バタン!

階段を駆け上がり自室の扉を乱暴に閉めると、ルドルフは部屋の真ん中で立ち尽くした。
エンネの手を引いたままで。
家に入ったときのように顔は下を向きっぱなしだが、尻尾だけ嬉しそうに振られている。
恥ずかしさから両親の顔を見るどころか、ろくに話もできなかった事ができなかった
ルドルフだが、その恥ずかしさの原因というのが……

「ルディ、痛い、手、放して」
「あっ、ごめん」

エンネの手を握ったままであることに気が付かなかったのか、驚いたように手を放すが、
顔は相変らず下を向いたままで、エンネの顔を見る事もできない。

「自分で自己紹介したけど、最初はあなたが紹介してくれる約束じゃなかった?」

ルドルフより一回り小さいエンネが、俯き加減のルドルフの顔を覗きこむように言うが、
覗き込むエンネの顔を避けるように視線を外した。

「俺の彼女だなんて、ご両親びっくりしていたわよ、けど、嬉しかったな」

 犬獣人のルドルフに対し、エンネは、ミミズクの獣人である。
頭上ではミミズク特有の羽角を揺らし、幼い容姿ながらも大人びた雰囲気をかもし出す。
フクロウ系の獣人と同様に、夜目が利くという利点の代価として、
近くのものを見るのが苦手という特徴を持っており、彼女の場合も例に漏れず、
高い鼻の上に、ちょこんと小さな眼鏡を乗せている。
大人の女性を感じさせるのは、その影響かもしれない。

 しかし、エンネを自室へ連れ込んだまでは良かったが、その後のことを考えて
いなかったのか、ルドルフはエンネに顔を向けることができないのだが、
エンネは痺れを切らしたかのように、その手をつかむ。

「ルディ、部屋の真ん中で突っ立ってないで、座ったら?」
「あっ」

ルドルフの手を引き、部屋の隅にあるベッドに座らせると、
エンネもその隣に腰を落とした。
 そして、ルドルフの耳元に顔を寄せ、呟くように言う。

「ね、ルディ、あなたは自分の部屋に彼女を連れ込んで、一体何をしたいのかしら」
「おっ、俺は、その……」
「その、何?」
「そのぉ……」

 傍らでルドルフを見つめる、エンネの黒く、大きな瞳。
ルドルフは、自分を見つめるエンネの瞳を見ると、
心の奥底まで覗かれているのではないか、という錯覚にとらわれてしまう。

「あなたが何も言わないのなら、私が勝手に始めちゃうわよ、あなたの欲することを」
「ふあっ」

 エンネが、ルドルフの揺れる尻尾の根元を優しく握りこむと、口から媚声が漏れ、
体がビクリと大きく反応する。
 根元から尻尾の先端に向けて、握りこんだ手をゆっくりと動かすと、それに合わせて
ルドルフの体が小刻みに震え、その姿を横目に、エンネは満足そうな笑みを浮かべる。

「相変らず、尻尾が大好きね、いけないルディ」
「はうっ、ふうんっ、」
「きっと、私以外の女に愛撫されても、同じように鳴くんでしょうね」
「そっ、そんなこと無い」
「うそ」
「きゃうんっ」
「尻尾の根元を鷲摑みにされただけで、ズボンをこんなに張らせているのに?」

 尻尾の付け根を、今度は強い力で握りこむエンネ。
かと思えば、再び力を抜き、撫でるように尻尾全体をさする。
自分の腕一つでルドルフを恍惚とさせるエンネの瞳には、捕食者が獲物を狩る際に放つ
独特の光が宿り、怪しい輝きを魅せる。
 本来は、隣で自分を愛撫するエンネよりも強者であるはずのルドルフであるが、
彼女を前にすると、何故か強気に出ることも出来ず、従順になってしまう。

「ね、股の間も、触って欲しい?」
「うっ、うん」
「そう、正直者のルディ、でも、まだ駄目」
「ふあっ」

 エンネは、ルドルフの隣に座り、肩に顔を寄せながら尻尾を愛撫していたが、
空いている手で上着のボタンを外すと、その隙間に腕を差し込んだ。
 差し込まれた腕はルドルフの胸をしなやかに這い回り、刺激し、愛撫する。

「ルディも、胸で感じるようになってから、どれくらい経つかしら」
「ふっ、くうんっ、ふうっん」
「私達が教室で初めて行為に及んでから、そう、あれはもう半年も前の事ね」
「はっ、ふうっ、はううんっ」
「あんまり大きな声を出すと、ご両親に聞こえちゃうわよ?」
「きゃうっ」

服の間で這い回るエンネの腕が、ルドルフの乳首を摘み上げると、大きな喘ぎが漏れる。
犬獣人の毛深い胸毛を掻き分けるように、エンネは腕全体で優しく包み込む。
自分が愛撫するたびに、押し殺しそうとしながら漏れ聞こえる喘ぎ声を聞き、
ルドルフに肩を寄せるエンネは満足そうな笑みを浮かべる。
 自室で、しかも階下に両親がいる状態で胸をまさぐられるという興奮が
ルドルフをより興奮させ、エンネをより高揚させた。

「そろそろ、いいかな」
「ひあうんっ」

今までで、一番大きな反応。
懐から腕を抜いたエンネが、ルドルフの股間へと手を差し伸べたのである。
布越しでありながら、極度に高められたルドルフの感覚は、エンネの指の動きを、
直に触れているかのごとく、敏感に拾っていく。

「やっぱり、やめよう、父さんや母さんが下に……」
「今さら何を言っているの、もう、下半身は準備万端じゃない」

 ベッドに座るルドルフの両足、その間に体を置くと、ズボンのチャックを降ろす。
言葉の上では反抗するルドルフであったが、自分より腕力に劣るエンネを跳ね除ける
事もせず、期待に満ちた瞳でその動きを見守っている。

「やっぱり、大きいな」

 開放され、直立したルドルフのモノは、普通の男と比べて迫力がある。
エンネはこれが大好物だ。

「なんだか、いつもより堅くなってるみたい、やっぱり自室だと、興奮するのね」

 優しく撫でるように愛撫するたびに、僅かに反応する。
片手で根元を押さえ込み、もう片方の手で竿をしっかりと掴み、扱くと、
先端から透明な液体が垂れ、エンネの手を汚した。

「まったく、節操が無いんだから、手が汚れたじゃないの」
「ごめっ……ふああっ」

 体液で汚れた手を嘗め取ると、握っていたモノを口で包み込んだ。
先端を唇で優しく包み込むと、唇で唾液を塗りつけながら、根元へ向かって
ゆっくりと呑み込んでゆく。

「くっ、ああぁつ、ふあぁぁっ」

 生暖かい感触に包まれる己の分身を、身をよじらせる事もなく、
ただじっと耐えるルドルフ。
 エンネは、口に含んだモノがヒクヒクと痙攣し、いつでも射精できる状態である事を
感じ取る事ができた。

「何故、我慢するの? 出しちゃってもいいのよ」
「だって、このまま出したら服が汚れちゃう、ひっ」
「大丈夫、全部飲んであげるから……はむっ」

 止めとばかり、根本まで一気に飲み込むと同時に舌先で激しく尿道口を擦り上げる。
既に限界を超えていたルドルフに抗する術は無く、エンネの口内に精を捧げた。
 勢いの激しさに驚いたのか、最初は苦しそうな表情を見せるエンネであったが、
射精後も咥えたまま放そうとせず、コクコクと飲み干してゆく。
 口を離すときも、竿に一滴たりとも残さぬように、舌で丹念に舐りながら
ゆっくりとした速度で抜き取るが、

「んっ、相変らず、凄い量ね、少しこぼれちゃったわ」
「ごめん……」
「謝らなくて良いのよ、私も多い方が好きなんだから」

 口の端から垂れた精液を舌でちゅるりと嘗め取り、口の中で転がすように味わうと、
ゴクリと音を立てて飲み込んだ。
 頭上の耳を垂らし、申し訳なさげな表情を見せるルドルフであったが、自分の精液を
おいしそうに味わうエンネの顔を見ているうちに、己の昂りが増すことを感じていた。
 そんなルドルフに気がついたのか、顔を恍惚に染めていたエンネの表情が
悪戯っ気なものに変わると、

「自分の精液、味わいたかったかな? ゴメンネ、全部飲んじゃった」

 しゃがみこんでいた状態から立ち上がると、ルドルフの目の前で小さな口を
いっぱいに開き、舌を突き出だして口内に何も残っていないことをアピールする。
 立ち上がったエンネは、ベッドに座るルドルフを見下ろすような形をとり、
舌先がルドルフの鼻にあたる近さまで寄せた。
 口の中、ピンク色の肉が蠢く咽の奥、今まで自分の分身が呑み込まれ、
精液が飲み下された道まで見せ付けられたルドルフは、真っ赤に染めた顔を背けるが、

「こっち向きなさい」
「えっ……はむうっ」

 顔をエンネに向けた瞬間、ルドルフを襲う熱い口付け。
口付けを加えたエンネは、両手をルドルフの頭に回すと、そのまま全体重をかけた。
結果、ルドルフの体はベッドに寝かしつけられ、上にエンネが覆いかぶさる形となる。
 エンネの唇が、押し倒した獲物の口全体を覆い隠し、淫らな舌が唇や歯を掻き分け、
ナマズのように口内で動き回る。
口の中全てを嘗めとられ、噴出する唾液すら吸い上げられてゆくが、
変わりにエンネの唾液が絶え間なく与えられ、その口が渇くことはない。
 ルドルフもその行為に抵抗することなく舌を絡め、エンネの唾液を味わっていた。

「むふっ、ふむうっ」
「あはっ、私の唾液、美味しいでしょ、はむっ」

 互いの唾液を味わい、舌を絡め、掻き回し、混ざり合った唾液が泡立つにつれて、
口から発せられる水音が淫らに変化しても、行為を止めない。
二人とも、その淫らな音が、己の性器から発せられていると想像しているのだ。

 だが、熱い口付けを続けながら、エンネの両腕はルドルフの頭上へと移動していた。
頭上に飛び出た2つの山、ルドルフの耳に魔の手が迫っていたのである。

「うっ、うむっぅぅ」

 いきなり耳を鷲摑みされ、驚きと快感による絶叫を上げるが、
快感による悲鳴すら、エンネの口の中に呑み込まれてゆく。
半ば放置されていたルドルフのモノも、この行為を受けて滾りをさらに増す。

「羨ましいな、耳に尻尾、君には獣人としての性感帯がいっぱいある」
「はうっ、だめっ、耳はだめぇぇ」
「私も、どうせならこんなかわいい耳が欲しかったなぁ」
「うああっ、むっ、ちゅばっ、むぐっ」

 つまむ、さする、つねる、こする。
2本の腕が、10本の指が、耳全体を包み込むように。
 耳全体に生えたふさふさの毛、その一本一本を個別に犯すかのごとく。
ルドルフの耳は、彼の意思と関係なく、別の生き物のようにピクピクと動き、
僅かな抵抗を示しているようだった。

「ルディ、ずいぶん良い表情になってきたね」
「はぁ、ふぅ、はぁぁ」

 エンネが耳と口を開放した頃には、ルドルフの表情に変化に兆しを見る事ができた。
獣人特有の変化を。

「ね、入れさせてよぉ、いつもみたいに、いっぱい、突き入れたいよぉ」

 ルドルフが自分から行為を要求したのは、この時が最初で最後だったろう。
これは、彼が精神的に追い詰められていることを示している。
 荒げた息、赤く燃えるような瞳、たった一回の射精では、口淫だけでは
収まりきらない欲望が、今にも爆発しそうな状態。
このままいけば逆にエンネを押し倒し、己の欲望のままに犯しぬいていたであろう。
だが、エンネは、ルドルフの扱い方をわきまえていた。

「駄目、あなたがいつものように激しく突き入れたら、ご両親に知れてしまうわ」
「うっ、あっ、きゅぅぅぅんっ」

 耳元で優しくささやくと、途端に、赤く染まっていた瞳の色が引く。
ピンと立っていた耳が力を失い、悲しそうな表情がエンネを見つめた。
普段のエンネなら、自ら尻を突き出し、ルドルフを受け入れているところだが、
今回、誘いに乗り、わざわざ彼の部屋までやってきたのは、それをさせないためである。

「意地悪しないでくれよぉ、お願いだよぉ」

 瞳に涙を留め、口から涎を垂らしながら懇願するルドルフ。
普段から優位な状態で行為を行うエンネであっても、このようなルドルフの姿を
目にしては、獣の血が騒ぎ、我慢なぞできるものではない。

 無言で立ち上がるエンネ。
見上げるルドルフの眼前で、ゆっくりと下着を脱いだ。
 露になったエンネの秘所からは透明な液体が滴り、秘所から足に沿って透明な筋を引く。

「そう、ルディは我慢できない、そして、私も……はうっ」
「あううんっ」

 エンネも、己の本能を抑える事ができなかった。
一気に腰を落とすと、熱く血潮の滾るルドルフの一部が、エンネの胎内に呑み込まれた。
 ルドルフは、挿入だけで射精に至るほどの快感を受けていたのだが、歯を食いしばって
堪えると、自らを静めるように呼吸を整える。
 射精しなかったのか理由であるが、挿入しただけで達してしまうと、
後々、エンネからのキツイ御仕置が待っているのを経験則で知っているからである。

「はんっ、お利口さんね、私も、入れただけで達しそうだった」

 膣の感覚に悶えながらもじっと堪えていると、積み重ねられた快楽が減ってゆくのを
感じるが、無論エンネはそれを許さない。
 ルドルフの表情が落ち着くのを見計らって、ゆっくりと腰の上下運動を開始する。
ゆっくりと丁寧に、しかし、強く締め付けるように。
艶めかしい腰の動きは、減退しつつあったルドルフの感覚を再び高みへ持ち上げるが、
それだけでは射精に至らない。

「ねぇ、もっと、もっと激しく動いて、でないと……」
「でないと、イけないのね」

ルドルフは、無言で首を縦に振る。子犬のような瞳でエンネを見つめながら。

「でもやっぱり、ご両親に知れるのは怖いわよね、ここで暴れたりしたら、さ」

 自分の下で喘ぐ獲物に対し、改めて現状を把握させる。
瞳を輝かせていたルドルフの顔に困惑が浮かぶが、彼の下半身はさらに高まり、
己の心を正直に表した。

「ふふっ、興奮したのね、また、大きくなった」

 近親者が間近にいる中での性行為は両名にとって危険なものであったが、
ルドルフの羞恥心が興奮と快楽に変化するのに、さほどの時間は必要なかったようだ。
エンネも、自分の中で肥大するモノを感じ取り、自らの思い通りに反応する体を
見下ろし、悦に浸る。

「それじゃ、ちょっと危ないけど、一気にイかせてあげる」

 ゆっくりと上下させていた腰の動きを、一気に早めるエンネ。
その動きに連れられるようにベッドの上下に揺れ、ギシギシと軋みをあげ始めた。
明らかに、下の階にも聞こえる音と、振動である。

「あうっ、駄目だよぉ、下の父さん達に、バレちゃうよぉ」
「そうねっ、じゃあっ、さっさとイッちゃえば?」
「んっ、イくよぉ、イっちゃうよぉ」

 下で乗られているルドルフも上に乗せたエンネを突き上げるように腰を激しく動かし、
彼等を載せたベッドがさらに激しく軋みを上げた。
 もしかしたら、部屋の扉を開けて、ルドルフの両親が部屋に入ってくるかもしれない。
激しさを増す軋みに呼応するように、二人の興奮も増してゆき、

「もう駄目、出る、出る、出ちゃうううっ」
「あっ、出てるよっ、うあっ、ひあああっ」

 溜まりに溜まった欲の塊は、エンネの胎内奥深くへ盛大に放たれた。
自らに跨るエンネを持ち上げるほどに腰を浮かせ、全てを出し尽くした後は、
体から全ての力が抜けたかのように、動かなかった。
 ルドルフと同時に絶頂を向かえたのか、エンネも目を大きく見開き天を仰ぎ、
体をビクビクと震わせていたが、次第に落ち着きを取り戻し、ゆっくりと目を細める。
 自分の中に放たれた熱い液体の感覚に集中し、余韻に浸る。

「いっぱい出したのね、中に納まりきらない」

 エンネが腰を上げると、出し尽くして元気を失ったルドルフの分身が抜け落ち、
愛液と精液の混じった液体が降り注ぐ。
 自分の中に放出された精液を逃すまいと膣に力を込めるエンネであったが、
量が多すぎたのか、力が入らないのか、抜け落ちたルドルフとの間を白い筋で結んでいた。

息を荒げながら動こうとしないルドルフを見下ろし、ゆっくりと立ち上がるエンネ。

 二人は制服のまま行為に及んだが、ルドルフは放心状態で、上着を激しく乱して
性器を露出させており、その姿はまるで、野天でレイプされた少女のよう。
 それに対して、エンネは衣服を乱すこと無く、下着に愛液の染みを残すだけであった。
満足げにルドルフを見下ろすエンネの表情は、狩を終えた後の満足感に満ちていた。

「ルディ、今度はちゃんとご両親に紹介してね、でないと、妊娠の報告になっちゃうから」
「はぁっ、ふうっ、はぁっ」
「……もうっ、聞いていないみたいね、かわいいルディ」

 息を整える暇もなく、快楽の余韻に浸るルドルフを横目に、パンツを履き直し、
着衣を整えると、その額に優しい口付けの跡を残し、部屋を後にした。

△▽△


「どうやら、落ち着いたようだな」

 カウフマン夫妻は、一階の居間でお茶を嗜みながら天井を見上げる。
先ほどまで天井が断続的にギシギシと揺れ、階下の二人は不安そうにそれを眺めていた。
 遊び盛りの二人であるから、多少暴れるのは仕方が無いとして、
男と女が二人、何をしているのかは、父親として気にならないはずは無い。

「ノイン、お茶でも持って行ったらどうだい、ついでに様子も覗いてきてくれよ」
「そうね、ずいぶん汗もかいているだろうし」
「……汗? まぁ、暴れれば汗もかくだろうが」

 だが、木製の扉が開かれた音に続き、リズミカルに階段を下りる音が耳に届くと、
エンネが一人で居間に顔を出した。

「おや、もうお帰りかい、今、お茶を持っていこうと思ったのに」
「いいえ、本日はご馳走様でした、また、遊びに来ます」
「ご馳走様? まだ何も出していないが」

 ペロリと舌なめずりを見せながら、頭を深く下げると、元気に駆け出していった。
意味深な言葉を残しつつ……
 さらに、扉の向こうへ走り去るエンネのスカートの下から、フトモモに沿って
垂れる透明な筋が、日の光に反射して光っているように見えた。

 疑問に感じたハンスが階段を昇り、ルドルフの部屋へ続く扉の前に立ち、様子を伺う。
いざ扉を開こうと、ノブに手をかけた瞬間、その扉が内側から開かれると、
乱れた服装で息を荒げ、顔を赤らめたルドルフが現れた。

「ル、ルディ、お前いったい何を」
「うるさいなっ、で、出てってくれよっ」

 勢い良く扉が閉められ、ハンス・カウフマンは呆然と立ち尽くす事しかできない。
全てを己の耳で聞き届けていた階下のノインは、くすくすと笑っていた。