ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

まぁ普通の短編 ピカチュウ

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akakami

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それは酷い雨の日の出来事

僕は黄色いネコのような生き物を学校の帰り道に見つけた。
「ごめんな……僕の家じゃペットは駄目何だよ……」
僕はかわいそうに思いつつもそのままネコを雨の中に放置して家に帰った。
「ただいまぁ……誰もいるわけ無いか…」
家は今日も誰も居ない……
ママはパートに行って、毎日夜中まで働いているのだ。
お金がいる理由は僕の高校の学費。
僕はドラえもんが居なくなってから僕はもう勉強の末名門私立高校に合格したのだ。
用意された夕飯をレンジで温め、音楽を聴きながら食べる。
いつも通りの時間を過ごし、僕は勉強机に向かった。
外の雨はさっきよりもさらに強くなっている……
『あいつ……大丈夫かな…』
ふとさっきの黄色いネコのことを思い出した。
この雨だ。寒さに震えているに違いない……
「まぁ僕には関係無いよな。勉強勉強…」
手を動かそうとするがペンが動かない…
「くそっ!」
僕は家を飛び出し、黄色いネコのもとに向かった。



黄色いネコはやっぱり体を小さくし震えていた……
「ごめんな……」
僕はすぐそのネコを胸に抱えて家に帰り、温かいミルクを飲ませてあげた。
ネコはむしゃぶるようにミルクを飲み、僕の腕の中に入り込んで眠ってしまった。
『何故だろう…久しぶりに温もりを感じる……』
僕はその日、幸せな夢を見た。
パパとママがいて…ドラえもんがいて…しずかちゃんやジャイアンがいる夢を……

次の日から僕はネコを『ピカ』と名付けて毎日遊んだ。
ピカは勉強していると僕の足の下に潜り込んで来てすやすや眠ったり、
僕がボールを投げるとすぐ飛び付いて、ボールをバシバシ叩いたりするのが好きみたいだ。
何故だろうか?
僕はピカと遊ぶようになってから友達が増え、成績もかなり上がった。
『きっとピカは幸せの女神何だろうな』
僕は心でそう思いながら楽しい時を過ごした……
そして大学入試。
僕は努力が実を結び東大に合格することが出来た。



偶然か運命か
僕は引っ越ししてから手紙でしか会話出来なかった
しずかちゃんと大学内で再会することが出来たのだ。
僕達は今まで話したかったことをたくさん話した……
それから数年後。
僕は大学を卒業してロボット開発会社に就職し、
ドラえもんを作るという無謀な挑戦をしている。
恋人のしずかとも来年には結婚すると決めている。
僕は昔ドラえもんが望んだ立派な大人になることが出来たのだ。
だがその年の冬……ピカが死んだ。
ある日起きるとすでに冷たくなっていたのだ。
僕は……涙が止まらなかった。
僕を変えてくれたピカ……
僕を救ってくれたピカに僕は何もしてやれなかった……
ただご飯をあげただけ……それだけなのに僕はいろんな物をピカにもらったのだ。
僕はその日一日枕にしがみついて泣いた……
「ピカ…戻って来てくれよ……お願いだ」
ガチャッ
後ろでドアが開く音がした。
「久しぶりだね、のび太君」
「その声…まさか!」
後ろには子供の頃の親友ドラえもんが立っていた。



十年振りだろうか。
その青い球体はは少し古くなって見えた。
「立派になってくれたね……僕はいつも君を見ていたよ。
もちろん君がピカをどれだけ大切にしているかも知ってる」
「……ピカにもう一度会える道具があるの?」
ドラえもんはうなづく。
「でも……この道具を使うことは法律で禁止されている。
この道具を使えば、スクラップにされ僕はもう君には会えなくなるんだ……
のび太君はそれでも良い?」
「……ごめんね、ドラえもん。でも僕は……ピカにありがとうを言いたいんだ」
「そう言うと思ったよ……それじゃ最後の時間を楽しんでね…」
ドラえもんの手が光り、僕は目をつむった。
「ここは……」
目を開けるとそこは天国のような場所だった。
「のび太さん、ここです」
声の先にはピカが立っていた。
「ピカ…なの?」
「はい。間違いなくピカですよ、のび太さん」
「ピカ!」
僕はピカに抱きついた。



「ごめん……ごめんね、ピカ。何もしてやれないで…」
「何を言ってるんですか。のび太さんは僕にたくさんのことを教えてくれたじゃないですか。
あの雨の日……すごく嬉しかった。
あなたの腕の中の温もりは今でも覚えています……
生まれて初めて……安心して眠れましたから……
……僕はもうあなたに会うことは出来ません…
でも……あなたにはこれからもっとすばらしい未来が待ってます……
だからこれからも頑張ってください」
「待って!…行かないでくれ!」
「もう時間です…のび太さんともう一度お会いできて嬉しかったです」
「ピカ……それなら一言だけ言わしてくれ」
「はい…」
「今までありがとう」
ピカは涙を流しながら笑い……光の中へ消えていった……
「どうだった?のび太君」
「ピカにちゃんとありがとうを言えたよ」
「そう…それじゃ、僕は行くね」
「待って!ドラえもんに最後の頼みがあるんだ」
「道具はもう…」
「君の記憶をくれないか?」
「え!……」
「君はこのまま未来に帰っても壊されるだけだろ?
僕は必ず君を作ってみせるから……君の記憶をくれないか?」
ドラえもんは涙を流しながらうなづいた
「必ず…僕を作ってね」
「約束するよ」
僕はドラえもんの電源を切り、メモリーチップを引き抜いた。



20XX年
僕はロボット開発会社を引退し、一人でロボットの研究をしていた。
「あなた…まだやってるの?」
「しずか……ついに完成したんだよ…」
「えっ!本当?」
「ああ、あとはこのメモリーチップを…」
青い球体をしたロボットが立ち上がった。
「約束守ったよ……ドラえもん」

ピカへ
君は今世界中で人気のあるキャラクターになってる。
知り合いのゲームプログラマーがピカの写真を見て、すごく気に入ってね。
ゲームのキャラクターにしたんだ。
名前は「ピカチュウ」。ピカはネコなのに……笑ってしまうだろ?
天国は住みやすいだろうし…今幸せだよね。
僕?僕は幸せだよ。
本当に…幸せ。


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