凌辱の、学び舎(前編)

「ん~……」
 真夜中、未来はブルッと身震いをして目を覚ました。寝ぼけ眼で辺りを見回すと、そこは見覚えの
ない公園のような場所で、あちこちで人が寝転がっている。…いや違う、見覚えはある。(そうか…)
 ようやく未来は、そこが自分が通う六華女学院だと気がついた。真理と悠貴と共に昨日の夕方遅く、
避難所に指定されているここに来て、一晩過ごすことにしたのだと。

 そこで未来は再びブルルッと身震いをした。寒い…からではなく、軽い尿意を覚えたのだ。きっと
そのせいで目が覚めたのだろう。未来は横で寝ている真理と悠貴を起こさないように、そおっと
立ちあがると、簡易トイレが設置してある校庭のほうへと歩いていった。

「……」
 だが、簡易トイレに着いた未来はげんなりとした顔になった。深夜だったが、いくつかあるトイレの
前には、どれも数人の列が出来ていた。それくらいならすぐに順番は回って来るだろうが、男女兼用の
ために、順番待ちの中には男性の姿もあり、思春期の彼女には、男性と一緒にトイレ待ちなど勘弁
してほしかった。
 かと言って用を足さないわけにもいかず、しぶしぶ列の後ろについた未来だったが、用を足し終えた
人が出てくる時に、ちらりとトイレの内部を見て、思わず顔をしかめた。(うぇ~…)白い便器の
あちこちに、大便がこびりついている。どうやら夜間ということもあって、トイレ掃除が行き届いて
いないらしい。
(……あ~、もういいや!)
 それで遂に我慢の限界が来た未来は、用を足すこともなく、トイレ待ちの列から離れていった。
朝まで待って別のトイレを探すか、掃除されるのを待とう。

 真理と悠貴のところに戻り、毛布に潜り込んだ未来は、胎児のように丸まって目を閉じ、眠りに
つこうとした。が、どうしても尿意を意識してしまい、なかなか眠れない。
(朝までもつかなぁ…)
 未来は下腹部をそっとさすって考えた。今にも漏れそうというほど切迫してはいないが、果たして
朝までもってくれるかどうか…。万が一こんなところでおねしょでもしてしまったら、もう生きては
いけない。朝までもったとしても、トイレが汚いままだったら? それに、朝になればみんな用を足す
だろうから、きっと待たされるだろう。昼間大きい方で悲惨な目にあっていた未来は、だんだんと
悲観的な考えに陥っていった。そして心配すればするほど、いちだんと尿意が強く感じられてしまう。

(…やっぱりトイレいっておこっと)
 未来はそう決めると、身体を起した。探せば、どこかに綺麗なトイレがあるかもしれない。未来は
再びそっと真理たちから離れて、学校の奥へと向かって歩き始めたが、その後ろで、悠貴がむくりと
身体を起したことに、彼女は気付かなかった。

(トイレないなぁ…)
 それからしばらくして、未来はトイレを探し、いつしか校舎の裏手へとやって来ていた。今のところ、
いいトイレは見つからない。仮設トイレはさっき未来が並んでいた、校庭にあったものだけ、学校の
トイレはといえば、どこも断水のせいで汚物が流されずに残っていて、簡易トイレ以上に使う気に
なれないものばかりだ。
 校舎裏は校庭と違って明かりがなく、未来は暗闇の先に目を凝らしながら、この先にトイレはあった
だろうかと記憶を手繰ったが、彼女が入学してまだ数か月、校内の様子を隅々まで把握しているわけ
ではなく、実際にいってみる他に確かめる方法はなかった。真っ暗な校舎裏をいくのはかなり勇気が
いったが、トイレが見つからないとなると尿意はさらに強まってしまい、もうトイレを済まさない
わけにはいかなくなってしまっていた。
 未来は意を決すると、恐る恐る校舎に沿うようにして先へ進み始めた。

(う~、夜の学校って不気味だわ…)
 未来は、あたりを見回して心の中で呟いた。校舎裏は校舎から少し間をあけて木々がふんだんに
植えられ、ちょっとした林のようになっている。避難所になっているといえ、こんなところに来る
物好きはいないようで、人影はまったくなく、明かりは細い三日月のわずかな光だけだ。心細かったが、
それ以上になんでこんな思いをしてまでトイレを探さねばいけないのかと、腹が立ってくる。

 人影がない…? ふと彼女は足を止めた。そうだ、ここなら誰もいない。いっそのことここで…。
未来の頭に、そんな考えが浮かぶ。真夜中の学校をトイレを探して歩き回ることに、いい加減徒労感を
覚え始めていたところだ。幸い誰も見ていないし、そこの木立の陰で用を足してしまおうか?
 年頃の少女としては、屋外…しかもこんな薄気味の悪い場所での用足しには抵抗があったが、このまま
見つからないかもしれない綺麗なトイレを探し周ったり、諦めて男性に混じってトイレ待ちをした末に、
汚れた便器で用足しをすることに比べて、そんなに悪い選択には感じられなかった。既に昼間、
大きい方を屋外で済ませるという経験をしたあととなればなおさらだ。
(誰も…いないよね…?)
 未来はきょろきょろあたりを見回して誰もいないことを確かめると、足早に木立の中へ消えていった。

 木立の奥に数mほど入ると、学校の敷地を隔てる高さ2mほどのコンクリート製の塀が立ち塞がって
いた。未来は塀際まで近寄り、そこで改めて周りを見渡した。木々に阻まれ、万が一誰かが通りかかって
も、校舎の方からはほとんどこの場所は見えないはず。しゃがんでしまえばなおさらだ。塀のほうからは
もちろん何も見えるはずもなく、未来は心を決めると、スカートの中に手を入れ、下着をするりと
引き下ろした。
 未来はパンツをひざまで下ろすとスカートを捲りあげてお尻を剥き出しにし、塀のほうにお尻を
向けてさっとしゃがみこんだ。足に飛沫がかからないようにやや大きめに股を開き、そして膝に手を
置いて下腹部に力を入れると、彼女は放尿を開始した。

 シャアァァァァァァーーー……

 恥ずかしい水音を立てながら、未来の股間から勢いよく小水が迸り、みるみるうちに地面に水溜りを
作っていく。辺りに響くほどの水音に未来は少し顔を赤くしつつ、張りつめていた膀胱が一気に空に
なっていく爽快感に、うっとりとしたように表情を緩め、彼女そのまま勢いよく小水を迸らせ続けた。
 そしてたっぷり数十秒続いた放尿もちょろちょろと勢いを失っていき、そしてぽたぽたと滴が垂れる
だけとなった。膀胱に力を入れ、じょろっ、じょろっと残った尿を完全に絞り出すと、最後に腰を数回
振って滴を切り、未来はスカートのポケットに入れてあったティッシュを取り出して、股間を覗きこみ
ながらごしごしと割れ目を拭いた。

「こんなところでオシッコ?」
「!?」
 と、その時、すぐ前でざりっという土の地面を踏む足音が聞こえ、同時に何者かの声がして、未来は
はっとして顔をあげた。

 未来のすぐ目の前の木の幹の陰から、男がぬっと姿を現した。二十代前半の、まだ若い男だ。長めの
髪を薄茶色に染め、紅白の太いギンガムチェックのやや派手目のシャツにジーンズといういでたちで、
いかにも軽薄そうなにやけた顔をしている。
 見られた…! かぁぁ…と未来の顔が赤くなっていく。股間を拭くのもそこそこに、未来は慌てて
立ち上がるとさっと下着を上げた。放尿の爽快感に周囲への注意を疎かにし、人が来るのを見逃して
しまった自分を呪いつつ、未来は男と視線を合わせないようにして、そそくさと逃げるようにそこから
立ち去ろうとした。

「おっと、待てよ」
 だが、男がさっと未来に近寄ると、その腕を素早く掴んだ。ぎょっとして未来が顔を見ると、
にやにやと、いやらしそうな笑みを浮かべている。「は、放してください」未来は腕を振りほどこうと
するが、男はがっちりと彼女を掴んで放そうとしない。
「へへっ、君が可愛いお尻を丸出しにしてるんで、お兄さん我慢できなくなっちゃってね」
 未来の顔が赤くなり、そしてすぐ青くなる。「は、放してっ!」猛然ともがき始めるが、男の力は
強く、決して彼女を放そうとしない。「誰か、助け…」
「おっと」
 助けを求めて声をあげようとした未来の顎を、男がもう一方の手でがっちりと掴んで封じた。
そして顔を近寄せると、ドスの効いた声で言う。「静かにしな。痛い目にあいたいか?」
「ひっ…」
 男の脅しに、未来は恐怖に目を見開き、涙をぼろぼろと零し始めた。男がそっと顎から手を放すが、
未来は恐怖に唇を戦慄かせ、もう悲鳴を発しようとはしなかった。

「ようし、それでいい」
「い、いや…助けて…」
 男はかすれた声で許しを請う未来を塀に押し付け、身体を擦り寄せてきた。彼女の顎を掴んで
自分の方を向かせ、唇を近付ける。
「いやっ!」
「大人しくしろって」
 精一杯男の胸を押し、顎を掴んだ手を振り切って顔を背ける未来に、男は彼女の右腕を掴んで塀に
押し付け、顎を今度はがっちりと押さえ、今一度自分の方を向かせる。「いやっ、やめてっ!」
 未来は必死でもがいたが、男の力には抗いきれず、覚悟したようにぎゅっと目を閉じた。その彼女に、
男は唇を突き出して顔を寄せていく。

「わ~~~~っ!」
「なっ!?」
 だが、未来の唇が奪われようとしたまさにその時、叫び声と共に小さな黒い影が木陰から飛び出し、
未来を掴む男の腕にぶつかってきた。思わず未来を離した男の腕に、その影はしがみついてくる。
「お姉ちゃんを虐めるなっ!」
「悠貴!」
 未来が叫んだ。どこかへいく未来を見つけて後を追った悠貴は、一度彼女を見失ってしまい、
校舎裏を探し歩いていたところで、微かな悲鳴を聞きつけてここにきたのだ。

「なんだこいつ」
 いいところで邪魔をされた男が、腕にしがみつく悠貴に苛立たしげにする。そして二度三度、腕を
大きく振って、悠貴を振りほどいた。「わぁっ」悠貴は叫んでよろよろっと後ろに倒れかけたが、
なんとか踏みとどまって再度男に掴みかかっていく。
「おっと」
 だが男は、がむしゃらに突っ込んでくる悠貴をさっとかわすと横に回り込み、右腕を掴んで背中の
ほうに捻り上げた。
「痛たた、痛っ、は、放してよぉっ!」
「やめてっ、悠貴に酷いことしないでっ!」
 苦痛に顔を歪める悠貴の姿に、未来が悲鳴をあげると、男は不愉快そうに、もがく悠貴と叫ぶ未来を
交互に見やった。いくら人気がないとはいえ、いつ誰が声を聞きつけないとも限らない。
「静かにしろコラ」男は左手で悠貴の顎をぎゅっと掴み、腕を捻り上げる力を、振りほどかれない
程度に緩める。
「悠貴、悠貴っ!」
 そして男は、泣きながら弟の身を案じて叫んでいる未来を睨みつけると、ドスの効いた声を出した。
「お前も静かにしてろ、こいつの腕をへし折るぞ!」
「…!」
 男の言葉に、未来は激しくショックを受けたような顔をすると口をぴたりと閉ざした。蒼ざめ、
涙を零しながらがたがたと小さく震える。

「よし、静かにしてろよ…」
 男はそう言うと、思案顔になった。たまたま人気のない校舎裏のほうへいく未来を見かけ、思いつきで
後をつけ始めただけで、縛ったり口を塞いだりするような用意はしていなかった。まさかこんなチビが
現れるとは計算外だ。いくら子供とはいえ、このチビ…どうやら弟らしい…を押さえつけたままで、
姉の方をレイプするなどという器用なマネは到底無理だ。それ以前に、もし姉が弟を放って逃げようと
したら、弟を捉まえたままでは止められないだろう。しかし弟を離せば、今度はそっちが逃げ出そうと
するかもしれないし…(ちっ)
 忌々しげに、男は胸の中で舌打ちをした。どうにかして逃げられないようにしないと…。

「おい、お前…」男は考えた末に、ある方法を思いついて未来に向かって言った。「服を脱ぎな」
「え…!?」
 男の言葉に、未来は信じられないといったふうに目を見開いた。「い、嫌ですそんな…!」
「つべこべ言わずに脱げ!」
 男が苛立たしげに言う。裸にしてしまえば、恥ずかしくて人目のあるほうへ逃げようなどと考えない
だろう。しかし、チビを捉まえたままで脱がすことはできないので、自主的に脱いでもらうしかない。
「このチビがどうなってもいいのか、おい」
「痛っ!」
 男は悠貴を後ろ手に捻り上げたままぐいっと未来の方へ向けた。苦痛に呻く弟の姿に、未来がひっと
喉の奥で小さな悲鳴を漏らす。「悠貴…!」
 未来は口に両手をあてて弟を見つめ、しばらく逡巡していたが、やがて観念したようにがっくりと
うなだれた。「わ、わかったから悠貴に酷いことしないで…」

「うう…」
 未来はぼろぼろと涙を零しながら服を脱ぎ始めた。羽織っていたカーディガンを取って傍の地面に
落とし、それから水色のキャミソールの裾を掴むと、ゆっくりとたくし上げていく。その下から白い
お腹が、そして小さな二つの膨らみが薄暗がりの中に浮かび上がるが、キャミソールから頭と腕を
抜いて地面に捨てると、未来は両腕を胸の前でクロスさせてそこを隠した。背中を丸め、縮こまる
ようにして、もう許してと言いたげに涙を溜めた目で男を見る。
「下もだ。早くしな」
「……」
 男の声に、未来は怯えたようにびくっと身体を震わせた。期待などしていなかったが、やはり上を
脱いだだけでは許してもらえないようだ。未来は目を固くつぶると、胸を隠していた腕を下ろして
スカートのボタンに手をかけた。ボタンを外し、ファスナーを緩めると、ストンとスカートを地面に
落とす。そして未来は最後の一枚に手をかけると、そこでほんの少し躊躇っていたが、前屈みになって
それを素早く引き下ろした。さっと脚を引き抜くと、脱いでしまったパンツは傍らに投げ捨て、腕で
胸と股間を覆い隠す。

「ほら、手をどかせって」
「……はい」
 だが非情にも男が言い、未来は涙を零しながら小さく肯くと、ゆっくりと手をどかしていき、だらんと
両脇に腕を垂らした。白い裸身が淡い月明かりに照らされて、暗がりの中に浮かび上がる。

(お姉ちゃん…)
 男に抱えられていた悠貴は、捻られている腕が痛むのも忘れ、露わになった姉の裸身に見入っていた。
ほとんど真っ平に近い乳房と、ぴたりと閉じ合わさってただの一本の黒いスジでしかない性器という、
まだ女らしさをほとんど感じさせない子供じみた裸身だったが、この異常な状況下において、それは
悠貴に芽生え始めていた幼い性意識をいたく刺激し、心臓がどきどきと高鳴る。
「ふん…」
 だが、息を飲んで未来のヌードを見つめる悠貴とは対照的に、男は不満げに鼻を鳴らした。穴さえ
あれば多少のことは気にしないタチではあったが、特にロリコンの気があるわけでもなく、相手は
グラマーであるに越したことはないのだ。
 つまらなそうに一通り未来の貧相な裸を眺めてから、男は口を開いた。「お前、いくつだ?」
「じゅ、十三です」
「ふーん…。セックスしたことはあるのか?」
「あ、ありませんっ!」
 かぁっと頬を染めて思わずムキになったように言う未来に、男は愉快そうに眉をあげた。裸は
つまらないが、恥じらい怒る様子が男の加虐心を掻きたて、いい玩具を手に入れたとばかりに彼は
ニヤリとすると、次の質問を未来にぶつけた。
「へぇ、そうか。でもオナニーくらいはするんだろ?」
「…!」
 未来の顔が一気に真っ赤になる。「そ、そんなことしませんっ!」
 彼女の反応に、男はまたもニヤリとする。「“そんなこと”ねぇ…。つまり、オナニーがどんな
ことかは知ってんだ?」
「あ…!?」
 未来はしまったという顔をしたが、後の祭りだった。「十三って言えば中一か? それならもう
知っててもおかしくないよな、くくっ」
 さも愉快そうに笑いを零す男に、未来は歯を食いしばり、黙って恥辱に耐えた。だが、本当の恥辱は
まだこれからであった。

「知ってるんならここでちょっとやってみろよ。いい機会だからオナニーに初挑戦だ」

「な…!」男に言われ未来は絶句した。そして一度唾を飲むと、叫ぶように言う。「そんなの嫌です!」
「おっと、こいつを忘れるな」と、男は悠貴をぐいっと押し出した。“オナニー”の意味がわからず、
二人の会話についていけずにぽけっとしていた悠貴だったが、男に腕を強く捻られて顔を歪めた。
「痛っ!」
 すぐに男が口元をがっちりと掴んで押さえ、悠貴は満足に悲鳴を上げることすらできず、男に抱え
られたまま身悶えする。「い、痛…むぐっ、むーーっ!!!」
「悠貴っ…!」
 涙を浮かべてもがく弟に、未来が悲鳴を漏らした。「やります…やりますからもうやめて…!」
泣きながら、かすれた声で未来は言った。フリをするだけでいい、どうせわかりっこない。本当にする
ことなんかないんだと、未来は心の中で自分に言い聞かせていた。

「そうそう、素直に言う事をきいてりゃ、弟も痛い目に合わなくて済むんだぜ」
 そう言って男が腕の力を弱めると、悠貴の苦悶の表情が緩んだ。未来はほっと安堵の息をつき、そして
すぐに悔しげに歯を食い縛ってきっと男を睨んだ。しかしにやにやと余裕の笑みを浮かべて見返している
男に、未来はふぅっと大きく溜息をつき、塀を背にして男と向かい合った。そして未来はきつく目を
瞑って男と悠貴の視線を意識から追い出すと、そっと右手を股間にはべらせた。

「……」
 目を閉じ、むっつりと押し黙ったまま、未来は割れ目の上を掌でゆっくりと撫でさすった。軽く
触れる程度に弱く、そしてゆっくり、手を上下させる。いつも家でする時は、割れ目に指を食い込ませ、
クリットを擦るのだが、もちろん、本当にオナニーをする気など彼女にはない。
「おい、本気でやってるのか!?」
 だが、ただひたすらに股間を掌で撫で回しているだけの彼女に、男の苛立った声が飛び、未来は
びくっと身をすくませた。「ちゃ、ちゃんとやってます…!」そう言いながら、未来はわざとらしく、
さらに大きく手を動かして股間を撫で回した。お願い、これで許して…。

 だが、未来の内心の祈りも虚しく、男が苛ついたように言う。「いい加減にしろよ? なんなら、
俺が教えてやったっていいんだぜ、手とり足とりな」
「……くっ」
 未来のきつく閉じられた双眸から涙が零れた。どうやら、フリをしているだけで済まそうというのは、
虫のいい考えだったようだ。未来はしぶしぶと中指の先を割れ目に押し込むと、でクリトリスを弄り
始めた。いつもしているように、皮のカバーの上から、そっとくすぐるように擦り、軽く押さえ、
そして時折指をもっと奥に移して柔らかな襞肉をこね回す。心の奥で、絶対気持ち良くなったりなんか
するもんかと自分に言い聞かせながら。
「お前のオナニーはあそこを触るだけなのか? おっぱいを触ったりとかはしないのかよ」
「……」
 男の声にせかされるように、未来は遊ばせていた左手を胸に持っていった。小さな膨らみを掌で
押さえるようにして撫で、乳首を指先で弄ぶ。もう完全に、彼女のいつもの自慰のスタイルだ。
人前で…しかも弟もいる前でこんなことをさせられるなんてと、屈辱に打ちのめされながら、未来は
黙々と身体を弄り続けた。

「ん…」
 だがやがて、むっつりと押し黙って身体を弄っていた未来は、小さな吐息を漏らした。感じまいと
しているのに、刺激に反応して指の下で乳首が固くなり始めていた。そしてあそこも、じんわりと
火照ってきている。未来の頬は次第に紅潮し、彼女は口を軽く開けてはぁ、はぁと荒い息をつき始めた。
 他人の前で、しかも嫌々しているはずなのにこんな…。心ではそう思っても、身体は言う事を聞いて
くれず、火照りは身体中にどんどん広まっていく。だめ、このままだと本当に…
「おい、休むんじゃない!」
「……!」
 感じ始めてしまっている自分に怯え、手を止めた彼女に、男の怒声が飛んだ。未来はびくりと身体を
震わせると、愛撫を再開した。これ以上気持ち良くなってしまわないように、ゆっくりと静かに手を
動かすが、甘い疼きは止めようがなく、徐々に徐々に強まっていってしまう。そして募る官能に抗い
きれずに、未来は無意識のうちにさらなる快感を求め、手の動きを激しくさせていった。

「はぁ、はぁ…ん…はぁっ、あ…」
 荒い息の合間に、悩ましげな吐息を混じえながら、未来はツンと尖った乳首をほぐすようにこね回し、
股間の敏感な肉芽をすりすりと擦り立てた。下腹部の火照りはどんどん身体中に広まっていき、脚から
次第に力が抜け、未来はすぐ後ろにあったコンクリートの塀に背中を預けた。瞑っていた目がうっすら
開けられるが、その目は何も見てはいなかった。とろんとした虚ろな視線を、見物している男の足元に
ぼんやりと向け、未来は一心に自分を慰め続けた。
「あっ、ん…はぁ…んっ、あ…」
 吐息はもはや喘ぎ声へと変貌し、手がせわしなく股間や乳房の上を動き回る。真っ平に近い乳房を
きゅむっきゅむっと揉みしだき、乳首を指先で転がし、股間を弄る指は秘口へと伸びて、そっと中に
潜っていく。蜜を滴らせ始めた膣を、ぬちゅぬちゅと音をさせながら指を出し入れし、掌で淫芯を
撫で擦って刺激する。そして指を引き抜くと指先をクリトリスに移してそこを弄り、それからまた再び
膣に指を挿入する。「はぁっ、あっ、あ…ふぁっ、あっ」可愛らしい喘ぎ声のぴっちは次第にあがって
いき、股間を弄る指の動きも、それにつれてどんどん激しくなっていく。もはや完全に快感の虜となり、
未来は男に見られているのも忘れ、夢中で手を動かした。

「あっ、はっ、あっ…ふぁ…んっ、あ…あぁっ、あ……んっ!」
 そして、ついに頂点まで昇りつめた未来は、びくびくっと身体を痙攣させると、どっと脱力して
ずるずると背中を滑らせた。そのまま尻もちをつきそうになるのをかろうじて堪え、塀にもたれかかった
まま、大きく胸を上下させる。
「はぁっ、はぁっ、はぁ、はぁ……はっ!?」
 ぼーっとした顔でしばらく肩で息をしていた未来だったが、やがて男が見ていることを思い出して
はっと顔をあげると、彼女は男の嫌らしいにやにや笑いと出くわした。それだけではない。男に抱え
られている悠貴も、目を丸くして彼女の痴態を茫然とした様子で見つめていた。

「あ…あ…」
 見られた…オナニーをしてイクところを、悠貴にまで…。未来の顔がみるみる真っ赤に染まっていく。
「へへ、よかったぜ。それにしても初めてにしちゃ、随分手慣れた様子だったじゃないか?」
「くぅ…」
 そこへ男の嘲笑が追い打ちを掛け、未来は悔しさと恥ずかしさとでぽろぽろと涙を零した。そんな
彼女の様子に、男は思わず舌舐めずりをした。子供っぽい裸身に少し萎えていたが、なかなか楽しませて
くれる。どうやらちゃんと濡れてきているようだし、そろそろ…

 だが、肩を震わせて涙する未来に、男はさらに加虐心をたぎらせ、思い直した。いや、まだもう少し
いたぶって楽しませてもらおう。こんな少女を言い成りにできるチャンスなど、そうそうあるものでは
ないのだから。
 ひひひひ…と忍び笑いを漏らしながら、男は妄想を巡らせた。次は…そうだ、しゃぶらせてみるか。
それなら弟を捕まえたままでも可能だ。男は勃起し始めた己の股間を見下ろし、未来に口奉仕させる
場面を思い描いて口元を緩ませた。

(ん…?)
 だがそこで、目の端にあるものが留まり、男の妄想は中断された。もがくのをすっかりやめ、
おとなしくなっていた悠貴が、腰をもぞもぞとさせているのだ。逃げようともがいているわけではない。
まるでトイレでも我慢しているかのような動きだ。(……へぇ)
 悠貴のズボンの前が膨らんでいるのを見つけ、男は意外そうに眉をあげた。このチビ、勃起して
やがる…。男は未来の方をちらりと目をやった。今のオナニーを見てそうなったのだということは、
想像に難くない。こんなチビが、しかも姉のオナニーを見て勃起するとは…(くくっ…)
 男は、ただフェラチオをさせるよりもさらに面白いことを思いつき、にんまりとほくそ笑んだ。

「おい」
「…!」
 男に呼びかけられ、塀にもたれかかっていた未来は身をすくませた。まだ何かさせられるんだろう?
それとも、とうとうレイプされるんだろうか…?
「お前、フェラチオはしたことあるか?」
「な…!?」
 あまりにも恥ずかしい質問に未来は一瞬驚愕に目を見開き、それからぎゅっと目をつぶってそっぽを
向くと、吐き捨てるように言った。
「ありませんっ、そんなこ……」未来はそこではっとして目を開けた。しまった、また…。
「くくっ…」男が含み笑いを漏らす。「フェラチオがどんなことかは知ってるんだな」
「くっ…」
 いとも容易く手玉に取られ、悔しそうに唇を歪める未来に、男は嘲笑うように言う。「ようし、
それじゃあ今度はチンポをしゃぶってもらおうかな。オナニーの次はフェラチオに初挑戦だ」
 予想通りの言葉に、未来は爪が食い込むほどに強く握り拳を固めた。だが、すぐに諦めたように、
ふっと力を抜く。男の言う通りにする他、自分に許された選択肢はないのだ。

「ほら、こっちに来な」
 男に呼ばれ、未来は彼のすぐ前まで歩み寄った。「しゃがめ」という命令に、未来は押し黙ったまま、
男の前に跪いた。彼女のすぐ目の前に男の股間があり、ズボンが膨らんでいるのがわかる。その奥に
あるモノをしゃぶらされるんだ…。恐怖と恥辱に、未来はぶるっと身体を戦かせたが、彼女の考えは、
少しばかり間違っていた。

「ほらよ」
「え…?」
 男が、捕まえていた悠貴をぐいっと未来の前に押し出した。男の意図を掴みかね、未来はきょとんと
した顔になった。
「さあ、こいつのチンポをしゃぶるんだ」
「え…?」
 予想だにしていなかった、そして予期していたよりも遥かに酷い命令に、未来は男の言葉がすぐには
理解できず、なおもぽかんとしたで男を見つめた。「初めてなんだろ? じゃあまずはこいつで練習だ」

「そ、そんな…」
 ようやく男の命令を理解した未来が、みるみる真っ青になる。「い、嫌ですそんな…! 悠貴にまで
ヘンなことしないで…」
「いいからやれって言ってんだよ!」
 未来の許しを請う言葉を遮るように男は怒鳴ると、悠貴の腕を捻る手にわずかに力をこめてみせた。
「くっ…」途端に悠貴が顔をしかめ、未来は慌てて叫ぶように言う。「わ、わかりました、やります、
やりますから…」そして溢れる悔し涙を拭いながら、未来は目の前に押しやられた弟のズボンへと手を
伸ばしていった。

「お姉ちゃん…」
 右腕は後ろ手に捩じ上げられたままで、左の腕もがっちりと押さえられ、悠貴は身動きのできない
まま、姉の手がズボンのボタンにかかるのをじっと目で追っていた。これから何がおこるんだろう…?
「チンポをしゃぶれ」という男の命令は、彼にも聞こえていたが、性知識に乏しい彼には、それは
ひどい悪ふざけくらいにしか思えなかった。しかし、姉の激しい拒否反応に、その行為に自分が思って
いる以上の、何か別の意味があるのを敏感に感じとり、悠貴は不安と共に、何か期待にも似た
思いに捉われながら、姉がズボンのボタンを外すのを見守った。

「うぅっ…ぐすっ…」
 さかんに涙を拭いながら、未来はもたもたとした手つきでボタンをなんとか外し、ファスナーに手を
かけた。が、そこでズボンの前が膨らんでいるのに気付いて、未来はぎょっとして泣き濡れた目を
ぱちぱちと瞬かせた。
 勃起してる…! そこでようやく幼い弟の勃起を知った未来は、戸惑いと気恥ずかしさに頬を染めた。
その原因が先ほどの自分の自慰にあることも、容易に想像がついた。急に弟に異性を強く感じてしまい、
未来はファスナーに手を伸ばしかけたまま固まった。やっぱりダメだ、そんなことできない…。

「ほら、早く脱がせよ」
 だが、未来のためらいを見透かしたように男にせきたてられ、彼女は表情を歪めると、恐る恐る
ファスナーを摘まんだ。そしてファスナーを引き下げ、ズボンを緩めると、静かに太股まで下げていく。
中から現れた白の子供用ブリーフは、ズボンの上から見るよりもずっとはっきりと股間膨みがわかり、
未来はゴクリと生唾を飲み込んだ。

 未来は躊躇いながら、悠貴の下着に手をかけた。「お、お姉ちゃん…」いざズボンを脱がされると、
好奇心よりも不安が強まり、悠貴が怯えと戸惑いの入り混じった声を出す。未来は再度、不安げな弟の
顔をちらりと見やったが、その向こうににやにやしている男の顔が見え、顔を歪めて目を戻した。
もたもたしていれば、また怒鳴られるだけだ。そして未来は意を決すると、悠貴の下着をさっと
引き下げた。

「……!」
 パンツの下からぴょこんと飛び出した悠貴のペニスに、未来の表情が強張った。弟の性器など、
未来は何度も目撃していたが、勃起したモノを見るのはこれが初めてだ。彼女が見慣れたモノより
一回りも二回りも大きくなり、はちきれそうなくらいにパンパンに膨らんでいる。悠貴の…こんなに
なるんだ…。鼓動が急速に早まり、喉がからからになって、未来は思わず拳を胸元に押し当てた。

「さっさとやれよ」
「あ…」
 一瞬、自分が置かれた状況も忘れて弟の股間に見入ってしまっていた未来は、男に言われてはっと
我に返った。「あ、あの…」ピンと勃った弟の肉棒を直に目にし、未来は改めて弟にエッチなことを
しようと…させられようとしているのだと思い知り、おろおろと身じろぎした。悠貴にそんなことを
するなんて…。(くっ…)
 未来の表情が悔しげに歪んだ。嫌だといっても許してもらえるはずがないのは、もう充分に理解して
いた。やるしかないんだ。やるしか…。
「ごめんね、悠貴…」
「お姉ちゃん…?」
 かすれた声で謝り、未来は悠貴のペニスの中ほどを摘まむと、そっと唇を寄せた。そして大きく
口を開き、ぱくっと弟の分身を咥えこんだ。

「あっ!?」
 暖かくぬるついた姉の口腔に分身を包まれ、悠貴がびくっと腰を震わせた。未来が舌をくねらせ、
包皮に包まれた亀頭の下側をおずおずと舐めあげると、さらにびくっびくっと腰を小さく跳ねさせる。
くすぐったくて、こんな状況でなければ身を捩ってくすくす笑い出していたかもしれない。が、さすがに
笑っていられる場合ではなく、姉の舌が肉胴を這い回るこそばゆさに、悠貴はただ黙ってびくびくと
腰を戦慄かせた。

「んっ、むっ…」
 悠貴のペニスを咥える未来は、口中で必死に舌を動かした。自慰と違って、フェラチオの経験は本当に
なかったが、友人たちとのワイ談や、ティーン誌のエッチな記事などで、ある程度のことなら彼女も
知っている。未来はその内容を思い返しながら、ポップキャンディーでも舐め回すかのように、
ぺろぺろと肉胴に舌を這わせ、亀頭を吸い、唇で挟んで頭を前後させた。

(へぇ…)
 必死に弟に口奉仕する未来に、男は意外そうな顔をした。(本当に初めてなのか、こいつ?)
「随分巧いじゃないか。そうそう、その調子だ…。いいか、しっかり舌を押し付けて唾を擦り込むんだぞ。
それから、竿だけじゃなくてタマも舐めるんだ」
「……」
 未来は不機嫌そうにむっつりと押し黙ったまま、しかし男の指示に従って肉竿から口を放すと、弟の
まだ皺のないつるつるの睾丸に口をつけた。鶉の卵ほどもないような小さな塊をぺろぺろと舐めあげ、
口に含んで舌でころころと転がす。素直に言う事に従い、弟の性器を舐め回す未来の姿に、男はすっかり
満足そうな顔で、さらに指示を出していく。「いいぞ…そうだ…舌だけじゃなくて手も使え。そうそう、
そうだ…」




最終更新:2010年03月11日 19:05
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