戯作・終熊猫世話物語 ~其二 金烏玉兎ノ事~


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「それでは貴方の霊的な崩壊は止められないのですか?」

そういうこった、とクズ。
「今まで霊験で他人の霊力を無理矢理引っ張って使って来たツケよ。本体の俺のを維持出来なくなってねぇ。
 ここに来る前から、、、余命はほぼ無かったのさ。」
パンダム杯の激戦でトドメを刺されたかもしんないがな、とさらりと言う。

「俺が今まで霊力委託契約をした相方も皆死んだよ。霊力の使い方に耐えられずにな。
 普通に見りゃ結構有望そうなヤツと組んでもだ。彼岸の尺度は此岸の尺度とは違うさ。
 霊験の話が判るヤツもいねぇ。危ネェって言っても信用しねぇから、隊はいつも俺以外全滅。
 相方殺し、新星殺し、隊潰し。。。皆が言う、塵の輝士とよ! ゲヒャヒャヒャ!」

キキョウお前は俺の最後で最高の弟子だったぜ、とクズ。いつにない率直な感謝の言葉。
でも、とキキョウ。

「人から霊力を引っ張っている限りは、生きていられるのでしょう?
 ならば、いくらでも私から…」

お願いです生きてください、とキキョウ。
そりゃそうだが、とクズが呆れる。

「俺はお前の10才までの人格、ジョン・ドゥのトコロから優先的に霊力を引っ張ってた。
 お前にとっては思い出したくないトコロ、捨てたトコロだろうと思ってな?
 ジェインになってからのトコロからは引いてねぇ。」

気付いてましたとキキョウは小さく頷く。

「ところがよ、そんな一部にも関わらず、今までの誰より膨大な、それ以上に異質なエネルギー…
 何だか判らネェモンに染められちまって、自慢の強面がこんなじゃ商売上がったりだ! ゲヒャヒャ!
 …まぁ正直、俺はお前のお陰で延命出来てたみてぇなもんだからょ。」
「ならば!」
キキョウが声を上げる。

「これからもずっと… このまま一緒に。」

逆プロポーズか!! とクズ。

「2人で一緒に生きていきましょう、ってか?あ゛?」
「…いえ、その、、、2人、じゃないんです。」

言いながらキキョウは自分の腹に手をやる。

「・・・うおおおおおおおおおおおお? そりゃお前、、、ええええええええ?!
 俺じゃなくてアレだ! ケンジだ! 違うか? じゃあアラストル! 戒?
 わかったソシエ…は女か。 究極イエスマンでもいいや、138とかハリーとかクロとか…」

「い・い・え。 父 親 は 貴 方 で す 。」

「うひゃーーーー!!! ありえねー!!!!
 …
 スマンキキョウ、ヤッパリオレハイッショニクラセネェ。オレハタビビトダカラ。
 タビニウマレタビニシヌオトコサ。アア、ツギノマチガオレヲヨンデイル。。。」

キキョウがすっとクズの能力で霊力委託契約をした小指―縁(えにし)の指―を立てる。

「霊力供給を止めますよ?」
「いやいやいやいや、死ぬし! 俺死んじゃうし!! 何それ脅し?!」
「はいっ♪」
「いやいや、子供、ってソレ、お前の自己増殖なんじゃね?霊的に?
 お前と、お前成分たっぷりの俺との、ってさ?な? いいのかそれって?
 マズくね? 社会通念ってか常識ってか、そのナニカ的なナニカがさっ?」

「…私は捨て子だったそうです。」

キキョウが言う。
だがそれらは、自ら過去を別人格に封じて葬ったキキョウより、
供給された霊子に刻まれた記憶を読み取ったクズの方が実はよく知ったことなのだ。
だからキキョウが詳細を語らなくても、クズはその痛みや苦しみを全て知っている。

「今までいろんな事があって、忘れたい事、思い出せない事、思い出したくない事…
 自分が本当にヒトなのか、女なのかも判らないで生きてきたんです。。。
 そんな私にとっては、拠るべき所、家族が出来るのは。」

何より嬉しい事なのです、とキキョウは結んだ。
「…ケッ! 命拾いの上に『相方殺し』の汚名も消せるねぇ! こんな化けモンが生涯の相方ならなァ!」
クズは毒づくが、顔は思い切り嬉しそうで照れ臭そうだ。

「オイ… ホントにこんな、屑な男でいいのかよ?あ゛?」

「ハイ… 私もどうやらずいぶん、奇矯な女のようです。」

キキョウはにっこりと微笑む。熊猫シティに来た頃には無かった、心の底からの笑顔だ。
ゲヒャッ、ゲヒャヒャヒャヒャッ! とクズも嗤う。

「共に白髪の生えるまで、ってヤツだな?あ゛?!」

いいえ ― キキョウはかぶりを振り、再度『縁の指』を立てて言う。

「死が二人を分かつまで、です♪♪♪」

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