彼女はたいてい俺と同じ列車に乗っている。
 行きも、帰りも、俺は彼女と同じ列車に乗っている。

通学列車の君

 『ご乗車ありがとうございました、新川。新川でございます』
 「やばっ!」ちんたら自転車をこいできたのが悪かったのか、駅の階段を全力でかけ上がったとき、ホームには5両編成のディーゼルカーが舞い込んできていた。
 俺は息を切らしながら、つい今しがた列車が到着したばかりのホームをひたすら駆ける。
 列車全ての扉が開いてるにもかかわらずそれらを無視し、俺は後から二両目の後部扉へとひた走った。
 やっとの思いで俺は二両目の後部扉から列車に飛び乗る。
ギリギリセーフ、俺が乗り込んだ次の瞬間、全てのドアは閉まってしまった。
「間に合ったぁ……」
別にドアさえ選ばなければどうって事無いのだが。
それでも俺はほとんど毎日、このドアから列車に乗っている。
車内にはディーゼルエンジンの爆音が響き渡り、列車は高架の線路を街の中心部方面へと滑り出し始める。
(今日はいるかな……)
すし詰め状態の車内デッキを見回す。

 (よかった……いた)
それは他校のブレザーを着た犬獣人の少女だった。
栗色のふわふわした髪の毛とスカートから顔を出す同じ毛質の尻尾。垂れた犬耳。可愛らしい顔。いつも通りの通った高い声。
自分が高校に受かってから―――つまりこの列車に乗り始めてからもう1年になるが、
それまで(遅刻などの例外を除いて)彼女はいつも同じ列車に乗り合わせて、このデッキにいた。
そして、それまでいつもまちまちだった乗車位置が、いつしか常に彼女と同じデッキを選ぶようになっていた。
(まあ、どうせ俺には縁がないだろうけど)
そう心で呟きながら、俺は揺れる列車に身を任せた。

列車は二つ三つの駅に停車するとすぐに終点へとたどり着いた。
『ご乗車ありがとうございました。札幌、札幌でございます』
列車は金切り声を立てて停止し、都市圏に場違いなローカル線用のディーゼルカーのドアが開く。
ディーゼルの煙と轟音に溢れたホームはすでに反対のホームに着く予定の特急の客がちらほらと見える。
「さぁて、今日も一日頑張りますかぁ」親父臭い一言を発し、俺は高架ホームの階段を下りて、改札を通る。
自動改札をぬければ、そこはターミナル駅然とした空間が広がっていた。
こうして俺の一日は始まっていくのだ。


「ふぅ…………」駅ビルの中に存在する本屋で、俺は立ち読みをしていた。
時刻は午後六時。そろそろ外も日が傾いてきた頃だろう。俺は読んでいた本を棚に戻して、書店の中にあるエレベーターへと向かった。
書棚の林をぬけ、やっとエレベーターのある箇所までたどり着いた時、すでにエレベーターの前には先客がいた。
「……いつもの子だ」
通学列車の少女だった。
ふわふわの髪を指先で巻きとり、垂れ下がった耳と尻尾が時たまぴくぴくと動かせてエレベーターを待っている。
そして、申し訳なさそうに俺は彼女の隣に立った。
面倒な事にエレベーターは書店のある五階から最も離れた一階で止まったままであり、うんともすんとも動かない。
やがて彼女が俺の方に首を捻らせて、じっとこっちを見てくる。俺は一瞬視線を合わせてしまったが、すぐに下を向いた。
いつも同じ列車に乗っている、しかも同じデッキに乗っている人間だとわかっているのかどうかはわからないが、とにかく俺としてはかなり気まずかった。
一分近く経っただろうか、リンロン、と心地よい音を伴ってやっとエレベーターがやってきた。
だが、余計気まずい事にエレベーターの中は無人だった。
俺はさっさとエレベーター乗り込んで一階のボタンを押し、彼女が入ってきたのを確認して『閉』ボタンを押すと、階数表示の電光板に目をやった。
彼女は俺に視線を送るのをやめていたが、それでもこちらに注意が行っている。と言った様子だった。
ものの数十秒でエレベーターは一階へと辿りつく。
その瞬間俺は足早に改札へと向かって行った。もうこれ以上気まずい想いはしたくない。
駅ビルのショッピングモールを抜けて、改札口が見えた時、俺は改札の異変に気づいた。
「ずいぶん人が多いな……」そう思いながらも、改札口へ足を進める。
今日は大したイベントもない平日だ。それでこれほど改札がごった返すような事と言えば。俺は嫌な予想を抱く。
そして列車の時刻とホームを知らせる電光掲示板に目を映すと、その予想は見事に当たっていた。
『学園都市線は沿線での置き石事故のため一時全線不通となっております』
その一文が通学路線の電光掲示板の全ての箇所を空しくループし続けていた。
「置き石とか……ふざけんなよ」俺は毒づいて、近くのベンチの開いている箇所に腰を下ろす。
しばらく一人ごちに電光掲示板の列車案内を延々と見ているうちに、特急の到着を告げるアナウンスの直後に隣のおっさんが立ち上がって、改札へと消えて行った。
電光掲示板は本州行きの寝台列車の到着を示し、さらにいくつもの普通列車の案内が着いては消える。俺は他にやる事もないので、それらをただただ目で追う。
ふと、先ほどまでおっさんが座っていた位置を見ると、そこには知っている顔があった。
栗色のふわふわの髪に、ぴくぴく動く犬耳。
いつもの、通学列車の彼女。

俺はすぐに目線を電光掲示板に戻した。いつの間にか四番線の普通列車が出ており、一番下のラインに区間快速が新しく食い込んでいる。
「あの……」彼女が言った。「汽車、直りませんね」
彼女が誰に対して言ったのか、俺は一瞬考えたが、すぐに相手はおそらく自分だ。と気づく。
が、もし単なる俺の自意識過剰だとしたら、ここで答えれば盛大な自爆だろう。
あえて自爆を気にせずに答えるか、保身のために答えないか。俺の脳内評議会の意見は真っ二つに割れる。
電光掲示板は今度は一番線の快速が出て、一番下のラインに普通列車が食い込んでいた。
右の議席に座った答える派と、左の議席に座った答えない派が乱闘寸前の空気をかもしながら意見を次々に戦わせる。
アナウンスはまだ通学路線が復旧しない事を告げた。
そして、脳内評議会で赤くて三倍な議長が下した決断は…………
「そ……そうですね」
俺はうわずった声で答えた。

ほら、あの子不思議そうな目で見てるぜ。
見ろよ。この俺の自爆っぷり。
素晴らしく自意識過剰なバカがここに一人いるよ。

「やっと、答えてくれましたね」犬耳の少女は笑いながら、俺に言う。

どうも、自意識過剰ってわけでもなかったようだ。

*

「あ、北斗星行っちゃった」俺は相も変わらず、今さっき本州行きの寝台列車の表示が消えた電光掲示板を凝視している。
「本当だ」隣に座った犬耳少女が電光掲示板に目を向けた。
どうやらかなりダイヤが混乱しているらしく、俺達の乗る列車はまだ復旧していなかった。
雑踏と、話し声と、アナウンスと、階上のホームからの列車の通過音が支配する空間で、彼女は消え入りそうな声で呟いた。
「…………名前、なんて言うんですか?」
俺は、恥ずかしさから顔をうつむかせる彼女に向かって言う。
「……新内志人(しんない・ゆきと)です」俺もつられて上ずった声で答えた。
「私は……」消え入りそうな声がまた呟いた。「近文千尋(ちかふみ・ちひろ)って言います」
うつむいたままの千尋の顔は、もう真っ赤に染まっていた。
「ずっと、行きの列車で私と同じデッキに乗ってますよね……」
千尋の言葉が不意打ちで俺を攻撃してくる。
「あ、あれはあそこのデッキが一番階段が近くて、降りやすいからで、」俺は反射的に必死に否定しようとする。
が、それは仁徳天皇陵並みに盛大な墓穴を掘る行為だった。
「……別に否定しなくてもいいんですよ」まだうつむいたままの千尋は、尻尾をぱたぱた振りながら答えた。「私も…………ですから」
「え?」雑踏が邪魔して、千尋の声はよく聞こえなかった。
「何でもないです」
千尋はやっと顔をあげて、また電光掲示板の方を向いた。
「ホワイトアロー、出ちゃいましたね」
千尋の頬は、それでも赤く染まっていた。
何分経ったろうか、幾本かの列車が電光掲示板から消え去った頃、急に千尋は俺の手を引いて立ち上がった。
「もう汽車に乗りましょうか」千尋は短く言う。
「いや、まだ出な」「乗れはします」
千尋のどこか切羽詰ったような迫力に、俺はすごすごと彼女の後に続いて自動改札に定期券を通した。
そのまま千尋は俺の手を引いて階段を駆け昇り、停車している通学路線のディーゼルカーに乗る。
そして手を引いたまま列車のトイレに入り、トイレに鍵をかけた。
「何を……」「志人くんが悪いんですよ」
俺は何がなんだかわからなかった。千尋が列車のトイレに俺を引きずりこんで、俺が悪いって…………
「私……いつからなのかはわからないんですけど、いつの間にか同じデッキのあなたの事好きになってたんです」
千尋から出てきたのは予想外の言葉だった。
「ずっとデッキに立ってるの見てると、何もして無くても胸がきゅん、ってなって。発情期なんかになったりしたら……」
「それに今日は発情の日だったからただでさえむらむらしてたのに、志人と会って余計むらむらしてきて、
志人くんが声をかけてきてくれて、幸せな気分になったらいっぺんに体がほわーってなって、それでそのまま火照ってきちゃって、
話してるだけでも子宮がきゅんきゅんってなって、全然もう抑えられなくて」
千尋が言葉を吐き出していくに連れて、千尋の尻尾の振りかたは徐々に早くなっていく。
「……だから私が一生責任とりますから、赤ちゃんできてもいいですから、淫乱なメス犬とかケダモノとか思っても十分ですから」
千尋は据わった、しかし潤んだ目で睨みながら言い放った。
「……あなたと交尾します」



「ま……」待て、と言う前に俺は彼女の唇に口を塞がれた。
千尋の顔が眼前にまで迫り、千尋の舌が俺の口内を荒っぽく、だが丁寧に蹂躙していく。
「んちゅ……ちゅ……ちゅぅ……ちゅ」
別の生き物のように俺の口内を這いまわる千尋の舌は、俺を確実に堕としてゆく。
「ちゅう……ん、ぷぁ」
やがて千尋が蛍光灯に光る銀色のアーチをかけながら口を離す。千尋のその顔は興奮と快感に震え、ほんのりと桜色に上気していた。
「志人くぅん……」千尋は俺の身体を閉まったドアに押し付けた。
狭いトイレはもう千尋のメスの匂いでいっぱいで、それにあてられた俺も自制が効かなくなりそうだった。
「本当は口でしたいんだけど、狭いから手でしますね」千尋は宣言しながら右手で制服のズボンのジッパーを下ろし、パンツの中をまさぐってゆく。
「あ、あったぁ」千尋は探していた物を掴むと、パンツの中に半勃ちのそれを入れたまま、繊細な手で弄ぶ。
慣れてない動きが余計それを刺激し、いつの間にか俺のは限界まで立ち上がっていた
「……出しますよ」パンツから出された俺のものは、その醜い姿を千尋の前にあらわした。
千尋は最初軽く驚いていたが、すぐにそれを右手で掴んでしごき始めた。
「すごい……あったかくて、ビクビクしてる」千尋の緩慢な手コキは、しかし憧れの少女がその手を動かしていることもあってか、
自分でする時の数倍もの快感をもたらし、先端からは透明な汁が出はじめる。
「志人くん、大好き」先端から溢れる汁の量がだんだん増えてくる。千尋もコツをつかんだのか、彼女の手コキはだんだん上手くなっていった。
そのうち彼女も耐えられなくなったのか、左手はいつの間にか自分自身のスカートの中へと潜り込んでいった。
「近文……さん」
「千尋って、呼び捨てでいいです」ビクビクと硬く震え始めたものを強く握り、腕を上下させながら千尋は言った。「もう、出そう」千尋は往復のスピードを速めた。
「あ……出る……」限界の感覚が俺の下半身を甘く襲ってくる。千尋も、自らも快感の限界が訪れようとしていたが、容赦なく手を緩めなかった。
「くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!」
最初に登り詰めたのは千尋だった。足腰が立たなくなって支えを失った身体はトイレの床にへたり込む。
その瞬間俺のものは握りつぶされるかと思うほどに強く握り締められ、俺の快感が限界を超えて、
先端から放たれた白濁液はへたり込んだ千尋の顔やブレザーを汚して行く。
遠くなった意識の中で、それでも半ば無意識に千尋は顔についた白濁を指で掬い、舐め取った。
「にがぁい……」感想とは裏腹に、その声は極上の甘露か何かを味わったような響きだった。
遠くから聞こえる駅の喧騒以外、俺には何も聞こえなかった。
たった一つの小さな蛍光灯にほの暗く照らされた千尋の顔は、まだ意識が遠い彼方にあるようで、恍惚の表情を浮かべている。
「俺も」俺は口を開いた「俺も、千尋の事ずっと見てた。千尋の顔見るために、ずっとあのデッキから乗ってた」
「え……」
その言葉が遠い彼方にあった千尋の意識を一気に呼び戻し、冷や水を浴びせられたような表情で千尋は俺を見る。
「本当だよ」恥ずかしさで俯きながらも、続ける「多分もう彼氏とかいるんだろうな。って、半分諦めてたけど」
千尋は信じられないと言わんばかりの顔のまま、支えを失っていた身体を再び立ち直らせて、俺に接近してくる。
「本当だよね……?絶対の絶対に本当だよね」
「うん、本当」
「志人くん、大好き!」
そして、途端に千尋の表情は極上の笑顔に変わり、俺の身体に強引に手を回して、これ以上無いほどの力で抱きついきた。尻尾もちぎれんばかりに振られている。
抱きついてきた瞬間、千尋の体が少しばかりぷるるっ、と震える。
「で、さ」俺は喜ぶ千尋を制し、硬さを失いつつある俺のものを指差した「これ、どうする?」
「もちろん」千尋はスカートの中に手をかけ、「最後まで、だよ」扇情的だがどこかいたずらっぽく、笑った。
千尋はベリベリと音を立てながらスカートの中をまさぐる。千尋は尻尾を振りながら、スカートの中から、ショーツ以外の何かを取り出した。
「これって……」
「……紙オムツ」頬を赤く染めながら千尋は紙オムツをゴミ箱に放り込んだ。列車のトイレで情事に耽ろうとする考えといい、列車のマナーが意外となっていない。
「私、嬉しい事があるとすぐにおしっこ漏らしちゃうから……」か細い声で千尋は呟く。「さっきも、しちゃった」
「本当に、千尋ってどこまでも可愛いよね」半ば呆れながらも、俺は恥ずかしがる彼女が最高に可愛く思えた。
「もう!さっさとしちゃおうよ!」千尋は、今まで聞いた中で一番強い声で言った。
俺は彼女の意外な痴態に自制の聞いていないものを握る。千尋も身体を後に回し、前方の壁に手をついて、尻尾をぶんぶん振っているままの尻を突き出した。

「行くよ……」俺はまだところどころ小水で濡れている千尋の入口にものをあてがい、少しずつ押し込んでゆく。
不思議と千尋の中は抵抗が無く、すんなりと俺のものは受け入れられて言った。
「千尋……もしかして……?」頭をよぎった一抹の不安を、俺は声にせずにいられなかった。
「違う!違うの!」千尋は声を荒げる「私はちゃんと処女なの!……前にオナニーしすぎて、間違えて膜破っちゃって……」
千尋の声の様子から俺は嘘では無いだろうと思い、「そう」と言うだけで、後はずっと腰の方に集中した。
千尋の中は本当に処女なのか怪しいくらいにとろとろにとろけていたが、それでも一方で妙にこわばっていたりと、
やはり男性に慣れていないのだろうと思えた(あくまで推測でしかないが。俺だって女性経験なんて無い)。
「くぅん……、そこ、いいの……。もっとぉ」とろけた声が歌うように嬌声を奏でる。
お望み通りの所を突いていくと、千尋はさらに息を荒げていく。
「んぁぁ、いいよぉ……もっと、もっとぉ」
彼女の尻尾はよくこれほど動くな、とばかりにぶんぶん振られている。
それを見ていてふと、前に悪友の誰かが獣人の性感帯が尻尾だと教えてくれたのを思い出し、俺の中にちょっとした悪戯心が沸いてきた。
俺はぎゅっと尻尾を握り締め、さらに腰の動きを早く、大きくする。
「んやぁぁぁぁっ!!しっぽつかんじゃだめぇぇぇぇ!!ずんずんしないでぇぇぇぇぇぇぇ!!!おしっこっ、おしっこでちゃうからぁぁぁ!!!!!」
ひときわ大きく、乱れた嬌声で、尻を大きく揺らしながら千尋は叫んだ。千尋の膣内もきゅうきゅうと締め付けて暴れ出す。
「しちゃえばいいじゃん」いたずらっぽく俺は呟いた。
「ゆきとくん、いじわるだよぉぉぉ。ふにゃ、にゃぁぁぁぁぁ……」彼女の最後の自制心が快感にさらわれるのも時間の問題だった。もう膣は痛いくらいに締まってきて、
とろとろの肉壁は俺のものを絶対に逃がすまいと、にぎにぎとして離さない。
そして、俺は最後の引鉄を引く為に、千尋との結合部に手を伸ばし、激しく淫水を撒き散らす穴の上にある、小さな穴を指でいじった。
「やっ!くぅぅぅぅぅぅぅぅん!」子犬のような鳴声を上げながら、千尋の身体はぷるぷる震え、先ほどすこしばかりいじっていた穴からは、
黄色く輝く液体がぱちゃぱちゃ音を立てながら、ちょうどステンレスの便器に吸い込まれるようにアーチを描く。
その一方で同じ液体が千尋の足を伝って、千尋のソックスや、千尋の足に絡められていた俺のスラックスに染み込んでいった。
「おしっこしてる千尋、すっごく可愛いよ」千尋の耳下でささやく。だが嬌声ばかりで反論は聞こえない。
とろとろの膣内と、彼女の放尿を目の当たりにした興奮から、こちらもそろそろ限界が見えてきた。俺は大きく、だが先ほどよりは緩慢な動きで、千尋の膣の一番奥まで突いた。
「くぅぅん!わおおおおおおおおおおおおんんんん!!!」途端、今までよりはるかに強い力で膣が締まってくる。千尋は身体を弓なりにしてのけぞっていた。
それに耐えられなくなっていた俺も、千尋の胎内へと白濁を流し込んだ。

「はぁ……はぁ……もう、志人くんの変態」千尋は頬をぷくっと膨らませて、俺を睨む。
それに対して俺はやっぱ放尿させるのはやりすぎたと思いながら、ただごめんなさいごめんなさいと謝るしかなかった。
「でも」千尋は俺の謝罪をさえぎる「私も十分変態だから、変態同士でつり合うかもね」
そして千尋は、自分の小水の残滓が大いにかかった俺のスラックスを見る。
「ズボンにもマーキングしちゃったし、中にマーキングされちゃったし……おあいこだね」
「うん」
トイレのドアの外で、プシュー。と自動ドアの閉まる音がする。どうやら事故も復旧したらしい。
「あ、そうだ。」千尋はスカートを直しながら言った。「大事な事言い忘れてた」
一通りスカートを直し終わると、千尋は俺に向かう合うようにして、こほん。と咳を切る。
「好きです、付き合ってください」
もちろん、俺は良し。と言った。


オマケ
「お、そろそろ出るな。俺たちもトイレから出るか?」
「うん、そしよっか」
グオオオオオオオ…………ガタン……ガタンガタン……
「あれ、こっちって帰りの方向じゃ無いような……」
「そう言えば、確かどっかの電光掲示板に回送列車って書いてあったような……よく見るとお客もいないし…………」
その後、苗穂の車両基地で少し厄介になり、下半身スカートのみの千尋と一緒に札幌駅まで歩いて帰ったのはまた別の話である。

Fin

以上です。
ちなみに二人が情事に及んだ車両は、札沼線ではメジャーなキハ141型(ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%8F141)
と思っています。
ちなみにこの札沼線、なぜか途中まで街中高架までしてあるくせに、ディーゼルカーオンリーな不思議な路線です。

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最終更新:2008年08月28日 20:49