※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

  • 暮らしのハンドブックより

赤道直下の緑豊かな国
マレー半島の南半分の半島マレーシア(西マレーシア)と海を隔てたボルネオ島の北部の4分の1強を占めるサバ、サラワク州(東マレーシア)からなり東経100-120度、北緯1-7度の範囲にある。国土の面積は33万平方キロ、日本の9割弱の面積。半島部の60%、東マレーシアの70%が原生林つまりジャングルで覆われている緑豊かな国である。

熱帯夜のない過ごしやすい国
ほぼ赤道直下のため日の出、日の入りの時刻の変化は最長でも30分程度で昼と夜の長さがほとんど同じと考えてよい。KLではおおよそ朝7時前後に日が昇り、夜7時前後に日が沈む。気温は一年中を通じて昼は31度前後、夜は23度前後である。マレーシアはいわゆる熱帯に属すが夜は25度以下に下がるのでいわゆる熱帯夜はないといえる。湿度は高く一年中を通じて80%を超える。年間の雨量は場所により1,800から4,000ミリの範囲。10-2月は南シナ海から北東モンスーンが吹く雨季。5-9月はインド洋から南西モンスーンが吹く。この時期はマレーシアでは比較的雨量の少ない時期である。その間の3-4月は雷を伴うスコールが多発する時期。

政治的安定度は世界でナンバーワン
半島側11州と東マレーシア2州合わせて13州と連邦直轄区すなわちクアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアン島からなる。政体はいわゆる立憲君主制で日本と似た形態といえる。マレーシアの国王(アゴン)九つの州を代表するスルタンの間で5年毎の選挙で決めることになっている。しかしながら実際には9人のスルタンの間で一種の輪番制を取っているというユニークな君主制である。
議会は上院と下院の二院制。上院議員の総数70名のうち44名は国王の指名により任命され、残り26名が各州議会から選出される。
政治の実権を握る下院の議席数は219議席。この3分の2を常時連合与党が占めている。政治的安定度は抜群で1957年の独立以来一貫して連合与党が政権を担うという安定的長期政権が継続している。かつてアジアで安定した政権は日本の自民党とマレーシアの連合与党といわれていた。自民党はその後政権を失うこともあったが、マレーシアの連合与党の政権は50年を経てまだ続いている。マレーシアの連合与党は最大多数のマレー系(UMNO)を核とし中国系(MCA)、インド系(MIC)、その他から構成され大臣のポストも中国系やインド系やサバ、サラワクの少数民族の代表にバランスよく配分することで絶妙な政治的安定が保たれている。なお、政府は27省と内閣府で構成されているので28人の大臣がいる。首相は歴代マレー系のUMNOの総裁が任命され初代のアブドルラーマン首相から始まり、現在のアブドラバダウィ首相が5代目となる。4代目のマハティール前首相は1981年から2003年まで首相を務めた。自身親日家でもあった同氏は首相就任当初から「ルックイースト政策」を提唱し、従来欧米を向いていた国民の目を東の国、特に日本に向ける政策をとった。

マレーシアの政治で驚くべきことは政権交代にあたって暗殺や革命という流血の騒ぎがなかったことである。すべて民主的な選挙と一種の禅譲で政権が交代してきている。政権交代にあたって周辺の国や多くの発展途上国では必ず革命や暗殺が絡んできたがマレーシアはそういうことがまったくない世界でも類を見ない平和裡に政権交代がなされた国といえるのである。

ブミプトラ政策
ブミプトラとはマレー語で「土地の子」を意味し、主に先住民族のマレー系およびその他少数民族を指す。「貧困の撲滅」と「民族間の所得格差是正」を目的とした「ブミプトラ政策」は1971年に導入され現在に至るまで続いている。このブミプトラ政策により、順調な経済成長に伴う全体の所得水準の向上とあいまって人種間の所得格差が是正され、政治的安定につながってきたといえよう。

多くの多様性を持つ国
マレーシアに住んでみてもっとも快適なことは日本人ということで不愉快な思いをすることがないことであろう。歴史的にマレーシアの人たちは外国人を柔軟に受け入れ、世界でも類を見ない政治的に安定した多民族国家を作り上げてきた。たとえば古くから中継貿易の基地として栄えたマラッカでは15世紀当時4,000人の外国商人が住み84の外国語が話されていたという。各民族は他の民族と交流するものの互いの違いを尊重し、一定の距離を保ち余計な干渉はしない風土を作り上げてきた。いわば同じ国の中に外国人同士が常に同居しているようなものである。したがってマレーシアの人たちは外国人に対して違和感がない。自分たちの家族も留学などを通じ多くの国に別れて住んでおり、国際結婚にも違和感が少ないようである。日本人がすんなりと溶け込める風土があるといえる。

このように古くから外国人を受け入れてきたマレーシアには5つの多様性があるといえる。すなわち①多様な人種、②多様な宗教、③多様な文化、④多様な言語、⑤多様な食文化である。これらが世界中の人をひきつけ、観光のみならずビジネスが発展する要素にもなっている。

日本人にとって違和感のない国
特に日本人がマレーシアに住んで快適なのは前マハティール首相から受け継がれている「ルックイースト政策」があることも一因。これはいわば「日本人の仕事に取り組むまじめさなどいいところを見習え」という政策である。アジアの国の一部では「日本が憎い、嫌いだ」という政策を取っている国は複数あるが公然と日本に見習えといってくれる国はマレーシア以外には見当たらない。

1980年代の初めからマレー系を中心とした留学生が数多く日本に送り込まれ日本政府もそれを支援してきている。中国系も私費留学で多くの人たちが日本の大学に学んでいる。このため日本語を理解する人たちは想像以上に多い。いろいろな場所に日本語を理解する人がいるのである。日本語だからわからないだろうと思って品性に欠ける発言や現地の人の悪口を言ったりすることは慎みたい。またこういう会話は言葉が分からなくても雰囲気が伝わるものであることを肝に銘じておきたい。

逆に日本人として緊張感を感じることがないことを妙に勘違いし現地の人たちを見下す言動や、横暴な振る舞いをすることは厳に慎むべきである。日本人として「品格」を持った行動をしたい。あるセカンドホーマーが朝食のビュッフェをプラスチックの容器に入れて昼食用に持ち帰るのが現地の新聞で笑いものされたというケースがあった。このようなことをすると日本人全体のイメージがダウンする。

常日頃我々はあくまでも外国人であり、これほどまでに快適な生活環境を造ってくれたのは現地の人達であることを忘れるべきでない。現地の人たちが
税金を負担して電気・水道・通信・道路などのインフラや、このような生活環境を造りあげたという感謝の気持ちを持って生活すべきであろう。
たとえば、レストランなどで注文を間違えることはよく体験する。この時に声高に店の従業員に文句をいうべきでない。品性に欠ける振る舞いである。ローカルの人たちは誰もそんなことはしない。間違えたことを指摘すればすぐ作り直してくれる。大体日本の3分の1のコストで生活しているのである。日本並みのサービスを要求するなら日本並みのコストを負担すべきであろう。

民族と宗教・言語
マレーシアの人口は2,558万人(2004年)。そのうちの80%弱は半島側に住んでいる。人口構成はマレー系を中心とするブミプトラが65.1%弱、中国系が26.0%、インド系が7.7%、その他少数民族となっている。東マレーシアではカダザン族、イバン族などの少数民族が優勢でサバ州の人口4分の3、サラワク州の半分を占めており州における政治的リーダーシップを握っている。

民族 宗教 言語
マレー系 イスラム マレー語
中国系 仏教、道教、儒教、キリスト教 広東語、福建語など南部の中国語と普通語(プートンホワ)と呼ばれる標準中国語
インド系 ヒンズー教、キリスト教、イスラム教、シーク教 主にタミール語、パンジャビ語、一部ヒンズー語

宗教に関してはイスラム教が憲法で国教と定められているが、他の宗教も個人が自由に信仰しかつ実践することができる。各民族の宗教的な大きな行事や祭りの日は国の祝祭日となり、国民全員で休む。これも国民の一体感醸成に役立っているように思える。

多くの民族が交流した国
歴史的にマレーシアには多くの民族が渡って来ている。もともとマレーシアには原始先住民族に加え、移住してきたマレー民族が各地に分かれて住んでいた。そこに朝貢関係を結んだことから中国人、(朝貢関係を結んだのはマラッカ王国、マレーシアと呼ばれる国ではない)植民地化を狙ったポルトガル、オランダ、イギリスが進出、その後労働力や出稼ぎとしてインド人、中国人がやってきて住み着いたのである。第二次大戦中は短期間だが日本がマレーシアを支配した。これほど多くの人種がマレーシアにやって来たのはマレーシアが海上交通の要衝にあることと多種多様な木材、錫、ゴム、パームオイルなど一次産品に恵まれた魅力的な国であったからである。

最大多数を占めるマレー系国民が後からやってきた中国系、インド系の移住者を国民の約4割を占めるほど受け入れてきたことは驚異的といえよう。マレー人の寛容性をここに見ることができる。争いごとを好まない穏やかなマレー人であったからこそ、よそ者が自分の土地に住むことを受け入れたのであろう。後から住み着いた中国系やインド系もマレー系住民と交わることでその影響を受け出身国や他の東南アジア地域の中国系やインド系住民と比べはるかに穏やかな性格になっているといわれている。

共通語は英語
中国系は広東語、福j建語、普通語などの中国語、インド系はタミール語、パンジャビ語など各民族が独自の言語を継承している。中国語で教育する学校も数多くある。このため各民族のコミュニケーションの手段としてはもっぱら英語が使われている。
イギリスが植民地支配をしていたときに普及した英語が共通語となっているのである。おかげで英語だけでほとんど仕事も生活もできる日本人にとってありがたい国なのである。

さらにマレー系以外の各民族はほとんどマレー語、英語、各民族の言語の3種類をマスターしており中国系は中国本土のみならず世界各地に展開する華僑とのビジネスに役立て、インド系はインドとのビジネスに役立てている。またマレー語はインドネシア語とルーツが同じであり、似通っている。インドネシアからの出稼ぎ労働者が多いのは言葉に不自由しないことが理由の一つとなっている。

これほど多くの外国人が集まるマレーシアは英語を初めとした多種類の外国語を安いコストで学ぶ穴場といえよう。日本人長期滞在者も積極的にマレーシアで英語・中国語など外国語を学ぶことをお勧めしたい。余談ではあるがマレーシア人の英語の聞き取り能力には優れたものがある。
世界には多種多様な英語が存在する。聞き取りにくい癖のある英語もすくなくない。しかしながらジャパニーズイングリッシュを含め多種多様な英語を見事に聞き分ける能力があるように思える。日本人がかっこいい英語をしゃべらなくても彼らは理解しようとしてくれる。恥ずかしがらないでどんどん英語で話かけよう。