わたしの人生は生まれた時から狂っていた。
わたしには尻尾がある。ふさふさしてくるりとまわっている。
耳はイヌのようだ、というよりイヌ耳そのもの。三角の耳がぴんと立っている。

生まれた時からなので、わたしはどうでもいいって思っているが、周りがわたしを振り回す。
幼稚園の頃は、耳隠しのフード付の服ばかり着させられ、フードをみんなから捲られる毎日。
小学生の頃は、いじめっ子から耳や尻尾を引っ張られたりして泣いてすごした毎日。
そして、中学生になった今は変わった耳や尻尾を隠すのもメンドクサクなり、堂々と出している。
男子からは笑われ、女子からはリーダー気取りのおばかさんから煙たがれ、教師からは何もなし。

すっかりわたしはひねくれてしまった、と言っても不良軍団にも全く興味なし。
イヌの癖に群れる事は大嫌いなのだ。意味のない日々を悶々と一人ですごす。
わたしは本来、イヌとして生まれるはずだったらしい。
神様だか何様だかの手違いでイヌ耳娘になってしまった。
神様に会えるとしたら、神様に噛み付いて殺してやる。

今年も春がやってくる。嫌な季節だ。
わたしのクラスの奴はそわそわしている。もうすぐわたし達は三年生に上がるのだ。
ただそれだけなのに何故に浮かれなくちゃいけないのか。
まわりが浮かれ気分なので、わたしはどんどん狂っていく気分がする。

「春になるとチョーたのしいよね」
バカ女子たちが一人の某女史を囲んで、キンキン声ではしゃいでいる。
クラスのちょっと美人(らしい)某女史は、それだけでチヤホヤされているので
女子にも男子にも妙に態度がでかい。わたしには、理解に苦しむ。
とにかく、おなじクラス、学年の奴はみんな嫌いだ。

ゆううつな昼休み。
一人でわたしは席でうつらうつらと舟をこいでいると、イヌ耳がぴくっと動いた。
なんだか校庭が騒がしい。男子達のバカな声が、わあわあと響き渡る。
「おい!そっちにいったぞ!!」
「誰か捕まえろよ!!」
教室の窓からちらと覗くと、一匹の犬が男子達に追い回されていた。
白いけどちょっと薄汚れていて、片方が少し欠けた耳を垂らした雑種のメスイヌ。
今は「ミックス犬」って言うらしい。くだらないけど。

同じように窓から覗いているのは男子だけで、女子は全く見向きもしない。見ている女子はわたしだけ。
わたしとあのイヌとは、同じメスイヌ同士。あの子が意地悪されているのを見るのは、ちょっと小気味がいい。
わたしは、クラスの某女史があんな風に周りからいじられまくってたら、
さぞかし楽しい事なんだろうなあ、と勝手に妄想する。
しばらく、わたしと男子たちはメスイヌを高みの見物をしていた。

しかしその子は、息を切らしながら校庭を走り回るとやがて、校門から逃げてしまった。
「なーんだ、ツマンネ」とクラスの男子。
「こっちにも野良犬がいるぞ!」
わたしの方を指差す男子。他の男子がどっと笑う。
尻尾をくるりと回してしかとする。

夕刻、誰もいない校舎。一人寂しく学校から帰る。いつもの事なので慣れっこさん。
こんなに遅くなったのは、一人で教室を掃除していたからだ。
クラスのちょっと美人(らしい)某女史が
「あなたヒマでしょ?わたし、今からデートだからお掃除頼むね」
と勝手にわたしに掃除当番を押し付けた。他の奴らも調子に乗って、わたしに全て押し付ける。
全員、帰り道に車にでも轢かれろ。

そんな、空しい願い事を夕焼けに託しながら、玄関に向かうと学校の靴脱ぎ場でイヌの鳴き声が聴こえる。こんな所でイヌの声?
鳴き声の方へ近づく。鳴いていたのは白いけどちょっと薄汚れていて、片方が少し欠けた耳を垂らした雑種のメスイヌ。
お昼休みにいたイヌそのものだ。まさか、こんな所で再び会うとは思わなかった。
このイヌ、靴脱ぎ場で少年とじゃれあっている。仲良しアピールかよ。
しかも、ちょっとか弱いオーラを出して、人間に媚を売っているぞ。ムカツクなあ。

この少年、下駄箱の場所からしてどうやら一年生らしい。
この少年は見るからに華奢。女の子のようだ。
同い年、先輩に全く興味のないわたしは、なよっとした少年を見るとちょっかいを出したくなる。獣の世界は弱肉強食。
少年が困る顔を見ると萌えるという、困った性癖を持つわたしが放って置くハズがない。
今までわたしがいじめられた分、彼に身代わりになってもらうのだ。かなり、マイナス思考なわたしだ。
あのメスイヌといちゃいちゃしやがって。わたしの方がもっとかわいいぞ。
わたしは、イヌに興味がある素振りを見せて、少年に近づく。
「ねえ、その子かわいいね」
「う、うん」
「わたし、イヌ大好きなんだ」
(『あんたもイヌじゃん』って思ってるんだろうな…)
同じ匂いのする同士、わたしはこのメスイヌをぐっと睨む。
獣の世界は弱肉強食。弱いものには強いぞ。
メスイヌは怖がって尻尾を巻くと、どこかに逃げてしまった。

春はわたしを確実に狂わせる。
「ねえ、君一年生?じゃあ、わたしお姉さんだね」
「そうですね…」
免疫のない少年は素直に答えると同時に、わたしのイヌ耳と尻尾を不思議そうに見ている。
「こんなお姉さん、嫌い?」
「?」
じりじりと少年を下駄箱の隅に追い詰める。
「わたしね…いぬっこなんだ」
「え?」
「ふふふ、食べちゃうぞっ。がおー。」
「えっ?」

わたしの狩猟本能のリミッターが解除された。もう、逃がさないぞ。
少年の股間にスクールバックを軽くぶつける。少年はあんっと呻く。
かわいいな・・・、わたしの獣の血が沸く。もう一度、バックをぶつける。
わたしのSっ気が覚醒される。
少年は、わたしと目をあわせようとしない。うつむき加減でもじもじとしている。
Sっ気が加速すると、今度は不意を撃つように少年の柔らかい唇に軽く口付けをする。
「うっ・・・!ちょっと・・」
「んー?何が『ちょっと』かなー?ほら、嬉しいでしょ?」
わたしの指先に唾液をつけて、少年のほっぺたをぐりぐりと突付き、次ははゆっくりと
舌を入れながら口付けをする。
初めて口にする禁断の実。わたしは音を立てながらこの果樹を味わう。
ゆっくり唇を離すと甘い糸の橋が、わたしと少年の間に架かっていた。舌を回して糸を引きちぎる。
「男の子の味って、甘酸っぱいんだね」
少年にとっては、おそらくはじめての甘味かもしれない。

今度はわたしの牙で、少年の首筋をあま噛みする。
わたしもただ、獣の血が促すまま動いているのだ。
力の抜けた少年は膝から崩れ、両手を突いてよつんばになった。
「おやおや、ワンちゃんみたいだよ?よしよし」
少年の髪をわしわしとなでても全く抵抗しない少年を見て、すぐに彼のMっ気を見抜いた。
「ほら、イヌならワンって鳴きなさいよ。ワンは?」
「わ、わん…」
「聴こえないよ!」
「わ、わん!」
「はい、よろしい。あんたのこと『ポチ』って呼んであげるよ。よかったねー」
「わん…」
ご褒美に、ポチにわたしの脚を舐めさせてあげようかな。スカートの裾をちょっと持ち上げると
主人に忠実なポチは、ペロペロとわたしの白い脚をなめる。
「おいしい?」
「わん」
「今度は音を立てて舐めてごらん」
じゅる…、ちゅぱっ…ちゅぱっ。
甘い音が下足場に響く。
わたしの履いている、紺のハイソの匂いにポチは興奮してるのかな。
そんな事を妄想しているうちに、わたしのつぼみが濡れてくるのが分かった。

「じゃあ、ちんちんしてごらん。ほーらちんちん」
ポチが膝立ちになったところをわたしはギュッと抱きしめる。
ポチにわたしの甘い匂いを目一杯しみ込ませるのだ。
尻尾がブンブンと回ってる事が、わたしの興奮を如実に表す。
そのままポチを押し倒すと、ポチはM字に脚を開いたまま仰向けになった。
ポチの股間の匂いをくんかくんかと嗅いで、ズボンをゆっくりと引き摺り下ろす。
「ふふふ、お預けができない悪い子はだーれだ?」
何言っているんだろう、わたしは。

パンツ越しにポチのおっきしたものをほお擦りし、わたしの牙で軽く噛む。
中指ではじく様にパンツをじりじりと捲ると中から、
ポチのオスがプルンとびっくり箱のように飛び出した。
体は正直なのか、先っちょが濡れている。
「あんっ、むううう…」
わたしは、がんばってポチのオスの部分を銜える。口の中で弾く様に舌を鳴らす。
ポチはなかなかわたしに目を合わせてくれない。照れてるのかな。

右手でポチの竿を優しく包んで、舌では飴玉を舐めるように少年の味を味わう。
ポチもまんざらではない。わたしが楽しみ、ポチも楽しむ理想のおしおき。
「なにか出てきそうだよ…」
(そのまま、出しちゃう?)
免疫のないポチは、短い時間でわたしの魅力にひれ伏した。
これからの調教し甲斐にわたしはワクワクするなあ。思いどおりのポチにしてやるぞ。

うっ、突然わたしの口の中が、熱いもので一杯になる。どうしよう…。
くちびるから一滴、白濁の蜜が垂れ、思わず手で覆う。
わたしの口をポチの顔の上に近づけ、ほっぺたにそのままたらーりと、垂らしてやる。
白濁の蜜に犯されたポチ。わたしは、ある種の征服感に達する。
「はあ…。ごちそうさまー」
ポチのおなかにごほうびのキスをする。ポチは力尽きてぐったりしていた。

「ワン!ワン!」
さっきのイヌがまた戻ってきやがった。ちぇっ。
藁人形のように動かないポチをそのままにし、ぱんぱんっとスカートをはたいて、そそくさとわたしは手洗い場へ向かった。

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最終更新:2008年03月04日 15:01