あからさまな策略
【時間が少し遡ります。】
whir!whir!whir!whir!whir!whir!
女王 「Yao tower,haruka♪AH-1-5963,approaching maker pt.」
(八尾管制塔へ、こちら
はるか♪コブラ、マーカーポイントに接近中です。)
八尾管制塔 「haruka♪AH-1-5963,heliport-7,clear to land.」
(
はるか♪コブラへ、7番ヘリポートへ着陸を許可します。)
八尾管制塔 「haruka♪AH-1-5963,heliport-7,contenue approach.」
(
はるか♪コブラへ、7番ヘリポートへの進入を続けてください。」
女王 「Yao tower,haruka♪AH-1-5963,thank you.」
【八尾飛行場7番ヘリポート】
whir!whir!whir!whir!whir!whir!
空港職員A 「おお。赤とピンクの迷彩色の戦闘ヘリだぜ。」
空港職員B 「迷彩っていうより極彩色だな。」
空港職員A 「趣味悪いな。まるで赤い彗星きどりだ。」
空港職員B 「見た者が狂気に駆られるような色遣いだな。」
空港職員A 「あ。パイロットが降りてきたぞ。女だな。」
空港職員B 「通信士はポケモンみたいだな。」
女王 「お世話になります。燃料の補給をお願いします。」
整備員 「わかりました。ああ、だいぶ減ってますね。」
女王 「時間稼ぎのため、コガネ上空を旋回してたら、燃料消費しちゃって。」
整備兵 「どこに行かれる予定ですか?」
女王 「
イコマ山です。」
整備兵 「
イコマ山ならフライトは中止した方がいいですよ。一部の山頂地区で大雪が降ってるらしいですよ。」
女王 「わかりました。ご忠告ありがとうございます。」
女王 「
さとり♪、
ロンシャンの一行は、今どの辺りだい?」
さとり♪ 「えっと~。今
イコマ山山頂に向けて登山中のようです。」
女王 「山頂まであとどれくらいかかる?」
さとり♪ 「あと、30分くらいでしょうか。」
女王 「もう、ドン亀なんだから。主役の登場時間を合わすだけでも大変だよ。」
女王 「
Free♪は、携帯持ってたよね。」
trurururru
Free♪ 「はい。
Free♪です。」
女王 「よくやってくれたね。ありがとう。」
Free♪ 「いえ。容易いことです。」
女王 「ドンパチ始まったら、あんたは
イコマ山から離れなさい。」
Free♪ 「いえ。私はこの場に留まって、
女王様をお守りします。」
女王 「あたし一人で十分だよ。」
Free♪ 「しかし・・・・・。」
女王 「これは、命令よ。あんたは、戦闘区域にあたしのポケモンが迷い込まないよう見張っててくれる?」
Free♪ 「・・・・・・・・・・。わかりました。
女王様。ご武運を。」
【
イコマ山山腹】
団長 「はあ、はあ、山頂まで、あとどれくらいかかるんだ?」
あゆみ 「あと、30分くらいじゃないでしょうか?」
団長 「はあ、はあ、あれ?
あゆみは、なんで
サムソンに抱っこされてるんだ?」
あゆみ 「あれ?なんで?」
サムソン 「ほんとだ?なんで?」
団長 「って!僕は誰を抱っこしてるんだ?わあお!!!」
こいし♪ 「てててて。ひどいですぅ。放り投げるなんて!」
団長 「なんで、僕が
こいし♪をお姫様抱っこしてるんだよ!」
こいし♪ 「これが私の能力ですもの。」
団長 「なんだって!」
こいし♪ 「人の潜在意識に働きかけて意のままに操る能力ですぅ。」
団長 「お前そんな能力があるんなら怖いものなしじゃないか?」
こいし♪ 「あたしと
ロンシャンさまは幼なじみですから。」
団長 「話がかみ合ってないぞ。」
こいし♪ 「
ロンシャンさま、おぼえてますか?」
団長 「何を?」
こいし♪ 「小学校の運動会のとき、
ロンシャンさまがトップだったのに転けてビリになったことあったでしょう。」
団長 「ああ、あったな、そんなこと。ここを登ってるときに小学生のときのことを色々思い出してたんだ。ここの遊園地来たなって。」
こいし♪ 「懐かしい二人の思い出ですね。」
団長 「ああ。そうだな・・・・。」
あゆみ (・・・・こいつおかしい!あのときと一緒だ。
ウオッカ♪に
R団を乗っ取られたときと同じ展開!・・・・)
こいし♪ 「ねえ。
あゆみちゃん。
ウオッカ♪ってひどい奴だったね。」
あゆみ 「え?ああ、うん、ひどい奴だったね。」
こいし♪ 「あいつのせいで、
R団のポケモンたちひどい目にあったもんね。」
あゆみ 「そうだね・・・。」
こいし♪ 「
あゆみちゃん、ローン返せたの?」
あゆみ 「え!あの、その・・・。」
団長 「
あゆみ、ローンってなんだい?」
あゆみ 「いえ、あの、その・・・。そういえば、
ウオッカ♪ってどこ行っちゃたんでしょうね。」
団長 「そうか。
あゆみは、入院中だったから、
ウオッカ♪が殺されたことを知らないんだな。」
あゆみ 「え!殺されたんですか?」
団長 「ああ。ヨシノへ逃走しようとして、その途中で
女王の刺客に襲われたんだ。」
あゆみ 「そうなんですか。そういえば、
ポリドリ隊を護衛につけていましたよね。今
ポリドリ隊はどうしてるんですか?」
団長 「今、一台峠で
クレイモア地雷の撤去作業中だよ。」
あゆみ 「クレイモア地雷って何ですか?」
団長 「指向性対人地雷。非人道的な殺戮兵器だ。」
あゆみ 「え!
女王って、そんなものまで使ってるんですか!」
団長 「いや、あれは僕が悪いんだ。」
あゆみ 「どういうことですか?」
団長 「
ウオッカ♪にそそのかされて、僕が深く考えず死の商人から購入してしまったんだ。」
あゆみ 「え。」
団長 「
ウオッカ♪は逐電するとき、追撃を避けるため
ポリドリ隊にクレイモア地雷の散布を命じた。」
あゆみ 「・・・・・・・・・・・・・。」
団長 「
ポリドリ隊は、自分たちが設置した地雷の撤去のため、キキョウに帰還することができない。」
あゆみ 「
ロンシャンさま・・・・。」
団長 「僕は、今、自分がどれだけアマちゃんだったかを思い知らされているよ・・・。」
【八尾飛行場・ヘリポート】
さとり♪ 「
女王様。
女王様。
こいし♪ちゃん、今、
あいつの心、えぐってますよ。」
女王 「人の心を読むだけでなく、潜在意識に働きかけて、心を踏みにじる能力。たち悪いったらありゃしない。
あいつに同情するよ。」
さとり♪ 「ふふ。
女王様ったら、また心にも思っていないことを。って、また心を閉ざしちゃった。つまんない。」
女王 「ふふふ。
あいつも自分の意識を自由に扱える精神力があれば、よかったんだけどね。ほほほほほほほ。」
さとり♪ 「
女王様ったら、心の闇が深すぎですぅ。私程度じゃとてもかないませんですぅ。」
女王 「さあ、そろそろいい頃合いだね。燃料も満タン。再出撃するよ。」
【
イコマ山山腹】
クロフネ 「なあ、俺思うんだけど。」
サムソン 「何ですか?」
クロフネ 「このお話って、ストーリーの展開上不要だよな。」
サムソン 「僕もそう思いますよ。」
クロフネ 「何でこんな話が挿入されてるのかな?」
サムソン 「あからさまな時間調整のための工作と、今まで説明不足だった伏線のフォローじゃないですか。」
クロフネ 「ほんと、ご都合主義だね。」
ヒヒン 「ひひーん!」
<<あからさまな策略・完>>
(2009.11.2)
最終更新:2010年02月11日 12:33