俺は、相変わらず狐娘の刹那(せつな)に振り回される毎日を送っている。
刹那だけじゃなく、鼬の華蓮(れんか)、刹那のお母さん狐の久遠(くおん)さんとかにも、偶に……
まぁ、それだけ俺を好いてくれているということだろう、そう思うと悪い気はしない。
そんな生活が1年くらい続いて、もうすぐ桜の季節がやってくる。
「刹那さんにはもう話したんですか?」
「いや、まだで……これから話そうかと」
放課後になり、夕日で赤くなっている職員室。
校長室と一体になっていて、俺はこの学校の唯一の先生と2人きり。
椅子に座り正面を向き合い、先生が入れてくれたお茶を啜る。
脚を組んでいる先生は妙に色っぽい、目のやり場に困ってさっきから挙動不審だ。
俺の返答に先生は「大変ね」と一言、同情がこもっている言葉をくれた。
さすが長年刹那と犬猿の仲していたからよく知っている。
今先生と話していた内容を刹那に言ったら、一体どうなるかと言うことを。
「じゃ、俺帰ります」
「はい、今日もありがとうございました」
「いえ……それじゃ」
荷物を持って立ち上がる。
さっきから校長先生が寝ているんだが、死んでいるんじゃないかと思ってしまった。
先生は入り口まで見送ってくれた。
「浅倉君……」
「はい?」
靴を履き、学校から出たところで先生に呼び止められた。
「私……少しだけ浅倉君の事好きでした……」
「え……」
先生のほうに振り向いた時、先生が近づき、そして不意に唇を軽く重ねてきた。
一瞬何が起こったか理解できなくて、先生の茶色の長髪が風でなびくのしか分からない。
思考が回復したときには先生は俺から離れていて、下駄箱に戻っていた。
見ると先生から丸い狸の耳と先の丸い尻尾が出ているのが確認できる。
先生は笑顔で手を軽く振っている。
こんな不意打ち卑怯過ぎるけど、もう刹那で慣れている。
俺も先生に軽く手を振って、学校を後にした……
その道中、俺は雑貨屋に立ち寄った。
ノートのページがそろそろ無くなりそうだから新しいのを買おうと店内を歩く。
正直言って狭い店内。ノートはすぐに見つかり会計へ向かう。
「お、双馬くんじゃないか、こんちゃー」
「よう」
会計場にいたのはいつものお婆ちゃんではなく、時折俺を性的に襲おうとする鼬娘の華蓮だ。
正確にはオコジョだと本人が語っていた。
白髪の短髪に紺色の着物を着て、相変わらず俺には本性を見せ、細長い尻尾と丸い耳も出している。
他に人がいるときは丁寧な口調で礼儀正しい”人間の”演技をしているのだこやつは。
何で俺にだけ本性を現すのかは知らない。
蓮華は算盤で計算し、笑顔で値段を言った。
「2000円になります♪」
「ちょっ高っ! ぼったくりもいいとこだろおい!」
俺の記憶が正しいなら蓮華が言ったノートの値段は通常の10倍はあった。
「ほら、あとはボクのスマイル代……」
「やっぱいらねぇ」
「わ、ちょ、冗談だってばよ」
こいつの冗談は冗談に聞こえない。
ジト目で見てやると蓮華は苦笑し、俺から金を受け取る。
蓮華も見た目は美少女の部類に余裕で入るのに、思い切り性格が災いしてる。
とは言っても、他の人たちから見れば普通に美少女なんだろうが……
「あ、お客さぁん、忘れ物ですよー?」
「え、いや、そんなも……」
ノートを受け取りさっさと出て行こうとした時、後ろから蓮華に呼び止められた。
ノートの他には何も買っていない、忘れ物などあるはずがない。
そう思い振り向くと、目に映ったのは俺の顔に近づいていくる蓮華の微笑みだった。
そして俺たちの唇が重なった……はて、こんな事ついさっきもあったような気が……
蓮華はすぐに俺から離れて、頬を赤くし上目遣いで俺を見つめている。
いかん、少しドキッとしてしまった。
「キッスはサービスだよ、他の人には有料だけどねぇ」
「お前」
「双馬くんがいないと少し退屈しちゃうなぁ……」
人差し指を俺の唇に付け蓮華はほんの少し寂しげな笑顔を見せた。
その直後店の奥から蓮華を呼ぶ、ちょっと弱々しい声。
この店と蓮華の持ち主のお婆ちゃんで、俺以外に蓮華の本性を知っている人物。
蓮華は元気がいい声で答え、小走りで店の奥に向かっていく。
一度店の奥へ消えていった蓮華。しかしすぐに襖の端から顔だけを覗かせた。
「今夜も子作り頑張ってね」
「うるせえよ!」
蓮華の言葉で俺の顔が一気に熱くなった。
怒鳴るように言うと蓮華は子供のように笑いながら店の奥へ消えていった。
買うものも買ったし、もうここにいる必要もない。
俺は店を後にする。これから刹那の家に行かなければならない。
「やだ……やだっ!」
今夜も俺は刹那の家で夕食をごちそうになっていた。
いや、元々この一家に伝えなければならない事があって、だったら夕食もと久遠さん達が誘ってくれたんだ。
楽しい食卓、笑顔が絶えない。特に刹那は相変わらず甘えてくるが今日のところはスルーしておく。
そして食事も終わりかけていた時、俺は重い口を開いた。
その言葉に久遠さん達は驚きの表情を浮かべて端を止めた。
特に刹那は瞳に大粒の涙を溜めて、狐の姿になって外へと飛び出していってしまった。
刹那が着ていた服は、狐化でビリビリに破れ散乱する。
それを刹那の双子の弟、静那(しずな)とそのカノジョさんが拾っている。
静那が一度無表情で俺の顔をチラ見したけど、表情を変えず作業に戻った。
「で、いつなんだい?」
なんか重い空気が流れ始めた。
原因は俺だから余計に重苦しい。
しかしそんな空気なんて気にしないと言わんばかりに、缶ビールを飲み干した刹那の父親の士郎(しろう)さんが俺に聞く。
静那とカノジョさんは手を止め、この場にいる全員が俺に注目する。
コップに入った水を一気に飲み干して、俺は口を開いた。
「3日後です」
「そりゃまた急だ。あ、久遠おかわり」
「少し、飲みすぎ」
「いいんだよ、偶にはな」
「わかった……」
士郎さんの要望で久遠さんが立ち上がり台所へ歩いていく。
久遠さんが後ろを向く際、彼女の狐の尻尾が顔に触れてくすぐったくなった。
「刹那だったらいつものとこに居ると思うから、後で迎えに行ってくれないかな?」
「はい」
士郎さんが俺に笑顔で訊ね、俺は頭を縦に動かす。
それと同時に静那が立ち上がり、静かに居間から出て行った。
台所から缶ビールを2本ほど持ってきた久遠さんと同時に静那が再び現れた。
静那の手には数枚の布状の物体……それを手渡されて服だと言うことが分かった。
それも見たことのある女物の服。そうこれは刹那の服だ。
「これを着せろってこと?」
「……」
俺の問いに静那はゆっくり頷く。
そして何かぶつぶつ言っている。本当に小さい声だから俺たちには聞こえない。
多分、静那の中に居るもう一人の人格とまた何か話しているんだろう。
最初は驚いたけど、もう慣れてしまって気にしないとして今はもう夜だ。
狐形態ならまだしも、人間の姿になってしまったらさすがに寒いだろう。さすがは弟だ。
刹那が風邪引く前に行ったほうがいいな。
俺は立ち上がって、皆さんに会釈し玄関へ向かう。
久遠さんと士郎さんが玄関まで見送ってくれる。出て行く際にもう一度頭を下げる。
そして2人に背中を見せながら、俺は刹那がいるいつもの場所に向かって走った。
「やっぱここにいたか」
明かりは月明かりと持っているロウソクの火だけ。
携帯のライト機能を使ってもいいけど、運が悪い事に充電し忘れて電池が残し1本しかない。
それでも全く見えないわけじゃないから、俺は暗い道を進み辿り着いた。
階段を上り終え、風が吹いて木々が揺れる。
今俺が立っているのは、村の近くの森の中にある古い寺。
この近くの森で俺が刹那に初めて性的に襲われた。
境内へ歩み寄っていくと、さっき飛び出していった娘の泣く声が聞こえ始めた。
気づかれないように開けっ放しの扉からそっと境内を覗くと、狭い室内の隅っこで体育座りしてる刹那の姿。
2本ある大きな尻尾が力無く床に寝て、狐耳も寝かされているようだ。
「刹那、真っ裸じゃ風邪引くぞ」
話しかけると、寝ていた刹那の尻尾と耳は俺の声に反応するように上に伸びる。
ロウソクを室内の丁度真ん中辺りに置く。
古い境内は俺が歩くたびにギシギシと音を鳴らす。
前に俺が開けてしまった穴も健在である。
それを通り過ぎ、刹那の側まで寄って肩に触れようとした。
しかし、刹那は尻尾を横に、まるで扇ぐように振って俺の手を妨害した。
「おい刹那、尻尾動かすなよ」
「……服、っく、ちょうだい……」
「はいよ」
俺の手が離れると尻尾も動かなくなる。
そしてようやく刹那の声が聞こえ、刹那の言うとおり手を伸ばして服を渡す。
しかし一向に着替える気配を見せない。
ただ最初に服で涙を拭いていた、ハンカチも持って来るべきだったな。
刹那の尻尾と狐耳が再び下に下がってきた。
こいつは狐だけど本人が落ち込んでいるのがよく分かる。
しばらく沈黙が続く。隙間風や木々が揺れる音しか聞こえない。
「……ごめんなさい」
沈黙を破ったのは刹那。
「なんで謝る?」
「かって、に、飛び出したりして……」
俺の中での罪悪感が更に増した。
刹那が謝る必要など何処にもない、刹那の行動も当然といえば当然だし。
悪いのは俺だ。
大学進学の為に、単身でこの村を離れる事をこんな直前になってまで話さなかったんだから。
結構前から決まっていて、いずれは話そうと思っていた。
先延ばしにすればするほどこうなる事ぐらいも予想していた。
だが話せなかった、何と言うか言い辛くて。
「ごめんな刹那、しばらくお別れだ」
「っく……しかたないよ、ひぐっ、ほんとは、はなれたくないけど……」
「お前……随分大人になったな」
刹那は当然と言うかのように振り向き、俺に笑顔を見せる。
てっきりずっと泣きっぱなしで駄々をこねるのかと思っていたけど、刹那も成長したものだ。
刹那の顔には涙の痕があり、目が少し充血して赤くなっている。
俺が持ってきた服に着替え始める刹那。目の前に男がいようとお構いなしだ。
下着とスカートに開いた穴から尻尾を通すのに少し手こずっていたが、しばらくして着替え終わったようだ。
「んじゃあ、さっさと帰ろうぜ」
「うん……あ、でもその前に……」
「どうし……?」
今日は本当に同じようなことが起こるな。
不意に刹那に唇を奪われる。
いつもなら高確率で舌が入った濃いキスだが、今回は軽く刹那の唇はすぐに離れた。
「いきなりなんだよ?」
「双馬は、いつこの村を離れるの?」
「3日後だけど?」
「じゃあ、しばらく会えなくなっちゃうから……覚悟してね?」
何だか少し妖しい笑みを見せる刹那。
風が吹いたせいか、体がぶるっと震えた。
翌日の朝のこと。
昨晩、刹那を無事送り届け、俺は自宅で引っ越す準備を進めて眠った。
記憶が正しければ、確かに1人で眠ったはずだ。
なのに……なのに何で俺の部屋で刹那が寝ているんだ……
それも大狐の姿になってとぐろを巻いている。
時々尻尾が揺れるように動くが、鼾をかいているあたり熟睡しているようだ……あ、今くしゃみした。
「あのー、刹那さん?」
「……」
「起きろ刹那!」
「…………?」
とりあえず起こそうと声を掛けるが全く反応が無い。
だから大声で呼んだら、刹那の狐耳がピクッと反応し三角の狐耳が立ってきた。
ムクリと起き上がった刹那は周りを見渡して、大きな欠伸をする。
そして俺と刹那の目が合った。
少しだけ沈黙が続いて、不意に刹那がベッドの中に潜り込んだ。
大きな体をくねらせ、頭を上下左右に動かしてベッドの中に進入していく。
俺はベッドの端っこに身を寄せる。
ベッドが軋んでちょっと怖いんですが……壊れたりしないだろうな。
とか思ってるうちに刹那は尻尾と少しだけ後ろ足を外に出した状態になり、刹那の体が徐々に縮んでいく。
なるほど、狐の姿から人間の姿になるのか……毛で覆われていた後ろ足が人間のものになっていくのを俺は目の当たりにした。
「おはよ!」
「あぁ、おはよう」
人間型への変化が終わったようで、布団の中からいつも見ている顔が現れた。
元気のいい挨拶に、とりあえず普通に挨拶で返す。
刹那が全裸なのはもう慣れたし気にしないとして、俺は何故この部屋にいるのか、どうやって入ったのか聞いた。
「鍵が開いてたよ? 無用心!」
「以後気をつける。で、いつ来た? 何しに来た? 何でここで寝てた?」
「許嫁にそんな言い方しなくてもいいじゃん。えっとねぇ、夜這いしようとしたら眠くなっちゃって」
「…………正直でよろしい」
刹那は笑顔で言い放った。
狐の姿だったのは寝ぼけてなってしまったらしい。
しかしこの娘はどうして普通に夜這いとか言うのだろうか。
そう考えたらため息が出てきた、同じようなため息を何度吐いたことだろうか。
とにかく襲われる前に逃げようと、俺は顔を洗うと刹那に言ってこの部屋から出ようとした。
「えいっ!」
「うぎゃっ!!」
しかし、立ち上がって数歩、背後から刹那に抱きつかれてそのまま押し倒された。
血は出てないようだけど鼻が痛い、地味に胸辺りも痛い。
刹那が俺の上に乗っている以上起き上がることも出来ない。
しかし刹那が俺の上から離れていく。
チャンスだと思ったが、刹那に無理やり仰向けにさせられ、また俺の上に刹那が跨ぐように乗ってきた。
まずい、この体勢はまずい。
経験上、この体勢で俺が刹那に勝つ確立はかなり低い。高確率で性的に襲われる。
その証拠と言ってはなんだけど、俺の上で刹那がニヤニヤ笑っている。
毎度のことながら、まるで肉食動物に捕獲された草食動物の気分だな。
「夜這いは失敗しちゃったけど、朝するのも久々でいいかなぁ」
「あ、あの、せめて顔ぐらい洗わせてもらえんでしょうか?」
「だぁめ、これ終わってから」
刹那は俺の上で体を寝かせ、俺の頬を舌でペロペロ舐め始める。
くすぐったい舌の感触は徐々に口へと移動していく。
「……ちょっとしょっぱい」
寝汗が伝った所を舐めているんだから当たり前です。
そんなツッコミを脳内でした時には、刹那の舌は俺の唇に到達していた。
上唇、下唇と順に少しずつ舐めて、刹那の唇が押し当てられる。
昨晩の軽いキスじゃなくて、今回は舌入りの深いキスだった。
「んんッ……んッ……んッ……」
俺の口内で刹那の舌が縦横無尽に動き回っている。
時折唾液を吸われる、その行為に俺の思考は徐々に麻痺していく。
刹那の両肩に手を当てるものの、力が入らない。
息苦しくなり始めた頃に刹那の唇が離れる。
唾液の糸が俺と刹那を結んでいるのが見えた。
「キス、気持ちいいねぇ。これも脱いじゃおうね」
まるで子供相手のような口調で俺の服のボタンを取り始める刹那。
くそ、子供扱いしやがって……俺より子供のクセに。
でも言ったら何をされるか分からないから黙っておく。
それはそうと、服のボタンが弾け飛ぶのが見える。
おそらく面倒くさくなって力任せに外したんだろう、また新しいパジャマ買わないと。
「ひぐぁッ!」
「あれ、やっぱりここは痛いんだ」
「当たり前です!」
刹那がいきなり俺の乳首摘んで引っ張ってきた。
力強く引っ張れば普通は痛いと前に教えたはずなのに……
刹那は笑顔で「ごめんねー」と言い、俺の上で体を反転させてお尻と尻尾を俺に見せる形になった。
2本の尻尾は俺の目の前で揺れていて、時折俺の顔を乗ってくる。
体毛がもふもふして暖かい尻尾の感触と共に、下半身が寒くなる感触が伝わり震えた。
「な、何してるんだ?」
「なにって……外に出さなきゃ出来ないじゃん。おや、もうカタいね……」
「ぅ……ぁく」
不意に俺のムスコに生暖かい感触が伝わった。
刹那が口で俺のムスコを攻め始めたんだろう。
片手で上下にしごきつつ、ムスコの亀頭部分を舌で重点的に攻められる。
ピチャピチャと視覚的にも刺激を与えられている。
やばい事にかなり気持ちいい。
すぐにでも出してしまいそうだが、歯を食いしばって俺は身震いしながら耐える。
ここで出してしまったら、刹那に「そーろー」とか言われるのが目に見えているし。
「んッ……んむッ、んッ、んぁッ……ッ!」
「くッ、ぃッぅッ……」
刹那がムスコを咥え込み、ムスコ全体が暖かい感触に包まれた。
さっきのキスのように、舌が動き回りムスコを嘗め回す。。
頭を上下に動かして口でムスコをしごき、亀頭から出る液体と唾液を音を立てて吸い込んでいる。
時折歯が当たるものの、痛みどころか快感になって俺を襲う。
「んんッ、ひもひひぃ?」
「ちょっ、しゃべんな……ッ!」
更にムスコを咥えたまま俺に聞いてくる。
声を出した振動で更に刺激され、そのまま達してしまいそうになった。
その時、俺の頬に何か水のようなものが落ちてくる。
それ1滴ではなく、水漏れした屋根のようにポタポタ落ちてくる。
水源はすぐに目の前にあり、俺の視線はそこにいった。
「んぅッ、んッんッ……!」
「……」
目に前に見える光景、俺のムスコを刺激しながら刹那は自分も刺激している。
自慰好意でもしてるかのように、刹那が細い指を動かし自らの秘所を弄っているのだ。
刹那の秘所や指は既に愛液でぐっしょりで、穴の少し上にある突起部分を指でつまんで痙攣し、尻尾も激しく動く。
その度にムスコを咥えながらも嬌声を漏らす刹那。
いつも1人の時はこんな感じで自慰してるんだろうか……そう思うと俺の興奮も高まっていく。
殆ど無意識で手が動いていた。
行き先は刹那の秘所ではなくて、さっきから動いている大きな尻尾。
「ひゃぅッ! んッ!」
1本の尻尾を力を入れて握ると、刹那は体を跳ねムスコから口を離す。
そのまましごいてやると身震いしつつ、喘ぎ声を俺に聞かせる。
もう1本の尻尾も掴んで束ねてしごくと、その声は更に増した。
刹那は尻尾が弱いのだ。
俺には尻尾なんて無いからよく分からないが、下手したら生殖器をいじるより感じるかもしれないと刹那とか久遠さんとか静那が語っていた。
だから刹那に襲われたときも、仕返しといってはなんだけど時々こうして尻尾を刺激する。
「あッ、あぅッ、しっぽ、だめッ! すぐ、イッ、ちゃッぁあぁッ!」
尻尾を数往復しごくと、刹那は今まで以上に痙攣した。
どうやら絶頂したらしい、その証拠に秘所から愛液が吹き出て俺の顔面を直撃した。
腕で愛液を拭く。
2本の尻尾は俺の手から解放されると、ぐったりと俺の顔の上に寝る。
絶頂したし刹那も満足だろうと思ったけど、それは間違いだった。
尻尾を手で横に掃って起き上がろうとした。
しかし、再び体を反転させた刹那に押さえられて寝かされた。
「おい、刹那。もう満足しただろ?」
「してないよ……あたし1人でイッちゃっても意味無いもん。ちゃんと子作りしないと、ね」
「は? え、今なんて……ぅぉッ!」
「ぁッ、はッぁ……こ、こんどはぁ、ちゃんと、あァッ、2人で、ね……ッ!」
俺を寝かせた後、素早い動きで刹那は俺のムスコを掴み、濡れそぼった秘所にあてがう。
そしてゆっくり腰を下ろしていく。
膣内の感触がムスコから伝わり始めて、快感で力が抜けた。
下の口でムスコの根元まで咥えこむ刹那は、狐耳をぴくぴくと動かしながらも嬉しそうに笑みを浮かべている。
俺の胸の上に両手を置く刹那。
俺はこの時点でヤバイ。
「んんァッ……あァんッ!」
腰を浮かせて、身震いながら狐耳を動かし、腰を落とし嬌声を上げる。
最初こそはゆっくりと腰を上下運動させていた。
しかし、すぐにそれは激しいものへと変わって、刹那の喘ぎも激しさを増す。
「ひァんッ、ああぁッ、ふあぁッぁ……ッ!」
「ぅ、くぅっ……刹那、もうすこし、ぅっ、ペース落とせないの、か?」
同時に俺の快感も増していく。
刹那はいつも俺とはえっちの相性が良いだの言っている。
正直俺にはよく分からんが、刹那の中はかなり気持ちいいことは確かだ。
中はどろどろだけど、まるで咥え込んだら離さないかのようにムスコをギュッと締め付け、尚且つ搾り取るように動いてくる。
動いてなくてもヤバイ位なのに、こんな激しく腰を使われたら、そんなに時間を掛けなくても果ててしまう。
そう思っているうちに絶頂感が襲ってきた。
何かが吹き出てくる感触が伝わってくる。
「刹那っ……もう、出っ」
「あ、あたしもいくぅッ! こ、こんどは、ああぁッ、いっしょに……んんッ」
刹那は前かがみかの体勢を崩し、体を俺の上に寝かせてくる。
その流れで唇を重ね、再び舌を絡めてくる。
今度は一方的にではなく、俺も刹那の口内に舌を伸ばした。
そして舌の刺激が加わり、俺は身を痙攣させて絶頂し、刹那はムスコを根元まで膣内に沈めて腰の運動をやめた。
刹那の中の奥に白濁した液体が注がれる。
「んんんッ!!」
唇を重ねたまま刹那も射精の感覚が伝わったようだ、耳がこれまで以上にピクピク動いている。
そして刹那も体を痙攣させていた、どうやらイッたようだ。
長い射精が終わって、俺のほうは絶頂感が去り始めた。
唇は離したが、刹那自体は無理やり引き離すわけにもいかないので、?がったままこの体勢でジッとしていた。
しかし、刹那の膣は俺を攻めるのをやめてくれないらしいです。
さっきから射精したてのムスコを刺激されて、快感がまた体に流れ始めた。
いかん、またムスコが最終形態になってしまう……
「ん……きもち、よかったね、そうま……」
「ど、退いてくれないかな?」
「だぁめ。ここは、またげんきに、なってるし、ね……んふぅッ!」
呼吸を荒くしている刹那は妖艶な微笑を浮かべて、再び腰を降り始めた。
どうやら2回戦突入のようで、俺が顔を洗いに行くのはまだ無理なようです。
数時間経って、ようやく刹那は俺を解放してくれた。
結局朝から5回もしてしまった、既にムスコが痛い。
まぁ最後の辺りは俺も刹那を攻めたりしたし、いつもの事なので溜め息3回ほどしか出ない。
俺は顔を洗いにいくと刹那に言うと、狐の姿になりたいから後ろを向いて欲しいと言うから、その要望に応えた。
昨日は感情が高ぶったかららしいけど、獣の姿になるのを他者にあまり見られたくないと本人が言っていた。
しばらくして、背後にいた刹那は大狐の姿になっていた。
相変わらず狐にしてはでかい、確実に狼以上ある……なんか少し怖い。
「……」
「ん? 帰るのか?」
「……」
自力で窓を開け、俺の言葉に刹那はコクリと頷き、2本の尻尾を横に振る。
おそらくバイバイを意味していると考え、俺も手を軽く横に振った。
そして刹那は開いた窓から飛び出していく。
刹那には悪いがやっと少し休める……そう思い俺は顔を洗うべく1階へ下りていった。
まさか刹那が1時間もしないうちに性的に襲いに戻ってくるなんて思いもせずに……
とか何とかしているうちに3日経ち、俺がこの村を離れる日がやってきた。
新しい住居まで引越し屋のトラックと親の車で行く。
見送りには近所のガキ達や、色々お世話になった農家のおばさんおじさん達。
狸の先生や鼬の娘、狐の親子が来てくれた。
静那に憑依してるアホ狐が色々言ってきたがこの際スルーしとく。
しかしこのメンバーの中に、俺の自称許嫁はいなかったのだが……
念のため車のトランクの中を開けてみたら、ある意味期待を裏切らない許嫁が体を丸くして入っていた。
見つかると誤魔化しの笑顔を見せる、とりあえずつまみ出しておいた。
「刹那、永遠の別れじゃねんだから。夏にはこっちに帰ってくるって」
「うん…………待ってる」
子供みたいにわんわん泣いたりしないが、刹那の瞳には大粒の涙が溜まっていた。
寝ている狐の耳と一緒に頭を撫でてやると涙は流れ落ち、それも指で拭ってやった。
それを刹那の後ろで見ていた、先生や久遠さん達も少し泣いていたような気がした。
そして改めて車に乗り、土の道を走り出した。
皆さん手を振っていた。俺も手を振って返す。
そして車は村から離れ、俺は刹那が作ったと言う稲荷寿司を食べながら新たな街へ向かった。
あれから何年か経って、俺は俺の嫁が待つ村に帰ってきた。
帰ってくるのは随分久しぶりだ、とは言っても半年くらい前に帰ったばかりだけど。
今までは何日か経ったらまた村を離れていたけど、今度は違う。
もう離れない、だってこの村で就職が決まったから。
勤務先の最高責任者に挨拶に行った。
相変わらず寝てんだか起きてんだか分からないお爺さんは、笑顔でたった1人の先輩を紹介する。
先輩は相変わらず色っぽい女性で、丸い耳と先の丸い尻尾を生やしていた。
勤務先の挨拶を終えると、俺は拉致された。
スーツが泥だらけになってしまった、まぁ、この村に帰ったときはいつもこの歓迎を受けていたから別に気にしない。
この村唯一の雑貨屋に拉致されて、俺を拉致った奴は満面の笑みを浮かべていた。
相も変わらず限定された人しか本性見せてない。
なんかマジックペン持ちながら笑って近づいてくるんですけど、油性って書いてあるんですけど!
危機感を感じたが、他のお客さんが来たことで危機は脱した。
拉致魔が接客している間、俺は逃げることに成功した。
しばらく歩いていると、1組の夫婦が見えた。
一見女同士にしか見えないが、列記とした男と女である。
ただ特殊なのは、妻は人間、夫は狐だということくらいか……まぁ大して驚かんが。
妻の方は笑顔で俺にお辞儀する。
黒髪の夫のほうは相変わらず無表情。
双子だから顔は俺の妻と殆ど同じなのに、性格がまるで違うな。
俺は夫のほうに色々と聞き、いつまでも新婚同然の甘甘夫婦と別れた……あぁ、甘甘ってのはうちも対して変わらないか。
しばらく歩いて、ようやく帰ってきた。
いつ見ても和風の立派な家。
元々は俺の妻の実家だったんだけど、2年位前に俺の両親と向こうの両親が一緒に住もうとか言って共同で暮らし始めた。
2世帯仲がいいのは良い事だ。
一歩前に出ると、玄関が勢いよくガラリと開き、その中から小さな子供2人が元気よく出てきた。
その子達はすぐに俺の存在に気づき、そして満面の笑みを浮かべて俺の駆け寄ってきた。
「おとーさーん!」
「そーまおじさん、帰ってきたんですかー!?」
俺の脚に抱きついた2人の女の子。
右脚にくっ付いてる茶髪の子はさっきの夫婦の娘。名前は愛奈(あいな)
そして左脚にくっ付いてる黒髪の子は俺の娘。名前は毬奈(まりな)
名前も少し似ているが、二人にはある共通点がある。
それはさっきの夫婦の夫、そして俺の妻と同じような狐の耳と尻尾を頭とお尻に生やしているということだ。
きっと妖狐である片方の血を濃く受け継いだんだろう。
そして2人の頭を狐の耳ごと撫でていると、家の中から俺の妻が現れた。
外見的には所謂大人の女性に育ったようで、尻尾も1本増えて久遠さんに似ている。
妻は俺の顔を見てニッコリと微笑み、俺も笑みを浮かべながら妻に近づいた。
「おかえりなさい、双馬」
「あぁ、ただいま」
「今度は、どのくらいここにいられるの?」
「もうずっとだ。ずっとこの村にいる」
「そう。なら、今夜は今まで以上に覚悟してね?」
「……子供達の前なんだから」
俺の言葉に、妻、刹那は妖艶に笑って言いのけた。
本当に場を考えずに変なことを言うのをは変わってない。
子供達の「やらしー」という一斉ツッコミに刹那は軽く殴って返していた。
「ほら、あなた達は優くんと約束があるんでしょ? 早く行かないと」
「「あ、はーい!」」
声を揃えたて返事をし、毬奈と愛奈は手を繋いで走っていった。
姉妹のように仲が良い、見ているだけで癒されるな。
ただ赤い月がある以上、優(ユウ)くんって子が少し心配だが。
聞けば最近この村に引っ越してきた、女の子みたいな男の子だとか。
多分あの狐娘達に色々と振り回されているんだろうなぁ、と勝手に妄想していた。
「双馬?」
「ん?」
子供達の背中を見ていると、刹那が俺に声を掛ける。
振り向くと、目を瞑って顎を少し上げている刹那の姿があった。
刹那が何を求めているのかはすぐに理解できて、彼女の肩に手を置き、俺から唇を重ねた。
唇が離れると、刹那は笑顔で「さっそく寝室に行こう」と言い俺の腕を奪って家に招き入れる。
やれやれ、さっそく俺は襲われるようだ、俺は自分の両親や久遠さん達に挨拶したいんだがな。
毬奈に弟か妹が出来る日は、そう遠くない気がしてならなかった。
【セカンドフェイズ、終了】
最終更新:2008年06月06日 19:58