絡繰小町のソシエの体験談


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Title>超レア・フレッシュ・チーズケーキ(絡繰小町風)


あのね、お話してなかった事があるの。なんだか気分じゃなくって。
少し前の話になっちゃったけど、、、ごめんね。

パンダム杯の途中に"裏方"サン抜きで、"出方"の人だけ『反省会』で戯字洞に集まった事があったでしょ? あの時の事。

 ―

「Conteが強いのは判っていたはずです! このままでは御仕舞衆の、いえ戯無封団の名折れです!」
「あ゛? いや、俺は俺なりにだ、マイペースで。」
「何がマイペースですかっ! 『勇者と華』に勝って浮かれていたのではないのですかっ! 」
「ぐだぐだ云うなぁ、お前。御仕舞衆の皆も、一機も落とせてねェじゃねェかよ!」

なんだかすごく違和感があったの。
だってあんなふうに感情を露わにするキキョウさんって、前はあまり見なかったから。

「アラストルさんっ! キキョウさんって最近変わりましたよねっ?!」

退屈だったからヒソヒソ声でお話。

「さ、左様でござるかなぁ…」

なんかおかしい。ちょっとビクッてしたし。じっと見つめると、アラストルさんはポリポリと頭を掻き始めた。
御仕舞の時は鬼神みたいなのに。こんなで人の首なんて斬れるのかしら。ちょっと失礼?

「うぅむ… 拙者も気付いていなかったのでな。つい一昨日、戒に大笑いされたばかりなのだ。」

懺悔が始まっちゃったの。憎めない人よね。

「しかしこういう話は、ソシエ嬢にはまだ判らんかも知れないな。」
「…アラストルさん。今、私を軽くバカにしましたねっ?」
「ぁ… いや、別に、その、、、 子供扱いした訳では御座らんでな。いやいやいや失礼失礼失礼。わっはっは。」
「どういう話ですかっ? 教えてくださいっ! 判らないかもしませんけど!」
「いや失礼!失言だった! 許してくだされ、むぅーん。」

なんだか私ってアラストルさんには強いみたい。
って云うよりケンジさんがいなくなって新しい人が来て戦いも続いてるんで、彼の気遣いなのかも知れないけど。

「…今キキョウ殿がクズ殿に云っている事はな、自責の念だと思うのだ。」

そうかもしれない。キキョウさんが隊長の時はあれを云われる立場だった。でも私達は云わなかったわ。

「だからキキョウ殿は自問するしかなかったのだ。次の仕掛・仕切・仕舞、その次の、と続いたのだ。」

新任ではさぞ荷が重かったろう、ってアラストルさんは目を伏せた。

「だが、、、今回とてクズ殿だけが仕切った訳ではない。キキョウ殿も同じく携わったのだから。」
「じゃあ、どうしてあんな風にキキョウさんはクズさんの事を叱るの? 私達だって同じじゃない?」

またポリポリと頭を掻く。

「相棒の戒はな、、、あの二人には強い依存と許容がある、と云うんだな。」
「はぁー、、、確かにクズさんは街でやらかしたイザコザの後始末をキキョウさんに依存してますけど。」
「時々、戒もそれに噛んでいたりするらしいんだが。呑んでレイゲンとやらの話で『盛り上がった』と聞く。」

アラストルさんが渋い顔をする。元々渋いんだけどね。意味が違うわね。

「いやその話ではないな… 二人は、平たく云えば… 信頼関係、で『男女のモノ』かと云うとむしろまだその手前とか直前とか微妙でもどかしくて、な…」
「全然平たくないですよ? アラストルさんっ?!」

またまたポリポリ。

「そう云えば… ケンジ殿が去るちょっと前に聞いたな… 最近キキョウ殿が、なんというかヒトらしくなったと思わんか、と。」
「凄く酷い云い方だけど、云いたい事は判ります。前は、失礼だけどイエスマンの方が表情が自然な位でしたもの。」
「うむ。ケンジ殿は、アイツを変えたんは俺じゃなかったって事ョ、と云ったが… そうか、今思えばその時気付くべきだったのだな…」

ポリポリポリポリ。
気付いたらヨーコさんがいぶかしそうにこっちを見てた。やばいっ叱られる、と思ったわ。

「ふむ。そうやって男を手玉にとればいいのだなっ!?」

この人、普段はカッコいいんだけど、時々訳わかんない。


そのときだったの。

「俺のチカラはお前のチカラだぜェ? ゲヒャヒャヒャッ! つべこべ云うなキキョウ! これは『お前の負け』だッ!」
「そんな事は…云われなくても判っているッ! クズッ! 貴様はやっぱりクズの中のクズだっ!!」

キキョウさんが飛び退いた-はずなのに-クズさんの後ろにいた。『迦楼羅破天孔』。本気ね。シィッ!と何かが飛んだ音がした。

振り返って受けたクズさんの鼻の穴に竹串が-束で-入ってて! 投げた本数より多いのはナゼ?!

「貴ッ様何しやがんだァゴルァ!! あ゛ーッ!!!」

クズさんが怒鳴りつけて、鼻息で竹串が飛び散って。
それでもひるまずに、キキョウさんはさっと寄って、一本だけ眉間に刺さってた串を抜いたの。

「もうこんなモノも受けきれないでっ! なぜそんなに強がるのですっ?!」

クズさんの眉間から血が一筋伝って。キキョウさんの両目からも涙が頬を伝い落ちて。

なんだかクズさんがとっても驚いてた。聞き取りにくかったけど、気付いてたんかオィ凄ェな、とか呟いたみたい。
でも。

「判ってんなら云うなッ! 『大仕事』の真っ最中だろがッ!!」

クズさんが物凄い大声出して拳を振り上げて、キキョウさんが拳を避けずに受けに入ろうとして。
それをクズさんは読んでて、キキョウさんの股間にヒザ蹴りを入れて。
そのまま拳も振り下ろして、キキョウさんが崩れ落ちたところを、回し蹴りで頭を蹴り飛ばした。
キキョウさんは5mくらい吹っ飛ばされていったわ。

…私、びっくりして動けなかったの。
アラストルさんは腰を浮かせて、鯉口を切ったところで止まってた。ヨーコさんも同じ。むしろ一歩前に出てた。
エステル妃様は身動きせず、目だけで、ただじっと見てた。
皆、命の遣り取りになるんだったら動いていたと思うわ。

「ゲヒャッヒャッ! 俺様のヒザ、切・れ・味・抜・群!! あ゛あ゛あ゛ッ!!!
 オイ、お股ァバックリ裂けちまったんじゃね? 後で診てやんよ、遠慮はいらねェぜ?! ゲヒャヒャヒャッ!」

それで、解散!って云ってクズさんは通路に消えてった。倒れてるキキョウさんの横腹に蹴りを入れて、唾吐いて。

すぐにヨーコさんがキキョウさんに取り付いて、様子を見てた。

私は…自分で気付いてなかったけれど…通路の先に向かって歩き始めてたの。『鋼の糸』を展ばしながら。
チンッ、って音がした。アラストルさんが刀を戻す音。それで我に返ったのよ。

そしてキキョウさんは、ヨーコさんの肩を借りて立ち上がって、私には信じられない事を云ったの。

「…『あくの王国』戦では、無茶をします。そうしてでも、勝ちたい。
 皆さん私に… いえ… 御頭クズに、皆さんのお命を預けてください。」

宜しくお願いします、って言って、身を翻して出て行った。もちろんいつもほど颯爽とではなかったけど。
クズさんを追いかけて斬ろうとした私なのに、なんだか気持ちの持って行き場がなくなっちゃった。

でもね…

私はそのとき、キキョウさんが前よりぜんぜん強くなったような気がしたの。
同じ刃でも、コップの欠片とバトルアックスくらいの違い。アラストルさんの話を聞いたからかも。
私には、ううん、他の人には立ち入れない何か、なんだって思ったのよ、あの二人は。

 ―

その夜よ? 私がハダカで、大広間で仁王立ちしてたの。当然覚えてるわよね。
帰ってきたけどなんだかくたびれちゃって、くさくさして。ドレスを脱ぐのも面倒で。

玄関開ける前に出しそびれた『鋼の糸』を放って、全部斬っちゃって素っ裸。どうかしてるね。
大広間の鏡に写った私のカラダは、自分で云うのもヘンだけど、すっごく健康的だった。
なんだかそれで自分を取り戻せたのよね。あの時は、びっくりしたでしょ? うふふ。

私にはよくわからない。男の人・女の人。
私を連れてくはずだった人は、神様に連れてかれちゃったし。
そういえばあの人も最初はなんなのよ?って思ったっけ。
私もいつかはクズさんキキョウさんのように、、、なのかな。当然もっと優しい殿方がいいけど。

ああ長過ぎね、もう出ましょう。いくらなんでものぼせるわ。
この湖の傍にサウナ小屋があったの、御仕舞衆になってからすっかり忘れてたわ。早く云ってよねっ。

ふふっ、見て見て! 全身汗だく! 玉の汗よ! つるつる~っ!

ねぇ、私のカラダって、きれい?

「イエス」

今まで黙っててごめんね! じゃあ、このまま湖に飛び込んじゃいまーす!!


……んんんん~~、これしきで心臓止まったりしなーい!! 私ってナイス・ボディーッ!!!!!!
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