※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

少々時間をさかのぼって、ジャイアンが地下通路に来た目的の話。

育て屋にピンプクを届ける仕事を託ったジャイアンはマスキッパに掴まって移動していた。
いま丁度御霊の塔を通り過ぎたところだ。
……が

「止まれっ!!ここが俺の家だ。」

ジャイアンはビクッと反応し、辺りを注意深く見渡した。
前にもあったことだ。ジャイアンには見えない何者かの声が藪から棒に聞こえてくることは。
ジャ「誰だ?」
ジャイアンが予想しなかったほど早く、的確な答えが帰って来た。
「俺はミカルゲ。今お前のリュックに入ってる。この道路に来たついでに俺を助けてくれ。
俺もサファリでお前を助けたろ?お互い様だ、な?てことで俺をそこの壊れた石の塔にはめて、固定してくれ。
そんで、地下通路に行って誰かといっぱい話して帰って来い。そして俺の様子を見に来い。分かったな?」
ジャイアンは余りに質問が多すぎて逆に何も言えなかった。
それから何とかこれから起こす行動に必要なことだけ聞きだし、地下に潜った。


数分の時間を使い、ジャイアンが地上に戻ると、変な石をはめ込んだ塔にこれまた変なポケモンが出現している。
ミカルゲ「まさかフタバタウンで拾った石ころがポケモンになるなんて考えもしなかっただろ。
俺、昔ちょっと問題起こしちゃって…それでここに繋がれてんだ。
さて、俺を自由にしてくれた礼だ。手持ちに困ってんだろ?俺を捕まえろよ。」



スネ夫がキッサキシティで地下から這い出した。
スネ「ジャイアンの奴、皆のゲーム進行具合を遅らすために呼び出したんじゃないだろうな。」
エルレイドが手持ち入りしてもスネ夫のイライラが治まるわけではなかったようだ。
スネ夫自身としては、これでやっと他の人と実力が並んだ程度のこと。
そして彼が目指すのはその上。仲間達を全員見下す位置につくことだ。つまりゲーム内での最強。
スネ「やってやる!!見てろあいつ等!!!」
頭の先まで雪に埋まって、スネ夫は歩くと言うよりは寧ろ泳ぐ様にキッサキ神殿に潜り込んだ。

最深部、ドラえもんが見たという強大な石造が天井を擦るほど高くそびえ立っている。
スネ夫はその石造と比べるとより一層小さくて弱弱しい者に見える。が、それははたから見たときの話。
スネ夫本人の気合い、そして彼のボールに納まるポケモン達の力は計り知れない。
スネ「出て来い!レジの兵隊達!レジロック!レジアイス!レジスチル!」
幾何学的な兵隊だが、3匹集まると石造に負けず劣らず威圧感たっぷりだ。
スネ「今こそ…動けえ!!レジの王!レジギガスゥッ!!!」
スネ夫の興奮しきった声が岩石の擦れあう音でかき消される。

…………ズッ………ズッ……ズッ…ズズズズズズズッ!!

スネ「来たな!長年放置されていた伝説の巨神兵を蘇らせた。再び封じ込める時が来たッ!」
巨神兵。某漫画の読みすぎである。しかも実際には似ても似つかない。
スネ「出でよ!ポッタイシ!!」



相手のレジギガスはスロースタートで調子が上がらない。
スネ「はあー?」
図鑑に表示されたメッセージにうろたえるスネ夫。
メッセージに嘘はない。レジギガスはスロースタートという損な特性で一時的に能力が半減しているのだ。
スネ「スロースタートか……そ、そんなマイナス効果の特性が付くなんて、普通に戦ったらよっぽど強いんだな!」
そうやって無理矢理スロースタートの理由をこじつけたスネ夫。
スネ「いつかは能力が戻って覚醒するはずだ。それまでに能力を出来るだけ下げろ!」
ポッタイシは可愛らしい鳴き声でレジギガスの攻撃意欲を奪う。そして十分に攻撃力を下げたら反撃に出る。
そう思っていたスネ夫だったが、レジギガスの攻撃で表情が激変した。
空を切るレジギガスの丸太のような腕、そして宙を舞う人形のようなポッタイシ。
そのまま何にぶつかる訳でもなく、綺麗な弧を描いて数十メートルの空の旅を、
そしてその距離分だけ遠くの床へ、鈍い音を立ててポッタイシは墜落した。
相手の持ち物を奪う『はたき落とす』と言う技だが、
実戦で攻撃技として使うには不便極まりない、非常に低い威力の技だ。
しかしレジギガスによってその威力は広い神殿の反対側でポッタイシが戦闘不能になるほどまで激増した。
もはやスネ夫の尖った口はパックリ開けたままになっている。涎も垂れている。
しかし寝起きのレジギガスは待ってはくれない。
この神殿で唯一動くもの、スネ夫に向かって巨神は近づいてきた。
スネ「は…え?いや、こっちには来るなよ!!来るな!来るなって言ってるだろおぉぉぉ!!」
体中恐怖で汗だくになりながら何とかスネ夫はムクホークをボールから出した。
スネ(鳴き声は当たったはずだ……一応、こっちに分がある!!)



ゲームの中だけあって、巨体のレジギガスは目にも止まらぬスピードでムクホークに飛び掛った。
グシャ!と虫けらを潰すようにムクホークがレジギガスの足の下敷きになる。
スネ「大丈夫…だ。ムクホーク、気合いの襷で蘇れ!」
HPをたった1ポイントだけ残してムクホークがレジギガスを迎撃した。我武者羅で。

何だか訳の分からない攻撃で両者のHPはともに瀕死寸前のマッチポイントまで削られた。
スネ「もうムクホークは鳴き声だけしてくれ。後はエルレイドが上手くやる。」
今にも倒れそうなムクホークは主人への忠誠を示し、軽く頷く。
そして、しばらく後にムクホークも馬鹿力で残酷にやられた。
スネ夫の表情に不安が一瞬過ぎり、すぐに恍惚の笑みによってかき消される。
スネ「エルレイド、催眠術。」


運良く2個目のハイパーボールで首尾よくレジギガスをゲットしたスネ夫は意気揚々とポケモンセンターに戻った。
更に、回復を済ませたスネ夫は他に伝ポケ情報は無いかと、他力本願の電話をジャイアンを除くプレーヤー全員にかけた。
スネ「何処かで伝説のポケモンか、それに関係する物を見なかった?」
3人が同じ内容の依頼を受けたが、そんな要求にまともな反応を見せたのはお人好しを装うしずかだけだ。
しず「ミオシティの図書館でそんな本を見たわ。参考になるかもね。」



ドラえもんとのび太はリーグ周辺でポケモンの育成・捕獲に励み、手持ちの強化を図った。
そのせいで何時間か停滞していたがそれだけの価値はあった。
ドラえもんのリーシャン、ブーバー、のび太のポリゴン2などが次々に進化を遂げたのだ。
これはドラえもんがゴヨウの本を盗み見たことでポリゴン2とブーバーの交換を提案したおかげ。
ちなみに、シェイミはのび太が自分のボックスに入れ、
レベル上げ中に正当防衛で偶然捕まえてしまったサマヨールもその隣に収まった。

そして二人は今223番水道をのんびり並んで航海しながら他愛も無い会話をしている。
のび「何でその空間から出られたの?」
ドラ「うーん……僕も良く分からないんだけど、何だか周りが騒がしくなったと思ったら、
何処かへ向かって勝手に足が動いて、気が付くと変な部屋に通されてて、気が付くと殿堂入りして外に出られたんだ。」
のび「凄いじゃない!!殿堂入りしたんだ!早く言ってよ。そうしたらもっと早くお祝いできたのに。」
ドラ「いやいや、チャンピオンを倒した訳じゃないから。それはそうとこの水道は何処に行く水道なの?」

ドラ「渚シティか……」
磯の香りが鼻をくすぐる。というか臭い。
そして、シンオウきってのハイテクシティにのび太とドラえもんは上陸した。
のび「こんな大きな町だよ。しばらく別行動にして、それからジム戦にしよう。」
二人はジムの前で落ち合う時間を決めてからそれぞれ反対の方向へ歩き出した。



正直、のび太がまた逃げ出すのではないかと内心訝っていたドラえもん。
だがナギサ市場やフレンドリィショップや灯台を一通り観光すると、そんなことは忘れてしまっていた。
更に、テンションを上がってきたので民家も探検してみることにした。

ドラ「お邪魔しまーす。」
変わりばえしないワンルームの簡素な住宅。老夫婦の二人暮らしの様だ。
来客は少ないらしく、夫婦共にお菓子と昔話でドラえもんを歓迎してくれた。
婆さん「あたし達はねえ……若い頃孤児院をやってたんだけど……そこから子供が一人出世してね……
孤児院では目立たない子だった。機械をいじるのが好きな子だった。だけど、大きくなったら何やら組織を作って、
鉱山を切り開いて町にしちまうほどの偉業を成し遂げたんだけど……いつからかぱったり連絡が途絶えちまって……」
ドラ「へー」
内心家に入ったことを後悔し始めたドラえもん。

のび太はというと、市場で衝動買いした色とりどりのシールを隙間なく貼り付けたボールを腰に付けて歩いていた。
のび「ちょっと早いけど、ジムに行くかな……?」

ジム入口にアフロヘアーの怪しい男が立ちはだかっているのを見たのび太は急いで隠れたが、その男に見つかってしまった。
オーバ「やあ!俺はオーバ!君の名前は?」
のび「ドラえもん早く来ないかなー。」
オーバ「さっき首尾よく炎タイプのポケモンを捕まえたところでね。誰か探しているんなら手伝おうか?」
のび「あっ、来た!ドラえもーん!早くジムに入ろうよーーー!」
オーバ「おいお前、わざと反応しないんだろ。」



オーバはジムの中まで付いてきた。
オーバ「まずは、そこの狸さんありがとな。確かにシンオウにも炎タイプのポケモン、結構いたぜ。」
ドラ「どういたしまして。このジムには何か用事あるんですか?」
オーバ「ジムリーダーのデンジに会ってジムから出たら、挑戦者がいたんで付いてきた。
たまには試合観戦ってのもいいかな……なんて。」
のび「邪魔しないでくださいよ。リーダーとの一対一の真剣勝負なんですから。」
オーバが驚いた顔で足を止めた。
ジムの仕掛けの歯車の上で止まったのでその場で回転している。
オーバ「おい君、まさか知らなかった訳じゃないよな。
こないだからこのジムでの戦いは二対一になったんだ。挑戦者側は二人で戦うんだぞ。」
のび「な、なんだっt……やった!それならこっちが有利じゃない!」
何においてもパートナーはいた方がいい。
オーバ「まあ、舐めてかかるのは余り利口とは言えないな。」

明らかに場違いなオーバが見守る中、ジム戦の火蓋が切って落とされた。
向こうのポケモンは4匹なので、のび太・ドラえもんチームもそれぞれ2匹ずつポケモンを選んでのバトルとなる。
デンジ「片付けてやれ。ピカチュウ、ライチュウ!!」
のび「エレキブル!」
ドラ「チリーン、エレキブルをサポートだ!」
電気タイプのポケモンが3匹も戦闘に参加した。電気エンジンを特性に持つエレキブルが有利な状況。
しかし、電気タイプのエキスパートであるジムリーダーがそれを知らないはずが無い。
しっかりと対策は打ってくるはず。いや、ジムリーダーもエレキブルを使う可能性すらある。
ざっとこんな事をドラえもんは考えた。
対策を立てたいところだが、深読みしすぎたかと思うと躊躇したくなる。
結局、チリーンに騒ぐを命令するにとどまった。



チリーンが尻尾を振って騒ぎ立てる。
その攻撃はピカチュウにのみ命中した。
のび「光の壁!!」
デンジ「ピカチュウ、光の壁!ライチュウ尻尾を振る!!」
1ターン目なので、準備的な技が多数指示された。ドラえもんは少し勝負を急ぎすぎたかな、とすら思う。
のび「尻尾を振るって技はこっちの二匹に当たるのか……だとすると、次のターンは………」
のび太はドラえもんを差し置いて何やらブツブツと推理していた。
デンジ「何もしないのかい?そっちから攻撃しろって言ってるのか。まあいいさ、ボルテッカーでチリーンを攻撃だ!」
ピカチュウ、ライチュウが同時に走り出した。同じ標的に向かって………
次の瞬間、2方向から強力な物理技を受けたチリーンが成す術もなくボールに帰った。
のび太のエレキブルが敵討ちとばかりライチュウに雷パンチをお見舞いする。殆ど効かない。
ボルテッカーは行動に支障をきたすほどの反動を伴う技ではない。PPの許す限り何度でも連射できる。
それをデンジは利用し、ドラえもんが最後のポケモン、ブーバーンを繰り出した瞬間、またしてもライチュウが走り出した。
のび太が技を慌てて指示する気配。何かがぶつかる音、くぐもった悲鳴。
オーバ「ブーバーンがやられちまったか……勝負あった、か?」
何処からか出てきた濃い煙が晴れ、オーバにも状況が飲み込めるようになった。
オーバ「何!?ブーバーンがまだ立ってる!エレキブルか!!」
ライチュウのボルテッカーがブーバーンまで届いていない。
のび太の機転でエレキブルが電光石火で二匹の間に割り込んだのだった。
エレキブルにボルテッカーが直撃したが、特性のお陰でダメージは皆無だ。
のび「そう簡単にパートナーは攻撃させないぞ……例えジムリーダーでも。」
デンジ「はは……これが助け合いってやつか。ダブルでは常に忘れてはならない戦略。
だが、ライチュウの特性も忘れてもらっちゃ困る。」
エレキブルと接触しているライチュウの体から青白い電光がほとばしる。



ドラ「静電気で麻痺した!折角上げた素早さが台無しだ………」
のび「エレキブル、なんでも直しをあげるからこっちに来るんだ!!」
急いでのび太目掛け走り出したエレキブル。
次の瞬間、足に緑の縄が絡み付いてすぐに転倒、光の壁が威力を弱めたにも関わらず、大ダメージを与えられてしまった。
デンジ「ピカチュウの草結びだ。応用が利く技なんだよこれが。」
のび「……う~、くそっ!」
戦いは、マルチバトルに慣れないのび太・ドラえもん側を差し置いてデンジペースで進み始める。
デンジ「ピカチュウ、雨乞いだ!!ライチュウはエレキブルにアンコールっ!」
遂にフィールドまでもがデンジの味方。更にはエレキブルがアンコールの効果で電光石火しか出せなくなってしまった。
ドラ「ピカチュウに炎のパンチだ!」
雨で威力が落ちてはいたが、最終進化系の突破力の高さが物をいい、ピカチュウを何とか撃墜することが出来た。
続いて、アンコールのハンデをものともせずエレキブルもギリギリでライチュウを倒す。
デンジ「倒されるのは早かったな…それじゃ、レントラー、オクタン!出番だ。」
のび「えっオクタン?」
素っ頓狂な声を上げたのび太にみんな注目した。
彼は丁度アンコールの効果を消そうとエレキブルをヒードランに交代したところだった。
のび「オクタンって……何で電気タイプのポケモンじゃないの!!?」
デンジはこれが気に障ったようだ。
デンジ「別に良いだろ!お前らだって色んなポケモン使えるんだ。
ジムリーダーに限ってそれを禁じられるなんて事、不平等にも程がある。充電と波乗りだ!」
レントラーが攻撃のエネルギーを溜め始める。
そこに全体攻撃の、オクタンの放った波乗りが通過するが、充電で上がった特防がダメージを緩和した。
ドラ「こっちに来る!噴煙で押し返せッ!!」
ポケモンリーグの一件以来人一倍波乗りを恐れるドラえもんは顔を覆っている。
ブーバーンが必死で撒き散らした火も波は全て飲み込む。
更に運の悪いことに、光の壁もたった今消え去った。
ドラ「うわああああああ!!」
のび「ぬわああああああ!!」



すぐに――大波が僕らを襲う。
息が出来なくて、苦しくて、流されて、ぶつかって、痛くて―――
波乗りの餌食になる前からのび太とドラえもんの思考回路は完全に麻痺し、
迫り来る恐怖に対しこれといった準備も出来ずに訳の分からないことばかり考えていた。
しかし、肝心の大波はいくら待っても来ない。のろま云々の問題では済まされないほどに遅い。
やっとそのことに気付いたドラえもんが恐る恐る目を開ける。
そこには、主人を守って波乗りを全身に受けたブーバーン、
それにブーバーンと同じことをしたらしいヒードランがゴキブリの様にひっくり返り、起き上がるべくジタバタしている。
ドラ「ブーバーン……守ってくれたのか。まだ戦えるかい?」
やっとこさ目を開けたのび太が横で同じことをヒードランに確認している。
何故か、のび太は波乗りの水しぶきを少し浴びたようだ。ズボンの股間にあたる所が部分的に濡れていた。
ドラ「噴煙だ!」
デンジ「やれやれ、揃いも揃って臆病な奴らだな。レントラー、雷。」
どんな技をも凌ぐ音、光が轟き、噴煙がフィールドに広がる前の僅かな時間に天の槍がヒードランを貫いた。
最早戦えまいとヒードランをエレキブルに交代させるのび太。
しかしこれは間が悪かった。貰い火で全体攻撃の噴煙が効かないヒードランがパートナーだからこそ放った噴煙が
エレキブルにこれでもかとばかりに降りかかったのだ。
指示を受けていないデンジのオクタンはやるせない表情で守っている。
レントラーは上がった特防にある程度は守られていた。それどころかエレキブルに向かって威張るを使う。
デンジ「どこまでも要領が悪い挑戦者だよ本当に。さて、フィナーレってとこだな。」



のび「威張るで攻撃力が上がった。この一撃で倒せるっ!雷パンチ!」
運よく自分を攻撃せず、体中の力を込めて放った右ストレートがオクタンを捉えた。
最後の足掻きか、オクタンが煙幕をエレキブルに吐きかける。
勿論、雷パンチは顔の数センチ前にあり、煙幕の誤魔化しで避けられるほどの距離ではない。
雷に打たれたようなパンチでオクタンは体を震わせ、ぐったりと動かなくなった。
のび「……何とか、倒した。後はレントラーだ。」
デンジ「どこまでも舐め切った真似してくれるぜ。オクタン、あいつのエレキブル倒せ。」
オクタンが、非常にゆっくりとだったが再び動き出した。
デンジ「万一のことを常に考え、行動するのがジムリーダー。
オクタンはお前のエレキブルに黒い霧をかけて攻撃力を戻した。体力が満タンだったから何とか耐えてくれたな。」
今度は驚くほど素早く、オクタンの足がエレキブルへと伸びる。
ドラ「デンジ!あくまでマルチバトルだ、パートナーを忘れるな。雷パンチ!!」
デンジがすっかり忘れていたエレキブルの姉妹ポケモン、ブーバーンが2発目の拳を振るった。
威力で1発目に劣るものの、オクタンがそれによって本当に戦闘不能になるには十分な威力を備えていた。
デンジ「ああ、ブーバーンがいたか。してやられた。」

オーバと別れてナギサシティを後にした頃、ポケッチの時計が丁度9時を示した。
昨日より遅く帰るのはママが余り感心しないだろう、とのび太とドラえもんの意見が合ったところで、
他のゲーム参加者にそろそろ帰った方がいいと電話すると、ホテルグランドレイクに部屋を取り、
頭を捻りながらじっくり冒険ノートを埋めた。



9月31日

ホテルグランドレイクの朝はこの上なく爽やかに訪れた。
ママが掃除機をかける音が自室に届いてしまったせいで起きたのび太、ドラえもんにしてみれば
これほどの心の安らぎは無かった。
のび「何だか、今日も一日頑張るぞって気持ちになるね。この……光のような朝日。」
目を細めながらのび太がそう呟く。
ドラ「(光のような朝日……?上手く例えられなかったのか)そうだね、本当にそうだ。」
しばし、くしゃみを堪え損ねたり顔を作ってみたりして、朝日を見つめ続けて退屈な時間が過ぎた。
のび「そういや、何も頑張ってないや僕ら。ノモセシティにジムがあるらしいから、そこ行ってくる。」
ドラえもんが驚いている間にのび太は階段を駆け下りていった。……後半は転がり落ちていた。
ドラ「僕も何かしなきゃ。何しなきゃいけないかなあ……?」

砂浜を駆けるのび太。足跡博士の家によそ見をしていると何だか狭い道に出ていた。
最奥に甘い香りのする木がある。
のび太はほったらかしになっていたビンをバッグから幾つか取り出し、中身を木に思いっきり塗りたくった。

急ぐのび太に合わせて場面も急速に変わる。丁度今はマキシマム仮面に宣戦布告したところだ。
のび「負ける気がしません!エレキブルーっ!!」
マキシマム仮面は辛うじて戦意喪失を免れた。
マキ「エ…レキブルか、キツいなこりゃ……」
毛のない頭をボリボリかきむしり、
マキシマム仮面はどうせ勝てないなと思っているのが丸出しでため息とマリルリを出した。
のび「雷!」



雷がエレキブルに落ちた。
のび「うわああっ!!何だ!?」
見れば、マリルリがアクアジェットでエレキブルの腹にめり込んでいる。
エレキブルは自分と接触したマリルリに雷を撃ってしまったのだ。
マキ「まーエレキブルにダメージは無いがな!今のはちょっとした挨拶代わりだと思っといてくれや!」
マキシマム仮面はフローゼルを繰り出し、アクアジェットで一矢報いた後、雷パンチで華麗なやられ様をさらした。
マキ「終わった!…もう俺のポケモンは弱い水タイプばっかしだ!
ドジョッチがいるが!実戦じゃまだ使えねえ!つー訳でこれ、持ってってくれ!フェンバッジだ。」

自分の成長ぶりを確認した後、のび太は更なる成長を求めてサファリゾーンに入ってみた。
次々出てくるポケモンに一瞬で反応し、逃げやすいかどうか見極め、ボールや泥を投げる。
ポケモンを捕まえられたかどうかはともかく、のび太の動きは現実世界より格段に良い……少なくとも本人はそう感じた。
すっかり気分を良くしたのび太は、大物に備えて一休みすることにした。

ズボッと、不吉な音がした。

のび太が自分の足を見下ろすとそこにはもう足は無かった。いや違う、泥に埋もれていた。
いや、最早足だけではない。
踝、すね、膝、大事な部分が次々と泥に沈み、のび太がボーっと見ている間にとうとう自分の体が胸まで泥に埋もれた。
身動きするのもままならない。のび太はここで初めてお決まりの悲鳴を上げた。

「ドラえもーーーーーーん!!!!!」


ドラ「?今誰かが僕を呼んだかな?」
ドラえもんはリッシ湖のほとり。ジムか何か見つかるだろうという安易な考えで北に向かって歩いていた。



のび「あァ…もう駄目……沈む。」
体力の限界が来た。いつもなら遅刻しそうになって走っているときにこれが訪れる。
のび「せめて……ポケモン達だけは……」
バッグに手を突っ込み、弱弱しく手探りする。時々ボールが手に触れたが、出してみると空のボールばかりだ。
ナギサシティでボールをまとめ買いしたのが悔やまれた。
のび太が遂に精根尽き果て、泥に顔を埋めた。

野生ポケモンが何だろうという好奇心の面持ちでのび太を囲んでいる。
この時間帯は眠っているはずのホーホーやヨルノズクすら好奇心をそそられて見に来た。
ひときわ勇敢なポケモンがのび太をつついてみた。何も起こらないのでボールをつついてみた。
大量に買いだめしたモンスターボールがぽっかりと開き、つついたポケモンを吸い込んだ。
吸い込まれたポケモンは異常なほど驚き、ボールが完全にロックされるまで抵抗もしなかった。
そして、のび太が起きた。
のび「誰かが僕をつついた気がしたんだけどなあ……気のせいか。あれ?足が着いてる!ここ意外と浅かったんだ。」
一眠りして体力を回復したのび太は泥の中で激しくもがき、遂に泥からの脱出に成功した。
草の陰から無数のポケモンに覗かれているのにも気付かずにのび太は周りに散らばったボールをかき集め、言う。
のび「もうこんな所こりごりだ………早いとこホテルに戻ろ。」
本人も気付かぬうちに一匹のポケモンを調達して、のび太は愚痴りながらサファリゾーンの外に出た。
仲間を一匹失ったサファリのポケモンはその背中を呆然と眺めるだけだった。



所変わってジャイアンは……

ジャ「糞!この洞窟一体何なんだ!同じ部屋ばっかだったじゃねーか!!」
たった今ジャイアンはズイタウンの遺跡から這い出してきたところだ。
ジャ「こんなことなら観光なんかしないで先に育て屋に行っとくんだった。少しでもお荷物が減っただろうに。」
ジャイアンは怪しい男から授かったピンプクのボールを前方に高く放り、数メートルダッシュして見事にキャッチした。
ジャ「アンノーン全種類捕まえたくらいか、収穫は。」

育てや爺「ピンプクを預かった?」
ジャ「そうなんだ。何かへんな奴に無理やり頼まれて、それでわざわざ来たんだ。」
育てや爺「そうかそうか、多分そいつはわしがラッキーとラッキーの間に生まれた卵を
孵して欲しいと頼んだ男じゃ。礼を言うよ。」
ジャイアンはこれ以上用事が増えないうちにそこを離れることにした。
そこでズイタウンの中心を貫く道を急いで横切ろうとした、その時。

チリンチリン……

このゲームにいるはずが無い人物がジャイアンのすぐ前を猛スピードの自転車で通り過ぎた。
ジャ「お、お前……ちょっと待て!!どこ行くんだ!!!」
余りにも衝撃的で、足をもつらせながらジャイアンはその後を追った。
追いつけるはずも無かったが、そんな事も考えられない程ジャイアンの頭は混乱していたのだった。