ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

DPその2 その11

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akakami

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「ありがとうございました。」
ウイーン、と今作から加わった効果音と共にのび太はリゾートエリアのポケモンセンターを出た。
その手にはプレミアボールがしっかりと握られている。
のび「君は砂漠で倒れた僕達をここまで連れてきてくれたんだね?」
ボールの中の伝ポケ、ヒードランは自慢げにこっくりと頷いた。
何故かのび太に懐き、今しがた彼の手持ちに入ったところだ。
のび「やっぱりそうか!ありがとうヒードラン!!」
のび太に感謝され、ヒードランはますます鼻高々だった。
「良かったねのびた君」
のび「うん!本当に良かっ………」
その場に凍りついた様に動かなくなったのび太。顔が青ざめている。
のび(そうだった……ここには…リゾートエリアには……)
ドラ「しばらく振りだね。」
ドラえもんがのび太の背後に立っていた。

ドラ「どこ行ったのかと思ったよ。全く、人騒がせだなあ。」
そう言いながらドラえもんの顔はヘラヘラと笑っている。
言うまでもなく、言葉とは裏腹にのびたとの再開が嬉しいだけだが、のび太本人は違っていた。
のび「うん…そうだね。そうそう、ドラえもん……これ。」
のび太がドラえもんにモンスターボールを差し出した。
中身は、ヒードランを運ぶ際に助けてもらったブビィだった。



ドラ「!!のび太君……」
感激して声も出ないドラえもん。
のび「いや、シンオウは寒いから。」
ドラ「ありがとう!よし、じゃあ次は何処に行こうか…?僕としては……」
のび「うん、ぼくは海を渡ってポケモンリーグに行く。ドラえもんは……勝手にすればいいさ。」
数秒の沈黙が流れた。
ドラ「ぼくはずっと君について行くよ!君はまだ未熟なんだからね、人として。」
何を感じたのか、のび太の手は自然に拳を作っている。
ドラ「ポケモンリーグはねえ、ちょっと君には早……」
のび「……ドラえもんさあ、ぼくの行動に対して…その、頼みもしないのにうるさく言うのやめない?
親じゃあるまいしさ……ぼくもいい加減迷惑してるんだよ。」
ドラ「は……?」
のび太の言うことが全く理解できないドラえもん。
のび太の言葉は、高速船でドラえもんを攻撃してしまったことで芽生えた感情によるものだ。
何の迷いもなく、すぐそこまで迫った勝利をつかもうと早まったことをしてしまったのび太は、そのことで悩んだ。
そして、ドラえもんをこれ以上傷つけない為に別々の旅路を行こうと決めたのだ。
のび「じゃあね。」
のび太は、トリトドンを出し、ドラえもんを一瞥もせずに海に漕ぎ出した。
当然ドラえもんもビーダルで後を追う。
ドラ「待ってよのび太君!何かあったの?」
暗い海がのび太の心情をそのまま表しているようだった。



ポケモンリーグに上陸したのび太。
まだドラえもんは彼に追いついていない。ビーダルの方が素早さが高いが、乗っている人の体重の差だ。
のび太はドラえもんから逃げる形でここに来たのだが、その場に腰を下ろし、ドラえもんを待った。
到着したドラえもんを口で迎え撃つのだ。

程無くしてドラえもんが沈みかけたビーダルに掴まって上陸した。
ドラ「のび太君、何のつもり?水道に指定されていない海を渡るなんて、どれだけ危険か…」
のび「ここがポケモンリーグ。…少なくとも、シンオウ地方ではポケモンの最高機関……」
ドラえもんの話を遮ってのび太は話し始めた。
のび「ここに名を残すことは、トレーナーにとって最高の喜びだ。最高の……」
ヒードランが加わった自分の手持ちを眺めるのび太。
自分にとっての喜びのみならず、ポケモンにとってもそれは誇らしいことだと、そう感じているに違いない。
ドラ「君には早い。絶対に。」
きっぱりと殿堂入りの可能性を否定したドラえもん。
しかしのび太も退かなかった。
のび「この世界ではポケモンの実力が全てだ。」
ドラ「だから何だよ!まさか君はぼくより強いから四天王にも勝てるとか、そんなことを」
のび「うん、まさにそれだよ。」
のび太はまたドラえもんの話を遮った。自分の意見は自分で言う、とばかりに。
ポケモンリーグ、巨大な城に向かって歩き出すのび太。
ドラえもんがその前に立ちはだかる。
ドラ「リーグには行かせないよ。君はまだ幼い…未熟だ……」



のびたは意を決してドラえもんに攻撃を仕掛けた。エレブーのほうでんだ。
ドラえもんもその攻撃を受け止めるべくすぐさま自分のポケモン達を繰り出す。
が………その電撃を受けきったポケモンは一匹もいなかった。

ドラえもんのポケモン達は攻撃を受けた体勢のままピクリともしない。つまり戦闘不能ということだ。
ドラ「そんな……ほうでん一撃でロトムが…リーシャンが……」
のび太はため息を落とすと、エレブーを戻し口を開いた。
のび「少なくとも、ぼくは君に勝つことが出来る。ぼくが貰えなかったハクタイのジムバッジを手にした君に……」
ドラえもんはしきりに口をパクパクさせたが、声が出てこない。というより言い返す言葉が出てこない。
実際にはドラえもんはジムリーダーを脅すような方法でバッジを手に入れたのだから。
のび「ぼくは――自分で言うのも何だけど――強くなったんだ、トレーナーとして。」
自分で自分を称えるような言葉を並べ、それを噛みしめているのび太。
のび「だから……ぼくはリーグでも勝てないことはない。さっきも言ったみたいに、この世界ではポケモンの実力が全て。」
のび太は遠回しに言っているが、要約すると自分はドラえもんより強く、偉くなったと言っているのだ。

ドラえもんはのび太を怯えたような目つきで睨むと、ポケモンリーグに駆け込んだ。
それを見届けたのび太は今度は安堵のため息をつく。
のび「やっと追い払えた。全くドラえもんもつくづく馬鹿だなあ。
ドラえもんどころか、ぼくでもポケモンリーグで殿堂入りなんて出来る訳無いのに、そんなことも分からないのか。」
のび太は回れ右してチャンピオンロードへ足を進めた。
ドラえもんを追い払ったからには隠れる必要は無い。堂々とポケモン育成に励むのである。
少しでも四天王、チャンピオンに近づく為に……



ジャ「着地!」
ジャイアンはマスキッパに掴まり、ヨスガシティに戻ってきた。
今現在しずかもここにいるがジャイアンはそんなことは知らない。
ジャ「戻っちまったか…ノモセの親父に復讐するのは後回しになるけど、この町にもジムリーダーはいたっけな。」

昨日ジャイアンが訪ね、リーダー不在で追い返されたジムは開いていた。
ジャ「たのもぉぉ!!」
ドアを蹴破ったジャイアンは銅像のそばの男に目もくれず、上の階に進むリフトに乗った。

数回部屋を間違い、ジャイアンはリーダーの部屋に辿り着く。
ジムリーダーは穏やかにジャイアンを迎えた。
メリッサ「オマチシテマーシタ!!ワタシ、この町のジムリーダー!」
ジャ「ああ、外人もどきのジムリーダーか。」
メリ「エー…ワタシに、チャレンジしなさーい。アナタ。」
何とかジャイアンにも通じる言葉をメリッサは絞り出し、試合に入ることが出来た。
メリ「てこ調べです!ゴースト、イキなさーい!!」
ジャ「よーし、ドーミラーだ!」
エスパーがゴーストの毒タイプに有利だと言うことでドーミラーが選ばれた。
メリ「さいみんじゅつデース!」
早速眠らされたドーミラー。しかもゴーストはあくむをかけ、ドーミラーの体力が睡眠の合間に奪われていく。
ジャ「(焦るな。すぐ起きる。そしたらあの技を…)」
ドーミラーの体力が4分の1を切った頃、ジャイアンはその技を実行した。
ジャ「しんぴのまもり!!」
眠りが浅くなっていたドーミラーが驚いて目覚めた。
指示通りに状態異常から守る技を出すドーミラー。
もう一度眠らせようとしたゴーストのさいみんじゅつがそれによって阻まれる。



ジャ「隙が出来たッ。じんつうりきを出せ!」
まずは最初の一匹を慎重に倒したジャイアン。
続いてメリッサが場に放ったのは、このゲームで追加されたムウマの進化系。ムウマージ。
ジャイアンはさほど驚かず、また興味も示さなかった。
ジャ「ステルスロック!」
ドーミラーではこのポケモンは倒せないとジャイアンは悟ったらしい。補助技をかけている。
メリ「知っているのでーすか?ワタシの最後のポケモンを」
若干動揺した様子でムウマージにシャドーボールを打たせるメリッサ。
ドーミラーが倒れたがメリッサの持ち駒は既に2体。ジャイアン有利に変わりはない。
ジャ「シラネ。次!マスキッパ!」
ジャイアンの新たな仲間が早速ジム戦に駆り出された。
メリッサのムウマージはくろいまなざしでマスキッパを逃げ出せなくした。つまり交代が出来ないのだ。
ジャ「くろいまなざし?確か……」
急に考え込んだジャイアンの頭に浮かんだのは現実世界のとある日の空き地。

ジャイアンが最後のポケモン――バンギラスを出し、まだ余力を残している対戦相手のスネオに反撃を試みたときの話だ。
スネオは倒されたポケモンの代わりにルージュラを出し、先程のメリッサと同じ様にくろいまなざしをかけてきた。
それで………その結末は―――

メリ「試合に集中しましょうネー?」
ジャイアンは慌てて思考をゲームに戻した。
そして思い出しかけた記憶と同時に突然湧き上がった不安を振り払い、マスキッパに怒鳴った。



ジャ「だましうちしろ!」
マスキッパがジャイアンに従順にムウマージを攻撃した。
その攻撃力を初めて見たジャイアンだったが、ムウマージが技の衝撃でふらつくのを見ると感心した。
ジャ「(こいつ、モウカザル達が進化するまでは役に立ちそうだ……)追撃だ!」
マスキッパが口を目一杯開いてムウマージに襲い掛かる。かみつくだ。
見事にムウマージの首を捉えたマスキッパ。
メリ「オーーウ……何とも痛々しい…痛いの痛いのー…飛んでけ!いたみわけデス!!」
バシッ!と鋭い音が響いた。ジャイアンは慌てて周りを見渡す。何も起きていない。
ジャ「良かった。攻撃を受けた訳じゃな……」
突然『浮遊』の特性を持つマスキッパが地面に落下した。
愕然とするジャイアン。
図鑑を見たところ、マスキッパの体力が急に半分以下まで落ち込んだようだ。
ジャ「いたみわけ……ってそんな技だったのか……?」
図鑑から顔を上げたジャイアン。メリッサはポケモンを交代し、
ジャイアンにとっては始めて見るポケモン、ユキメノコが姿を見せていた。
メリ「あなたも早くポケモンを交代したらいかがデス?」
ジャ「何だと!?」
メリ「マスキッパはもう瀕死デース。ムウマージの滅びの歌で天に召しました……」
床のマスキッパは再び浮き上がる気配がない。いや、それ以前に動かない。
ジャイアンは慌ててまた図鑑に目を落とす。
ついさっきまで半分近くまで伸びていた緑のライン―――マスキッパの体力を表すメーターは真っ白になっていた。
メリ「黒いまなざしで逃げないようにする、滅びの歌で体力を奪う……これがワタシがさっき使ったコンボデース。
ちなみーに、滅びの歌はアナタがボーッとしている時に使いました。試合に集中しましょうとワタシそう言いましたよ。」



ジャイアンはメリッサを睨みつけ、モウカザルを出した。
その途端ユキメノコが白く透き通るような吐息をモウカザルに浴びせ、動きを鈍らせた。
メリ「あいーてのすばやーさを下げるのは重要なテクニックデース。覚えておきましょーう。」
喋り方がますますゆったりとして説明口調になってきたメリッサ。
滅びの歌に対処できなかったジャイアンを見たメリッサは彼を初心者と勘違いしたらしい。
最も、ポケモンについてジャイアンはさほど知識があるわけではない。
ジャ「素早さなんて関係ねえ。先制技のマッハパンチだ!!」
モウカザルの腕は凄まじい速度でユキメノコをすり抜けた。
ジャ「しまった!ゴーストタイプだった!」
メリ「サイコキネシス!!」
強烈な念波が勢い良く転んだモウカザルに炸裂した。
ジャ「耐えろおおおお!!!」
何とかポケモンの気合を高めようとするジャイアン。ポケモンよりも無駄に大声を上げた自分の方が白熱していた。
それはともかく、何とかサイコキネシスに耐え切ったモウカザル。
ジャイアンの指示を受けてユキメノコに火炎放射で止めを刺した。
ジャ「ステルスロックでもともと体力不足だったな。あんたのユキメノコ。」
メリ「確かにそれはそうデースが……アナタは人の事、言えませーん。」
道連れを使われ、モウカザルもまた体力が尽きていた。
ジャ「分かってるよ!あんたのムウマージと俺のカブトプスが一騎打ちだって事ぐらいな。」
メリ「良く出来まーした。」
そう言うとメリッサは腰からムウマージのボールを抜いた。



ムウマージとカブトプスが対峙した。
ジャ「さっきの戦いとステルスロックのダメージを考えればあんたの方が不利だな。」
メリ「今の内に強気な発言をするのは自由デースが後で後悔しないよう、マージカルリーフ!!」
ムウマージの体の何処からか魔法のように綺麗な葉っぱが飛び出し、カブトプスを切り裂いた。
想像以上のダメージに慌てるジャイアン。
メリ「いかんせーんアナタ知識が足りません。」
ジャ「黙れ!どっちみちお前の負けだ!!辻斬りっ!」
邪悪な一撃をムウマージはすんでのところで避け損ねた―――

バッジの所持数がようやく1に戻りジャイアンは町を出ようとしていた。しずかがこの町にいる事にもに気づかず。
そんなジャイアンを町の住人が呼び止める。
山男っぽい人「君君、良かったらさ、このポケモンをズイタウンの育てやさんに届けてくれない?」
ジャ「はぁ?」
タウンマップによればズイタウンはジャイアンの目的地――ノモセシティとは全く別の方向。
マキシの親父に復讐を、ともくろむジャイアンにとっては是非とも行きたくないルートだ。
ジャ「嫌だね。」
山男っぽい奴「そんなこと言わないでさ、お願いだよ。このポケモンをズイタウンの育てやさんに届けてくれない?」
ポケモンの世界のお馴染み、主人公が断ったら同じ質問を繰り返し、
嫌でも「はい」と言わせるゲームの住人の必殺技が炸裂した。
その質問が続く間は一歩も動けない。故にいつかは「はい」と言わないとフリーズよりむなしい無限ループが待っている。
ジャイアンは100回程断り続け、遂に折れた。
山男っぽい輩「おじさん、足痛めちゃったんだよ。頼んだね。」



ポケモンリーグ  

ドラ「ブビィ炎のパンチ!」
のび太から譲ってもらったブビィの炎技でドラえもんは
四天王、リョウのポケモン――コロトック、ガーメイル、ミノマダム(地)、ヘラクロス――を全滅させたところだった。
ドラ「よし、ブビィも進化したぞ。」
パーティが少しはましになったところでドラえもんは次の部屋へ急ぐ。

キクノ「おやまあ、色違いのビーダルが迷い込んできたよ。いい子だからこっちおいで。今ここから出して…」
ドラ「ビーダルじゃないっ!!1!行けビーダル!」
キク「トレーナーかえ?よしよし、見た目は気にする必要なんか無いでな。ウソッキー、相手してやんなさい。」
ビーダルとウソッキーがフィールドの端と端で睨み合った。
先に動いたのはウソッキー。
キク「けたぐり。」
ウソッキーが短い足で器用にビーダルを転ばした。
キク「ウッドハンマー!!」
ウソッキーだけの特権、石頭による無反動のウッドハンマーがビーダルを戦闘不能に追い込んだ。
ドラ「頼んだペラップ、ものまね!」
ペラップがウソッキーのウッドハンマーをコピーした。
そして、ウソッキーが何の準備も出来ずにいるうちにその技で反撃した。
キク「ウソッキーが倒されたら…ああ、もう駄目だね。私に勝ち目はない。」
そうキクノは呟き、残ったポケモンを全て出した。
ヌオー。ナマズン。ゴローニャ。成程ウッドハンマーが4倍のポケモンばかりだ。
ドラえもんは一礼してウッドハンマーで端からなぎ倒していった。



ビーダルの回復を済まし、早くもドラえもんはシンオウ四天王の三人目の部屋にいた。
競技場の真向かいに立っているのはだらしない格好で赤いアフロヘアーの
「オーバだ。以後よろしくな」
オーバと名乗る男は意外に快活な声でそう言った。
ドラ「四天王は名乗ったりしなくても同じだと思うけど……礼儀かな。」
ドラえもんは一応自己紹介をし、ブーバーを出した。
それを見たオーバが突然絶叫した。
オー「ブウウゥゥゥバァァァァ!!?きっ君!そのポケモンを何処で捕まえた?」
ドラえもんはオーバの激しい形相に怯みながら返答した。
ドラ「えっと、ハードマウンテンの辺りかと。」
それを聞いたオーバはまたしてもオーバリアクションで反応する。
オー「あそこかああああああ!!!くそう…こないだバクに頼んどけばよかった。」
ドラ「さっきから一体どうしたんですか?」
地面でのた打ち回っていたオーバは起き上がり簡単に理由を説明した。
彼が言うには、シンオウ地方には生息する炎ポケモンの種類が乏しく、
自分(オーバ)も炎ポケモンを専門としているが、数の少なさゆえにパーティの頭数も揃わないそうだ。
オー「見てくれよこのポケモン達。野生で手に入るのはポニータぐらいなんだ。」
オーバの手の平にはたった二つのモンスターボール。中にはギャロップと腰つきの魅力的なポケモンミミロップ。
ドラ「聞いたことあります。シンオウは寒いからなあ……でもガーディがどこかに生息しているんじゃ無かったっけ?」
オー「うほっガーディ!早速探してくるわ。ありがとなっ、ビーダル君。」
四天王という仕事をほっぽりだして部屋から駆け出したオーバ。
ドラえもんは一応迷う素振りを見せ、次の部屋に続く通路に入った。



メガネの怪しい男が本を読みながら挑戦者を待ち受けていた。
どうやらドラえもんは気付かれていない。
集中を乱すのは気が引けたので、こっそりドラえもんは背後に回り、本の内容を盗み見た。


『ポリゴンに関する考察』
ポリゴンとは1995年、ゲームフリークという会社が創り出した人工のポケモンである。
当時のポリゴンは体の表面すら安定せず、ポケモンとしての能力値は決して高いものではなかった。
が、それから長い年月に渡って研究が続けられ、1999年には
アップグレードによって大幅な小型化・軽量化を果たしたポリゴン2が誕生した。
その時、多くの科学者はポリゴンが完成したことを悟った。

だが、とある場所ではポリゴンの研究が未だ続けられているという。
目的は「戦闘において強いポリゴンを作ること」
この研究によって最近、新たな発見があった。
それは「ポリゴンに人のような閃きを持たせることが出来れば、特殊攻撃力が格段に上昇する」という事だった。
人工のロボットなどに閃きの可能性を与えるのは容易ではない。
だが、この発見をした研究所はこの研究について既に何らかの成果を挙げているという。
ポリゴンをポリゴン2に進化させる為に作られたアップグレードの様な道具が完成しているというのだ。
閃きをポリゴンに与える方法は不明だが、無理にそんな事をプログラミングしたら確実にポリゴンが狂う事になる。
道具の形、色、正式名称などこそはっきりとは明かされてはいないものの、
この結果は近々ポケモン学会に衝撃を与えるものとされている。



読み終わったドラえもんにゴヨウが気付く。
ゴヨウ「おや?挑戦者君かい?」

ゴヨウがトップバッターのフーディンを繰り出すのをドラえもんは先に見て、それからゴーストタイプのロトムを出した。
ドラ「(四天王最後のトレーナーだ。慎重に行こう。)怪しい風だロトム!」
先制されて一撃を受けること前提で放った攻撃はフーディンを直撃し、早々と戦闘不能に追い込んだ。
ドラ「あれ?フーディンはロトムより速いと思ったんだけどな…」
ドラえもんはボンヤリとそんなことを考えていたが、
ゴヨウの二番手キリンリキが高速移動を積むのを見て我に帰り、慌てて無効化しようとロトムに電磁波を命じた。
ドラえもんの指示が聞こえなかったのか、怪しい風を出すロトム。
当然の事ながらノーマルタイプのキリンリキには全く効かない。
ドラ「ロトムしっかりしろ!電磁波だッ、電磁……まさか!」
ドラえもんがロトムのステータス画面を確認すると嫌な予想が当たっていた。
ゴヨ「怪しい風がフーディンに放たれる前にトリックを使ったのさ。
こっちの持ち物は無くなったけど、君のロトムにはこだわりメガネを持たせてあげたよ。」
フーディンにロトムが先制した理由、ロトムが命令に背いた理由がこれで分かった。
ドラえもんは苦々しい思いでロトムを控えポケモンにし、代わりにペラップを出す。
ゴヨ「高速移動をさせたのが運の尽きだ。噛み砕く!!」
キリンリキが恐ろしいスピードでペラップに食らいついた。
その痛みにペラップも録音したドラえもんの声で悲鳴を上げる。
ゴヨ「このまま抵抗されなければサイコキネシスでそのまま瀕死に持ち込める……」
わざとらしいゴヨウの独り言にドラえもんは過敏に反応した。
ドラ「フェ、フェザーダンス!」
ペラップは噛み付かれたまま羽根を撒き散らした。
キリンリキの攻撃力が半分まで落ち込み、緩んだ顎をこじ開けてペラップも何とか脱出に成功した。



ドラ「勝負はこれから!オウム返しだペラップ。」
ペラップがキリンリキの噛み砕くをそっくりそのまま相手に返した。
何処から出てきたのやらペラップの鋭い牙がキリンリキを貫く。
ゴヨ「そうそう、いい感じだ…パワースワップ。」
キリンリキとペラップの間に不思議な色の糸のようなものが一瞬繋がり、消え去った。
ゴヨ「技の解説をしよう。パワースワップは自分と相手の攻撃・特攻の能力変化を入れ替える技。
余り知られていないけど、覚えさせて損はない。」
ドラえもんはゴヨウの言った事の意味を考える。
ペラップがフェザーダンスを使い、キリンリキの攻撃を半分まで下げた。だけどそれをパワースワップされたから……
ドラ「逃げろペラップ!!」
ドラえもんの警告は一瞬遅かった。
キリンリキが首の一振りで嘴の力が弱ったペラップを地面に叩きつけ、踏みつける。
ドラ「ペラップから離れろ!この野郎!お喋りするんだァ!」
意味不明な言葉でペラップが喚くとキリンリキは混乱でふらつき、ペラップが自由になった。
ドラ「今だ!大音量のお喋り!」
ペラップが渾身の力で止めを刺そうとすると、今度は技が全く当たらない。
キリンリキの不可解な動きによって全て回避されている。
ゴヨ「補助技をもう少し覚える必要があるね、君。キリンリキが君に気付かれないように使ったのはスキルスワップ。
特性を入れ替える技さ。君のペラップの『千鳥足』の特性を借りることにしたんだ。
……さて!瞑想も済んだし、最後のポケモンに交代するとしよう。バトンタッチ!」
ゴヨウがボールを投げた。



ドラえもんにとっては拍子抜けだったが、ボールからバリヤードが姿を現した。
ゴヨ「ペラップなんか瞬殺さ。往復ビンタ!」
張り手の猛攻でペラップが墜落した。
ドラ「ビーダル頼む!波乗り!!」
ビーダルの作り出した高波がバリヤードに向かう。
ゴヨ「光の壁。力押しは時に無意味になる。覚えておくと良い。」
瞑想で特殊防御が上がっていたバリヤードだが、わざわざ光の壁を使い、波乗りを完全にシャットダウンした。
ゴヨ「本当の波乗りを見せてあげよう。まねっこ!!」
いましがたバリヤードを襲っていた物が方向を変えたようにビーダルに向かっていく。
元々特攻が高いバリヤードをバトンタッチで引き継いだ瞑想が後押しし、波はとてつもなく高くなっていた。
ドラ「避けろビーダルッ!」
ドラえもんの叫びもむなしく、ビーダルは断末魔の叫びすら残さず波に埋もれた。
しかもその波はまだ物を飲み込み足りないとばかりにドラえもんに向かってくる。
ドラ「うわあああああああああ!!!」
叫ぶだけ叫び、ドラえもんもまた水圧の餌食。
波にもまれ、叩かれ、潰され、ドラえもんとビーダルは仲良く部屋の端まで流され、
数分前にくぐった扉に思いっきり背中をぶつけ―――


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