何故他社の実践した事に追従するのか


英語の文献を読むと「ベストプラックティス」という言葉がよく出てきます。これは、ある課題に対処する為に、自社独自の手法をごりごり開発するのではなく、既にどこかで実践され、高い評価と信頼を得たノウハウを自社にも取り入れて、自社の体制をこれに合わせて最適化してしまう、という事を意味しています。

何故他社が実施済みの事に追いかけるのか。
実績があり、効果もある事が分かっているからです。
一からソリューションを開発するのと比べると、以下の点で違いは一目瞭然です。

  1. 低コストで済む(開発期間も手間も要らない)
  2. やり方が分かっているのですぐに導入できる

逆に、これを導入しない事による自社の不利を「弱点」と考えると、いつ出来て、どの位成果が上がるかもわからない自社独自ソリューションの完成を待つよりも、実績があり、中身も判っていて予測も対策も立て易い、ベストプラックティスを導入して自社を最適化する方がはるかに安価で即効性も期待出来るといえます。自社のオリジナリティはそのベースラインに到達した上で検討すべき課題ではないでしょうか。


別な面から捉えると


最近日本でもようやく浸透してきたIT関連の国際資格試験も、その試験範囲の中心は、やはりベストプラックティスです。これに通じている事が、お互いに共通の土俵の上でビジネスが出来る事を意味し、信頼感を高める結果にもなっているのです。しかし、日本国内ではこうした戦略をとらない企業が多く、自社独自のソリューションにこだわってばかりいたため、国際的な時流の変化についていけなくなってきています。

このまま世界のフラット化がすすみ、オフショア開発などが洗練されてくると、ベストプラックティス未導入の国内企業は強力なソリューションを擁した海外勢に淘汰されてしまうかもしれません。

例えば自社と競合X、Y、Z社が以下のようにセグメントされたとします。
ここで自社以外の3社は同一のベストプラックティスを導入し、業務改善を実行したとします。結果は次のようになりました。


X社・・・② 実績の上では変化無し
Y社・・・③ 売上は自社を抜いたがCSが落ちてしまった
Z社・・・① 売上もCSも大きく成長した

この例は、ベストプラックティスといってもそれぞれの企業の風土や現状を考えて、どこまで企業の現状に手を加えればいいのか、どこからが独自の風土に合う様に最適化する部分なのか、適正に判断しないと必ずしも期待通りの結果にはならない事を意味しています。

しかし、3社には、それぞれの違いはあるものの、共通のフレームワークが根づいた訳です。これが意味するところは、例えばISO9000認証取得のように、そこをベースとした話がすんなり通る、あるいは取引きの必須条件とする事により、お互いの信頼性を確保出来る事にも通じます。自社は未だに対応していない、とすると、

同業他社に差をつけられる
業界の中でも立ち後れてしまう

といったマイナスの影響も見過ごせないものになってくる可能性があります。仮に自社独自の改革で大きく業績を伸ばしたとしても、余りにも独自性を強調しすぎると、孤立化する危険性もあります。やがてはジリ貧になっていくと見られます。







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最終更新:2009年08月12日 11:01