「ちく…しょう、なんでこんなことに」

登山中、霧が出たと思ったら仲間とはぐれて道を誤り、適当に進めばそこはまさしく魔境となる。
そこ、適当に行くな馬鹿とか言わないでくれ。 俺だって反省している。

「だいたい…さっきからなんだ? 何かに見られているような気すらする」

まあ、一人なせいで神経が昂ぶっているのだろう。 まして深い森の中。 
いまだ昼下がりとはいえ人気がなくては、そう思っても仕方ない。

…ん?

「…あな?」

目前にあるのは完全に穴である。 ぽっかりと空いた、人一人が入っても余裕そうな穴である。
不思議に思い近寄って覗いてみるが、底も見えない。 
…少し考えたが、まあ現状打開の一助にならないことは明白。

「なんなんだか、この穴…まあいいや。しかしまあ、いくら降っても麓につかないな…」

一人、ぼやく。

「降りたいの?」

「そりゃまあね。 疲れたし、腹減ったし…?」

くるりと振り向きこんにちわ。

なんか全身が妙に白く、口の端に牙っぽいのが生えている少女がいましたよ。
なんだろうか、その如何にもハンドパワーといわんばかりの突き出すような形の両の手の平。

「えへへ…」

ふむ、いい笑顔だね? 
よ~く見ればあどけなさの残る可愛い子なのだが、頭の先には触覚があるし、肌の色は色白というレベルを一段階超えた色白さである。
腕にもよく分からない軟体の篭手みたいなのを装着しているし、なによりも特筆すべきは全裸であるということかもしれない。
しかし、だ。 

「人間…じゃ、ない?」

「大、正~解!」

ドンッ、と突き落とされる。 背後には変わらずに厳然として穴。 
いやあ、突き出す腕はそのためか。 ハハハマテヤー!

笑顔で突き落とすとか止めてください…て、深さの分からない穴に落とされるとか死…!

ドスン、と気付けば柔らかな地面。 助か…った?
「生きてる…よな?」
地面は暗くてよく見えないが、ずいぶん柔らかい土のようである。
クッションになったおかげで体が痛くもなんともない。 
「くそ、なんだあの女の…子? 一体どんな恨みが」
「う~ん、恨みっていうか、感謝? いやあ、最近なんか人間がここらへんに来なくてね~」
「うわああ!?」
薄暗くてよく見えなかったとはいえ、さっきと同じ声!? いつのまに隣に!?
「どうもこんにちわ~」
目が暗闇になれてきたおかげで、相手の姿が多少分かる。 やはり、さっきと同じ娘のようだ。
落とした後に物音立てずに隣にいるとか、どうすれば…
「お~い、大丈夫~?」
少し遠い頭上から、間延びした同じ声。 …いや、どういうことか分かったけどさ。 うん、単純に双子とかそういうのでしょ?
うん、だから…何故、穴の下にいた娘に抱きつかれてるんだろうか?
「色々聞きたいが…何故だ?」
「まあ…下手に動かれると危ないので」
がっしりと両腕ごと抱きしめられている。 ん…はずれ、ない? 身長で10,20は勝っているのに…?
ドスン、とこちらと同じように落ちてくる彼女。 正直色々とついていけない。
「いや~、良かった良かった。 確保成功~」
「お疲れさま。 じゃ、連れてこうか」
笑顔で語り合う二人の少女(仮) 若干、穴の下にいた娘の方が背が高いようだ。 結局低いけど。
二人ともこちらの腕に抱きつき、どこかへ連れて行こうとしている…?
「いや、ちょっと待…【ボギリ】 …へ?」
ブラリと頼りなくなる両腕。 肘が逆方向に曲がっている。 痛みはない。 ニコリと振り返る姉妹(仮)
背筋が、泡立つ。 
「ああ、神経毒を抱きついた時に注入したから、痛みはないですよ?」
「それは、ご丁寧…に?」
チガウ違う、そうじゃない。 あまりにも痛みがなく相手が平然としすぎているので自覚できない。
折った? 腕を? 目の前の二人が?
「あまり抵抗されても困るんですが、千切ったらイキが悪くなっていったので…多分、これぐらいなら大丈夫だと思うんだけど」
言っている事が理解できない。 ニゲロ、とあまりにも遅い警告がくる。 
「う…わ…」
足が動く、体が動く、後ろを向いて走り出してそれからニゲt…
離されていた両腕。 だがそれは逃がしてくれる訳では決して無い。 
抑える必要が存在しないからこそである。 毒が注入されて全身に回ったのだろう。 カラダ、がうごかな…い…
ドサリ、と無様に倒れこむ。 腕が動かないから顔面から。 地面が柔らかいために痛みはない。
だが、それこそがより嫌な予感を湧きたてる。
「う~ん、結構大人しめね? 今回の人間は」
「だね~、あ、聞こえてると思うけど、別に殺したい訳じゃないし、食糧にする訳じゃないから安心してね?」
この、現状のどこに安心する要素、がある…と…

視界が暗くなる錯覚。 
だが残念なことに意識は明瞭。 …夢なら、醒めてくれ。 
願いは続くよどこまでも。 担いでつれていかれる先はさらに下。 
…どことも知れぬ、闇の中。
「たす、け…」
「あ、まだ喋れるんだ? ん~、ヘヘ」
唇に触れる軟体。 どこか甘い、不吉な味わい。
少し舌と舌が触れ合うぐらいのキスだった。

暗闇の中を担がれたまま、為す術なく揺られていると少し開けた空間に出たようだ。
先程までとは違い薄暗い。 どこか地表に近いのだろうか? 
彼女たちを認識できるぐらいの明るさである。

痛みは無いままだが、体は動く。 
だが、両腕は使い物にならないし、なによりも彼女らの膂力は人間からは程遠いようだ。
見た目に不相応な力に、暗闇でも十分に見えるらしい視力。 
まして数の上でも不利…さらに言えば帰り道も分からないときている。 
地表を掘ることも、この折れた両腕で出来るならそれはもはや人間ではない。

確認すればするほど…現状打開の目がない。 
交渉? 相手が何を思ってこうしたのか分からないのに何が出来るのか。
命をとるつもりは無いと言っていたが…
「はい、到着~。 随分大人しかったね? こういうときって結構暴れる場合が多いと思うんだけど?」
「………」
「ふ~ん………あ、お姉ちゃんお疲れ。 じゃあ降ろすね~っと。」
担がれていたのをまさに荷物のように地面に置かれる。 幸い、両腕も注意して置かれたようで歪すぎる形ではない。
地面にそのまま置かれたようだが…土の感触が、踏み固められていることが分かる。 

それから2,3話しかけてきたがこちらに会話する気がないと悟ったのか、それで諦めたようだ。
下策だとは分かる。 だが、毒の影響なのか話すのも億劫だった。 
不安・困惑・恐怖、この場所通り真っ暗な未来予想図が脳裏に描かれている状況で「ムグッ!?」
ピチュ…ジュル、ピチャ
腕を頭の後ろに回され、粘性の音が口蓋より発せられる、二度目のキス。
意図の分からないそれは、丹念に口内を蹂躙していく。
唾液を咀嚼し、絞り上げ、出ないとみるや潤った粘体で口内に水分を与えていく閉じた循環式。
やはり、どこか、甘い、とぼうっとする感触の中で思う。
自分から入るのに飽きたのか、今度はこちらの舌を吸い上げ唇に挟み、口内に招き入れてくる。
為すがままの体の割りに、思考は冴えてきた。 最後に合わさり溜まった唾液を存分にこちらに流し込んでくる。
「…ん、むう。 ぷはあ」
「はあっ、はあっ、はあっ……」
長い繋がっていた時間だった。 不思議と抵抗する気も、唾液を吐き出す気も起きずに唾液の混合物を飲み込んだ。
「うん、おはよう?」
「暗いから時間は分からないしそもそも起きてはいたから正しくないし…なにより、なんなんだ」
それは何に当てた言葉だったのか。 現状か、理由か、存在か。
諸共含むには曖昧な問いである。 だがそれ以外の言葉も、今は出なかった。
「暴れないのに元気だね~。 うん、良かった」
それが何の意味なのかも分からない。
「う~ん、同棲相手、かな? いや~、気の遠くなる昔からいたんだけどさ、暇なんだよね私達。
とはいっても人里いけば槍もて追い回される。 集合体の人間は怖いからね。 だから単独ご招待。 美味しいしね?」
凄く不穏な言葉が最後にある。 聞くべきだろうか聞かないべきだろうか。
「ん、完了。 アシキリできたよ」
分からない言葉である。 アシキリ、葦きり、脚きり…!?
不穏な連想から身をよじって足を確認する。 俺のアキレス腱が、白…い…?
自分の両足の腱が、まるでこの少女たちの肌のような白いモノに変わっている。
「ああ、動かさない方がいいわよ? キスしている間にちょっと切って塞いだだけだから」
「なん、で…」
「前も人間を連れてきたんだけど、暴れたり逃げ出す人が多くてね。 別に簡単に捕まえられるけど、面倒だもの。
まあ、それで前回似たようなことしたらすぐ死んじゃったんだけど… 今回は痛くなかったし、失って無いでしょ?」
ナニヲ、と聞く気すら起きない。 答えは更に残酷だった。 もとより逃げ出す方策が見えなかったが、これは本当に…ニゲラレナイ。
鳥の羽を斬って飛ばさないのと同じといえば同じかもしれない。 それともフォワグラの作り方か。
あるいは首輪に繋がれた犬か。 だが…ここまではしない。
ここにきて一番の怖気を感じた。 そう、ヒトガタであり理性を持ちながら、完全に別種としての認識なのだ、相手は。
「なに、を…する気だ?」
だが絶望して逆に落ち着いた。 自分でも異常だが、騒いでもどうにもならない。 五月蠅い犬と自分の状況が脳内で重なったのもある。
…怖い。 見た目の可愛らしさが無ければ恐慌状態になって…その先は考えたくも無い。

「あれ? 落ち着いた」
「へ~…大丈夫よ、私達からは殺さないっていったでしょう?」
あどけない顔と、たおやかな笑顔がこちらの顔をのぞく。似たような顔で全然性格が違うようだ。
だが後者の言外の意図が怖すぎる。 こちらが姉、なのだろうか。
「そちらが…姉、なのか?」
「ふふ、うん、そうなってるわよ? といっても本当にそうなのか分からないけど」
「やっぱりそう見られるのか…姿は一緒なのに」
日常のような会話だが、現状はそれからかけ離れている。 いや、この二体にとっては日常で間違ってないのか。
「まあ…そうね、質問に答えてあげる、ね」
ビリビリと衣服が破かれていく。 抵抗する気はない。 出来ないと言ってもいい。
仰向けの体の前面を破られ、服を布へと戻す作業が続けられる。
「いつもなら気絶させてる間にするんだけど…本当に大人しいね?」
妹の方が上着を解体しつくして、顔を目前に持ってきて聞いてくる。
「抵抗できる道が…見つからないからだろう」
他人事なのは本心で認めたくないからだ。 なにかを待つしか、ないだろうか…?
ジイイイィというチャックを外そうとする音…チャック?
「マ、マテ! チョッ、そっちは…「はい、黙っててね~」んむう!?」
上半身を起こそうとしたが反動込みの口蓋侵入。
何故慌てるかって? 羞恥心が凄いからさ。 悲嘆に暮れてる時に上半身裸にされて(生命的な意味で)緊張してたらなんなんだよ!?
「ご開帳…ですね。 まだ元気がないみたいですけど」
その間にも、先ほどのキスと同じように侵略してくる軟体。 先ほどと違うのは…全力で酸素ごと吸われているところ!
着々と下が破り取られていく…! 身を捩ろうにも力が凄いので意味がない。
「んむ…ふう、脱がし終わった?」
「うん。あ、勃ってきた」
内実はどうあれ、女の子とこういうキスしたら仕方ないじゃないか。
自身の性器は命の危険をものともせず、雄雄しく屹立した。 顔が、熱い。
「ここも熱いようですが…」
「うわあ?」
土中だからかひんやりした手が逸物に触れる。 その気持ちよさにさらに大きくなる。
「ふふ、いただきます」
パクリ、と。 口からすれば大きいはずの性器を躊躇も何も無く姉の口に咥えられる。
その言葉に悪い連想をするも束の間、淫猥な水音と快楽が脳内を染めていく。
「ぐ、あ…」
「あ、こっちも舐めてね~」
立ち上がった妹に、柔らかな女性器を口に押し当てられる。
ほんの僅かに甘い蜜でしとどに濡れた性器は、次々に蜜をあふれ出して口を犯していく。
そのまま体重をかけられ押し倒され、地面に頭を乗せる形に…妹からすれば、膝立ちに近い形になる。
「うん…そう、もっと舐めて、吸って…そう、うん!」
押し付け、嬲るように、快楽を求めた腰の動きに翻弄される。 
両腕が使えないので抵抗できず、ほんの僅かも離せない。 呼気は淫臭のみで、息苦しい。
ぐりぐりと押し付けられ、奉仕を強要されて応えねば、より強く腕に力が込められてしまう。
そしてこちらの水音と同じように…下半身も、嬲られている。

「ん…ちゅる、ペロ、はあ…」
口内から抜け出られずに白い体の赤い口腔に収められている。
吸われ、舐められ、顔を上下に動かし亀頭部を執拗に責められたかと思えば、根元まで咥えてから強く吸われる。
そしてその強烈な刺激の度に動きを止めてしまい、女性器への奉仕をねだられ強要される。

激しい上下の刺激に耐えられない。 出、出る…!
思わず下半身を捩るが、無理やり両腕で押さえつけられ動けなくなる。
その反応を悟ったのか妹の腰の激しさがより小刻みに擦る動きに変わる。
押さえつけられた下半身、だがそれはより深く咥える体勢になったようで喉奥に先端がぶつかる。
だが姉はその状態でも構わずに上下動を繰り返す。 今までと違う刺激が加わったら…もう、無理だ!
「ンムーーーーーー!!」
体の奥から搾り出すような射精。 喉奥をついた状態から食道に直接射精していく。
性器どころか腰の律動は止まらず、寧ろその状態のまま吸われるので本当に残らない!
妹も一拍遅れてイったようで腰をガクガク震えながら愛液を余さず口内にぶちまける。
なんのこだわりなのかそのまま口を固定される。 目線があえば飲みこめと命令される。
多量の愛液が喉に粘つくも、なんとか飲み込む。 
多少えづくも解放されず、腰の律動が終わっても残さず飲み込むまではそのままだった。
ついでなのか、解放されるまでは下半身もしゃぶられつづけていたが。
「ぷは、美味しいですね」
「う~ん、やっぱこういうのが一番だよね~」
「ま、まて…連れてこられた理由って…こういうこと、なのか?」
「何を今更。 気持ちよかったでしょ?」
それは否定しないが、快楽を叩きつけられた感じなのだが。
「さて、じゃあ次ですよ~」
笑顔の姉が迫る。 俺の逸物が反応する。 裏切るな、じゃなくて、そんな、一発とはいえあれだけ出したのに。
「? ああ、私の体液散々飲んだでしょ? 大丈夫、回数重ねればどんどん効率よくなってくから」
「それに邪魔も入らないですしね、ここ。 あ、大声で叫んでもいいですよ? どうせ、意味ないですから」

変わらない世界、変わる己。 
体液を散々摂取させられた体は次第に睡眠も少なく、食欲も少なく、排泄も少なくなっていく。
そして、成長も老化も、少なくとも外見上は変化がなくなっているようだ。
だが会話によって理性だけは保っている。 彼女らが話が好きなのか、それとも意志を無くした相手を好かないのかはわからない。
ただ…変わらず彼女らに精を絞られ、話をし、性を発散されては語られるだけである。