceeding of the National Academy of Science(PNAS),
102,4134-4139(2005)
Kaniwa,N.,et al.:Pharmacogenomics,9,1617-1622(2008)
Lonjou,C.,et al.:Pharmacogenetics and Genomics,18,99-107(2008)
さて、漢民族全体からみたHLA-B*5801の保有率は20-30%。
日本人だと1-2%。
日本人と漢民族全体でのHLA-B*5801の頻度は違うし、
SJS・Lyell症候群発症者でのHLA-B*5801の保有率も違う。
とはいえ、因果関係は強そうだし、SJS・Lyell症候群の重症度を考えると、
どのような臨床応用がされるのか。
医療経済的には臨床応用が難しいかも~今後の動向が気になるところ。
(添付文書)
漢民族(Han-Chinese)を祖先にもつ患者を対象としたレトロスペクティブな
研究において、カルバマゼピンによる皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
及び中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)発症例のHLA型を解析した結果、
ほぼ全例がHLA-B*1502保有者であったとの報告がある。4,5)
なお、HLA-B*1502の保有率はフィリピン、タイ、香港、マレーシアでは15%以上、
台湾では約10%、日本と韓国では1%未満である。
また、日本人における皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症と
HLA-B*1502保有の関連性については不明である。
Chung,W.H.et al.:Nature 428(6982),486,2004
Hung,S.I.et al.:Pharmacogenet.Genomics 16(4),297,2006
漢民族で、カルバマゼピンによるSJS/TEN発症との相関が報告されたHLA-B*1502は、
カルバマゼピン及びその他の芳香族系抗てんかん薬によるものを含め、
全例で検出されなかったらしい。
日本人におけるHLA-B*1502 の頻度が非常に低いためと推定されているそう。
ゲノム薬理学も重篤な副作用防止という目的の情報が多くなってきました。
でも、中々臨床応用にまでいかない日本・・・。
ヾ(*'-'*)
最終更新:2011年04月07日 23:04