++過去の栄光の勇者3++

ちくしょう!むう♪のやつ。
俺を置いて消え失せちまいやがって!
どうなってやがる。
それに、ここは一体どこなんだ?辺り一帯雪だらけじゃないか!
なんだよ!少し雪が降ってきやがった。
冷えやがるぜ。
たしかウオッカの小瓶を持ってたな。
チャポン。
ち!少ししか残ってねえ!
まあ無いよりましか・・・。
グビ!グビ!
ふうー。少し頭がすっきりしたぞ。
落ち着いて考えてみるか・・・。
俺の格好・・・。どうやら中世以前の魔法剣士ってザマだな・・・。

少し思い出してきた・・・。
記憶を整理してみよう・・・。
俺は、おばけのリーダーのはずだった・・・。
でも今は違う。今の俺、どうみても人間だ・・・。
これは、おそらく俺が生きていたころに戻ったんだ。

俺は、やっぱり生前は栄光の勇者だったのか・・・。
むう♪も俺のこと勇者様って呼んでたしな・・・。
でも、なんで、俺は、こんなところいるんだ?
もう少し思い出してみるぞ・・・。

そうだ・・・。
この雪山に来る前、俺とむう♪は、ある小さな国にいた。
小さな国って言っても、ちゃんと城があって、城主もいた。
そういえば、そこの王さん、少々狂っちまってたな。
思い出してきたぞ・・・。

【小さな国の城の国王の謁見の間】
狂王 「クスクス・・・。栄光の勇者よ。我が望み叶うならば、そなたの望み、いかなるものでも叶えようぞ。クスクス・・・。」
おイヒけ♪ (・・・この王さん、狂っちまってるな。しかし、こいつは・・・)
王女まりさ♪ 「ごめんなさい。勇者様。継母(はは)は、少し正気を失っているのです。」
おイヒけ♪ (・・・確かにな。この王さんは、男の格好をしているが、どう見ても女だな・・・)
むう♪ 「この国の王様は、女王様では、いけないのですか?」
まりさ♪ 「我が国の習慣では、女帝を認めないのです。それも形式だけですけどね。」
むう♪ 「形式だけって、どういうことですか?」
まりさ♪ 「王は、男の格好をしておればよいのです。」
むう♪ 「格好だけですか・・・。」
まりさ♪ 「はい。ただ、王となれば、妻となり、子をなすことは許されないのですけど・・・。」
おイヒけ♪ (・・・ふ~ん・・・)
まりさ♪ 「でも、女の王でも妃を娶ることはできるンですよ。可笑しいでしょう。クスクス・・・。」
おイヒけ♪ 「で、王さんは、俺に何を望んでるんだい?」
まりさ♪ 「わたくしが、説明しましょう。少し長くなりますが許してくださいね。」

まりさ♪ 「この国は、以前は気候が穏やかで、穣り豊かな国でした。しかし、近頃は、冬が夏よりも長くなってしまい、夏になっても気温があまり上がらないため、ここ数年の穀物の収穫もままならないのです。」
おイヒけ♪ 「それが俺とどう関係があるんだい?」
まりさ♪ 「まあ続きを聞いてください。この国の北側には、この国と北の大国とを隔てる険しい山脈があります。民の噂によると、その山に魔物が住み着いたのではないかと言われています。」
むう♪ 「その魔物とは?」
まりさ♪ 「雪の魔女を見たという者がいるのです。冬が長くなったのは、その魔女が原因ではないかと。そこで、勇者様に真実を確かめていただきたいのです。」
おイヒけ♪ 「結論を言えば、その雪の魔女を退治すればいいんだろ?」
まりさ♪ 「まあ、簡単に言えば・・・。」
おイヒけ♪ 「で、褒美は何をもらえるんだい?」
まりさ♪ 「勇者様の望まれるものでしたら、いかなるものでも。」
おイヒけ♪ 「この国が欲しいと言ったら?」
まりさ♪ 「え?・・・では、そのときは、わたくしが勇者様の妃となりましょう。そうすれば、勇者様は、この国の王になれます。」(ポッ)
おイヒけ♪ 「ふ。」(・・・このお姫さん、見かけは悪くないが、この国はいらねえ。こんな小国、そのうちどっかの大国に飲み込まれちまうぜ。いただくものだけいただいたら、さらばだな・・・)
むう♪ 「でも、王女様が、この国を承継なされるのではないのですか?」
まりさ♪ 「わたくしが王となれば、妃を娶ることしかできなくなります。勇者様が王の妃でもよいのでしたら、わたくしは、それでも構いませんが。クスクス・・・。」
おイヒけ♪ 「ちぇっ!」(・・・この国は、王も王女もみんな狂ってやがる。・・・)

→ 雪の魔女

(2009.9.12)