『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第二章 ♯第十八話 「業火」

のび太は紅く輝くボールを投げた。
ボールからは今までのモウカザルとは全く違い、
どこか、神々しいオーラーと、激しい炎を纏った。
ゴウカザルが現れた。
クラウドは小さく舌打ちをした。
「厄介やなあ、早めに倒させてもらうで!」
クラウドに呼応するようにニドキングはゴウカザルに突進する。
「さっきまでの僕らとは違うぞ!いけえ、ゴウカザル!!」
ゴウカザルはもの凄い速さで、ニドキングに飛び掛った。
そしてそのまま、ニドキングの首筋に強烈な蹴りを浴びせた。
すると、さっきまでのモウカザルの攻撃にはビクともしなかったニドキングが、
低く呻き声を上げ、ふらついた。
ゴウカザルはその隙を見逃さず、ニドキングの腹に鋭い突きを放った。
ニドキングの巨体は、宙に浮かんだ。
「よし、インファイトだ!ゴウカザル」
ゴウカザルは再び、ニドキングに飛び掛り、猛烈なラッシュを浴びせた。
「いいぞ、ゴウカザル!」
ゴウカザルの凄まじい攻撃は、確かにニドキングにダメージを与えていた。
しかし、流石はクラウド最強のポケモン、ニドキング。
雄叫びを上げ、ゴウカザルを振り払った。



「なめんなや! ニドキング、じしんや!」
ニドキングが腕で地面を打つ。
強烈な振動が着地したゴウカザルを襲う。
ゴウカザルは振動の衝撃によって弾き飛ばされた。
「ゴウカザル!」
「まだや、でんげきは!!」
ニドキングが口から凄まじい速さの電撃を繰り出す。
それはゴウカザルに直撃し、ゴウカザルを地に叩き落した。
「ゴ、ゴウカザル! 頑張ってよ!!」
のび太が必死に呼びかける。
「はかいこうせん!!」
だが、そんなのび太の想いを踏みにじるかのようにクラウドの声が響く。
ニドキングが放った衝撃波はのび太に向けられて放たれていた。
のび太にオレンジ色の「死」が迫る。
しかし、のび太は諦めなかった。
のび太は「死」に対し、真正面に向き合い、歯を食いしばっていた。
そして叫んだ。
「僕は逃げない!! お前らなんかに負けないぞ!」
その言葉を聞いたクラウドは高笑いをした。
「上等やないか……」
しかし、クラウドの言葉が消えた。
復活したゴウカザルがはかいこうせんを粉砕したのだ。



「な、何や? こいつ!?」
クラウドとニドキングは予想外の出来事に驚き、慌てている。
ゴウカザルは全身に紅蓮の炎を纏い、のび太の前に仁王立ちしていたのだ。
「ゴウカザル……」
のび太もぽかんとした表情でゴウカザルを見つめる。
それに気づいたゴウカザルは、ニイッと笑った。
そして、のび太の指示を待った。
「ゴウカザル……よし、これで決めるぞ!」
はかいこうせんという技は使用したポケモンにかなりの疲労を与えるのだ。
ニドキングはそれを2発も使用したので、かなり疲弊していた。
倒すにはい今しかない。
「ゴウカザル!! フレアドラ――――イブ!!」
ゴウカザルがもの凄い速さでニドキングに突撃する。
もちろん、ニドキングは避けられる筈もなく、ゴウカザルのタックルで、
上空に、吹き飛ばされた。



「もう諦めろ、クラウド! お前の負けだ!」
のび太がクラウドを指差す。
クラウドは無言でニドキングを回収した。
すると、口角を吊り上げ、不敵な笑みを浮かべた。
「なあ、覚えとるか? お前らが初めてわいと戦ったときのことを」
「? 何急に?」
のび太は何か嫌な予感がしたので、身構えた。
「あん時、ぎょうさんポケモンが襲ってきたやろ?」
のび太はあのときの紫の軍勢をはっと思い出した。
「まさか……」
「そのまさかや!」
クラウドは巨大なモンスターボールをどこからか取り出し、振りかぶった。
しかし、クラウドは何者かに攻撃され、その場に倒れこんだ。
攻撃したのは……スネ夫のブラッキーだった。
「ブ、ブラッキー?」
のび太がすっとんきょうな声を上げる。
そして、はっと顔上げると、ドラえもん、しずか、スネ夫の三人が泥だらけの姿で、
笑みを浮かべ走ってきた。
「み、皆!」
のび太はすっかり緊張の糸がほぐれ、へたへたと座り込んでしまった。



「だ、大丈夫かい? のび太君!」
ドラえもんがのび太の肩をゆする。
のび太はゆっくり頷いた。
「やったわね、のび太さん! 凄いわ、クラウドを倒すなんて」
しずかがのび太の手を握る。
スネ夫も頬の泥を拭いながら笑みを浮かべている。
のび太は足に力を入れなおし、立ち上がった。
「さあ、あと少しで僕らの勝ちだ! この街を救おう」
のび太達はは気を失っているオリーをゴウカザルにおんぶさせ、
街の中心部を目指した。