終戦の知らせを聞いた夜。精根尽き果てて、横たわる僕。対する小隊長は尻尾をパタパタと振って満足そうだ。

「15回はやりすぎです…それにしても、小隊長が…って以前から僕達の裸を見てたって事ですかっ!?」
「そういえば小隊の皆で一緒に風呂にも入ったな。第一、普段から私も共に着替えてただろう?」

言われて思い浮かべたのは、小隊の男達と共に風呂に入り(頭と腰にはタオルを巻いていたけど)、宴会で豪快にウォッカをあおり、時には酔っ払って僕達をぶん殴ったり…最後は決まっていびきをかいて寝てるけど。
だけど、いつも豪放磊落で部下の事を第一に考える憧れの小隊長だった。

「でも…見た目は僕達と変わらないじゃないですか」
「なんだ?」
「服を脱いだ時も胸なんて出てなかったし、酔いつぶれた小隊長をおぶった時も何も背中には当たらな―――」

僕はそこまで言うと、続く言葉をごくりと飲み込んだ。

小隊長、下を向いて何か呟いてます。耳はピクピクと震えて、尻尾が上を向いて毛が逆立ってます。
あれ、なんで固く拳を握ってるんだ?
なんだか体中から殺気を放ってるんですが…
「あ、あの…小隊長?」
「ウラジミール…お前は言ってはならない事を言ったようだ」
唇を噛み締めて言い放つ。

「ご、誤解です小隊長!…あ、そうだ!ほらよく言うじゃないですか!」
「…何をだ」
―――え~とえ~と…そうだ!
「そう!貧乳は悪いことじゃありません!…あ、小隊長の場合は無乳―――ぐはあっ!」
顎をきれいにストレートで打ち抜かれ、意識ごと膝から崩れ落ちながら彼が見たのは涙に目を腫らして「ばかぁぁー!」と叫んでいる小隊長だった。



ウラジミール・ザイツェフ:リタイヤ(再起不能)

→to be continued…

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最終更新:2007年02月16日 18:34