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宮本輝
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今月の一冊
- 優駿
- 宮本輝
- 生れる仔馬が牡馬でありますように。風の申し子のように速く、嵐みたいに烈しく、名馬の天命をたずさえて生れますように…。若者の祈りに応えて、北海道の小さな牧場に、1頭のサラブレッドが誕生した。オラシオン(祈り)と名づけられた仔馬は、緑と光の原野のなかで育ち、順調に競走馬への道を歩みはじめるが、それと共に、登場人物ひとりひとりの宿命的な劇が、幕を開けた―。吉川英治文学賞受賞。
- 児童文学「風の王」に親しんだ宮本氏は自分の「風の王」が欲しくてこの小説を書きました。「風の王」はこの小説の中でも何度も触れられていますが、サラブレッドの三大始祖の一頭、ゴドルフィンアラビアンの伝説を描いたお話です。
- そういう成り立ちゆえか、「優駿」は神話的性格を備えた物語となっています。登場人物はいずれも潔く、運命にあらがうことなく押し流されていきます。
- 「優駿」は斉藤由貴をヒロインに映画化されましたが、「北の国から」で有名な演出家はその神話的性格を全く理解せず、ぐだぐだのお話にしてしまいました。ホンモノにこだわるあまり、ハイライトには日本ダービーの実写を使うと決めたものの、その年の日本ダービーはメリーナイスが六馬身差で圧勝してしまい、それをそのまま使ったので、原作で描かれた僅差の勝負は台無しに。お笑いぐさです。クリント・イーストウッドの手で再映画化を強く希望。