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第61話~第70話 - (2009/08/02 (日) 01:30:39) のソース

691 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/18(土) 01:28:03.23 0
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第61回 

食事をして先輩の部屋に戻ってきた。一気に緊張が解けて私はソファに倒れこんだ。 
「はぁ・・・・緊張したぁ」 
「ごめんね、パパが愛理ちゃんに興味津々だったみたいで」 
「いえ、でもやっぱり・・・緊張しちゃいました」 

食事は想像以上に豪華で、歓迎されまくりで、 
先輩のお父さんはすごくダンディーで背の高い人で 
低い声で矢継ぎ早に質問をされた。 
言葉に気をつけなきゃって意識して話していたら、 
食事の味はわからなくなってきて、緊張しちゃって 
もう途中からよく覚えていない。なんて、有様だった。 

「ごめんごめん」 
「・・・でも、楽しかったです。弟くんたちも可愛いですね」 
「うるさいでしょ?ケンカばっかりしてるから、あいつら」 
「微笑ましいです、私の弟とはちょっと違う感じです」 
「そっかぁ、あ、・・・そうだお風呂どうする?」 
話の途中、先輩が思い出したかのようにそう言った。 
そういえば考えてなかった。でも、着替えないしなぁ・・・。 

「・・・着替えないって考えた?」 
「へ?あ、はい・・・」 
「この家でっかいからなんでもあるの。」 
「え?」 
「じゃーん、愛理ちゃんのお泊りセット!」 
「え・・・いいんですか?」 
「どーぞ。はい。頼んでおいたんだ。」 
先輩はソファの後ろからカゴに入ったパジャマやらタオルを取り出した。 
なんでもあるなぁ・・・この家。 



692 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/18(土) 01:28:57.12 0
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第62回 

「どうする?下にでっかいお風呂もあるし、この部屋にシャワーもあるし・・・」 
「せ、先輩は?」 
「あー、うちはいつも部屋で済ませちゃうなぁ。・・・大きい方一緒に入る?」 
「へっ!?・・・それはちょっと・・・」 

な、な、な、なんてことを言う人だ!い、いや・・・否定しすぎるのもおかしいけどさ! 
女同士だし、別におかしいことなんてどこにも・・・・ 
でもだめ、恥ずかしすぎる。・・・それはだめ。 

「だ、だよね、うちもちょっと恥ずかしいや・・・」 

言い出しておいて恥ずかしいって下を向く先輩。 
なら言わなきゃいいのにもう・・・可愛い人だ。 
◆ 
結局、先輩のお部屋のシャワーを借りることになって先に入っておいでと 
言われてシャワールームへと入ってきた。 
・・・ホテル並みの設備だなぁ。すごい。 
って感心してる場合じゃないや・・・早く入らなきゃ。 

意識的に身体を洗う手がいつもよりも力の入ったものになる。 
べ、別に・・・・なにか期待してるとかそんなんじゃないもん! 

ふと、こんなに広いシャワールームならいろいろ出来るなぁと 
今度の夏コミのネタを思いついたけど、 
状況的にまた余計なことを考えてしまって一人、赤くなってしまった。 

シャワーなのに、出たらのぼせちゃっていた。 
借りた下着もパジャマもふらふらしながら着た。あ、でもこのパジャマ可愛いなぁ・・・。 



693 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/18(土) 01:33:21.59 0
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第63回 

シャワー室を出ると先輩が走り寄ってきた。 
「愛理ちゃん?もう、どうしたのさ、顔真っ赤だし・・・」 
先輩を心配させちゃったみたいです・・・うぅ恥ずかしいです。 
「すいません・・・」 
「いいよ、ほらお水」 
「・・・ゴクゴク・・・はぁ・・・」 
ペットボトルを渡されて飲むとやっと頭が冷静になってきて 
なにやってんだよもう、と自分に腹が立った。 

「もう平気?じゃあうち入ってくるね」 
「はい、すいませんでした・・・」 
「いいよもう。」 
先輩はにっこり微笑んでシャワー室へと消えた。 

大きいベッドに腰掛けてから寝そべるとその大きさをより感じる。 
空回りしてるなぁ・・・私。かっこ悪い。 
いいところ見せたいとかそういうことじゃないんだけど・・・なぁ。 
今日いろいろありすぎたんだよー。そもそも告白がOKなんて思ってなかったし・・・ 
まさか夕食をご馳走になるとも思わなかったし 
まさかまさか泊まることになるなんて・・・しかも同じベッドで。 
みやとももに報告しなきゃ・・・って言わなくてもどうせ根掘り葉掘り聞かれそうだけど。 

あー・・・このベッド柔らかいなぁ・・ふかふかだ。高そうな感じ・・・。 
あれ、なんか眠いかも。だめだめ先輩が出てくるまでは起きてなきゃ・・・ 
でも・・・瞼重い・・・。疲れてるのかな・・・・。 
目を開けようと思っても閉じていくばかりで開いてくれない。 
先輩スイマセン・・・愛理は・・・愛理は寝ちゃいます・・・・ 

私は急に襲ってきた睡魔により先輩の大きなベッドの上で寝込んでしまった。



722 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/19(日) 01:02:14.97 0
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第64回 

「ごめん、待たせちゃった・・・・って愛理ちゃん?」 

シャワーを出てみると、小さな寝息が聞こえてきた。 
ベッドには愛理ちゃんが横を向いていて、眠っている。 

「寝ちゃったかー・・・」 
疲れちゃったのかな。そりゃそうか・・・。 
急にご飯食べてけ、泊まってけ、なんて言って困らせちゃったな。 

うちは首にかけていたタオルをソファに投げて、 
ベッドに上がり、眠る愛理ちゃんの横に座った。 

うぅ・・・なんか、緊張するかも。 
目の前には好きな人が無防備な姿で眠っていて。 
貸した淡いピンクのパジャマがよく似合っていて可愛い。 

・・・睫毛長いなぁ、愛理ちゃん。肌も白くて綺麗だ・・・。 
自然と頬に手が伸びて、愛理ちゃんの頬を撫でていた。 
なんだか・・・・いけないことをしている気分でドキドキする。 

頬を撫でていた手を髪に動かして、髪も撫でた。 
ふわりと柔らかい髪だ。まだまだ濡れているけれど。 

勉強やらしなくてはいけないことが山ほどある。 
だけど、こんな無防備で可愛らしい愛理ちゃんを放ってなにか出来るほど、 
冷静な心は持ち合わせていない・・・・。宿題は明日でいいか・・・。 
頭をそう切り替えて、うちは愛理ちゃんの隣に寝そべった。 


723 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/19(日) 01:05:00.02 0
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第65回 

「可愛いなぁ・・・ほんと」 

顔を近づけて、鼻先がくっつきそうなほど近づけて、もう一度頬を撫でた。 
こうしていると愛おしいという気持ちが湧き上がってくる。 
告白を受けてよかった。こんなに幸せな気持ちになれるとは思っていなかった。 

・・・・ドキドキしちゃうけど、バレたら愛理ちゃんは怒りそうだけど・・・・ 
うちは少し顔を近づけて、キスをした。 
さっきよりも、長いキス。だけど、触れるだけのキス。 
・・・バレちゃいけないっていう背徳感みたいなものがより、うちを興奮させる。 

「・・・・好きだよ、大好き。」 

小さく独り言を呟いて、またキスをする。柔らかくてクセになりそうな感触だ。 
唇を離して、愛理ちゃんの唇を見ているとすごく・・・なんていうかいやらしい感じがしてくる。 
そっと指を伸ばして触れてみるとやっぱり柔らかい。 

いけない、だめだとわかっていてもその指はどんどん下へと向かっていく。 
顎を通って首筋までゆっくりと指を滑らせる。 
愛理ちゃんはんっ、と小さく身を捩った。 

その瞬間、ハっと我に返った。 
なにをやってるんだ。寝ている子に対して・・・なにしてんだ自分。 
かっこ悪いよ、うち。こんなことしちゃいけない。 
自分で自分が恥ずかしい。バカみたいだ。 

もう寝よう、愛理ちゃんにはいろいろ話したい事もあったけど仕方が無い。 
寝よう、寝てしまおう。朝を迎えるまで眠ろう。 



725 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/19(日) 01:13:32.75 0
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第66回 

そう、思ったがそこでそう易々とは眠れなかった。 
愛理ちゃんが小さく声を漏らすたびに隣を確認してしまう。 
挙句の果てには、大きなベッドなのにすぐ近くまで愛理ちゃんが寝返りをうって・・・ 
「・・・どうしよう、だめだ・・・だめだよこれ・・・」 
目の前にある愛理ちゃんの唇。はだけたパジャマから見える白い首筋。 
・・・・エッチな風にしか思えなくなってきた。 

なんでだよ、そんなのうち全然無縁に生きてきたはずなのに・・・ 
そんな自分の戸惑いと目の前にいる愛理ちゃんと保とうとしている理性とが 
ごちゃ混ぜになっていた。 
あぁ、もう何で先に寝ちゃったのさ・・・・。 
それでも愛理ちゃんを軽く恨みつつ、・・・必死に眠ろうとして目を閉じた。 

「・・・んんっ・・・あれ・・・私・・・・寝ちゃったんだ・・・」 
目を閉じてすぐ、愛理ちゃんが目を覚ました。 
びっくりしたけど、目を閉じている手前、起きてるよとも言えずにそのまま目を閉じていた。 
「先輩・・・ごめんなさい、先に寝ちゃって・・・」 
愛理ちゃんはうちが眠っていると思って小さな声でそう呟いた。 
「・・・ふわぁ~・・・」 
愛理ちゃんの可愛らしい欠伸が聞こえてくる。 

どうしよう、起きるべきか、寝たフリを続けるべきか・・・。 
そう考えていたら・・・頬に何かが触れたような気がした。 
頬に集中していると、それが愛理ちゃんの掌だとわかる。 
愛理ちゃんは、私がさっきそうしていたように、私の頬を撫でていた。 
柔らかくて優しい感触だ。 
「・・・先輩、大好き」 
小さな呟きが聞こえてきて、うちは嬉しくてしょうがなくて、それでも 
やっぱり起き出せずに寝たふりを続け、悶々としていた。 


794 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/22(水) 02:45:43.06 0
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第67回 

「・・・ちゅう、しちゃえ」 

愛理ちゃんの声が聞こえてビクっとなった。 
・・・考えてることがうちと一緒過ぎる・・・。 

何かが顔に近づいてくる気配を感じる。 
そう思った次の瞬間、唇は柔らかいもの、さっき触れたもの、 
愛理ちゃんの唇によって塞がれた。 

「・・・怒られないかな・・・」 
怒らないよ、絶対怒らない。何回でもして欲しいくらい! 

「・・・あ、・・・寝れなくなったかも・・・・」 
愛理ちゃんは困ったようにそう呟いた。 
・・・ほんと、お互い様って感じ。 

うちは起きようと思っていた。 
どうせお互い眠れないなら寝たフリを続けても意味がない。 

「・・愛理ちゃん、うち、ごめん、起きてた」 
イタズラっぽく微笑みながら目を開けると、愛理ちゃんはビックリした顔して 
しばらく固まっていた。 
「も、もう!・・・あぁもうどうしよう!」 
「・・・キス、嬉しかったよ?」 
「だ、だめですご、ごめんなさい、あの、ほんと」 
愛理ちゃんは慌てたように何度も謝った。 
そんな様子が可愛くてたまらなかったけど、可哀相だから 
同じことをしたと告白すると、愛理ちゃんはずるい、と言って頬を膨らませた。 
・・・・首筋に触れたことは言えなかったけど・・・・。 



795 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/22(水) 02:48:23.30 0
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第68回 

電気はついていなくて暗いけれど、お互いの顔は近いせいか、よく見える。 
しんと静まった家の中、起きているのは私たちだけ、そんな共犯めいた雰囲気もあって 
それはとても心地よく、うちはそこにずっといたい、なんて思った。 

「ねえ、眠れそう?」 
「・・・ううん、きっと・・・無理です」 
「そっか、じゃあこうやって話してようか?」 
「はい、それがいいです」 

うちと愛理ちゃんは別に誰にも聞こえやしないのにボソボソと小さい声で話していた。 
夜が明けるまで、ずっと、ずっと。 
そのときに言っておかなくてはいけないことも、話した。 
愛理ちゃんはびっくりしてすこしショックを受けたようだったけれど 
隠していて知られたらもっとショックを受けたと思う。 
隠し事は好きじゃない。だから、これでいい。 

だって最後には、キスをしてくれたから。 
許してくれた、いや、ちゃんとわかってくれたのだと思う。 
愛理ちゃんは年下なのに頭のいい、賢い子だから。 

そう、・・・この話は、うちがまだまだ小さい頃の話。 
◆ 
◆ 
あのときはまだ恋とかよくわからなかった。 
人を好きになるってこともよくわからなかった。 
それを教えてくれた人がいる。 

うちの近所に住んでて、家からあま出たこともなく友達の少なかったうちの、 
たった一人の幼馴染。そう、その人がうちに教えてくれたんだ。 

817 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/23(木) 01:34:36.05 0
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第69回 

あれは、まだ10歳くらいのことだ。今でも鮮明に覚えている。 

うちは小学校のころは身体が弱くて、学校でも外で遊ぶことはほとんどなかったし 
学校が終われば車の迎えが来てすぐに家に帰ってしまっていた。 
性格も外向きとは言えず、友達もいなかった。 
そんなうちの唯一の、心を許して何でも話せる相手、それは幼馴染のその人で。 
うちの近所に住んでいる女の子で、どこでどう知り合ったかは覚えていないけど 
気付いたときにはうちによく出入りしていた。 

仲はすごくよくて、その人も友達があまりいないのか、うちとばかり遊んでくれた。 
2つ年上で、お姉さんなのに妹みたいなそんな存在だった。 
ちょっと子どもっぽいんだけど、たまにすごく大人っぽい感じ。 
掴みどころのない、そんな人。 

うちはその人がいなかったらもっともっと暗い性格をしていたかもしれない。 
友達だって作ろうとしなかったかもしれない。 
家にこもって、好きなことだけして過ごしていたかもしれない。 
でも、いるだけでその人はうちを照らしてくれていた。 
いなきゃ、いけない。そんな、そんな人。 
◆ 
ある日、その人と遊ぶ約束をしていたのに、家に来てくれると言っていたのに来なかった。 
心配でしょうがなくて、家に電話してもらったけど、もう家は出たと言われた。 
待ち合わせの時間を2時間過ぎて、うちは家の近くを探そうと家を出た。 
ほんとは勝手に家を出ちゃ行けなかったけど、こっそりと抜け出した。 
門までが長くて遠くて、心臓がバクバクいって、汗いっぱいかいて、 
門へたどり着いたときには、息が上がっていてくたくただった。 


818 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/23(木) 01:35:24.67 0
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第70回 

「はぁはぁ・・・・ももち・・・どこだろう?」 
行く場所のあてなんてほとんどなかったけど、しんどかったけど近くの公園へ走った。 
汗が目に入って沁みる。なんだかふらふらする。 

「・・・いない・・・」 
公園には親子連れが何人かいたけど、その人はいなくて。 
うちはまた走り出した。 
どこへ行けばいいんだろう。どこへ行けば会えるんだろう。 

そんなとき、聞き覚えのある声がしてうちは立ち止まった。 
公園の裏にある、小さな広場。 
そこに、その人はいた。芝生に座って、他の子2人と一緒にいる。 

「えーもう舞美、それ違うからー」 
「そうだっけ?あれ、でもこっちは?」 
「だからそれはこれ!」 
「あぁ、えりとももは賢いなぁ」 
「「いや、舞美がバカなんだよ」」 
「えぇー・・・そうかなぁ?」 

楽しそうな声だ。内容はよくわからないけど楽しそうってことはわかる。 
他の子は誰だろう・・・知らない。 
みんな笑顔でニコニコしていて、その人は見たこのない顔で笑っていた。 
その笑顔を見たとき、ふっと力が抜けてその場にへたり込んだ。 
「・・・用事あるなら言ってくれればよかったのに・・・バカみたい」 

汗を拭って小さく呟くとふらつきながら家に向かって歩き出した。 
こんなに身体が辛いのは久しぶりだ。全然走っていなかったから。 
足取りは重く、頼りない足つきだ。力が上手く入らない。 
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