ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

使い手 その3

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akakami

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「はぁ……はぁ……」
のび太はトレーナーズスクールに着いた。
校門からは屋上が見えない。
彼が上を見上げると、薄い雲のかかった満月が目に映った。

―――のび太は暗い通路を駆け抜け、階段を蹴っていく。
いつもの彼なら暗い所が苦手で、足が竦んでしまうところだが、今は違った。
ドラえもんを助けたい……その一心で進んでいる彼は、恐怖など疾うに吹き飛ばしていた。
それも、彼のドラえもんに対する思いゆえなのだろう……

彼が最後の段を踏んだ時、扉が僅かに開いていた。
その隙間から、柔らかな月光が差し込んでくる。
(この先に、ドラえもんとドラえもんを誘拐した奴が……!)
のび太は決意して、扉の取っ手を回す。
光が溢れてきて、のび太は前方の人影に目を凝らした。


「結構はやかったね、のび太」
その少年は、モンスターボールを弄びながらのび太の方を一瞥した。
その横には、気絶したドラえもんの姿。
のび太は一瞬、何が何だかわからなくなっていた。
「どうしたの、のび太? 僕がドラえもんを誘拐した張本人だよ」
想像だに出来ない状況を前に硬直するのび太を見て、少年―――ミツルが微笑んだ。



「ミツル? な、何ふざけてるのさ」
「ふざけてなんかいないよ」
目の前の現実を信じたくないのび太に、ミツルは冷たく言い放つ。
それを聞いたのび太は声すら出せなかった。
「どうしたんだよ、のび太
僕がドラえもんを誘拐した……それだけのことさ
さぁ、早くしないと連れてっちゃうよ?」
ミツルが、悪びれもなくそう言った。

のび太の目から、一粒の涙が零れ落ちる。
意味がわからない。
なんで、なんでミツルがドラえもんを誘拐したんだ?
ミツルと僕は、紛れもない友達だったじゃないか。
一緒に下校したり、仲良く話したり。
そんなミツルが……なんで?
この数週間、ミツルと過ごした記憶の断片が頭の中に現れては消えていく。
治癒の授業で初めて喋って、そこから仲良くなって、思い返せばつい最近の事。
でも、今ののび太はそんな日々が物凄く遠いものに感じていた…………


「ミツル」
一歩踏み出し、のび太が口を開く。
その精悍な顔つきは、さっきまでの迷いや戸惑いといったものを微塵も感じさせない。
のび太は涙を拭いて、覚悟を決めた。
「やるしか、ないようだね」



「じゃあ始めようか。そこにある籠の中に3つのモンスターボールが入っている
それを使って僕のポケモンを倒せばドラえもんは返してやるよ
ただし倒せれば、だけどね……いけっ、サーナイト!」
ミツルがボールを投げ、サーナイトが出てくる。
「これはスクールのポケモンじゃない。正真証明僕のポケモンさ」
得意気に笑うミツル。
のび太はそれを見て、1個目のボールを放った。
そこから出てきたのは、コイル。

「それじゃあバトルスタートだ! サーナイト、コイルにきあいだまを放て!」
サーナイトが物凄い威力のきあいだまを撃つ。
しかし、コイルはそれを何とか耐えきった。
「な、コイルが耐え切れるはずが……」
「このコイル、きあいのタスキを持っていたんだ! コイル、電磁波を!」
きあいのタスキによって致死量のダメージを持ち応えたコイル。
攻撃を終えたサーナイトに電磁波が炸裂する。
(ん、待てよ……? スクールのポケモンってアイテムなんか持っていたっけ……?)
何かが引っかかって思考するのび太だが、不意にミツルの声がする。
「麻痺してもコイルよりは速いよ。きあいだまでフィニッシュだ!」
再び放たれたきあいだまは、残されたコイルの体力を奪った……

「くそっ。戻れコイル……次はこれだっ!」
コイルを戻し、次のボールを投げるのび太。
ガス状のポケモン、ゴースが現れた。



「ゴース……厄介な奴が出てきたね」
「こいつなら、例えレベル差があっても麻痺したサーナイトに先制できるよ」
少し優勢を装って言い放つのび太。
しかし、頭の中はかなり混乱していた。
(どうすればいい? ここからどうすればあのサーナイトに……
催眠術は麻痺状態の相手には通じないし、みちづれは覚えていない……
レベルが低いポケモンだから当然か……なら、あれしかない)
「ゴース、シャドーボールだ!」
のび太のゴースが怪しく笑いながら黒い球体を作り出し、それをサーナイトに撃つ。
レベル差があっても、その特殊攻撃能力の高さでそこそこのダメージを負わせることが出来たようだ。

「やった! いいぞゴース」
僅かな勝率を感じ、喜ぶのび太。
しかし、それもすぐになくなってしまう。
「小癪な……サイコキネシスで吹っ飛ばせ」
サーナイトがゴースにサイコキネシスを放つ。
それをまともに受けたゴースは、一撃で瀕死状態になってしまった……
「そ、そんな……ゴースまで」
ガックリと膝をつくのび太。
さっきのきあいだまといい、サイコキネシスといい、やはりレベルが違いすぎる。
(こんなのに勝てるわけない……)
頭の中では半ば諦め状態になっているのび太。
しかし、ドラえもんに対する強い思いが彼の手を最後のモンスターボールに触れさせた。
「勝率が少しでもある限り……僕は戦う! いけ、最後のモンスターボール!」
ボールから出てきたポケモンは、体の周りにバチバチと電光を弾けさせる。
のび太最後のポケモン―――ピカチュウがサーナイトと対峙した。


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