8 童話 まゆみ村長の社会学習

前回のお話:
はんしん村にしゅうげきし、つぎつぎとすがたをかえ せんとう力をましていく つらいさん。
そのつらいさんとたたかう あにきかねもと。

「俺はまだ、あと2回も変身を残している…」

「光栄に思うがいい!この変身まで見せるのは、貴様らが初めてだ!」

「今のは辛かった…辛かったぞーーー!!!////」

なんとかつらいさんをしりぞけたあにきかねもとだったが、つらいさんは こりずにまたしっそうした!
つらいさんの明日は いったいどっちだ!!


むかしむかし、とある日のこと。

「おうあかほし、ちょっとタバコかってこいや。」

あにきかねもとのこの言葉で はんしん村の、いいえ、あかほしの一日ははじまりました。


ちなみにあかほしは、あにきかねもとに なんどもおつかいをたのまれたことにより 今のしゅん足を手に入れました。

そんなせっていのまんがが どこかにあった気がしますが やはり気のせいでしょう。


あかほしが その足をとばすと あっという間にいちばにとうちゃくしました。

「う~~~~タバコタバコ」 

今タバコをもとめて 全力しっ走しているぼくは はんしん村にすむ ごくいっぱんてきな男の子 

しいてちがうところをあげるとすれば 
首にばくだんがあるってとこかナー 
名前はあかほしのりひろ 

そんなわけで、はんしん村の近くにある やすひろいちばにやって来たのだ。


あたりをみまわしてみると あいかわらずたくさんのお店がならんでいる。

とくに、秋から冬にかけては、ろうどう力として いこくからやってきた人々がしょうひんとしてあつかわれる店が人気なのです。

ただ、あかほしはどんでんから「あそこのオマリーっていう店のにんげんは ろくなやつじゃない。」

と耳にたこができるくらい きかされていたので、とくにきょうみは わきませんでした。


だいたいの話、一こじんが買えるようなねだんで ろうどう力は買えないので、きょうみがあったところでしかたがないのです。

それよりタバコタバコ…とまわれ右をしようとしたあかほしの目に
よくみしった人物が ろうどう力をていきょうする店にいるのが見えました。

まゆみ村長でした。


まゆみ村長は きほんてきにくうきなので、ふつうならみのがすところでしたが
あかほしはわりとかんさつ力にもたけていたので ぎりぎりで見えたのです。

なにやら ごきげんな顔をしながら 店の主人 ―あれがオマリーだろうか―の話をきいています。

すこしふあんになったあかほしは まゆみ村長にちかづいていきました。


ところで、はんしん村のざいさんは 村長であるまゆみがかんりすることになっています。

まゆみ村長にかんしては 

「きほんてきに小心者なので、みんなの金をじぶんのものにしてしまう心配もないやろ」(はんしん村 40代男性 アニキ)

とのことなので みんなにまかされているのです。


ちなみに、しもさんが かんりになのりでましたが だれもがきこえないふりをしました。


そのまゆみ村長が ろうどう力の店にいるということは、まぁ・・・そういうことでしょう。

それならそれで 村のみんなに 一言そうだんしてほしいところでしたが、
「まぁきほんてきにやくたたずだしな」という一言でおちつきました。


ちかづいていくことにより 少しずつ声もきこえてきました。

「このメンチってやつは ほかにもすごいところがあるでオマ。」

「みせてっ!まゆみにすごいところみせてぇっ!!」




ドドドドドッ

「これが殺人バッファロー走法でオマ。」

「すごいっ!メンチ速い!!」


こんなやりとりがおこなわれていました。あかほしは なんだかすこしなさけなくなりました。

こんなのが…こんなのが うちの村長だなんて。


「まぁ おきものみたいなものだしな…。」そういって またしても自分をなっとくさせました。

いつから じぶんにうそをつくようになってしまったんだろう…。

そんな、ししゅんきの少年のようなことも考えながら…。


「それでっ、それで、メンチはいくらなのっ!?」

まゆみは すっかりメンチにめろめろのふわふわのびんびんでした。

くちょうも どこかオネェのようになっています。かなりきも(ちわる)い。


「ふつうなら 8億円はくだらないオマ。

 しかし、おとくいさんのまゆみさんだから、6億円ひいて 2億円でいいオマ。」

なんというぼったくり。どんなインフレーションがおこったのでしょうか。


「ハァハァ。虎将合格点。メンチ、かいます。」

まゆみ村長は とてもいい顔でいいました。 


あかほしは あわててかけよりまゆみの口をふさぎ、

「(今日は財布に金が)はいってねぇんだよこのやろう!!」

とごまかそうとしましたが、

「ノーノー。いまアナタ カウ言ウタネオマ。」

といわれ ごまかせませんでした。


しかたがないので なぞの男メンチを2億円でかいたたきました。

「へんぴんは うけつけてないオマ。」

という言葉と、いや~なえがおつきで。


とりあえず タバコを買うのをわすれずに、バッファロー走法ではんしん村にかえりました。

かえってくると ニコチンをきらしてイライラしたあにきかねもとのすがたがありました。


「おそいわ!タバコかいにいくのに どんだけかかっとんねん!!!」

あかほしはあにきかねもとに もうだショーされちゃう前に ひっしにべんかいしました。

「か・・・かくかくしかじか!」

それをきいたあにきかねもとのひたいに あおすじがふくれあがります。


まゆみ村長は やっぱりおこられてしまいました。

どんなおこられかたをしたのかは ぐたいてきにはかきませんが。 


「なにみんなの金で かってな買いもんしとるんや!!

 買うにしても、そうだんしてからにせえ!!」

あにきかねもとは かなりのごりっぷくです。というか 目上の人間とのしゃべり方とは思えません。


まゆみ村長も いわれっぱなしじゃありません。

「みんなにそうだんしている間に メンチうりきれあるで。」

ハハッ、ないわ。


あにきかねもとは さらにれっかのように いかりだしました。

あかほしは 自分にもひがいがくるのでは と、こわくてしかたありません。まゆみ村長への さついさえめばえます。

「だいだい もとからこんなんいらんのや!!村の住人だけで じゅうぶんやっていけるわ!!」


しかしまゆみ村長もひきさがりません。なにがそんなに まゆみをかりたてるのか。

「いいやんか、金なんか たくさんあるんやし

 それに、このメンチがやくにたったら はんしん村もさらによくなるはずや!

 ええのとったわ・・・っ!ええのとったわ・・・っ!!!!」

そうなのです。はんしん村は なぜかやたらと ふところがうるおっているので 2億くらいならまだなんとかなるレベルなのです。


あーいえばこーいうまゆみ村長に あにきかねもとはあきれはてました。

「ガキかこいつ…。」

ついにこいつ呼ばわり。


あにきかねもとは まゆみ村長のくびをつかんで ひきずっていきました。

まゆみ村長はぶぜんとしたひょうじょう。「おかねとか かんけいないっていってるやろぉ!!」などとさけんでいます。

いつからこんな みにくいきんまんになってしまったのでしょう。


あるくこと10分、あにきかねもとの足がとまりました。

そこは はんしん村のふもとにある ちいさなおべんとうやさんでした。


あにきかねもとは、まゆみ村長を店にほうりこむと、

「おうまゆみ、良いっていうまで かえってくるなよ。」といいはなちました。


店の人には

「こいつがしばらく店のてつだいをする。しっかりしごいてやってくれ。」

と言って、あにきかねもとは そのままかえっていきました。


はじめは、お店の主人らしきおじいさんも、そのおくさんであろうおばあさんも、こんわくがおでした。

が、すぐに なにかになっとくしたようすで おばあさんはまゆみにかたりかけました。


「あなた、名前はなんていうの?」

「まゆみ・・・まゆみ あきのぶです・・・。」

次の日から まゆみ村長のおべんとうや生活がはじまりました。


まゆみは、そのもちまえのやくたたずっぷりで、てつだうどころか 足をひっぱりたいほうだいひっぱりました。

主人のおじいさんは 気むずかしく、もりつけさえうまくできないまゆみに まいにちカミナリをとばしていました。

かといって カウンターにたっていても、おきゃくさんはまゆみにきづかないこともしばしば。

いったい どういうかていを通って村長になれたのか、ふしぎになってきました。


おばあさんは そんなまゆみにも とってもやさしくせっしてくれました。

まゆみはまゆみで このりふじんな状況にくっすることなく、
なんとかやくにたとうとがんばるので おばあさんに気に入られていました。


ちなみにそのころ、村ではメンチがやることもなくうろうろしていたので、

ためしにあにきかねもとが、「ダル打ち指令や!」といってみたところ、
ドドドドドッ!村をでて北のほうにバッファロー走法ではしっていきました。

あにきかねもとは それをみてげらげらわらっていました。



「(いつも)すまんな。」

たまに売れのこったべんとうをもらいにくる、なぞのふろうしゃの相手をしつつ、
おばあさんはぺこぺことあたまをさげて500円のおべんとうを売ります。


「おべんとうひとつ、たった500円・・・。」

ようやくしごとにもなれたころ、まゆみは ためいきのようにひとりごとをはいていました。

2億円のメンチを買うのには、いくつのおべんとうをうればいいんだろう。


まゆみは考えました。ひとつ500円だから・・・2億で割って・・・500÷200000000=…ちがう、200000000を500で割って…え…?

…まぁ…、とほうもないすうじになることだけはそうぞうできました。

こんなことなら、じぶんの考えるメンチカツ弁当ひとつ5000円をうったら もっとらくしてもうけられるのに。



「あらあら、たった500円なんてとんでもない。」

ひとりごとのつもりでしたが、おばあさんにきかれていました。

おばあさんが まゆみの目をみて ゆっくりかたりかけます。


「わたしたちにとってはね、おいしいって言ってもらえることが なによりもうれしいことなのよ。

 おべんとうをすてたり、ほうりなげたりする人も中にはいるけれど、わざわざ おいしいって言いにきてくれる人もいるのよ。

 今もらった500円で、おいしいと喜んでくれるなら、それは私たちにとって どんな500円よりも かちのある500円なのよ。」


…しかしまゆみには、よくりかいできませんでした。

「もっとらくしてもうけたいとか思わないの?」


「…もうひるめしどきだ、これでもくいな。」

いつもかもくでこわいおじいさんが まゆみにひとつのおべんとうをわたしました。

いつもは、うりものは食べさせてくれませんでしたが、なにがあったのでしょうか。


そういえば、おなかがもうぺこぺこだったまゆみは、ありがたくおべんとうをたべました。

「めっちゃおいしいやんこれ・・・。」

まゆみはびっくりして、ついことばにだしてしまいました。


「そうそう。ひとりでも おいしい って言ってくれるなら、それがお給料なのよ。」

おばあさんは とてもうれしそうなかおをしていました。おじいさんも、こころなしかやさしいかおをしていました。


まゆみは、ふたりのそのようすを見て、こころうたれました。

こんな、ちっぽけなお金だとしても、人のこころはうごかせる。

まゆみは思いました。大金を手にして自分の目はくらんでいたと。

その夜、まゆみはとてもさわやかな気持ちで とこにつきました。


あにきかねもと。あの時は ただ君にさからう気持ちだけで あんなことを言ったが、今ならもうあんなことは言わない。

君ははじめから 僕にこのことを気づかせるつもりで、この店につれてきてくれたのか?

もしそうなら、僕はせいしんせいい 君にお礼をいわなければならないね。(ニッコリ



よくあさ、まゆみ村長に あにきかねもとから かえってきても良いという手紙がとどきました。


「おじいさん、おばあさん。僕はこのお店ではたらいて、とても大事なことを学べました。

 今度は客として この店にくるからね。おいしいおべんとうを たのむよ。」


おじいさんは「なまいきいいやがって…」と笑っています。

おばあさんは、すっかり一回り大きくなったまゆみ村長をみて、さいごのあいさつ。


「じゃあね、まゆみ君。ぜったいにまたきてね。

 あと、これで、あにきかねもと君が むかしただ食いしたツケはなくなったからね。」

「…あにきかねもとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


  お し ま い 


次回予告:

きんまんたいしつがなおったと思ったが、さいごのさいごでまたまたすねてひねくれたまゆみ。
またこりずにやすひろいちばにでむいたまゆみの目に、いっぴきのゴリラがはいってきた。
名札には

『ジョージ・マッケンジー』

とかかれている。
さぁ、ひっこしのじゅんびだ、かのう君。

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最終更新:2009年10月24日 16:51
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