第二章「覇道」

――教室

 担任のHRで持ち出した話――生徒会への立候補の話は生徒達に波紋を呼んだ。
クラス中からは小さな囁きが聞こえ、やがてざわめきとなる。

 教室の一角で、二人の男が話し合っているのが見える。

「俺は生徒会長になる」
「マジかよ…」

 片方の少年の言葉に、もう片方の少年は動揺を隠せない。

「お前本気か?ハク…」
「男に二言はないぜ、ボブ」
「…………」

 ハクと呼ばれた少年の固い意志を見せつけられ、ボブは言葉に詰まってしまう。
やがて口を開いたのはハクだった。

「ボブよ。俺はこの学校を……この世界を変えてみせようと思う」
「ハァ?学校を変えるって……?!」

「……『綺羅祭壇』……俺が変えてみせるんだ。この腐った学校をな。」
 ―――綺羅祭壇。この学校の事実上の指導権を握る組織。その正体を知るものは少ないが、存在だけならこの学校の生徒の間で知らない者はいない。

教師達は綺羅祭壇の言いなりとなって、宗教じみた授業方針を定め教育を行う。
また学校という立場を利用し、生徒父兄から金を吸い上げるシステムをも綺羅祭壇は作り上げた。

 綺羅祭壇に都合良く組まれた教育法に異を唱える人間は少なくなかった。だが彼らは徹底的に弾圧されることになる。―――熱狂的な信者によって。
信者達の弾圧により、反論をした人間は片っ端から弾圧され、学校から消えていった。そうして何時しか、綺羅祭壇による学校支配が始まったのであった。


「もう胡散臭い宗教の洗脳はごめんなんだよ。ボブだって解るだろう?」
「いや…わかるけども……」
「誰かが動くまでこの学校は変わらない……。俺が動かないで誰が動くって云うんだよ」
「ハク…」


「生徒会長になる…それが俺の覇道の第一歩だ!!」


第二章 終

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最終更新:2006年11月21日 18:02