彼女に剣を-phase06


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  • ENISI

「か、亀じゃねーか!」

亀は亀でも、べらぼうにでかい。俺が山だと思っていたのもヤツの甲羅の上に生えている森の塊だったようだ。

「あの生物の名前はヤクガメ。面積は504.88 km²。高さは甲羅の上の森を含めて約2000m。
あの甲羅の上の森には、人類が未発見の生物が数多く生息しているわ。」

「けど俺の世界はあんな森に囲まれてねーぞ!」

「あなた本当に馬鹿ね。私が言ったのは、あの生き物の中。あの生物の体内。
あの生物は1日に恐ろしい量の土を食べるのよ。山がひとつなくなるくらいのね。
なのに、排泄行動を全く行なっていないの。もちろん食べただけでは物はなくならないわ。
その奇怪な現象を説明するために科学者はこう提言した。あの生物の中にブラックホールが存在していると。」

「わお…。」

「10年前あなたはあの生物の外にいたのよ。そして、ある日あいつに食べられた。」

  • ooi
あれ、でも前に観た10年前の記憶では俺は金玉だったような…
良く分からなくなってきた。元々良く分かっていないが。

「それで? 飲み込まれた俺はどうなったんだ」

  • issen
「当然死んだわ。」

「おい!」

衝撃の事実である!

「当然じゃない。あれに飲み込まれたのよ?
 それが咀嚼された際に死んだのか、飲み込まれたショックで死んだのか、胃酸で溶けてしまい死んだのかは分からないわ。
 ただ死んだのはあくまであなたの肉体に限った話しよ。」

「どういうことだ?」

「坊やの肉体は滅んだの・・・ただし睾丸を覗いて。」

「こ、睾丸だけ生き残っただと・・・?」

「そう・・・そして睾丸だけになったあなたはこう願ったのよ。
 『死にたくない』と。
 全く本当に生き意地が汚い男よね。」

「こ、睾丸に思考能力があるのか!」

もはや自分の睾丸が別の生き物に思えてくる。

「あら?よく言うじゃない男は下半身でモノを考えるって。」

「そう意味じゃなねーよ!」

「じゃあどういう意味なの?」

「言えるか!」

この女には羞恥心というものがないのだろうか。

「まあ、坊やはそう願ったの。
 そして願ったことで変化が生じた。」

なかなか話が進まないので織田さんが話を続ける。

「これまであのヤクガメによる被害は凄まじいものだったわ。
 正直、あれのせいで世界の人口は3割は減少したの。
 まあ当然ヤクガメを駆除すべく国家間が協力して対応した・・・が結果は散々たるもの。」

「当時世界のリーダーだったアメリカは大陸ごとあのヤクガメの胃袋の中。
 あれが意志を持って行動しているのかは分からないわ。
 そもそも生き物なのか自然現象なのか、それとももっと別の何か・・・なのかは今となってはもう分からない。」

「アメリカを蹂躙したヤクガメは太平洋を渡って日本まで来たの。
 あれは北海道から東北と順番に飲み込んでいったわ。
 そして関東に行き着き・・・あなたは食べられた。」

「正直話の規模がデカすぎて実感が沸かないな・・・。」

俺の世界ではアメリカ大陸はもちろん人口も60億人くらいはいたはず。
それが実際はあの化物によって世界地図が書き換えられていた?
人類が淘汰されていた?
とても信じられる話ではない・・・が、口から零れたこととは裏腹に不思議と二人の話はすんなりと受け入れられていた。
これも股間の睾丸が3つになった影響だろうか。

そう、3つに。

「おい!俺の睾丸が3つあるぞ!!」

「一体いきなり何を訳のわからないことを言っているのよ。」

確かに自分でも訳の分からないことを言っていることは分かる。
が、現に股間にはタマが3つぶら下がっているのだ。

「明智の睾丸に触れたじゃない。
 3つになるに決まってるじゃないの。」

「え?」

「何をそんな間抜け面にしているのよ。不細工に磨きがかかるじゃない。
 明智の睾丸を今使っているのよ?
 使用者であるあなたの股間に明智の睾丸が付くのなんて当たり前でしょ。」

「俺は!一切!そんな!話を!聞いて!いない!」

「ほら、あなた達二人そろそろ始まるわよ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!戻るんだよな!俺の股間は元に戻るんだよな!」

明智の睾丸がパラサイトした人生なんてまっぴらごめんだ!

「それより今からあなたの睾丸がヤクガメを滅ぼす・・・いえヤクガメという巨大はエネルギーを別の物に変化させるわ!」

「頼む!答えてくれ!!」

俺が心の底から悲鳴を上げると同時に、ヤクガメが眩い光を放った。

  • ho-senka

「これは…まさかこれが…?」
「綺麗ねぇ…これが私たちの世界が生まれた瞬間…」

光は垂直に昇り、雲を突き抜けた上で放射状に広がる。
広がった光はところどころに垂直に降り、柱を形成する。
そうまるで

「まるで『はれるや』の柱のよう…でしょう?」
「じゃあやっぱりこれが…」

光のドームが完成し、眩い光が辺りを包む。

と思われたその時。
「…!」


ブラックアウト、完全な暗闇。
「一体何が…時計?!」

返事がない、暗闇で何も見えない、人の気配が全くしない。
そんな中、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「そう、10年前のあの時君が僕を創り変えてしまったんだ。」
「明智…光秀…?!」

暗闇に浮かび上がる異容。ピンクと黒のカラーリングに緑の目。

「何故お前がこの記憶の中に干渉できるんだ…!?」
「何故って簡単さ」

くくっと嗤う。仮面からは表情は読み取れないが、そんな気がした
「元々創造主である君と、この世界の元となった僕は同一の存在だ。
更に君は僕の睾丸の片方を取り込んでしまった…この世界で睾丸の持つ意味は…君ももう知ってるだろう?」

そんなのアリかよ…というか今、聞き捨てならない事を言ってなかったか?

「この世界の元になったって…つまりお前は…」
「君たちには感謝してるんだ。」

遮るように口を開く明智。

「元々僕に知性はなかった。あるのは全てを飲み込む本能だけ。
君に作り変えられることで色んな事を知ることができた。
まぁ、まさかこんな形で僕を止められるとは思わなかったけどね。」

「…」
「ただまぁ、もうそろそろいいだろう?
あの女、病院坂時計が外から『発明』を持ち込んだお陰で『歪み』が出来た。
この世界は完全では無くなった。
僕は元々の使命を果たさなければならない。
もう君の世界に用は無い。」

「…教えてくれないか?」
「?」

「俺にはこの世界での記憶しかない。10年前以前、元の世界の俺は、一体何者だったんだ?」
「…君はそれを聞いてどうするんだい?」

「どうにも…ここまで来たらもう本当の事を知りたいだけだ…」

明智は少し考えて、こちらに向き直った。
「…いいだろう。君は…」



「君は、僕『ヤクガメ』を作り変えるために造られた、生体兵器『はれるや』の起動キーだ。」

  • hasetti
「俺が・・・?造られた?」

「そう、君は僕を作り変える為に作られた存在だ。」

こんな化け物をどうにかするためだけに造られたなんて・・・

その事実を知った俺は病院坂から聞いた肉の塊を思い出していた。

「病院坂の言っていた俺のあの姿が・・・」

「そう、あの肉塊は僕を作り変えるときの君自身、つまり生体兵器を起動させた君の姿さ」

周りの空間がゆがみだす。目が回ったような感覚に襲われる・・・

「僕を作り変えるために君を取り込んだ。だけど意識だけが分離した。それが1つの睾丸となった。
 そして君の意識がこの世界を作り出した・・・」

明智の目が怪しく光りだした。

「君の世界を壊し、君と一つになれば、僕も完全に進化できるのさ。」

明智の意識が俺の中に入ってくる・・・頭が割れそうに痛い!

「やめろ!やめてくれ!」

そのとき、遠くで誰かの声が聞こえた・・・

  • shu
うおおおおおおおおおおおお!!!

誰だ?この声。明智じゃないもう一人の誰か。
とても聞き覚えのある荒々しい声が頭に響き、次第に近づいてくる。

「誰だ貴様は!いつからそこにいた!?」
明智は初めて取り乱したように叫ぶ。

「へっ!睾丸の融合には睾丸の開放が必要になる。
それまで隠れてたんだよ!あんたの睾丸にな!!」
「貴様は…あの時殺したはず……!」

殺されたって……やっぱり…!
「お前!御手洗なのか!!?」
「ふん、覚えてやがったか。」

なんで御手洗が…いやそれより姿が見えない、どうなってるんだ?

「確かに俺は明智に殺された…が、殺られる瞬間に
明智の睾丸へ意識を移したんだ。」
「御手洗、お前一体…」

「俺も病院坂と同じ外の人間。」
「外の?」

明智の意識が膨らむ
「僕を無視して無駄話とはいい度胸ですね…」
ボン!と衝撃が走る。

「畜生!モタモタしてられねぇみてぇだな、川中島ァ!」
「お、おう!」

明智の意識が弱まり、御手洗の意識が鮮明になっていく。
「俺は意識の持つ限りコイツの行動を抑え続ける!
お前はお前の役目を絶対果たしやがれ!」

「俺の役目ってなんだよ!御手洗、お前はどうなるんだよ!!」
「大丈夫だ、今お前が明智から逃れる時間くらい作れるぜ。
早く自分を取り戻すんだ、3つも睾丸を持ってんだぜ!簡単だろうがよ!」
顔は見えないが、御手洗の笑う姿が浮かぶ。

「貴方みたいな下等な存在に僕が邪魔されるとは……」
明智のか細い声は震えている。

「病院坂達によろしく頼むぜ」
「御手洗……」

そして郁人は念じる。明智の排除を。
苦しそうな明智の断末魔と御手洗の叫び声がだんだん静まり。
織田と病院坂の居る、元いた部屋へと戻っていた。

俺はなぜか、涙を流していた。
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