第九十話
「呂布包囲網」
「王允様から連絡があったぞ!今こそ、謀反を起こした呂布を討つ!」
「呂布を討ったものは高い位と報奨金だ!」
賊討伐に当たっていた李カク、郭シの軍勢が、きびすを返し、長安に雪崩れ込む。
これも王允の策である。
王允の策は万事うまくいっていた。
当の本人が死んでしまった事以外は。
それを知らない李カク、郭シ軍は立ち消えになった報奨を目当てに1人になった呂布を包囲した。
李カク「董卓様の館までもうすぐだ!郭シに遅れるな!」
それを誰もいなくなった部屋の窓から見た呂布は床に寝転がった。
呂布「俺は…充分生きた…。もし許されるなら、母さんやチョウセンのいる天国へ…。」
「らしくないな、呂布…。」
呂布「聞き慣れた声だ…、ここにいると巻き込まれるぞ…。」
「死ぬまで生きるのが人間というものだ。例え無様であってもな。」
小柄な男は、迫る大群の気配にも動じない。
呂布「なぜ、天は俺に生かせようとする…?」
「知らん、知らんし、どうだっていいさ。」
「さあ、立て…、群がるクズに手柄をムザムザやる気か…?」
呂布「……。」
最終更新:2007年01月09日 09:40