ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

セカンド その4

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akakami

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#ドラえもんサイド

「はぁー……よく寝た」
体を起こし、思いっきり伸びをする僕。
のび太君が居ない事に気付くのに、そう時間はかからなかった。
見ると、枕の傍に書き置きがある。
とりあえず読んでみる事にした。

『僕は一人で行きます。心配しないでね。のび太より』

「えっ……これだけ?」
書かれてあったのは僅か二文。
のび太君らしいといえば、そうなのだけど。
『まぁ、のび太君がそう決めたんだし仕方ないな。僕も一人で行こう』
こうして一人旅に踏み切った僕。
ポケモンセンターを抜け、早足でヨスガシティを出た。

『にしても、のび太君どうしてるかなぁ?』
未だにのび太君の心配をしている僕。
だが、すぐに止めた。
『大丈夫だよな。自分で決めたんだし』
朝日を背に、一歩ずつ歩いていく僕だった。



そこからの道のりは大変だった。
大体何キロぐらい歩いたろう……僕は一日でトバリシティへ到着したのだ。
「はぁ……はぁ……流石に堪えるね」
僕がそう呟いた時の事だった。
「ギンガ団に逆らった奴は潰してやるぜ!いけ、ズバット!」
ギンガ団の輩と思われる声が聞こえてくる。
僕は急いで声の発信源へと向かった。

「これは……」
二人の少年の周囲を、大量のギンガ団が囲んでいる。
よく見ると、その二人はのび太君とスネ夫君だった。
「行かなきゃ……!」
モンスターボールを出し、戦闘準備を整える僕。
だが、足は動かなかった。

『僕は一人で行きます。心配しないでね。のび太より』

不意に、頭の中に浮かんできたのび太君からのメッセージ。
『ここで僕が行ったらダメだ。まだ飛び出さなくていい……』
僕は近くの物陰に隠れて状況を観察する事にした。
「のび太君……」



状況はかなり厳しい。
幹部は圧倒的な実力でのび太君のポケモンを倒している。
『もうダメだ……僕が行かなくちゃ!』
僕が覚悟を決めて飛び出そうとした、正にその瞬間だった。
「今回は見逃してやる……だが、次は容赦しないぞ」
そう言って、さっきまで猛攻を続けていた幹部がビルの中へ戻っていく。
僕はようやく安堵の溜息を吐く事が出来たのだった。

それから僕はジム戦を終え、逃げるようにトバリシティを後にした。
手元には三つのバッジが輝いている。
「次の町はノモセシティか……」
僕がそう呟いた時だ。
『何か……何か足りない』
と、思考を巡らせる僕。
辿り着いた結論は、のび太君の事だった。
『いつもなら、のび太君が返事してくれてたもんな』
ここにきて、何とも言えない不足感を覚えた僕。
暫く歩いて辿り着いたのは、リッシ湖のほとりという場所だった。

「綺麗な場所だなぁ……」
僕は思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
『今日はここのホテルに泊まろうか』
なんて考えが過ぎったが、すぐに止めた。
「やっぱ、先を急がなきゃな」
こうして僕は再び歩き出したのである。



「くっそー、中々捕まらないな……」
リッシ湖のほとりを後にした僕はひたすら歩き、ノモセシティに着いた。
そして、ここはノモセシティの大湿原。
新しい戦力を求めて散策を続けている次第だ。
「今日の収穫はヌオーだけ……そろそろ戻ろうか」
見ると、先程まで西に傾いていた太陽は既に沈みかけている。
それにずっと歩いていたので足も痛い。
「よし、戻ろう」
僕がクイック号に乗ろうとした、その時だ。
「ギンガ団だー!ギンガ団が来たぞー!」
不意に聞こえてくる人の声。
目をこらすと、別のエリアに大量のギンガ団が居た。
「行かなくちゃ……!」

それはそれは酷い有り様だった。
大湿原のポケモンを悉く捕えていくギンガ団達。
「あ、あれは……」
良く見ると、一人の少年がポケモンを操りギンガ団相手に奮闘している。
「おーい!ジャイアン!」
大量のギンガ団を敵に回していたのは、ジャイアンだった。
この世界で会うのは初めてだ。
「ドラえもん!いい所に来たぜ……俺に加勢してくれないか?」
「ああ、そのつもりさ!」
僕は三匹のポケモンを繰り出すと、戦いの渦へと入っていった。



「ヌオー、水鉄砲!」
「ラムパルド、原始の力!」
大勢のギンガ団相手に、優勢を保つ僕とジャイアン。
額には汗が滲み出ていた。
「やっぱりジャイアンは強いね!頼りになるよ」
「ああ、ドラえもんもな!」
そんな会話を交わしながらも、僕達はギンガ団を圧倒していく。
やがて、その場にギンガ団の姿は無くなった。

「それにしても、助かったぜ……ありがとな」
傷ついたポケモンを受け取り、照れくさそうに言うジャイアン。
「ジャイアンのお陰さ!僕一人じゃ絶対に勝てなかった」
互いを賞賛し合う僕達。
すると、ジャイアンが急に神妙な顔つきになった。
「あのさ、ちょっと……」
「何だい?ジャイアン」
ジャイアンにしてはいつに無く真剣な表情だ。
「確かこのゲーム、実際のゲームのシナリオ通りに進むんだったよな?」
「うん、そうだけど……」
僕がそう返すと、ジャイアンは一層不安な顔をして見せた。
「実はダイヤモンド・パールにこんなシナリオは無いんだよな……どういう事なんだ?」
僕はのび太君同様、ダイヤモンド・パールをプレイしたことが無い。
故に、このジャイアンの一言はかなり衝撃的だった。



「ポケモンプレイヤーには二つのモードがあるんだ。
一つは実際のシナリオ通りに進むシナリオモード。
もう一つはプレイヤーの干渉によってストーリーが変わってくる可変シナリオモード。
僕はシナリオモードに設定した筈なんだけど……」
シナリオモードに設定したのは確かだ。
それは間違い無い。となると……
「まさか、誰かがモードを変えたとか?」
僕の考えの続きを言ったのはジャイアンだった。
その可能性は十二分に考えられる。
「あーもうわかんねぇや……とりあえず、今日はもう寝ないか?」
目をトロリとさせ、大きな欠伸をするジャイアン。
僕はもう少し考えたかったが、流石に眠気には勝てない。
「わかったよ……今日はもう寝よう」
そう吐いて、ベッドに寝転ぶ僕。
予想以上に疲れがあったせいか、意識が無くなるのにそう時間はかからなかった。

皆の手持ち
ドラえもん(ムクバードLv32、コロトックLv30、ヌオーLv28)
ジャイアン(ラムパルドLv35、ゴーリキーLv30、マスキッパLv27)



#のび太サイド

レストランを後にし、静香ちゃんと別れた僕はひたすら進んでいた。
「もうすぐ次の町か……」
僕がそう呟いた時だ。
ここから数十メートル先の所に、見知った姿が見えた。
『アイツは……』
整った顔立ちをしている少年、それは紛れも無く出木杉だった。
「出木杉ー!」
そう呼びかけると、出木杉は僕の方へと振り向く。
出来れば会いたくなかったのだが、僕は少し聞きたい事があったのだ。

「野比君じゃないか……ヨスガシティ以来だね」
「ああ、そうだね」
またしても無愛想になる僕。
「それより、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ……」
「何だい?」
少々戸惑いの色を見せる出木杉。
「ダイヤモンド・パールにリッシ湖のほとりの近くのレストランでギンガ団と戦う、
なんてストーリーあったかい?」
「いや、そんなストーリーは無いけど……」
少し考えてから返事をする出木杉。
『やっぱり……だとすると』
僕はようやく悟った。
このゲームが、シナリオ通りに進んでいない事を。



僕が疑問を持ち始めたのは、静香ちゃんの一言からだった。
「可笑しい……実際にはこんなシナリオ無いのに……そういう仕様なのかしら?」
そう別れ際に静香ちゃんが吐いていったのだ。

『それに……ドラえもんはシナリオ通りに進むって言ってたし』
それはドラえもんが道具の説明をしている最中の事。
「このゲームはシナリオ通りに進むから、危険性は全く無いんだよ」
と、誇らしげに語っていたドラえもんが脳裏に浮かぶ。

僕はその事を出木杉に話した。
「その事は僕も知ってるさ。前から薄々とは感じていたんだけどね……」
出木杉はそう話すと、
「この世界に異変が起きてるのかな……?」
と付け加え、足早に去っていった。
「異変……か」
何となくそう呟いてみる僕。

それから少し歩いてからだ。
ノモセシティと呼ばれる町に着いたのは。



ノモセシティに着いた僕は、真っ先に大湿原へと向かった。
町の人曰く、大湿原には珍しいポケモンが沢山居るとのこと。
珍しいポケモン――そんな好奇心に駆られ、今はポケモンを探している真っ最中。

「全然捕まらないよー……」
草むらのど真ん中から、情けない声を漏らす僕。
ポケモンを見つけ出しても、すぐに逃げられてしまうのでゲット出来ない。
いい加減疲れてきたし、好奇心なんて物もどこへやらだ。
「戻ろうか……」
僕がそう呟いた時、不意に目の前の草むらからポケモンが出て来た。
一見するとただのサソリだ。
「珍しそうだな……よし!」
そう言うなり、ボールを投げる僕。
放物線を描いたボールは綺麗にヒットし、その体を捕えた。
「やったー!」
僕はルンルン気分で町へ戻っていった。

「そういえば……この町にはジムがあったんだな」
ジムの扉の前で突っ立っている僕。
見ると、水タイプのジムのようだ。
「よし……」
僕は深呼吸をすると、光溢れるジムの中へ入っていった。



ジム戦は至って楽勝だった。
ハヤシガメ――いや、進化したドダイトスの力が圧倒的だったのだ。
「お前、強くなったなぁ……」
ボールの中のドダイトスに呼びかける僕。
空では幾つかの星が輝いていた。

「もう暗いし……そろそろ寝よう」
ポケモンセンターのベッドの上でそう呟く僕。
そんな時、ふと頭の中にドラえもんの事が浮かんできた。
『ドラえもん……どうしてるかなぁ?』
僕が一人で旅だったあの日以来、ドラえもんには会っていない。
本音を言うと、少し会いたかった。
『……ダメだダメだ。もう寝よ……』
予想以上に疲れが溜まっている。
それから数秒が経つと、僕は夢の世界へ入っていった。

皆の手持ち
のび太(ドダイトスLv32、ヨルノズクLv30、ポニータLv30、スコルピLv29)



#のび太サイド

ノモセシティを出た僕は、シロナさんに出会った。
そして、今はカンナギシティへと向かっている。

事の発端はこうだ。
「悪いけど、カンナギシティまで行ってくれない?
このお守りを私のおばあちゃんに渡して欲しいんだ……。
道中にはポケモンも沢山居ると思うし……」
と、シロナさん。
正直面倒だったが、以前に僕を助けてくれた人だ。
断るわけにもいかない。
僕は仕方なく承諾したのだった。

「ライチュウ、電光石火!」
先程捕まえた新戦力、ライチュウで並居るトレーナーを倒していく僕。
そのまま歩いていくと、何処と無く古風な町が見えてきた。
「カンナギシティか……」

今まで通った町よりも遥かに小さく、人も少ないカンナギシティ。
その中で、一際目立つ男が遺跡の入り口に居た。
「ギンガ団だ……!」
暫く様子を見ていると、
「この爆弾でここを爆破させてやるぜ……」
と、突拍子も無い事を言っている。
爆破なんてされたら、こんな小さい町はたまったもんじゃない。
僕は止めさせるべく、下っ端の居る所へ向かった。



それから僕と下っ端は交戦状態になった。
「ドダイトス、はっぱカッター!」
完全に僕が押している状況。
そして下っ端の最後のポケモンが倒れた、その時だった。
「へっ……バトルには負けたが……周りをよーく見てみな」
ポケモンをボールに戻し、そう言い放つ下っ端。
僕はただの負け惜しみかと思ったが、そうでも無かった。

「あら、あなた……前に会ったわね」
僕の背後に居たのはギンガ団幹部、マーズ。
他の下っ端達も僕の周囲を取り囲んでいる。
『や、やばい……!』
数十人の下っ端……それに加えて幹部まで。
到底勝ち目は無い。
でも、やるしか無かった。
「くそ……いけ!ヨルノズク、ポニータ!」

それから程無くして、僕はカンナギの地に横たわっていた。
「おい、このドダイトス結構強そうだぜ!」
そう言って、ドダイトスの入ったボールを奪う下っ端。
「や、やめろ……」
節々が痛む体で抵抗しようと試みる僕だったが、立つ事すらままならない。
万事休すだ。



『もう、終わりか……』
僕がそう思った時だった。
「ガブリアス、ドラゴンダイブッ!」
不意に聞こえてくる女の人の声。
その指示に従い、ガブリアスは下っ端と僕の間に割って入った。
「大丈夫?のび太君……」
そう言ってガブリアスの傍らに立っていたのは、紛れも無くシロナさんだった。
だが、もう既に頭がくらくらしている。
僕は地に横たわったまま、意識を失った――

「ん……」
気がつくと、僕はベッドの上に居た。
それと同時に、シロナさんが目に映る。
「あら、気がついたのね」
美しい金色の髪を触り、僕の方を振り向くシロナさん。
「あのギンガ団達は私が追っ払ったわ……危ないところだったわね」
「え?追っ払った?」
まさか、シロナさんがギンガ団を倒せるとは。
僕の脳裏にそんな疑問が過ぎった時だ。
「実は私、ポケモンリーグのチャンピオンなのよ」
「え……?」
僕は驚きを隠せなかった。
まさか、シロナさんがチャンピオンだったなんて……。



それから僕はカンナギを出て、元来た道を戻っていた。
「やっぱり、ドダイトスのボールが無い……」
おそらく下っ端が逃げる時に持っていかれてしまったのだろう。
ドダイトスの居ない僕の手持ちは、何か一つ欠けていた。

「はぁ……」
僕が溜息をついた、その時だ。
「よう、のび太じゃないか」
不意に、後ろから聞き慣れた声がする。
振り返ってみると、そこにはジャイアンが居た。
「ジャイアン……久しぶりだね」
思えば、ジャイアンに会うのはこの世界で初めてだ。
ジャイアンはモンスターボールを僕の眼前に突きつける。
「のび太、俺と勝負しろ!」
「えっ……?」
とてもじゃないが、勝負する気になんてなれない。
それに、あまりにも唐突すぎる。
「嫌だ……僕はしたくない……」
弱々しく漏らす僕。
「この世界では目が合ったらポケモンバトルだぜ?やらないのか?」
「だから……やりたくないって言ってるだろ!」
感情の高ぶりの為か、思わず怒鳴ってしまった。
こうして、僕はジャイアンから逃げるようにヨスガシティへと走っていったのである。



「ふぅ……やっと着いた」
あれから走りに走った僕は、ようやくヨスガシティに着いた。
ここには五番目のジムがあるのだ。
「ジム戦、お願いします」
そう言ってジムの中へと足を踏み入れる僕。
ドダイトスが居ないので、正直勝てるかどうか不安だったけど……。

「ライチュウ、十万ボルト!」
ライチュウの電撃が、相手のゲンガーを葬る。
「やったー!」
ドダイトスが居なくても、僕は見事ジム戦に勝利した。
知らず知らずの内に、僕のポケモン達は確実に強くなっていたのだ。
それに確かな手応えを感じた僕は、五つ目のバッジを貰って外に出た――

「ん?あれは何だ……?」
見ると、コンテスト会場の方が何やら騒がしい。
僕は急ぎ足でコンテスト会場へと向かった。
何か……何か嫌な予感がしたからだ。

皆の手持ち
のび太(ライチュウLv34、ヨルノズクLv34、ポニータLv33、スコルピLv32)
ジャイアン(不明)



「これは……」
案の定、コンテスト会場の中は酷い有り様だった。
元々綺麗な壁には激しい戦闘を彷彿とさせるヒビが入り、床も所々が割れている。
更に、そこら中にガラスの破片が飛び散っていて……

「スネ夫!それにあれは……!」
本来コンテストを行うステージの上で戦闘をしていたのはスネ夫。
それに対峙しているのは……ギンガ団幹部のジュピターだった。
「ゴウカザル、大文字で焼き尽くせ!」
スネ夫のゴウカザルの灼熱の炎が、既に傷を負っているスカタンクを襲う。
それを受けたスカタンクは一溜まりも無かった。
「はぁ……はぁ……どうだ?これが僕の力さ……」
荒い息をつきながら、誇らしげに言うスネ夫。
勝負に敗れたジュピターは、憎々しげな顔をして去っていった。

「スネ夫ー!」
下っ端達と共に去っていくジュピターを横目で見ながら、スネ夫の方へと走っていく僕。
「のび太か……」
「スネ夫、これはどういう事なんだい?」
僕が尋ねると、スネ夫の顔は狂喜で歪んだ。
「アイツ等がここを襲撃してきたから……この僕が痛めつけてやったのさ」



しばしの沈黙の後、僕が口を開く。
「いくらなんでも……これは酷いんじゃないか?」
何も無い、閑散としているコンテスト会場。
昔の面影はこれっぽっちも無かった。

「スネ夫……確かにギンガ団は悪い奴等だけどさ……」
「黙れ!」
僕の言葉を遮って、怒鳴るスネ夫。
「いちいちウザいんだよ……お前は……!」
「何だと……?」
今の言葉には、流石の僕も怒った。
そんな僕に、スネ夫はモンスターボールを突きつける。
「おい、のび太……ポケモンバトルだ……二度とそんな口を利けないようにしてやるよ……!」
出来れば避けたがったが、今のスネ夫の興奮状態を見るにそれは無理だ。
僕は受けて立つ事にした。
「いけ、クロバット!」
スネ夫のボールからはゴルバットの進化系、クロバットが繰り出される。
「なら……いけ、ライチュウ!」

「クロバット、クロスポイズン」
「効かないよ……反撃の十万ボルトだ!」
効果は抜群……クロバットは一撃で倒れた。



「チッ……いけ、ビークイン!」
スネ夫は舌打ちをすると、蜂のようなポケモンを繰り出した。
「ライチュウ、十万ボルトだ!」
僕のライチュウが攻撃を放つも、スネ夫のポケモンには大して効いていない。
しかも、ライチュウは先程のクロスポイズンで毒状態になっている……。
「ビークイン、攻撃指令」
体から大量の蜂を発生させ、ライチュウを襲うビークイン。
毒のダメージもあり、ライチュウはあっけなく倒れてしまう。

「お疲れライチュウ……次はヨルノズクだ!」
飛行タイプのヨルノズクなら虫タイプのビークインには有利な筈だ。
「エアスラッシュ!」
「毒毒だ!」
お互いの技が同時に繰り出される。
だが、ヨルノズクのエアスラッシュでさえ満足なダメージは与えられなかった。
「猛毒状態か……厄介だな」
それもその筈。
こっちが猛毒に侵されている間にも、敵は回復指令で自らの体力を回復させている。
『くそ……どうすれば……!』
単なる力押しでは勝つ事が出来ない。
そこまで考えた時、僕は一つの対抗策を導き出した。
「ヨルノズク、サイコシフトだ!」



僕の指示に従い、ヨルノズクの目が怪しく光る。
サイコシフトの為だ。
「サイコシフト……まさか!」
ここに来てようやく僕の意図を察したスネ夫。
サイコシフトは自分の状態異常を相手に移す事が出来る技なのだ。

「くそ……僕のビークインが……!」
まさに自業自得。
ビークインは自らの技によって倒されたのだ。
「……のび太の癖に……生意気な!」
遂に怒り狂ったスネ夫。
そのまま怒りに任せ、切り札のゴウカザルを出す。
「燃やし尽くせ!ゴウカザル、大文字だ!」
ゴウカザルの大文字が、一撃でヨルノズクの体力を奪った。

その後の戦闘はゴウカザルの独壇場だった。
苦し紛れに出したスコルピとポニータもすぐにやられてしまう。
スネ夫は「やっぱりのび太はのび太だな」と皮肉を込めて吐くと、半壊したコンテスト会場を出ていった。
「……はぁ……」
そのまま少しの間立ち尽くす僕だったが、やがて大人の男の声が耳に入ってきた。
「おい、ここだ!ガキがここを壊しやがったんだ!」
どう見ても好ましく無い状況だ。
僕は息を潜め、全壊の窓から逃げ出した。

皆の手持ち
のび太(ライチュウLv35、ヨルノズクLv35、ポニータLv33、スコルピLv32)
スネ夫(ゴウカザルLv36、クロバットLv34、ビークインLv33)



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