決勝戦・「ロンシャン」vs「カシコジマ」2

パーコ♪ 「さあカシコジマ選手、1回ダウンを奪われました。どのようにして挽回するのでしょう?」
あゆみ 「ポイントでリードを許しましたから、攻めるしかないでしょう。」
パーコ♪ 「ロンシャン選手は、カシコジマ選手が攻めてきたところをまたカウンター狙いですか?」
あゆみ 「その作戦でしょう。決勝戦は3ラウンド、1ラウンドに3ノックダウンを奪うと勝ちです。」
Far♪ 「けっ!」
パーコ♪ 「カシコジマ選手、先ほど同じジャブジャブストレートの112攻撃を繰り返します。」
あゆみ 「ロンシャン選手、ここはタイミングを図ってまたカウンターを決めてくるでしょうね。」
パーコ♪ 「カシコジマ選手、攻撃がワンパターンですね。」
Far♪ 「違うね。」
パーコ♪ 「え?」
Far♪ 「そんなタマじゃない。この攻撃は単調に見せかけて狙いがあるよ。」
パーコ♪ 「え?何をって、ロンシャン選手またカシコジマ選手の左ジャブに合わせてカウンターだ!!!」
あゆみ 「あ?違う!カウンター失敗した!」
パーコ♪ 「おおおっと!カシコジマ選手、ロンシャン選手のカウンターをブロックして、右ストレートだあ!」
あゆみ 「ロンシャンさま!危ない!」
パーコ♪ 「ロンシャン選手、紙一重でかわした!!」
あゆみ 「ロンシャン選手が1回戦で見せた神業ディフェンスですね。」
パーコ♪ 「カシコジマ選手、それでも攻撃をやめない!左フック!右アッパー!」
あゆみ 「ロンシャン選手、神業ディフェンスで紙一重のところでかわしています。でも、もう余裕がありません!」
パーコ♪ 「カシコジマ選手、猛攻です。ロンシャン選手かろうじてかわしています。」
Far♪ 「やるね。カウンターを誘って次のラッシュに繋げやがった。」

オシリア 「おじいちゃーーーーん!がんばれーーーーー!!!」

あゆみ 「このまま神業ディフェンスでは先がもたない。いずれパンチが当たってしまう。」
Far♪ 「けけけけ。さあどうするね。ロンシャンさんよう。」
パーコ♪ 「ロンシャン選手バックステップで距離をとる!」
あゆみ 「ここはミドルレンジに距離をとって再びカウンター狙いでしょう。」
Far♪ 「けけけけ。かかったね。」
パーコ♪ 「え?」
Far♪ 「あいつ足見てみろ。あの短い足を。」
パーコ♪ 「確かに短足ですね。」
Far♪ 「この距離はあいつのパンチのレンジじゃない。蹴りの距離だよ。今の猛攻はこのレンジにロンシャンを誘うためさ。」
パーコ♪ 「ということは?」
Far♪ 「カシコジマはどうしてこのレンジにロンシャンを誘ったと思う?」
パーコ♪ 「さあ?」
Far♪ 「カシコジマのもともとの得手はパンチじゃないのさ。あいつの得意技はミドルレンジからの蹴りだ!!」
あゆみ 「ロンシャンさまーーー!!!もっと距離をとってえーーーーー!!!!」

カシコジマ 「ひょっひょぉーーーーーーい!!!」

パーコ♪ 「おおっと!カシコジマ選手、右回し蹴り!ハイキックだあ!!!」
あゆみ 「きゃああぁぁぁぁ!ロンシャンさまーーーー!!!さけてえーーーー!!!」
パーコ♪ 「おおっと!ロンシャン選手!また神業ディフェンスで紙一重のところでかわした。」
Far♪ 「ほう。この大技が次につなげるフェイントだったとはね。」
あゆみ 「え?」
パーコ♪ 「あああああっと!カシコジマ選手!駒のように回転して、間を入れず左後方回し蹴りだあ!!!」
あゆみ 「きゃあぁぁぁぁ!!!ロンシャンさまーーーーー!!!」
Far♪ 「これもロンシャンは、スウェーでさけられる!・・・え?なんやて?」

ピシッ!

パーコ♪ 「え?空振り?じゃない?違うの?一体どうなったんですか?」
Far♪ 「ロンシャンはかわそうとした。でもあいつが空中でワンステップ踏み込んだ・・・。」
あゆみ 「カシコジマ選手の踵がロンシャンさまのアゴをかすめるようにヒットしました。」
パーコ♪ 「え?でもロンシャン選手、立ったまま動きませんが・・・・。」
Far♪ 「ロンシャンは脳しんとう起こして、今意識飛んでるよ。空中で踏み込むローリングソバット。恐ろしい技だ・・・・。」
あゆみ 「ロンシャンさま・・・・。」

イスズガワ 「ダウ・・・・・。」

カシコジマ 「りょ!りょ!りょ!りょ!りょ!りょ!りょ!りょ!りょ!りょ!!!!!」

パーコ♪ 「おおっっと!!!カシコジマ選手!突っ立ったままのロンシャン選手に百烈拳だあ!!!」
Far♪ 「ほう。1分間に3600発、拳をたたき込むあの百烈拳だと!はははは。こりゃ愉快だ!」
パーコ♪ 「全弾命中!ロンシャン選手。ボロ雑巾のように吹っ飛んだあ!!!」

イスズガワ 「カシコジマ選手の勝ち!」

オシリア 「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!おじいちゃーーーーん!!!!!!」

観客 うおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーー!!!!

パーコ♪ 「ノックダウーーーーン!!!!カシコジマ選手!優勝です!」

イスズガワ 「ふぉふぉふぉふぉ。さすがじゃのカシコジマ殿。」
カシコジマ 「ふぉふぉふぉふぉ。年寄りの冷や水とはこのことじゃの。」
イスズガワ 「ふぉふぉふぉふぉ。しかし最後の百烈拳は不要じゃったの。」
カシコジマ 「ふぉふぉふぉふぉ。おぬしがさっさとカウントをとらんからじゃよ。」
イスズガワ 「ふぉふぉふぉふぉ。違いない。ふぉふぉふぉふぉふぉ。」

オシリア 「きゃあぁぁぁぁぁ!!!おじいちゃん!やったね!」
カシコジマ 「これこれ。お客さまの目の前で抱きつくでない。ふぉふぉふぉふぉ。」
オシリア 「すごいよ。すごいよ。おじいちゃん。ほんとに強かったんだね。」
カシコジマ 「ふぉふぉふぉふぉ。ワシは嘘をつかんよ。大神官は老人じゃとか。老人はダメじゃとか。その固定観念がいかんのじゃぞい。」
オシリア 「すごい。すごいよ。」
カシコジマ 「ふぉふぉふぉふぉふぉふぉ。」
オシリア 「あ!そうだ。団長と拳を交えれば何を考えているかわかるって言ってたじゃん。何かわかった?」
カシコジマ 「ああ。ロンシャン様に邪念はなかった。」
オシリア 「そうなんだ。で、本当は何を考えてたの?ロンシャンさん。」
カシコジマ 「それは・・・・。」
オシリア 「うん。」
カシコジマ 「ぜんぜんわからんかったぞい。ふぉふぉふぉふぉふぉふぉ。」
オシリア 「ずこっ」

あゆみ 「ロンシャンさま・・・・。」
ロンシャン 「・・・・・う、う~ん・・・・・。」
Far♪ 「・・・・・・・・・・。」
あゆみ 「ロンシャンさま・・・・。」
ロンシャン 「・・・・やあ、カールじゃないか・・・・。」
あゆみ 「ロンシャンさま。しっかりして。」
ロンシャン 「あ、あゆみ・・・・。ここは?」
あゆみ 「ロンシャンさま・・・・。」
ロンシャン 「ああ、そうか・・・・。僕は負けたんだな。」
あゆみ 「はい。」
ロンシャン 「僕はKOされたんだな・・・・。」
あゆみ 「はい。」
ロンシャン 「夢を見ていたよ。長い夢。いや短い夢だったのかな・・・・。」
あゆみ 「もう、しゃべらないで。」
ロンシャン 「いや、聞いてくれ。」
あゆみ 「はい。」
ロンシャン 「あゆみも今は本当はICUの中だったよな。」
あゆみ 「はい。」
ロンシャン 「僕がこのまま女王との戦いを続ける夢なんだ。」
あゆみ 「・・・・・・・・・・・・。」
ロンシャン 「ウジヤマダの反乱軍が攻めてくるんだ。そしてイコマ山が焼かれる。」
あゆみ 「・・・・・・・・・・・・。」
ロンシャン 「そして、女王が僕のポケモンたちに攻撃ヘリでロケット弾を撃ち込んでくる。」
あゆみ 「もう、やめて・・・・・・。」
ロンシャン 「いや、聞いてくれ。」
あゆみ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
Far♪ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
あゆみ 「そして、最後は女王も死んでしまうんだ・・・・。」
あゆみ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
Far♪ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ロンシャン 「やめるよ。」
あゆみ 「え?」
ロンシャン 「女王との争いはもうやめる。」
あゆみ 「・・・・・・・・・・・・・・。」
ロンシャン 「今なら間に合うんだ。」
あゆみ 「・・・・・・・・・・・・・・。」
ロンシャン 「僕はウジヤマダに会うよ。そして反乱をやめさせる。R団の団長になりたいんなら、そんなのくれてやる。」
あゆみ 「ロンシャンさま・・・・。」
ロンシャン 「それから女王に会いに行く。」
あゆみ 「ロンシャンさま・・・・。」
ロンシャン 「降参したっていい。この不毛の戦いが終わるなら、僕はどうなってもいい。」
Far♪ 「ふふふ。女王には、あたしから申し入れしといてやるよ。」
ロンシャン 「え?あんたがかい?」
Far♪ 「ふふふ。あいつは人の言うこときくタマじゃないからね。」
あゆみ 「そういえば、あんたは人じゃないって言ってたよね。人でなし。」
Far♪ 「るっせいやい。」
ロンシャン 「いや。僕が行って直接話をするよ。」
Far♪ 「けけけ。あんたは、先にウジヤマダと話をつけな。」
ロンシャン 「しかし・・・・・・。」
Far♪ 「安心しな。このワールドでは女王は絶対あんたに手出ししない。約束する。」
ロンシャン 「あんた一体誰なんだい?」
Far♪ 「あたしはFar♪。三途の川の渡し守だよ。あ、そうだ。一つ約束してよ。」
ロンシャン 「なんだい?」
Far♪ 「今度この大会を開くとき、女王のポケモンにも声かけてやってよ。」
ロンシャン 「わかったよ。」
Far♪ 「けけけ。こりゃ楽しみだわ。けけけけ。じゃ、あばよ。」

ロンシャン 「あいつ誰だったんだろうな。」
あゆみ 「誰でもいい。女王との争いが終わるのなら。誰だって。」
ロンシャン 「あゆみは意識がない状態でも知ってたんだな。」
あゆみ 「何を?」
ロンシャン 「僕がこの大会を開いた理由さ。」
あゆみ 「わからない。」
ロンシャン 「僕は現実逃避をしていたのさ。争いから目を背けたかったんだよ。臆病者さ。」
あゆみ 「そんことない!」
ロンシャン 「え?」
あゆみ 「ロンシャンさま、すごくかっこよかったよ。」
ロンシャン 「ふふ、僕は負けたんだよ。」
あゆみ 「ううん。かっこよかった。ほんとうにすごくかっこよかったよ。」
ロンシャン 「ふふふ。そうかい?じゃあ惚れ直したかい?」
あゆみ 「うん。」
ロンシャン 「よ~し!じゃあ、ここは一丁やったるかい!」
あゆみ 「あ!立ち上がらないで!」
ロンシャン 「痛てててててて。」
あゆみ 「もう!全身ボロボロなんだよ!」
ロンシャン 「ははは。痛てて。はははははは。痛て。痛て。」

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(2009.12.6)

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最終更新:2009年12月06日 23:10