Q.八雲藍と死神獣ヤミノストライクの共通点を教えてください。 A.傷つけたら『恐ろしい奴』を呼ぶ事。
サムソン「もうすぐ2回戦の開始か。うー、その前にトイレトイレ・・・」
???「小便かな? それとも『大』か?」
トイレに向かう
サムソンに、何者かが声をかけた。ポケモンのようだが、姿はよく分からない。
サムソン「誰だ?」
???「お前の姿、借りる」
サムソン「何を言ってるんだ・・・」
サムソンが振り向くと、彼と瓜二つの―いや、全く同じ姿をした
カイリキーの姿があった。
サムソンは自分がもう一人いるような錯覚に襲われた。
サムソン「ん、ありゃ!? なんで自分がもう1人・・・」
「その姿を見たあなたは、ボッシュートとなります」
「ハイ、てれってれってーん! ポチッとね」
そのポケモンの部下と思われる2匹のポケモンの言葉と共に、
サムソンは見えない力に縛られ、動けなくなってしまった。
???「ご苦労。後は我にまかせておけ」
「ハイ!」「ハッ!」
2匹のポケモンは目にも止まらぬスピードでその場から立ち去った。
見えない力に縛られた
サムソンは最早もがくしかなかった。
サムソン「え、どうなってるんだ!? おーい、HELP!」
???「安心するがいい、30分ほどすれば自然と解ける」
サムソン「30分!?」
まもなく、2回戦が始まる会場。そこにはバトルメンバーとしてではなく相手の観察役として駆り出された、
デザーム♪と、
ガゼル♪の闘いを見に来た
バーン♪の姿があった。
デザーム♪「次の相手はORIGINのメンバー・・・だと? 奴らの本部はこのわたしが確かに潰したはず・・・何故今更ここに」
バーン♪「本部を潰したって、奴らはどこからでもゴキブリのように沸いて出ると聞いてる。」
ガゼル♪「さぁ、わたしの相手はどいつだ! 出てこい!」
しかし、相手はなかなか出てこない。
ガゼル♪はなかなか出てこない相手に痺れを切らし、叫んだ。
それでも相手は出てこない。
ガゼル♪の事実上の勝利宣言とも取れる発言。
ガゼル♪「・・・わたしに恐れをなして逃げたか、臆病者め!」
「逃げるものか。」
突如聞こえたマイク音声。観客がざわめく。その瞬間、相手チームから現れたのは1匹の
カイリキー―
サムソンだった。
ガゼル♪「幹部はどうした? 復讐の大チャンスだというのに・・・我々ダイヤモンドダストも舐められたものだ」
サムソン「・・・・ハハ、何のことだかさっぱりだな?」
「バトル、開始!」
キーンと、開始のゴングが鳴った。
ところが、
サムソンも
ガゼル♪もなかなか動かない。出方をうかがっているようだ。
ガゼル♪「(動かないだと・・・わたしの様子を伺っているのか)」
サムソン「勢いや本能に任せて突っ込むだけが身上だと思っていたか?
後先考えず、本能のまま闇雲に技を出すなど、無能のすること。戦いとは」
ガゼル♪「(来る! ばくれつパンチか・・・それとも他の物理攻撃か)」
腕を振りかざした
サムソンは突如、口から炎を吹き出した。かえんほうしゃだ。
そう、腕を振りかざしたのはただのハッタリだったのである。
カイリキーは本来パワーで押すのが身上のポケモン、この選択を
ガゼル♪が予測できるはずがなかった。
不意を突かれた
ガゼル♪は直撃を浴び、大きな痛手を負った。
ガゼル♪「くっ・・・力に身を任せた愚か者だと思っていたが」
サムソン「見かけに騙されるようでは、甘い。そーらよっと!」
ガゼル♪「素早い・・・何なんだ、コイツは」
デザーム♪「こっ、こんなことが・・・」
バーン♪「マジかよ・・・
ガゼル♪が防戦一方なんて、まるで幻影でも見ているかのようだぜ」
ツルハシは
サムソンのバトルスタイルに対して疑問を抱いていた。
戦い方が通常のセオリーとは異なるというのである。
ツルハシ「それに、
カイリキーは格闘タイプ。
グレイシアは氷タイプ。
確かに『意表を突く』という点では、かえんほうしゃもアリかもしれない。だが。普通のバトルならともかく、
これは1VS1のタイマン戦、ポケモンチェンジで回避される危険はない。普通は格闘技で確実に、そして一気にケリを付けに行くだろうが!」
テンノウジ「そっか!」
ツルハシ「それをしないという事は、少なくとも普通じゃないぞ」
テンノウジ「別のポケモンの変装とか・・・まさかそんなわけないか~」
ツルハシ「いや・・・ここまで来ると、あながちあり得なくもないかもしれないぞ」
テンノウジ「え?」
サムソン「どうしたどうした?」
ガゼル♪「何ということだ・・・このままでは神を倒すために生まれたわたしの面子が立たない・・・」
サムソン「まだまだバトルは終わっていない、せいぜいあがいたらどうだ・・・」
ガゼル♪「その言葉・・・そのまま返してやる、喰らえ!」
サムソン「うぬ!?」
ガゼル♪が放ったのは「こおりのつぶて」。
サムソンは不意打ちを喰らった形となる。
先ほどの『報復』といったような攻撃だ。
ガゼル♪「・・・フッ、油断したな・・・」
???「ああ、油断した。流石に、お前を見くびりすぎていたようだ」
ガゼル♪「!?」
ガゼル♪「貴様・・・
サムソンとやらではないな、誰だ!?」
ジライヤ「「
サムソン? 我はその者の姿を借りていただけのこと。我は土隠(とがくし)の忍び・・・ジライヤだ」
バーン♪「土隠だと!? ということはアイツ・・・、
R団の
イガカンベの部下か!」
デザーム♪「こんな所にまぎれていたとは!」
バーン♪「忍びに気をつけよとは言っていたが・・・まさかここでか」
「替え玉は反則です! この試合は没収試合、ORIGINチームの反則負けとする!」
「あーっと、まさかの展開! これは反則です!」
ジライヤ「反則? そもそも我はこんなくだらぬ大会に出たつもりは無い。ただ『カシラ』の命令に従い、お前達の実力を探りに来ただけのこと」
ガゼル♪「カシラだと・・・
イガカンベの命令なのか!?」
ジライヤ「さぁな。ただな・・・先入観や断片的な情報だけで物事を判断するな。いつか・・・、取り返しの付かない失敗をするぞ」
ガゼル♪「それはどういう意味だ!」
ジライヤの言葉の意味が分からない
ガゼル♪が強い口調で言うと、すぐにジライヤは指を
ガゼル♪の方へ向け、断言した。
ジライヤ「それが理解できぬようなら。お前が我に勝つ事は不可能。そして、この大会を勝ち進むこともままならぬ」
ガゼル♪「何だと・・・わたしをどこまで馬鹿にするつもりだ、貴様!」
ジライヤ「その程度で頭に血がのぼるか・・・青いな」
ガゼル♪「わたしを馬鹿にしたことを後悔しろ、寝言は・・・寝ていうがいいッ!」
怒った
ガゼル♪が放ったのは、お得意の猛吹雪。観客に冷気が伝わるほどの猛吹雪だ。
しかし、その負担は大きく
ガゼル♪の体は既にボロボロになっていた。にもかかわらず、彼はまだ強気であった。自分の強さに自信があったからだ。
ガゼル♪「何が・・・土隠だ、何が忍びだ! 神を倒したこのわたしが、負けるはずがない! わたしに勝てるはずがない!」
ジライヤ「見た目は派手だがな・・・欠伸が出る」
ガゼル♪の自信は脆くも砕かれた。ジライヤは猛吹雪をいとも簡単に回避し、何と
ガゼル♪の背中の上にいたのである。
ガゼル♪「何だと・・・」
ジライヤ「ハンゾウはみがわりで避けるのが身上らしいがな・・・我は素早さ主義なのでね。」
ガゼル♪「そんな・・・バカな」
ジライヤ「わかったか・・・お前では我に勝てないと」
ガゼル♪「わかるものか・・・わたしが、わたしが
R団の弱小集団に負けるはずがない・・・!」
ジライヤ「負けん気は認める・・・だがな。その体ではもう戦えまい」
ジライヤはボロボロの
ガゼル♪を見た途端、立ち去るそぶりを見せた。
ガゼル♪は強い口調で呼び止める。
ガゼル♪「待て、逃げるのか貴様!」
ジライヤ「逃げる? 本来『忍び』とは敵から隠れ、追われる存在。正面からぶつかり、そのまま逃げずに犬死する馬鹿者がどこにいるというのかね?
それにどうせ『反則負け』という扱いなのだろう? 例え勝ったとしても我に待っているのはバッシングだ。我は叩かれるなら陰口の方が好きでね・・・さらばだ」
ジライヤはそう言い残し、その場から消えるように立ち去った。
突然の撤退に、無知な観客は叩きを通り越して呆れていた。
「逃げやがった」
「何だったんだアイツ?」
「勝てないと分かって逃げたのか?」
「反則しといてそれかよ!」
デザーム♪「逃げたのか・・・?」
バーン♪「逃げた・・・? 違うな・・・あの時
ガゼル♪はバテていたが、奴はあのスピードで息一つあげていなかった。このまま続けていたとしても、スタミナで勝てるわけがない・・・完全に負けだぜ」
デザーム♪「ふむ・・・」
バーン♪「
ガゼル♪をここまで翻弄する奴が、
R団にいるとは想定外だったな。『先入観や断片的な情報だけで物事を判断するな』・・・か。
ウエロクや
ポリドリ、幹部の続く大敗で、俺達も油断してたのかもしれねぇ。まだまだ注意が必要だぜ」
ツルハシ「やはり、ゾロアークが化けていたってわけか」
テンノウジ「ゾロアーク? 何、それ」
ツルハシ「本来イッシュ地方だけに生息する、珍しいポケモンだ。・・・だが、なーんか初めて見た気がしないぞ、あのゾロアーク」
テンノウジ「どゆこと?」
ジライヤが向かった先は大会会場の待合室の一角。そこにはハンゾウとジライヤの部下の1匹、エルフーンのユウナギがいた。
ユウナギ「お疲れ様です、ジライヤ様」
ハンゾウ「ご苦労・・・」
ジライヤ「苦労というほど、苦労はしていないがな」
ハンゾウ「ダイヤモンドダストの
ガゼル♪、ジライヤ相手にボロボロだったではないか。『神』を『滅』する部『隊』、神滅隊の名が泣くぞ」
ジライヤ「うむ。まず奴に足りないものは先入観やイメージにとらわれる事のない『考察力』。そして『ポケモンバトルを楽しむ心』だった」
ハンゾウ「ほう」
ジライヤ「後は怒ると平静さを失う欠点を克服すれば、奴はもっと強くなり、いずれは我を凌ぐ強さになるだろう。尤も、カシラには勝てないだろうがな」
ハンゾウ「そうか。・・・話は変わるが、
R団に突如攻撃を仕掛けてきた、快速軍とやらの叩かれようを知っているか」
ジライヤ「いいや、知らぬ。詳しく教えてくれないか」
快速軍への評価を知らなかったジライヤは、ハンゾウにそれを聞くことにした。
そしてハンゾウは快速軍について自らが知っている情報を話した。
ハンゾウ「まるで『悪の組織』のような扱われようだぞ。『少女を闇討ちした卑怯者』等とな」
ジライヤ「卑怯者・・・か。それを言い出したのは誰だ?」
ハンゾウ「拙者もそこまでは知らぬ」
ジライヤ「バカバカしい。それが本当に闇討ちだったのかも分からないのに、か?」
ジライヤは相当不満だったのか、
R団の快速軍への過剰反応に苦言を呈し始めた。
ジライヤ「その場の思いつきで物を言い、勝手な先入観、断片的な情報、偏見、イメージだけで事を判断する。連中の悪い癖だ。
一方的に正体の分からぬ者を敵だと、悪だと決め付ける思考停止、過剰な過小評価に情け無用のバッシング。見ていて呆れるな。
『物事は正義の味方と悪の組織の構図で成り立っているわけではない』・・・カシラの言葉だ。
それをわかっていない連中が、多すぎなのだよ。」
ハンゾウ「ふぇっふぇっふぇ、おっしゃる通りだ。確かに先入観やイメージで物事を判断したりするのは、よろしくない。
一概に敵、と判断するのはもう少し判断材料が集まってからだな」
ジライヤの苦言に、ハンゾウも納得した。快速軍の目的すら分かっていない状況で物事を判断するのは時期尚早と判断したのである。
<<作者は邪神の覚醒者ロマノフ・Z・ウィザードに暗闇へ埋められました>>
読んでいくとわかるけれども、実は完成率80%=
未完成。残りの20%なんて話を盛り上げるための飾りです。80%だけでフラグや伏線は立っています。・・・・その性質ゆえに読者置いてけぼりになってしまったなー、反省(
ロンシャン(作者)談)
最終更新:2011年05月04日 22:32