「ふぃ~~~! やっと抜けた~~」
 深い森を抜け、目の前には日の光と緑の平原が広がる。
 ようやくまともに日の光を受け、ウィンは尻尾を逆立てながら大きく伸びをした。
 その少し後方からレオン、そして彼が背負っている荷物の上に居るブランシュネージュも、太陽の光に目を細めた。
「ようやく抜けたか……結局かなり掛かってしまったなぁレオン」
「す、すみません」
 申し訳なさそうにブランシュネージュに謝るレオン。
 実際一日程度で抜けるのは空でも飛ばない限り無理難題なので、ウィンはその事をブランシュネージュに言いたいのだが、昨晩の一件で言う事ができない。
 そんな彼女の腰に装着されているシエル、レオンと同じようにペンダントのように首に下げられているリウは軽くため息を吐いていた。
 無論、それはガジェも同じだが。
 森を抜けるまでずっといじられ続けたのにもかかわらず、何の反論もしないレオンに情けなく感じため息が出てしまうのだ。
「さて、次の町まであとどの位だ?」
 ブランシュネージュはレオンに尋ねる。
 荷物の中から地図と取り出そうとするレオンの前に、彼の前に居たウィンが口を開いた。
「あとは、この平原を歩くだけよ、あの河に沿ってね。まっ、一日位掛かるけどね」
 ブランシュネージュは露骨に嫌な表情を浮かべた。
 彼女としてはそろそろベッドの上で眠りたいし、元々野宿はあまり好きではないから。
 とは言っても、深い森を抜け疲労気味のレオンを見る。
 今まで散々いじくり回したので、今日はこれで勘弁してやろうとブランシュネージュは脳内で思った。
 ウィンは川辺で休もうと提案すると、レオンは当然ながらブランシュネージュもゆっくり頷いた。
 丁度お腹も減ってきたところだから丁度いいし、水も残り少ないとレオンも言っていたから。
「あれ? 誰かいるよ?」
「え……?」
 しばらく歩いていると、ウィンは獣耳を動かしながら誰かを発見したようだ。
 尻尾をゆらゆら揺らしながら指を指し、レオンとブランシュネージュもその方向に顔を向けた。
 そこには確かに誰かが座っていた。
 近づく度に徐々に確認できる事がある。誰かが座って、長い竿を持ち釣りをしているようだった。
 更にその人は、後ろを向いているが人族ではないことが分かる。
 何故なら、単発の蒼い髪、人族で言う耳の少し上の辺りからは髪の色と同じ鳥のような小さめの翼が生えており、足は人のものより大きく、まるで鳥のように爪が鋭く、指が前に二本、後ろに一本あるだけだった。
 頭の翼はアクセサリーだと最初は思ったが、僅かに羽ばたいて見せたので違うことが分かった。
「あの人……」
「綺麗な翼ね……」
 ウィンの口から思わず出てしまう言葉。
 それと同時に、何かが釣れて鳥の人は竿を振り上げる。
 その際に水飛沫が飛び、蒼い翼は輝いて見えていた。
 それ以前に、頭から翼が生えているとは珍しい。
 この世界には鳥人という種族もいるが、大抵は背中から多種多様な翼が生えているからだ。
「なんだ、骨か……ん?」
 釣られたのは何かの骨だった。
 蒼い鳥は残念そうにその骨を放り投げると、レオン達の視線に気づくと正面を向いた。
 その鳥は、美しい女。
 レオン達を見つめる瞳も蒼い色をしている。
 ウィンはその胸に目が行った………大きい。
 自分のと見比べると、微妙に落ち込んだ。そしてリウに励まされて弱々しく笑っていた。

「フフ……どうしたんだい?」
「あ、いえ……」
 妖しい笑みを浮かべ、鳥女はとても綺麗な声でレオン達に訊ねる。
 レオンはハッとなり回答に困っていた。
 彼は彼女の胸でも顔でもなく、その手に握られている長い竿に目が行っていた。
 いや、よく見れば竿ではなく、蒼い宝石が埋め込まれている両刃の槍。刃の先端から、糸に似た青い何かが河の中に伸びている。
 彼女が持っている槍……それは武装化したガジェに似ており、レオンは不思議に思いながらも少し警戒した。
「そこの鳥。その手に持っているものは何だ?」
 レオンの疑問を代弁するように、彼の前に降り立ったブランシュネージュが訊く。
 その言葉にウィンも鳥女が持っているものを見ると、レオンと同じ疑問を抱いた。
 女は笑い続けている。妖しい笑みは何かを企んでいるかのようだ。
 だが、何を考えているかまでは分からなかった。
「ただの、釣りだよ」
 女は当然と言える回答をする。
 だが、ブランシュネージュは勿論の事、レオンやウィン、魔装具達も信じられない。
「それは魔装具だろう? そんなもので釣りをするのか?」
「えぇ……それが何か?」
 見た時から気づいていたブランシュネージュを除き、レオン達は少し驚いた。
 やはり予想通り、女が持っていたのは魔装具だったと言う事と、女が笑顔であっさりと言った事だ。
 そしてもう一つ、目の前の女の人格は魔装具に封じられていた別の人格だと言う事も分かった。
「そうそう、まだ名乗っていなかったね。ボクはエリアと言うんだ。そして本来の人格がテスタロッサ、ロッサと呼んであげてよ」
「は、はあ……」
「君達の名前も、せっかくだから教えてもらえないかな? そこの子猫ちゃんはともかく、可愛い女の子達の名前は訊きたいんでね」
「ぼ、僕は男です」
 エリアと名乗った鳥女。また女に間違えられたレオンは、いつもの事ながら否定する。
 だが、頬を赤くしている顔を見ると、やっぱり女の子っぽいと思ってしまうウィン達がいた。
 そしてレオンたちもそれぞれ名乗り、改めて本題へ。
 エリアはこんな所で何をしていたのか、何が目的かをブランシュネージュは訊いた。
「本当に釣りだよ。だけど全然獲物が釣れなくてね」
「それは、ご愁傷様で」
『そのガジェットで森で狩ればいいのに』
「ボクは血生臭いことはなるべく避ける主義でね」
『ふんっ、すかしやがって』
「でも、釣りにもコツみたいなのがあるのを知っているかい?」
「コツ、ですか?」
 不意にエリアから問われ、レオンとウィンは顔を見合わせて首を傾げる。
 これまで釣りの経験など無い二人は、コツと言われても分からない。
 そんな二人の様子を、エリアは微笑みながら眺めていた。
「簡単だよ、魚の通り道という所で待っていればいいのさ」
「通り道?」
「何が言いたい、鳥?」
「つまりは、こういう事だよ!」
 そして、ブランシュネージュの更なる問いに、エリアは槍を振りながら答えた。
 無論、刃はレオンたちには届かない。
 だが、刃の先端からは糸のようなものがレオンに向かっていく。
 それは途中で二つに分かれ、ウィンにも向かっていった。
 二人は突然の事に動揺し、青い糸はレオンとウィンの荷物に付着し、エリアが再び槍を振り上げる。
 すると、まるで餌にかかった魚のように、荷物は二人からすんなりと離れていった。
 油断した。エリアはレオン達の荷物が目的だった事に気づいたときには、既にエリアの手に渡っていた。
「あの森の出口はここしかない。なら、ここで待っていれば、自然と獲物はやって来る」
 二人の荷物を手に持ち、頭の翼を広げ羽ばたかせて宙に浮くエリア。
 まんまと盗まれ、ウィンはエリアを捕まえようとするも既に彼女は空の上だった。
「それじゃあ、これはありがたく貰っていくよ~!」
 最後に手を振り笑顔を残し、エリアは飛び去っていった。
 ウィンは悔しそうに叫ぶ。何せ、例の報酬まで荷物の中にあるし、シエルも荷物に付いたままなのだから。
 ブランシュネージュもため息を吐きレオンの肩に乗り、ガジェは怒鳴りまくっていた。

『おいレオン。早く俺に代われ!』
「え、でも」
『でもじゃねーんだよ!』
「う、うん、わかったよ」
 レオンはペンダント状になっているガジェを取る。
 それと同時にウィンもリウを手に取り、辺りは赤と紫の光に包まれた。
 光が治まると、髪の毛が黒、瞳が真紅となったレオンと、獣耳と尻尾と瞳の色が紫となったレオンとウィンが立っている。
 その手には両刃の大剣と銃を手に持っている。
「あんの鳥女ぁ! ぜってー追いついてぶった斬る!!」
「一緒にがんばろうねお兄ちゃん!」
「てめーはくっ付くんじゃねぇー!」
 表人格もそれぞれガジェとリウに変わる。
 その瞬間、リウはガジェの腕を取り密着させる……ウィンの身体なのに。
 ガジェは即座に引き離した。熱いし、動きづらいから。
『ちょ! 人の身体で何してんのよリウ!!』
「だってぇ」
『だってじゃないの! 次やったらお仕置きだからね!』
「ご、ごめんなさい……」
 一体どんなお仕置きなのだろうと、レオンは思うも訊く事はない。
 ブランシュネージュもガジェも興味ない。
 よって、ウィンが言ったお仕置きの内容は以後分からないままになるのだった。
 それはさておき、ガジェとリウはエリアを追おうと追跡のモーションを取る。
 目の前には河が流れており、本来少し先に行った橋を渡らないと向こう岸へはいけない。
 だが、魔装具が表人格になる事で身体能力も格段に上がった彼らの前では、そんなことする必要は無い。
 少し助走をつければ人跳びで超えられ、ブランシュネージュも魔法により身体を浮かせて難なく渡る、跳び越えることに成功。
「いくぜ! 今すぐ刺身にしてやるぜ鳥女ぁぁ!!」
「焼き鳥のほうが美味しいよ~~!!」
 そして着地すると同時に、ガジェは大剣を担ぎ物凄い速さで駆け抜けていった。
 リウもそれに続くとばかりに爆走し、大量の砂埃がブランシュネージュを襲った。
 一応結界によって守られているのだが、ブランシュネージュは彼らへどんなお仕置きをしてやろうかと考えつつ、ガジェ達が向かっていった方へと飛んで行くのだった。

「んふふ、今回も上手くいった」
 間抜けな獲物の姿に思い出し笑いをしながら、エリアは翼を羽ばたかせる。
 あのブランシュネージュらしき猫がいたので少し警戒していたが、あまりに上手くいってしまったので少々拍子抜け。
 それでも相手は魔女なのでさっさと逃げて正解だったとエリアは考えながら、ウィンのカバンの中を物色し始める。
 だが空中ではやりづらい。
 エリアはゆっくりと地面へと降り、適当な大きさの岩の上に脚を組んで座った。
「ふーん……あ、お金みつけた♪」
 物色していると、ウィン及びレオンの褒賞金が入った袋を発見してエリアは上機嫌になった。
『あ、あの……』
 その時だった。
 エリアに恐る恐る話しかける女の声に、エリアは手を止め反応した。
「どうしたのロッサ?」
『その……』
「早く言ってくれないかな。ボクは今忙しいから、急ぎじゃないなら後にして」
『……はい……』
 なかなか本題を言わない女に、エリアは少し口調を強める。
 その口調に黙り込んでしまい、女がエリアに話しかけることは無くなった。
 彼女はテスタロッサ。現在エリアが表となっている身体の本来の持ち主。
 テスタロッサは、エリアが盗賊まがい、というより盗賊そのものな行動を良くは思っていない。
 いつも勇気を出して彼女を止めようとする。
 だが、優しいが臆病な性格が災いし、いつもエリアの反論で引き下がってしまう。
 ならば魔装具を発動しエリアを表に出さなければ良いのだが、他者との接触も苦手なテスタロッサは、エリアが居なければ近くの町に買い物すらできない。
 その事をエリアに突かれ、最終的には必ず彼女に身体を譲ってしまっている。
「ん? 何だろう?」
 テスタロッサが黙ってしまったのに笑みを浮かべつ、エリアはウィンの荷物から何かを発見した。
 外側に付いている一丁の銃。
 エリアの目が輝いた。銃と言えば古代兵器の一つで高く売れるお宝。
 しかも外観的に見た事が無いのできっと高く売れると確信したからだ。
 しばらくは美少年や美少女と金に物を言わせて色んな事が出来る……そんな事を考えるとエリアは自然と笑っていた。
 その笑みを、シエルはジッと黙り、ただの銃のフリをして見ている。
「あとは……まっ、食料くらいかな……」
 目ぼしい物は漁り終え、荷物を殆ど空となった荷物を放り投げるエリア。
 今回一番の収穫は、何と言っても銃。
 エリアからは再び笑みが浮かび、テスタロッサは何か言いたげだが言えずにいた。
 そして、そろそろここから飛び去ろうとエリアが立ち上がる。
 だが、その瞬間足に何かが刺さり、エリアは表情を歪め空へと飛んだ。
「な、なに?」
 そこには小さなサソリがいる……と、確認した時にはエリアは身体が痺れ始めていた。
 サソリの毒が身体を回り始めたのである。
 次第に飛ぶこともできず、その場で落ち、倒れるエリア。
 徐々に身体が自由が利かなくなり、呼吸も荒くなっていく。
 このままではまずいとエリアは思うも、辺りには人など居ない。
 エリアはもう駄目かと思った……
『あ、あの、大丈夫?』
「だ……だいじょ、うぶに、み、える?」
『見えません……』
 心の中で心配そうにテスタロッサがエリアに訊ねる。
 この時エリアの中では名案が浮かんでいた……主人格を表に出せば苦しまなくて済むと。
 周囲をエリアを中心に青く光る。
 光が治まると、表の人格がエリアから主人格であるテスタロッサに戻っていた。
 頭の翼は蒼から白くなっている。
「ん……ん、ぅ……」
 意識が朦朧とする。
 身体も痺れて動かず、風邪の時のように熱く呼吸をするのも辛くなっていく。
 苦しさでテスタロッサの表情が歪むも、動くことができないのだからどうする事もできない。
 エリアが代わってくれたのは、おそらく死を予感した為だろう、とテスタロッサは思い……そして瞳を閉じた。
「いたぁぁぁーーーー!!!」

 その直後、ちょっとした地響きと共にテスタロッサの追跡者が彼女の元に到達する。
 担いでいた大剣を構えるガジェ……だが目の前には苦しそうに倒れている盗賊まがいの鳥女。
 ガジェは地面に剣を突き刺し、腕を組みしばらく考え始めた。
 その間にリウも合流し、リウはガジェの真似をしている。
『ち、ちょっと、助けなきゃ……!』
「あ? 何でだよ?」
『だって、苦しんでるじゃない。見過ごせないよ!』
「こいつは俺達の荷物と金を盗みやがった悪党だぞ? うん、よし、死ぬまでほっとく」
 ガジェの口から残酷な言葉が聞こえる。
 レオンは驚き、リウもまた少し驚いている。
 その中でウィンだけは、当然と言えば当然と思っているも口にはしなかった。
『だ、だめだよそんなの!!』
「っ! ちょ、待っ……ッ!」
 レオンの大声と共に、ガジェの片腕が錆びた機械のように動き、大剣を握る。
 その刹那、大剣は赤く光りガジェとレオンは入れ替わった。大剣は小さな魔装具へと戻り、ガジェがぎゃーぎゃー怒鳴っている。
 だがレオンは軽く受け流し、テスタロッサに駆け寄った。
「これは……毒か……」
 足の小さな刺し傷からは僅かに血が滲んでおり、レオンは直感で毒にやられたと分かった。
「お姉ちゃん、リウはどうすればいいのかな?」
『とりあえずリウも戻りなさい』
「はぁい」
 ウィンは自分の身体に戻ると、レオンの側に寄る。
 テスタロッサを抱えようとするレオン。何故助けるのだろうと思った。
 本来、見捨ててもいい立場なのに、相手は見捨てられても仕方ない事をしたのに。
 まぁ、それでも助けるのがレオンなのだとウィンは何故か理解できた。
「あんた、薬か何か持ってないの?」
「あ、うん……ブラン様が、必要ないって……」
「は?」
 旅……それも長旅になれば、道中何があるか分からないため少なからず医薬品は必要。
 だが、思い返してみれば、2、3日共に居たがそういう物は見ていない事に気づき、ウィンは首を傾げた。
「何をしている?」
「ひゃっ! ちょ、いきなり現れないで!」
「黙れ、邪魔だ雌犬」
「……ッ……!」
『お姉ちゃん、落ち着いて!』
『あんたにあたしは使えないって!』
 薬が無くレオンが焦っていた時、ウィンの背後からブランシュネージュが現れた。
 いきなりの登場に喧嘩腰で言うウィンに対し、ブランシュネージュは平然と言いのける。
 思わず拾っておいたシエルの銃口をブランシュネージュに向けるウィンだが、リウとシエルにより何とか撃たずに止まった。
 まぁ、ウィンでは撃つ事は難しいが……
 そんな狼娘の行動など軽くスルーしつつ、ブランシュネージュはレオンのそばによりテスタロッサに気づいた。
「何だこれは?」
「ブラン様……この人毒にやられちゃってるみたいで」
「だから?」
「治してもらえませんか?」
「……」
 テスタロッサは悪くなる一方、このままでは死んでしまう事は一目見れば分かるほど。
 ブランシュネージュはウィン同様どうして助けなければならないのかと思う。
 だが、ふと見上げれば涙目のレオン。
 不覚にも可愛いと思ってしまったブランシュネージュ及びウィンその他諸々。
 涙目のレオンはブランシュネージュが弱い表情の一つで、思わず決断を狂わせられる。
「お願いしますブラン様!」
「………仕方ない、退いていろ」

 軽くため息を吐き、表情を明るくさせるレオンを退けるブランシュネージュ。
 テスタロッサを助ける理由は二つある。
 一つは、涙目のレオンにお願いされたから。
 もう一つは、相手は魔装具使いなので何かと使えるかもしれないと思ったから。
 二本の尻尾の先をテスタロッサの身体に触れさせ、ブランシュネージュの目が閉じられると、小さな身体が光りだした。
 眩しさで顔に手を添えるレオンとウィン。
 テスタロッサの身体まで光りだし、彼女の表情は徐々に和らいでいくのが分かった。
 あまり治癒魔法は得意ではないブランシュネージュだが、テスタロッサが受けた毒程度は簡単に浄化できるのだ。
 光が治まる。尻尾がテスタロッサから離れると、ブランシュネージュはダルそうに伸びをした。
「終わったぞ……もう何の問題もない、直に目を覚ます」
「あ、ありがとうございますブラン様!」
「ならば、撫でろ」
「はい!」
 頭を下げてブランシュネージュに礼を言うレオンは、彼女の命令に従いしゃがんで頭や身体を優しく撫で始めた。
 身体はラインを描くように、頭はゆっくりと優しく。
 レオンの手が動くたび、気持ち良さそうな表情を浮かべているブランシュネージュの耳がピクピク動いていた。
 その光景をウィンはまたかと思いながら眺めていた。
「ん……んぅ……」
 レオン達の横で眠っていたテスタロッサが意識を取り戻し、ゆっく瞳を開ける。
 瞳の色は、ウィンの髪の毛とほぼ同じ色の淡い緑に戻っており、レオンは彼女に気づくとテスタロッサの上体を起こす。
 ボーっとレオンの顔を見るテスタロッサ。まだ意識が完全ではないのだ。
 何度も彼女を呼びかけるレオン。その声もありテスタロッサの意識は目覚めていく。
 そしてほぼ完全に意識が戻り、テスタロッサは顔を真っ赤にさせた。
「ッ……!」
 言葉は出ず、勢い良く立ち上がりレオン達から逃げるように離れていくテスタロッサ。
 そして大きな岩に隠れると、顔だけを覗かせてレオン達を見つめていた。
 目が合うと顔を引っ込め、まだ何もしていないレオンはブランシュネージュ達から妙な疑いを掛けられ困っていた。
 ウィンが走り出し、テスタロッサの捕獲に向かう。
 驚き空へ飛び立とうとするテスタロッサだったが、その前にウィンに捕まえられてしまった。
「あんた、大人しくしなさいよ!」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
「ウィン、起きたばかりなんだからあまり乱暴は……あ、大丈夫ですか?」
「ひっ……!」
 何度も謝るテスタロッサを逃がすまいと、ウィンは彼女の背後から押さえつけるように抱いている。
 レオンも駆け寄りテスタロッサに問いかけるも、不意に涙目になるテスタロッサに困惑する。
 何もしていないのに、彼女はウィンやレオン、ブランシュネージュを怖がっているようだったから。
『レオン、てめーやっぱりこの鳥女に何かしたんだろぉ?』
『レオンくん、やらしー』
『可愛い顔してやることやってるな』
「ちょっ、何もしてないってば」
『んじゃ、さっきから押さえつけてる暴力雌犬女のせいだ、間違、がはっ!』
「あんた、本気で壊すわよ!」
『いてっ、いててて! てめっ、やめろっ!」
 ガジェは踏みつけの猛攻を受けている。
 魔装具の状態でも痛みなどは感じるんだと、レオンとリウは改めて思い、以後ウィンに対して失言しないように気をつける。
 ただ、そんな漫才のような光景を目の当たりにしても、テスタロッサは涙目で震えるばかり。
 どうしたらいい、むしろ何で泣いているのかとレオン達は考え始めた。
 その時、彼らから離れていたブランシュネージュが戻ってくる……起用に二本の尻尾でアレを持ちながら。
『ロッサは他人が苦手なんだよ』
『あぁー! てめぇはっ!!』
『やあ、また会いましたね、先輩方?』
『せ、せん、ぱい?』
 ブランシュネージュが持ってきたのは、テスタロッサのガジェット、エリアだった。
 一番厄介とされていた魔女猫に捕まったと言うのに、その口調は至って冷静、余裕さえも見える。
 まぁ、そんな事はあえて置いといて、ガジェを初めとする誰もがエリアが言ったフレーズが気になって仕方がない。
 その疑問は、尻尾でエリアをテスタロッサの胸の間へ放り投げたブランシュネージュの口から、簡潔であっさりと聞かされることになる。
「新しい私の下僕だ。よかったなレオン、お前の下が出来たぞ」



 テスタロッサとエリアがブランシュネージュの新しい下僕になって、数日が経った。
 一同は、テスタロッサと倒れた場所から少し離れた、大きな屋敷が印象的な町に留まっている。
 理由は、旅の資金が足りなくなってしまったから。
 元々資金は不足気味、あると言えばウィンとレオンが貰った報奨金のみ。
 だがそのお金は、ウィンが死んでも使おうとはせず死守。ブランシュネージュもさすがに使おうとはしない。
 それに加え、テスタロッサという新しい旅のメンバーが加わったためもある。
 今は一番安い宿に泊まっている、ブランシュネージュは嫌だと駄々をこねたが、レオンとウィンとエリアの説得により渋々了承した。
 日は落ち、町は夜の闇に包まれようとしている。
 ウィンは外で日払いの仕事をし資金集め、レオンとテスタロッサは宿でブランシュネージュの世話。
 時々、レオンはガジェを表にし自分も働く、それが何日か続いている。
 ウィンやガジェはブランシュネージュに働けと言うものの当然彼女は拒否、まぁ予想していた反応なのであまり怒りはしないが。
 そして着々と資金は溜まっていき、それと同時にテスタロッサの人見知り、恥ずかしがりやは徐々に薄れていき、レオン達に打ち解けていった……
「ほら、揉みなさいよ」
「……!」
「何赤くなってるの! 肩に決まってるでしょ!!」
「あ、ごめんなさい」
『レオンくん、やらし~~』
 いきなり正面向いて揉めと言われれば、年頃の男であるレオンの目線は自然とウィンの胸にいってしまい顔を赤くしていた。
 その瞬間、ウィンのグーによるツッコミが入り、リウからいらない誤解を受けて少し落ち込み気味にレオンはウィンの背後へ回る。
 彼らが寝泊りしている宿、部屋は二人一部屋の為、レオンとブランシュネージュとガジェにシエル、ウィンとリウとテスタロッサにエリアという感じで分かれている。
 しかしそれは寝る時のみ、食事などはレオン達の部屋で行う。
 小さな机の上に置かれている魔装具達。ガジェは既に寝息を立ててしまっているが、他の魔装具はまだ起きている様子。
「あ、あの、皆さん……し、食事の用意が……」
「もうちょっと強く出来ないの!? あたしは疲れてるんですけど!!」
「う、うん、頑張るよ」
「あの……食事……」
「丁度いい♪ はい、頑張って!」
「あ、ありがっ、とうっ……っ」
「……あ、の」
「そこの二人、食事ができたんだ、さっさと来い」
 ウィンの命令により彼女の肩を揉んでいるレオン。
 そんな中、部屋の扉が静かに開き、そこから恐る恐るテスタロッサが入ってくる。
 今日の食事当番はテスタロッサ。彼女は食事の用意ができたと伝えに来たのだが、その声はウィンの声にかき消されている。
 何とか伝えようとしても、徐々にテスタロッサの音声は小さくなっていき、しまいには少し涙目になり始める。
 そのテスタロッサに続き、ゆっくり入ってきたブランシュネージュは不機嫌そうに二人に告げる。
 微妙に殺気のようなものを感じ取り、レオンとウィンは大人しくなった。
 静かではない室内に時々鳴る金属の食器が当たる音。
 旅をする人数が増え、食事時も随分賑やかになったと、ブランシュネージュに食べさせながらレオンは思っていた。


『ロッサ……ロッサ』
「ん………な、んでふか……?」
 真夜中、既に町には誰も居なく、住民は寝静まっている。
 無論、ブランシュネージュ一行も深い眠りについていた……一体のガジェットを除いては。
 それはエリア、隣に置かれているリウに気づかれないようにテスタロッサを呼んでいる。
 リウは完全に熟睡している為その声に気づくことはない、無論仕事で疲れているウィンが気づくはずもない。
 テスタロッサは目を擦りながら起き始める、まだ寝ぼけているようで目は僅かにしか開いておらず、頭の翼も畳まれている。
 その事はエリアの計算どおりの為、エリアは微笑みながらテスタロッサに傍に来るよう指示をすると、彼女はゆっくりと立ち上がり危なっかしい足つきでエリアを手に取った。
「ど、どうしたん、ですか?」
『ちょっと、恥ずかしく言えないんだけど………トイレに行きたいんだ。身体を貸してくれるかな?』
「わ、わかり、まひた……」
 暗い室内が蒼い光に包まれた。
 先ほどまで眠気眼だったテスタロッサは、表人格がエリアに変わり微笑みながら立っていた。
 彼女は槍を肩で担ぎながら微笑んでいる。
「ふふ、作戦成功」
 すべては彼女の作戦だった。というより、簡単な嘘だ。
 今は金属のような魔装具になったエリアがトイレなど行くはずもない。
 魔装具に封じられた瞬間から尿意も感じなくなり、物を飲み食いしなくても生きていけるのだから。
 エリアはこの場から立ち去ろうとした。初めからブランシュネージュの下僕になるなど考えていなかった。
 今までずっと逃げるタイミングを計っていたのだ。今までは夜遅くまでリウが起きているか、自分が寝てしまっていた。
 そして数日待ち、ようやく好機が訪れる。上手い具合に心の中でテスタロッサは再び深い眠りに付いていた。
 エリアはゆっくりと部屋の窓を開け、頭の翼を広げる。
「……」
 一度振り返り、ウィンの寝顔を見るエリア。
 成り行きとはいえブランシュネージュの下僕となり共に過ごした数日間が頭の中を流れる。
 色々と不愉快な事もあったけど、楽しかったなと思ってしまった。
 それをかき消すかのようにエリアは頭を横に数回振り、窓に身を乗り出した。
「あれ、ロッサさん何してるんですか?」
「っ!」
 その時、部屋の扉が静かに開き聞き慣れた声が聞こえエリアは驚き振り返る。
 そこにはレオンがいる。眠そうに目を擦りながら状況を確認している。
 しばらく見つめ合う二人、そしてようやくエリアが何をしようとしているのか察したレオンが驚き口を開こうとした。
 だがその前に、すばやく近づいたエリアによりレオンは口を押さえられた。
「むぐッ!!」
「声を出されて子猫さん達が起きたら面倒だからね」
 小声で言うエリアに押さえられている手を除けようとするレオン。
 だがビクともしない。それどころか少し力を入れられ、首元に槍の刃を付き立てられた。

「暴れないで、殺したくないからね」
 レオンが抵抗するのを止めるのを確認すると、エリアは彼を解放する。
 そして背を向け、再び窓へ歩き出す。
 彼女が翼を広げた瞬間、レオンは何故自分達の元から去るのか訊いた。
 まだ出会って数日だが、何だかんだ言いつつ楽しくやってきた。
 テスタロッサもエリアも楽しそうで、テスタロッサに至っては人が苦手なのも徐々に無くなっている。
 それなのに、なぜ去るのか、レオンには分からなかった。
 それともう一つ、エリアが去れば再び盗賊まがいの事をするだろうと考えた為。
 だから、レオンはエリアを引き止めようとする。ウィンとリウを起こさないように声音を少し抑えて。
 しかし、エリアは好きで共にいた訳じゃないと言う。最初からレオン達のこともどうも思っていなかったと。
 それは彼女の本心ではない。
 こうでも言わないと、レオンが引き下がらないと思ったからである。
 しかし、それでもレオンは引き下がる事がなかった。
「じ、じゃあ、エリアに聞きます」
「なに?」
「ロッサも、僕達から離れたいと思っているんですか?」
「それは……」
 まだ訊いていない、というより訊く気もなかった。
 テスタロッサも離れたいと思っているならこのまま行かせよう、とレオンは思いながら彼女の回答を待つ。
 エリアは黙っていた。いつもなら直に嘘を言うのに、今回は何故か言えない。
 その理由は自分でも分かっている。思わず笑みを浮かべるエリア。
「ふぅ、わかったよ、何処にも行かない」
「……本当ですか?」
「信用無いな、ボクは」
 普段嘘とか言っているので当然だと、レオンは少し疑いの眼で彼女を見つめる。
 エリアはやれやれと軽くため息を吐き、レオンに近寄る。
 そして、彼の目の前まで立ったの後、不意に唇を奪う。
 いきなりキスをされ、レオンは驚き戸惑う。
 唇が離れてもレオンは目を丸くさせたまま、微笑んでいるエリアの顔を見上げている。
 そして、不意に室内にカチャリという音が鳴った。
 それと同時に、自分の腕が動かない事にレオンは気づいた。
「なっ、これは……!」
「それ? この前露天で見つけた、テジョウというやつ。そうやって捕縛する為に使うんだって」
 レオンは感じていた……嫌な予感がし、何かされそう。
 その予感を裏付けるように、楽しげに話すエリアの口調と笑みは何処か妖しい。
 そして、エリアに抱えられ、彼女のベッドの上に放り投げられた時、レオンの予感は確信へと変わった。
 仰向けのレオンに覆いかぶさりながら、蒼い瞳を光らせレオンを見つめている。
 体はテスタロッサのものだが、本人からは決して見られないだろう妖艶な微笑みは、レオンの何かを刺激した。
「おや、まだ何もしていないのに……フフ、そんな顔でも男だね」
 レオンの股間辺りにエリアの手が乗り、掌を回すようにしたりズボン越しに肉棒を握りしごく。
 小さく声を漏らすレオンを見ながら、槍を床に置き両手でレオンの衣服を破き始めた。
 上半身はほぼ全裸になり、下半身は膝部分までしか残っていない。
 そして壁が無くなり、天井に向けそそり立った肉棒が露になりレオンは頬を赤らめる。
「ここだけは男の子だね……」
 彼を見下ろすエリアも裸になり、白い肌をレオンに見せる。
 月明かりに照らされ、蒼い瞳と頭の翼が光って見えエリアは美しい。
 レオンは彼女に見惚れるが、ハッと我に返り口を開いた。
「あ、あの、何でこんな事……」
「何で? それはないだろ? こうさせたのはレオンなのに」
「え?」
「ボクは元々君達から離れようとしたんだ。だけど、君が、いや君達がボクの心を乱した。君達のおかげで、離れたくないって思っちゃったよ」
 かなり無理やりな理屈。無論レオンも納得すはずがない。
 反論に出ようとした。だが、口を手で押さえられ言葉を封じられた。
「それに、前から悪戯したいなぁって思っていたんだ……ふふ、可愛いレオンがいけないんだよ?」
 エリアはそう言うと、レオンの口を押さえていた手で彼の腕を万歳の形になるように動かし、彼の上に身体を密着させる。
 彼女の素肌がダイレクトに伝わり、レオンは身体を震わせる。
 エリアはレオンの乳首を少し力を入れて摘んだ。

「ひぐっ!」
「ん? 強すぎたかな、ごめんね?」
 胸から痛みが伝わり表情を歪めるレオンに、まるで反省のない声で謝るエリア。
 再度彼の乳首を摘む、今度は力を抜いて。
 もう片方は舌で愛撫し、乳首を摘んでいる指は軽く引っ張ったり転がすようにしたりし動かしている。
 その度に、レオンは何かを感じ時折甘い声を漏らしていた。
「気持ちいい? 男の子でもここは感じるって聞いたけど、本当のようだね」
 エリアが乳首を嘗め回した後、甘噛みをする。
 レオンの身体が少し跳ねるように跳び、乳首は硬くなっている。
 エリアはしばらくレオンの胸を弄っていたが、やがて後ろに下がっていく。
 そして、目の前でジッと肉棒を見つめていた。
「さて、今度はここを弄ってみようかな」
 そう言うとエリアは徐に頭の羽を一本抜き取った。
 抜いた瞬間痛みが走り彼女は涙を浮かばせるが、すぐに笑顔をになる。
 これから何をされるのか、見当が付かないレオンは彼女の行為に困惑する。
 だが、エリアが抜き取った羽根で亀頭の先を撫で始め、レオンはビクッと反応した。
「はぅッ! やっ……ひゃっ……っ!」
「どう? なかなか気持ち良いものでしょ? 羽根っていうのも……」
 微笑みながら羽根で彼の肉棒を攻め続けるエリア。
 亀頭だけだったり、全体を撫でるように動かす。
 時折チクリとする感触が快感になり、エリアの羽根はすぐに亀頭から出る汁で濡れてしまう。
 だが彼女はすぐに新しい羽根を抜き取り攻め、時折舌先で亀頭を刺激している。
 気持ちいい、レオンはそう感じ続けているものの射精には至らずにいた。
 いや、正確には射精してしまう直前に攻めを止められ、射精感がひくまで待たされ、そしてまた攻められる。
 この行為を延々と続けられているのだ。
 射精したくても出来ない、そんなもどかしさを感じていても、レオンは恥ずかしくて射精してくれなんて言えずにいた。
 無論、その事を考慮してエリアは射精させずにいるのだが。
「ふふ……そんなに瞳を潤ませて……どうしたの? 何かして欲しい?」
「ぇ……ぅ、そ、の……」
 エリアの問いかけにも答えられないレオン。
 そんな彼の反応をクスクス微笑みながら肉棒を舐める。
 やがてエリアの動きが完全に止まると、レオンは上体をあげて彼女の顔を見る。
 だがすぐに寝かされる。エリアは頭の翼を羽ばたかせて少し浮いていた。
「どうせ出すなら……こっちがいいよね?」
 そう言うと、ゆっくり降りていくエリア。
 肉棒に垂れかかる彼女の愛液、徐々に肉棒に近づいてく彼女の秘所はヒクヒクと物欲しそうに動いている。
 エリアの手がレオン身体に乗ると、彼女は肉棒を片手で握り固定する。
 秘所に亀頭の先が触れると、徐々に自分の中にレオンの肉棒を受け入れる。
 そして亀頭が入った瞬間、エリアは翼の動きを止めた。
 エリアの身体は重力に従い、肉棒の根元まで一気に受け入れた。

「んッはッああぁッ……んぅッ、熱ッ」
「ぅぅ……ッ!」
 今まで射精できなかった事もあり、挿入された瞬間レオンは彼女の中に白濁した液を噴射させる。
 溜まっていたものが吐き出され、レオンは身を痙攣させる。
 エリアも射精の感触に笑みを浮かべ感じれていたが、終わるのを待っていられず翼を再び動かす。
 彼女の身体は浮いたり落ちたり、その繰り返し。
 翼を羽ばたかせ、亀頭が少し出る程まで浮いたら、翼を止め一気に入れる。
 小刻みに動くよりこちらの方がエリアは好み、彼女が落ちるたびにベッドが軋んだ。
「ん……ひゃあぁッ! ど、どお? ロッサのはぁ……?」
「ひぐッ……うぅっ」
 一度射精してしまい、レオンは既に射精を耐える事が出来ない状態。
 隣で眠っているウィン達が起きないように声を抑えようとしても、女の子のような声を出してしまう自分に対し情けなく感じる。
 しかし容赦なくエリアは動き続け、射精したてだが再び射精感がレオンを襲う。
 エリアの膣内で彼の肉棒は膨張し、絶頂が近いことをエリアに伝えた。
「あんッ……また、出すんだ……ロッサの身体なのに」
 エリアは妖艶に微笑む。
 彼女の言うとおり、今レオンに快感を送っているのはエリアだが体はテスタロッサのもの。
 だから、それはエリアではなくテスタロッサを汚してしまうことになる。
 だが、そんな事は分かっていても、レオンにはもうどうする事も出来なかった。
「あッぅ……ああぁッ!!」
「んんッ……ま、また、出てる……熱いよレオン……」
 再びエリアの中に白濁液を流し込んだレオンは身体を痙攣させている。
 一瞬頭の中が真っ白になる。
 しかし、射精が終えても、その快感に浸る暇もなく再び刺激される。
 エリアが、動きを止めないのだ。射精中もずっと翼を動き続けた。
 休む暇もなく、レオンの肉棒も硬くなったまま。
「ひぁッ、え、えり……止めて、くださ……っ!」
「んふふ、だめだよ。ボクはまだ、イッて、ないんだから」
「そ、そんな……」
「ほらほら、ちゃんと声を抑えないと……隣の狼さんが起きちゃうよ?」
「んぅッ……んぁ、ぁぁ……ッ」
 レオンは両手で口を押さえているが声が漏れてしまっている。
 そんな彼を見下ろしながら、エリアは可愛いと思いながらレオンを犯す。
 そして、レオンは何度も彼女の中に精液を流し込む。
 結局エリアが絶頂したのは、レオンが六回目の射精をした時だった……


 翌日、テスタロッサの絶叫により目が覚めたレオンは当然の事ながらブランシュネージュとウィンを含む、テスタロッサ以外から尋問を受けた。
 冷や汗をかきながらエリアに助けを求めるレオンだが、彼を犯した当の本人は知らんフリ、むしろ楽しんでいる様子。
 心の奥で熟睡していたテスタロッサも知る由も無く、レオンに夜這いされてたと嘘まで言われ鵜呑みにしてしまっている始末。
 唯一レオンの味方になってくれていたガジェの援護も空しく、ブランシュネージュ達の尋問と説教は何十時間にも渡った。
 そして更に二日が経ち、ある一件で十分すぎる資金を手に入れた一行は、次の町を目指して旅立ったそうな



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最終更新:2007年09月02日 00:18