渓流釣りを楽しんでいたら意識が遠のき、見えるのは白濁した場面。
川の水の音は聞こえるから岸辺か?
「クリティカルと思ったら石の中に頭が!」
何かが言っている。
「傷めておいて傷めずに持っていくのもなんだか…」
意味はわからないが解かる言葉で言っている。
これは夢か?
「ゆ~めで~あります~♪」


目が覚めた。
薄暗い場所。洞窟というより掘った横穴、何かの巣のようだ。
仰向けで寝ている状態でも天井が低く感じる。
多分立つと天井に頭をぶつけるだろう。
体を起こして胡座をかく。
「ここはどこだ?」
6畳ぐらいの広さで壁面には蝋燭が四方に置いてあり、ここが人工だとわかる。
自分の座る左右と真正面の3箇所の行けそうな道というか横穴がある。
どの穴も中は暗く状況はわからない。
「どれが正解だ?」
「暗いんですが壷ですから出れますよ」
声と共に左の穴からぬっと何かが出てきた。
「内にも外にも戻れます。今ならお試し時間ですよ?」
すくっと2本の脚で立ち止まり、
右には竹魚篭、左には一升瓶を持って
頭に笠をのせた茶色い毛の有尾の獣が言った。
「お試し時間終りますよ?」
大きな口をにたっとさせたそいつを見るなり
俺は急いで右の穴にはいつくばって入って行く。
俺の背にそいつは焼魚と刺身はどっちが好きかと問い掛けたが無視した。
そして30分後、俺はそいつと酒を飲んでいた。


「この刺身も旨いな」
「アカメは遠洋漁業の成果です」
目の前の飲み相手は沢蟹を食べながら答えてくれた。
「いい加減、笠を取ったらどうだ?」
相手の空いたぐい呑みに気付き一升瓶を持って何度目かの問いをしてみる。
「笠は駄目です。笠はカワウソの証なのです。取る時は…おっとと」
やはり何度目かの答えをしつつカワウソはぐい呑みで酒を受けた。
そう、目の前の茶色い毛の笠かぶりの有尾の獣はカワウソだったのだ。
本人曰く由緒正しいニホンカワウソだとか。
しかし俺の知っているカワウソは
茣蓙の上の座布団に座り、短い後足を前に出し、背を垂直に立てて、
右前足でぐい呑みを、左前足で沢蟹や刺身を取って口に運ばないし
なにより人語を喋らない。
しかし一升瓶を2本空ける程、差しつ差されつしてると
ぐい呑みでカワウソが酒を飲んでも気にならなくなる。
「まぁいいか細かい事にこだわるといい酒が不味くなるしな」
「都会ではワインらしいので
 お酒ぐらいしかないので心配でしたがお口に合って良かったです」
「都会でなんでワインかわからんがこの…かわうそ…まつり?は凄く旨いな」
「長州あたりに棲む仲間が持ってきてくれるのです。
 カワウソが祭で飲むので…都会ではだっさいと言われそうですなぁ」
頭に手をやり、にまっと笑うカワウソ。目を細めて笑うこの様にも慣れた。
「ほぅ他の処にも仲間がいるのか」
俺の問いにカワウソが止まる。
そして少し頭と髭を垂れ短い両手で器用にぐい呑みを持つ。
「…昔は日本国中に、それこそ加賀のお城の堀や蝦夷地にもいました。
 しかし、時代が変われば変わるほど仲間は減ってゆき…」
「そんなに減ったのか?」
「はい。今では祭を開けるかどうかぐらいで…」
よりうな垂れるカワウソ。
酒瓶のカワウソ祭という言葉にもそんな願望にも似たものがあると思うと悲哀を感じる。
「なんか、すまんな」
「いえいえいえ。こんな湿っぽい話はいけませんな。酔い過ぎたやもしれません」
「そうだな。俺も飲み過ぎたかもしれん」
残った酒を呑み干し、綺麗に食べた肴に感謝しつつ骨や甲羅を別け始めた。
「蟹は堅かったですか?」
「なんだか硬過ぎるのがあって甲羅の破片は出しちまった、すまんな」
唐揚げされた蟹は美味しかったのだが大きいのは堅くて甲羅は飲みきれず皿に出していた。
カワウソはバリバリと食ってはいたが。
「それはいいのですが…」
なんだか視線が蟹の甲羅に向けられてるような気がする。
「どうした?」
「折れた蟹の甲殻で…」
「で?」
「貴方の好きなカワウソがわかるのです…」
そんな事聞いたことがないのはカワウソの事だからとしても
なんだか気配が変わってきたような…
「…呑みました。食べました。折れました」
「お、おい。カワウソ?」
「ふふふ。ははは」
なんだかおかしな笑い声を発しながらカワウソはすくっと立ちあがって笠の紐を解き始めた。

「どうしたんだカワウソ?」
「笠を取ります、御覧あれ」
そう言ってカワウソは笠をぽいっと放り投げた。
酔いで少しふらふらしてるがなんだか少し変わってきたような…
「遠い異国の地にアザラシのセルキーというのがいましてね」
「ほう」
「それがその皮を脱ぐと素晴らしい美女が出るそうです」
「それは凄いな」
慣れたがカワウソが器用に喋るのも凄いけどな。
「期待して下さい」
顎下に両手を当てながらカワウソが言う。
「うん、まぁ、よくわからんが期待しよう」
「ぱかっとな」
顎を上げるようにすると被り物のように頭は後ろへ倒れ
その下からは人の女の頭が出てきた。
「おい、本当に被り物かよ!」
女の顔がにやりと笑ったかと思うと首下からすっと手を下げた。
すると真ん中からチャックで開いたかのように毛皮が左右に離れ、中から女の裸体が見えた。
女の体は滑らかそうな肌艶で
小ぶりの乳房、同じようにあまり肉の付いてない尻は
愛らしさのある瞳、潤いある唇、小さめの鼻、
前髪を額でざくんと切り揃え、後髪を耳の下辺りで切り揃えた…御河童頭。
その顔と体つきで女は女でも少女であった。
「こりゃなんとも…お嬢ちゃんだったのか」
只の飲兵衛が出てくると思ったがこれは流石に驚いた。
「豊満な美女でも出ると思いましたか?残念でしたね」
と言いながらカワウソの中身だった少女は脱いだ毛皮を畳んだ。
何故、涙ぐむ?あ、涙を腕で拭い取った。
「さて、宴もたけなわでございますが…」
「そ、そうだな」
こちらを見る元カワウソはなんだか怖いので少しずつ離れる。というか何か着れ。
「ここら辺で一本〆としたいと思います…」
「一本〆?」
「では、御身体拝借!」
言うが否や元カワウソは飛びかかってきた。

「おい、こら」
「いいではないか、いいではないか」
「離れ、うわぁ酒臭っ!」
顔を近付けられ、尋常じゃない目と(自分もそうだろうが)酒臭い息がくる。
「パパン、パパン、パパパンパンと手ではなく腰を打ってくれればいいですから!」
どこにこんな力があるのか引離すどころか服を脱がしベルトすら緩め始めてきた。
「ちょ、やめ」
「嫌です!この機会を逃したら一匹悲しくカワウソの生涯を終えてしまいます!
 ですから、ちょっと孕ませて頂ければあとはお帰りは自由ですから!」
「それにしたって、子供とする気はねぇ!」
「安心してください、子供に見えても中身は大人!凄いですよ!」
「御河童頭の子供にしか見えねぇよ!」
「おかっぱ!?河童の事なんてどうでもいいじゃないですか!」
俺の上に全裸でマウントポジションをとる少女は憤慨した。
「河童じゃない御河童頭!その髪型だ!」
「紛らわしいですねぇ!」
「だいたい河童とカワウソは似たようなものじゃないか」
「むぅ!怒りましたよ。
 あんな胡瓜と皿しかないような相撲取りと一緒にするなんて!
 河童と仲良くするならツチブタと空を飛んだ方がましです!」
「はちゃめちゃ過ぎて意味わかんねぇよ!」
「さぁ!挿しつ挿されつしましょう!」
「挿されてたまるか!…あっ?」
狂気じみた少女の背後の右穴に何かの目がいくつも見えた。
あの目はカワウソだな。他にもいたのか。
俺の視線が気になるのか少女も同じ方を見る。
ほぼ180度だがよく身体を捻れるな、あ、カワウソだったな。
「あ!お前たち!何を見てるですか!」
少女に吼えられてもまだ穴の中からまだ見ているのがいる。
「もぅ!私が選ばれたんだから向うへ行ってるのです!」
ぷんぷんといった感じで少女は穴の方へ向って行った。
「はい戻った戻った。選ばれなかったものは尾でも咥えて悔しがってるといいです!
 さ、お待たせしました~子・作・り・しまっしょ!って、逃げたー!」


少女が仲間に構っているうちに穴に逃げた。
酒を飲む前に入った時、
右の穴は左の穴から出て、左の穴は真正面の穴から出た。
というわけで真正面の穴に飛びこんだが
これでまたあの場所に戻ったら…いや、大丈夫なはずだ。確証はないが。
一縷望みで四つん這いで暗闇を進んで行くと
徐々に穴の大きさは立っていけるぐらいに大きくなり、下り勾配の向うに光が見えた。
蝋燭の光ではなさそうだ、これなら…
「アッーーーーーーーーーーーーー」
足下をとられそのまま滑って光の中へ入ったら前へ飛ぶように落ちた。
背中から水に落ち、浮上する。
「…なんだ、ここは?」
痛みで身体が動かせないのでぷかんと浮きつつ周囲を見る。
一本の大樹のある小さな小島がある池。
池の周囲には草が生い茂り、カワウソ達が窺っている。
手で小島に頭を寄せて天を見る。
太陽は見えないが天から日差しはあり
ぐるりと囲うような岩壁の3mぐらいの高さに穴がぽつぽつとある。
あの高さから落ちて下が水で良かった。奈落の底なら大怪我だ。
「待てーーーーーーーーーーーーー」
自分が落ちてきた穴から声がすると思ったら落ちて水柱を立てた。
それが顔を出す。飲兵衛カワウソ少女だった。
「逃げるとは何事ですか!あんなに愛し合って絡み合ってたのに!」
「茣蓙の上でくんづほぐれつしてただけだがな」
「いい茣蓙用意し…あぁ~そうでしたか~」
さすがに身体がまだ痛いのでよく見えなかったが
頭に手をやったとするとにまっと笑ったな。
「それでしたら近道を教えましたのにぃ~」
カワウソらしくすぅ~っと移動して俺の足下にきた。
「よいしょっと」
「痛たた」
少女は足の裏を両手で押して俺の上半身だけを小島にのった状態にした。
そして身体の上に重ねる様にのる。
「うふふふ」
水中でパンツごとズボンを下ろされた。
「やめろ~」
まだ続く痛みと両足を拘束するようになっているズボンで逃げ様がない。

「まさか伝統の樹の下で交尾するなんて…」
両手を頬に当てる。
「なに、ぽっとしてるんだ、お前は」
「この伝統の樹の下で…ちなみに私達カワウソは水中で交尾するのですが、
 交尾をすると丈夫な子供が生まれるんですって、何度も」
「そうかいそうかい。それは同じ仲間にしてもらえよ!」
「…いないんですよ」
いきなり鬱な状態になるカワウソ。
「何が?」
「男が、牡が!
 人間が毛皮を獲っていったから男が減って!
 今残ってるのはうら若き乙女ばかりでニホンカワウソは絶滅してしまうのですよ!」
「確かにカワウソは見かけないと思ったがまさかそこまでとは…」
「だから犯すんです。子作りするんです。未来に向けて!」
種族の繁栄の使命感なのか人間に対する復讐か鬼気迫る少女は
そう言って俺の股間に手をやりイチモツを握る。
しかし水中の愚息は冷えて縮んでいる。
「…人の皮も取ってしまいましょう」
ひどい!それは後ろにいっただけでちゃんといつもは顔だしてるのよ!
「すりすりっと」
カワウソの妙な手芸で幸か不幸か愚息はしっかり元気に顔出した。
「それでは…」
「や、やめ!」
にゅるっとした感じで入っていき中は温かい。
「あぁたまりません!たまりません、この感触!
 熱くて、堅くて、膣内とくっ付いてしまいそうです!」
カワウソは虚ろな目で下半身を擦りつけるように動かして悶えている。
上下に動いてもいないのに竿を締めたり緩めたり細かく刺激する。
膣内は別の生物がいるみたいだ。
「あふぅ、少し来ました…」
「あかん、出そうだ、抜け…ぬっ?!」
なんとか腰を下げて抜こうとしたが膣から抜けないうえにカワウソの足が腰に巻付いてきた。

「だめ、です、よ。子種を出して…子供が出来ないと…」
「ぐっ」
膣の肉の動きに噛み締めて耐える。
「あーん、えい」
カワウソが涎のしたたる口を大きく開けて肩口に噛みついた。
「痛ーっ!」
思わず叫ぶとそれと同時にカワウソの中に発射する。
「あ、あ、あ、あ、あ…あいーん」
カワウソは抱きついたまま最後の一滴まで搾り取ろうと腰を密着させた。
「出しちまった…」
出しきってしまってこれで終ったという安心感と倦怠感。
「まだですよ?…まだ足りないんですから…」
そう言うと腰の足を解かないままカワウソは体を起こして膣内をうねうねと動かし始めた。
柔らかくなったはずの愚息は再び元気になりまた充填し始める。
「5匹は欲しいですから、あと4回は頂かないと」
「なにー?!孕んだら帰るのは自由じゃなかったのかよ、嘘つきめ!」
「カワウソだけに可愛い嘘じゃないですかぁ」
両手を頬に当てながらくねくねする。
「科をつくるな、締めつけるなぁ!」


結局、あれから5回出されてから解放された。
「2ヶ月で生まれますからね、お父さん」
「…お父さんじゃねぇ…」
疲労感が半端なく仰向けのまま横で腹を擦っているカワウソに言う。
「と、とにかく、終ったから、俺は帰るぞ」
「?」
困ったような眉で笑みを浮かべるカワウソ。
そして岸の方を指差す。
「はん?」
その先を見てみると、
カワウソやら身体だけカワウソやら毛皮を畳んでる少女やら…
「どういうこった?」
横のカワウソに聞こうとしたら岸に泳いでいってる途中だった。
で、岸に着くと口をにたっとさせてから言いやがった。
「さぁお前たち!子種を盗んでこーい!」
「はーい!」
嬉々としたカワウソ少女たちがこっちへ向ってくる。
まさかあの数にあの回数絞られるのか…
「もげるな…こりゃあ」

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最終更新:2013年03月27日 17:25