「はぁ、はぁ……」
 ある森の中、一人の男が必死の形相で草木を掻き分け走っていた。
 何処へ向かうでもなく、ただ我武者羅に走り、やがて大きな木の隅に隠れる。
「はぁ、はぁ、はぁ、こ、ここまで来れば……」
 男は誰かに追われていた。
 恐る恐る逃げてきた方を見ても誰もいない。
 男は安心したように呼吸と整えると、その場に凭れてしゃがみ込む。しかし、そこで安心してしまったのが男の間違いだった。
「ここまで来れば、何なのかしら~?」
「うわっ!!」
「ようやく追いついたぁ。まったく手間を取らせてくれるわね」
 安心しきった男の頭上から、一人の女が逆さまの状態で男を覗き込むように現れた。
 彼女こそが男を追っていた張本人であり、その容姿は男よりも年上のお姉さんタイプで、胸も大きくかなりスタイルの良いバイスバデーなお姉さまと言う様子。
 ただ、その容姿は昆虫の蜂をイメージしたような、そう、名作アニメ『みなしごハ○チ』に出てきそうな格好で、蜂のようなお尻にはしっかりと長く鋭い針。そして何より背中の羽でしっかりと多少前かがみになり飛んでいる。
「私から逃げられるとでも思ったの? 蜂をなめないでほしいわねぇ」
「くっ!」
 男は再び逃げようと立ち上がろうとする。
「だ~め! 今度は逃がさないわよ?」
 しかし、女が正常な角度に戻り、おしりの針を男の右足にプスっと刺しそれを阻止。
 男は痛々しい声を上げるが、女はそれを心地よさそうに笑って聞いている。
 すると、男は自分の体の変化に気づいた。
 刺された足からは血が滲み動けないのは理解できるが、体中が痺れてきて全身が動けなくなってきていた。
「ぐっ、がっ、な、な、にを……」
 声も出なくなってきているのか、苦しそうに切れ切れな声で笑っている女に聞く。
「クスクス、もう毒が回ってきたのね」
「ど、く……?」
 男の顔は一気に青ざめた。
「でも安心して? 命に別状はないから」
 女は妖しげな笑みとともに、自らの針をもう一度手で抜き取ると、次は男の左腕に突き刺した。
 白いシャツは赤く染まり始め、男は悲鳴を上げようとするも、すでに女の言う毒が回っているせいか、微弱な声しか出ない。
「さて、これで完全に動けないでしょ? フフフ、そろそろ頂こうかしら」
 男が完全に体を動かすことが出来ないことを確認すると、女は不意に男の下半身に手をかけ、ズボンを脱がしていった。
 そして、トランクスも脱がすと男の肉棒が顔を出す。
「あら、少しカタくなってるわね。私でエッチな事でも考えていたのかしら?」
 クスクスと笑う女に男は答えることが出来ない。答えようとしても声が出ないのだ。
 そんな男を笑いながら、女は男の肉棒を2、3回手で軽くしごくと、そのまま口に咥えた。
「んぶっ、ちゅぶっちゅぷ……、クスクス、体はしびれて動けないのに、ここは随分元気ねぇ。そういう毒なんだけど……」
「……っ……!」
「んんっ……気持ちいい? それとも私の針で痛い?」
「……」
 男の瞳は既に何も答えられなくなっていた。
 男の様子を、女は妖しげに笑い、男の口に自分の口を押し付ける。
 そしてそのまま舌を男の口内に侵入させ一方的に絡ませ、やがて唇を離す。
「あらあら、もう神経もやられちゃったのかしら。まっ、その方が事が運びやすくなるからいっか」
 女はそう言うと、動けない男に跨ぐ様に乗り、あらかじめ片手で濡らしておいた自分の秘部に男の肉棒をあてがった。
「じゃあ、いただくわね。出したければいつでも出してもいいのよ? とは言っても、そんなのももう感じないでしょうけど、ね」
 そして、女は男の肉棒を秘部に挿入させ、そのまま腰を沈めていった。

「………はっ!」
 男は目覚めた。そこはいつもの自分の部屋。
 そして寝ていたのは自分のベッドの上。
 全ては夢だったのか、そう思いながらも男は安堵し息を吐いた。
「俺は、なんちゅー夢を」
 夢の内容を思い出しながらも、男は起き上がろうとする。
 その時、男の右足と左腕から痛みが走り、尚且つ思うように動けないことに気づいた。
 穿いていたズボンと着ていたシャツを捲って見る。
「これは……」
 男の左腕と右足には、何かに刺されたような後が残っていたそうな……。

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最終更新:2006年12月01日 20:08