「助け・・・・・・」
男の、かすれた声は何かが潰れるような嫌な音に飲み込まれた。
頑丈そうな甲冑に身を包んだ男の、鉄製の兜に護られていた頭が踏み潰されていた。
「セイル・・・・・・」
少女が歌うように呟く。声にあわせて、少女の背後で家屋が音を立てて崩れ落ちた。
爛々と青く輝く瞳は、救いを求めるように伸ばされた男の、無骨な手の先で座り込む少年を捕らえている。
背中に生えた少女の体には不釣合いなほどに大きい羽が、少女が人間ではないことを示していた。
悠然と佇む少女の、小さな足・・・・・・いや、体全体が、血に濡れていた。
「ア・・・・・・ン・・・・・・?」
目の前の光景が信じられないかのように、搾り出すような声で少年は幼馴染である少女の愛称を呼んだ。
その声に促されるように、少女は一歩足を前に進めた。動きに合わせてめちゃ、と吐き気を誘う音が鳴る。
少女の翼が、嬉しそうにはためいた。純白だったそれは、所々黒ずみ始めている。
「う、ぁ・・・・・・」
天を焦がすかのように燃え上がった炎が、少年の住んでいた村を燃やしていた。
後から後から吹き出てくる黒煙が、夜空に輝く星を覆い隠している。脂の焼ける、不快な臭いが周囲に充満していた。
少年の周囲は赤く染まっていた。今さっき、冗談みたいに呆気なく頭が潰れた男のその仲間が、微動だにせず倒れている。
皆、死んでいた。アンと少年・・・・・・セイルが呼んだ少女。アンジェリカによって、殺されていた。
「大丈夫。セイルは、殺さない」
明らかな狂気を瞳に湛えて、少女は言う。
強く握れば、ともすれば折れてしまいそうな程に細い、少女の腕が少年の震える肩を握った。
こびりついた血が、少年の着ている服を染め上げていく。
頭一つ分高いところから少年を見下ろす少女の纏う雰囲気は、普段のそれとは違いすぎていた。
「いいこと、しよう?」
熱に浮かされたように、少女は言って、少年の肩を押した。
恐怖に縛られた少年は少女の突然の行動に対応できず呻き声を上げて倒れる。軽い衝撃と共に後頭部に鈍い痛みが広がった
反射的に閉じた目の、瞼の上に影がかかる。怪訝に思って目を開くと、少年の腹部に馬乗りになった少女の、大きく広がった翼が少年の周囲から光を奪っていた。
「おとなしくしててね」
少年の腕を動けないように押さえつけ、少女は顔を近づけた。ゆっくりと近づいてくる少女の、整った顔に少年は心臓を高鳴らせる。
少女の、可愛らしい小さな唇が、少年の唇を奪った。
柔らかい感触が、これ以上ないと言えるほどに混乱していた少年の思考を、さらに混沌に叩き込んだ。
別の生き物のように伸びた少女の舌が、小さく開けられた歯の間から侵入し、狭い口内を縦横無尽に蹂躙する。
少女の舌は、縮こまっている少年の舌をたくみにひっぱりだし、絡めあい、その口の奥へと唾液を送り込んでいく。
歯と歯の隙間から、歯茎の根元、隅から隅まで、少女の下が駆け巡っていく。
啄ばむ様な優しい、相手のことを考えたキスではなく、相手の全てを奪い取ろうとするような荒々しいキス。
やがて、満足したように少女は口を離した。結合部から溢れた唾液が、少年の顔をぬらしていた。
少女は微笑んで、その部分を嬉しそうに舐めあげた。
「う・・・・・・」
「あ、気持ちよかった?」
少年の反応に、少女は嬉しそうに笑顔を輝かせた。
腕を押さえていた少女の手が、少年の土と血とで汚れた服の襟元に伸びる。
小さな手に力が篭ったのを少年は感じた。直後、残光を残すほどの速さで腕が振りぬかれ、少年の服は音を立てて斜めに切り裂かれた。
「おいしそう・・・・・・」
「うあぁぁぁぁ・・・・・・」
露になった少年の、幼い胸元を愛おしそうに少女は撫でる。
二つの可愛らしい突起を、指先で磨り潰したり、少し伸びた爪で摘みあげると、恐怖で瞼を硬く閉じた少年の口から
小さく喘ぎ声が上がる。その反応に少女は満足そうに微笑って、機械のようにその作業を繰り返す。
その度にかすれるような少年の喘ぎ声は、少しづつはっきりと、大きく、周囲に響き始めた。
「もう、こんなに大きくなっちゃったよ? 胸、気持ちいいんだ」
頭を抱きかかえるように少年を、その膨らみかけた胸に押し付けながら、小さな耳に吐息を吹きかけるように少女は語りかける。
薄い衣製のワンピースの上から感じる、少年の息が気持ちいい。逸る体を押さえつけて少女は少年の耳の穴に舌をねじ込んだ。


「あぅぅ!?」
「あは、耳、弱いんだね」
少年は思う。少女のこの変貌ぶりを。
同年代の、引っ込み思案でちょっと人見知りが強く、心優しい少女の、この変化を。
「どうした・・・・・・うぅ・・・・・・の、くぅ・・・・・」
「不思議に思うことはないの。セイル」
少年の問いかけに、穏やかな声で少女は答える。十数人の人間の大人を殺したその手で弄びながら。
「これが、本当の私。貴方達人間とは違う。私達のような存在の・・・・・・ね、舐めて」
未だ10歳にも満たず、世間を知らない少年の困惑をよそに、いや、愉しむように少女は口を歪め、少年の眼前に指を突きつける。
その白かった肌は、乾いたままこびりついた血で、赤く染まっていた。
「綺麗にして」
少女の幼いながらも、容赦のない責めで息を荒げている少年の唇の隙間に少女の人差し指が滑り込むように入り込んだ。
吐き出そうと舌を動かすが、少女の指は微動だにしない。逆に、唾液によって水分を得た血液により、少年の口の中に不快な鉄の味が広がった。
「う・・・・・・ん・・・・・・」
気持ちよさそうに、少女の小柄な体が震える。悩ましげな声は、その外見からは想像できないほどに淫らな音を含んでいた。
「あ・・・・・・は、もう、いいよ」
暫くして、少女は満足したように指を引き抜いた。少年の唾液によって鈍くぬめった指が艶かしい。
輝くような白さを取り戻したそれは、酷く官能的な光を発している。
「ん・・・・・・。もう、私我慢できないの。いいよね・・・・・・?」
少年の返答を聞かずに、少女の足の指が器用に少年の穿いているズボンの端にかかる。
軽い振動。綿で作られたズボンが、地面を削りながら引き下ろされ、炎によって暖められた風に少年の局部がさらされた。
「ちょっと、大きいかな。・・・・・・入るよね?」
不安げに、でも、楽しそうに少女は腰を浮かせて、そりたった少年の局部を見て呟く。
血と、それ以外の何かによって濡れたワンピースの裾を、少女はゆっくりと持ち上げた。
成長しきってない、毛すら生えていない少女の可愛らしい性器から、くすんだ銀色の輝きをもった液体が、垂れ落ちる。
そこで初めて、少年は少女の顔を正視した。


「う・・・・・・あ・・・・・・」
そこに居たのは、少年の知らない誰か。そこで初めて少年は気づいた。
今、自分はまさに、この可愛らしい狂った獣に、食べられようとしているのだと。
「うわああああああああああああああああああああああああああ!!」
少女の背後で、力尽きるように建物が音を立てて崩れ落ちた。
「逃げないで・・・・・・」
「煩い! 化け物!」
少年は混乱していた。ここ数時間に起こった様々なことが、色を失った状態で少年の脳裏を駆け巡る。
「・・・・・・セイル。どうしてそんなに酷いことを言うの?」
「あああああああああ!?」
悲しそうに言った少女の拳が、少年の右肩を・・・・・・潰していた。
耳を劈くような悲鳴が、少年の喉を震わせる。少女は煩い、と呟いて、すさまじいスピードで左腕を振り上げた。
空気を切り裂く音がなる。地面に穴が開くほどに強く叩きつけられた少女の拳は、狙いたがわず少年の左肩を粉々にした。
「あああ! ・・・・・・うぐ・・・・・・・が」
立て続けに襲った激痛に、少年は涙を流して絶叫した。
そんな光景を苛立たしげに少女は見つめた後、少女は何かを思いついたように明るくすると、少年の細首をその手で締め上げた。
「苦しい? 私も苦しいの。セイルが私のことを化け物って言った。セイルもあの人たちと同じ。でも安心して
 セイルは許してあげる。だって、私はセイルのことが好きだもの。でも、お仕置き。大丈夫、殺さないから。ちょっと息がしにくいだけ」
苦悶の表情を浮かべた少年を、少女はいとおしげに見つめている。苦悶の表情を浮かべた少年の頬を伝う涙を美味しそうに少女は舐め取った。
「セイル、もういいよね? 私、もう・・・・・・セイルだってこんなに大きくして、準備できてるもの。いいよね、いいよね?」
熱に浮かされたように、恍惚の笑みを浮かべながら少女は自分の下で震えている少年に何度も問いかけた。
浮いたままの腰が、充血した少年の棒の上に降ろされる。
未だ成熟してない幼い性器の入り口と先端とが触れ合うと少女と少年の体を鋭い快感が駆け巡った。
悩ましげに少女は身を震わせながら、熱を持った息を吐いた。その快感が忘れなれないのか、何度も少女は腰を降ろすが、なかなか上手くいかない。
何度目かの失敗の後か、やがて、その年にしては異常なほどに誇張した少年の棒が少女の割れ目に少しづつ分け入っていく。
お互い、初めての行為だった。
だが、少女には痛みすらも心地よいのか、半ばまで入って局部から血を流しても、表情は蕩けそうな程に緩んでいる。
相対するように、少年の表情は痛みに歪んでいた。肩の痛み、初めての痛み、少年の体も心も、まだ、子供だった。
「あん!」
「か・・・・・・はっ・・・・・・」
まどろっこしげに、少女が腰を一気に深く落とした。
ずぶり、という生々しい音とともに、少年の棒が少女の奥を叩く。同時に、少女が強く喘ぎ声を漏らした。
「気持ち・・・あぁ・・・・・・気持ちいいよ、セイル・・・・・・あは・・・・・・セイルは、あぁん・・・・・・セイルは、気持ちいい?」
一度入ってしまえば後は早かった。
少年の首を絞めることすら忘れて、少女は夢中になって腰を上下する。
痛みと快楽とがごっちゃになった少年は、叫びとも喘ぎとも区別のつけない声を上げていた。
弱りきった少年の心に、強烈過ぎる感覚が堰をきって流れ込んでくる。その大量の電気信号の奔流に晒されて、少年はついに、考える事を放棄した。
ただ声を上げるだけの人形になってしまった少年を尻目に、少女は何度も腰を打ち付ける。
やがて、少年の棒を震わせて何かが少女の体内に噴出された。既に狂気の輝きのみを残した少女の瞳が歓喜に打ち震えた。
行為は終わらない。次々と崩れ落ちていく村の中央で、人と獣とが交わり続けていた。




えぴろーぐっぽいもの

「ここがコウアソン・・・・・・なんて、酷い・・・・・・」
深い青色で染め上げられた、全体的にゆったりとした衣の服に身を包んだ女性が、吐き気を抑えながら呟いた。
「これは、全滅か・・・・・・村人達はともかく、なぜ急進派の馬鹿者達までもが死んでいるのか・・・・・・」
女性の傍らに立った長身の男性が、目をしかめて言う。
彼らは今、人の獣人に対する絶対的な優位性を主張している一派が襲ったという報告を受け、部下を率いて村まで来ていた。
「そうですね・・・・・・村人が抵抗したのかも? でも、一般の村に騎士団と相打ちに持ち込める程の、そんな装備があるわけが・・・・・・少佐!」
口元を隠しながら原型を唯一止めている村のゲートをくぐった女性が、声を上げる
「なんだ?」
「こちらへ・・・・・・!」
女性の声に促されるままに、男は死体を踏まないように気をつけながら村へと入る。
男の副官の、3年の付き合いになるこの女性が指差した先には、目を見開いたまま空を見上げる少年がいた・・・・・・。