「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
小太郎は父が消えた場所を何度も何度もさするように
探したが何の感触もなかった。

「なんでだよぉぉぉぉぉ、俺はあんたに何もしてやんなかったのに
 なんで最後に自分の命まで使って助けたんだよぉ。
 俺なんかコピーで代用品なんだから死んだって代わりはいたんだろぉ」

小太郎は言えなかった言葉を今更だが
ぶつけ続けた。


「ふんっ、親も女々しければ息子も女々しいか」


小太郎は立ち上がりおもむろに
拳を振るいホモ太郎を殴りつけた。


「なんだと、愚民が俺に触れただと!」

自称神は殴れたことに驚愕していた。

菩薩を吸収しさらなる高みに上ったはずなのに
たかが人間が作った人工生命対に触れられるとは
思ってもいなかったのだった。

続けざまに小太郎に殴られ続けたホモ太郎は
ついには膝を突いた。


「おぉぉぉぉぉ、神が・・・・・神が地面にひれ伏すなどぉぉぉぉぉ」

ホモ太郎は全身から神気を放出し
立ち上がった。
小太郎も全身からタマテバ光を迸らせている。

そして技も何もない殴り合いを始めた。

小太郎が殴ればホモ太郎が殴り返す。



「小太郎頑張れ、小太郎頑張れ」
カルピスが見守る。

「これはがぶりつきウキー。ポップコーンはどこで売ってるウキー?」
アナルは蚊帳の外

殴り合いを始めて16時間が過ぎた。

月の兵士は皆、撤退し
場に残ってるのは
殴り合いをしている2人と
それを見守る一匹の猿と亀だけだった。






そして決着がついた。

立っていたのは


小太郎だった。


ホモ太郎は前のめりに倒れて動かない
その体が足から消え始めていた。

顔だけ上げ小太郎を見上げた
「いい顔になったじゃないか、あの世に来たら掘ってやんよ!」

そして右手を動かし地蔵を抱いた。

「すまないな、セバスチャン。結局、消えることになっちまったよ」
消え入りそうな声だった。
「いえ・・・・・あなたとなら本望です。温羅さんのところに行きましょう」
「そうだな・・・・・あいつには謝らないと。俺ってツンデレだから素直じゃないって最初に言わないとな。
 でも、許してくれるかな」
「大丈夫ですよ。許さなかったら。人を許す慈悲の心を私が温羅さんに叩き込んで上げます。」
「そうか・・・それなら安心だな。安心して逝ける」

その言葉を最後に2人の姿は空気に溶けた。


小太郎のもとに
カルピスとアナルが走ってきた。

「弟殿!やりましたな!これで世界は救われますよ」

「キキー、おまえにしてはよくやったほうだウキー」

小太郎は2人のほうを向いた。

「お別れだ、ふたりとも」

小太郎の手が砂になり
風化し始めていた。

「ははは、使いすぎちまったみたいだ。限界は18時間って言ってたもんな」

「お・・・・弟殿・・・・・・・」

「俺も兄さんや父さんのところに行くよ。まぁ、やる気はなかったけど世界は救えたし、いいだろ。
 子供の夢ばっか壊してた俺が最後は守ったんだ。十分すぎる」

「こ・・・小太郎うきーーーーーーーーーー」


「じゃあ、元気でな」


小太郎の全身が砂になり地面に積もった。

小太郎が消えた場所で
カルピスとアナルは泣き崩れていた。

もうどれくらい泣いたかわからなくなってから
カルピスが口を開いた。

「私、鬼が島にたくさんの子供を生んできました。
 その中の2人に『太郎・小太郎』と名前をつけて育てます。
 将来その子たちが成長したときに、この星を救った人の
 名前なんだよって教えてあげるんです」

「じゃあ、ボクは世界に広めるウキー。世界中を周って
 小太郎たちの話を広めるウキー」

そう言って2人は月を、仲間達との別れの場を後にし
彼らが生まれた地球へと戻っていった。







今、昔話の童話として伝わっている物は
もしかしたらアナルが伝えた話なのかもしれない。



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最終更新:2006年11月23日 10:27