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俺は時間犯罪者だ。
俺は時間犯罪者だ。
俺は時間犯罪者だ。

スネ夫の脳は一切の思考を失い、ただその言葉だけが頭の中で繰り返し響いていた。

呆然とするスネ夫にのび太が言う。その顔は友人のスネ夫でも、にわかには区別がつかない様になっていた。
のび太「キシシシシシシ。驚いて声も出ねえか?あ?」
声はただ純粋に楽しんでいる。

冷たい笑い声でスネ夫は目覚めた。そしてビビリながらも言う。
スネ夫「いつから……いつから入れ替わっていたんだ!?それと、何故こんなことをするんだ!
狙ってるのは僕達だろ!この人達は関係ないじゃないか!」
我に返ったスネ夫は、そうわめく。

のび太は言った。
のび太「次から次へとうるさい奴だな……。まあいい。冥土の土産に説明してやろう。
それには、まず、違うことから説明しなければならないようだな。」
のび太は腰からボールを取り出し、それを投げる。
その中から飛び出したのは、真っ黒な影のような、目の赤いポケモン。

スネ夫「ゲ、ゲンガー?」

スネ夫は当惑する。何をしたいのか分からない。

すると、のび太はバッグの中から黒い冊子を取り出し、その中のページを一枚切り取った。
のび太はそれをクシャクシャに丸めると、スネ夫へと放り投げた。



のび太「触れ。」
のび太はスネ夫にそう命令した。
彼の横で下品な笑みを浮かべるゲンガー。
とても不気味な光景だ。

地面に転がる丸まった紙屑を見てスネ夫は、何か細工があるのかと疑ったが、しばらくしてスネ夫はそれに恐る恐る手を触れた。
スネ夫「な、何が起こるんだ……?」
スネ夫は辺りをキョロキョロ見回す。
すると突如、聞き覚えの無い誰かの声響いてきた。

「よお。」

スネ夫「誰だッ!」
スネ夫はまた辺りを警戒する。

しかし、彼の周りには倒れる人ばかりで自分に声をかけてきそうな人は居ない。だが、声は已然と響いてくる。

「俺だよ俺、こっち見ろ。」
スネ夫は声の方を向いた。

信じられない光景に、開いた口が塞がらなかった。

しゃべってる。目の前に居るゲンガーがニヤケながら人語を操っているのだ。

またもやスネ夫の思考はフリーズした。
ゲンガーは言う。

ゲンガー「キシシシシシシ。ポケモンが話すのは信じられねえか?
まあそんなことはどうでもいい。俺は厳密にはポケモンじゃねえんだからな。
そう、俺が時間犯罪者の本体だ。」



スネ夫「時間……犯罪者の……ホンタイ?」
流石のスネ夫の頭脳も今の状況にはついていけない。
しかし、ゲンガーはそれを無視して話を続ける。

ゲンガー「今まで俺はこのメガネを操ってお前らと生活を共にしてきた。
どうやって操っていたのかは……まあ、説明が面倒だわ。省略。」
ゲンガーはそう言うとのび太の体を操り、黒い冊子をスネ夫に中が見える様に見開きにし、言った。
それには、人の名前、ポケモンの名前がビッシリと書かれていた。

ゲンガー「そしてこれが殺しのタネだ。
このノートに名前、及び手持ちを書き込まれた者は死ぬ。」

スネ夫「なんだって!?」
スネ夫は目を丸くする。
名前と手持ちを書く、それだけで人を殺せるツール。にわかには信じがたいが、状況が状況。
本当だろう。自分が何故生きているのかは分からないが。

のび太はスネ夫の目の前でノートをピラピラとする。

その中には、ミカン、しずかの名前も書いてあった。
それがスネ夫の背中に冷たい物を走らせる。



スネ夫は言った。

スネ夫「よく分からないけど、君の正体はゲンガーで、のび太はただ操られていたって事は分かった。
でも、ただ一つ……ただ一つ府に落ちない点がある。
そんなノートがあるなら何故僕らをすぐに殺さなかった。そして、何故、今ロケット団の奴らを皆殺しにしているんだ!?」

スネ夫はそれなりの剣幕でまくしたてたが、ゲンガーは臆する様子も無く答えた。
ゲンガー「なんだ、そんなことか。超簡単だ。まず、お前らを殺さなかったのは、このイベントクリアに利用するため。

そしてコイツら殺しているのは経験値稼ぎの為さ。」

スネ夫「経験値稼ぎ?」
意味不明な言葉に、思わず聞き返すスネ夫。
ゲンガーは肩をすくめた。
ゲンガー「実はな……。このノートの力は人を殺せるだけじゃねえ。
色々なルールや効果がある。
その一つに『このノートによって殺された者の手持ちポケモンから得られる経験値の半分が俺に与えられる』といった物がある。」

スネ夫は、はっとした。
スネ夫「まさか……お前……僕らに「あまり人を殺すな」と言ってたのは……」

ゲンガー「そうさ。
『俺が』殺して経験値にするためだ。」



ゲンガーの言葉にスネ夫は体をわなわなと震わせる。
スネ夫「お前……人の命を……経験値程度に……。そして僕らを……しずかちゃんを殺し………のび太を利用して……」
スネ夫の震えは「恐怖」ではなく「怒り」だった。

しかし、ゲンガーは悪びれた様子も無く答えた。
ゲンガー「人の命?
キシシシシシシ。お前面白い事言うなぁ。
コイツらゲームのキャラだぜ?
ドラクエでスライム殺してんのとあんまり変わらんよ。
何か?お前もしかして「スライムかわいそ~」とか思いながらゲームするわけ?
キシシシシシシ!」
ゲンガーは高笑いをする。

ゲンガー「レベルが上がってきたぞ……。
凄い!凄い!凄いぞ!力が溢れてくる!これで確実にデキスギに勝てる!
祝砲だ!」
そして、手から漆黒の球を放つ。
凄まじい威力のそれは自然公園の緑を次々となぎはらってゆく。

スネ夫「あ、あ、あ……」
それを見たスネ夫の「怒り」は「恐怖」に変わった。

どうしようも無い。レベルが違いすぎる。

スネ夫は痛感した。

失意のスネ夫を見てゲンガーは言う。
ゲンガー「分かったか?全てが。
分かったら吹き飛びな。じゃあな。」
ゲンガーはスネ夫に手をかざした。



ヤラレル。
スネ夫がそんな覚悟をした瞬間だった。
突如、目の前から黒い手が消え去った。

ゲンガー「おっと、その前に……。」
ゲンガーはスネ夫から目と手を離すと、パチリと指を鳴らした。
すると傍らにいたのび太から、黒いもやが飛び去り、のび太はその場に伏した。

ゲンガー「これでコイツのノートの所有権は解除された。
これで俺は自由に動く事が出来る。
そして……」
ゲンガーは再び手をスネ夫へ差し出した。

ゲンガー「改めてお前を殺せる。キシシシシシシ。」



キュッ。

スネ夫の胸から心臓の栓が閉まった様な音がする。
恐怖で下半身が温かい物に浸されてゆく。

スネ夫は覚悟を決める。ゲームオーバー、即ち死を経験する覚悟を。

ゲンガー「あばよ。」


スネ夫はグッと目を瞑った。

死の直前の時間は、まるで無限の様に感じられた。
歯医者で歯を削られる前に、待たされる時間が異常に長く感じられる様に。

しかし、その時間を実感する程に、スネ夫はそれがただの自分の感覚的時間だけの問題ではない事に気づいた。

スネ夫『あれ?』
スネ夫は目を開いた。

その視界は、先程とほぼ同じ。

ただ一つ違っていた事はその手は小刻に震え、自信に満ちていたその顔は不安や疑問で満ちた表情に変わっていた事だった。

ゲンガー「で……出ない……。シャ、……シャドーボールが出ない……なぜ……?」
ゲンガーは言う。

その時だった。
「ふぅ。運が良かったよ。」
何者かの声が聞こえた。



ゲンガー「誰だ!?」
ゲンガーはその方を向いた。

そこにはジャイアンと、一人のロケット団員が立っていた。
スネ夫はそのロケット団員を知っている。
先程熱く善悪論を説いていたロケット団のしたっぱだ。
ロケット団員は続ける。

ロケット団員「時間犯罪者。
お前のシャドーボールはコイツで防がせてもらった。
ここが自然公園で本当に運が良かったよ。」
団員の傍らには、一匹の中型の虫ポケモンがいる。
コンパンである。

スネ夫「そうか!コンパンの「かなしばり」か!」
スネ夫が言う。

ゲンガーは歯噛みした。
ゲンガー『くそっ!
シャドーボール以外まともな攻撃技がねぇッ!』
ゲンガー「テメエただのロケット団員じゃねえな!
誰だ!?」
自然公園に響き渡るゲンガーの叫び。

団員「ふぅ。変装服は暑いから嫌なんだよなあ。」
そして、それに応えるかの様に団員はニヤリと笑うと、まるで脱皮するかの様に団員の体が裂け、中から青色のボデイが顔を出した。

ドラえもん「僕だよ。びっくりしたかい?」



スネ夫「ドラえもん!」ゲンガー「青狸ィッ!」
スネ夫、ゲンガー、二人は驚く。
両者の心境はまるで違うが。

ゲンガーはうめく様に言う。

ゲンガー「貴様……何故……何故生きてるんだぁッ!」
その声は雄叫びとなり自然公園に響く。
しかし、その金切り声にドラえもんは落ち着いて対応する。

ドラえもん「簡単さあ。
君が壊したのは僕のコピーロボット。
僕は別室から君がどのように人を殺すのか観察してたんだよ。
そもそも、正体不明の殺人能力を持つ相手にノコノコ本人が来ると思ってるのかい?
しかも君は油断しきって蚊メラにも気付かなかったし。君のしてた事は全部見てたよ。
ノートに必死にロケット団員の名前を書いてたから先回りさせてもらったのさ。」
ゲンガー「俺はそんなチャチな替え玉の話や、器具の話をしてるんじゃねえ!
俺が聞いてんのはなんでノートに間違いなく名前を書かれたのに、テメエは生きてんのかってコトだ!」
ゲンガーは赤い目を更に赤くして言う。

ドラえもん「さあね?
そんなことなんで君に説明しなくちゃならないんだい?」
ドラえもんは冷たく言い放つ。
ゲンガー「グッ!」
ゲンガーの顔が怒りで歪む。
すると傍らのジャイアンが小声で聞いてきた。
ジャイアン「っていうか、なんでドラえもんはノートに名前書かれたのに生きてんの?」



ジャイアンの素朴な疑問は予期せぬ言葉で返ってきた。
ドラえもん「僕が生きてた理由かい?
まあ、てっとり早く説明すると君のお陰だよ。ジャイアン。」
ジャイアン「?」
思わぬ言葉に首を傾げるジャイアン。

しかし、その疑問はドラえもんが無言で見せたモンスターボールを見ることで解消されることになる。

ジャイアン「これは………イーブイ!」
ドラえもん「シッ!ジャイアン!」
ドラえもんは迂濶に声を上げるジャイアンに釘を刺す。

ドラえもんは続ける。
ドラえもん「僕はのび太君を呼び出す前に、マサキのお祖父さんから呼び出されたんだ。
そしたら、これを渡されたんだ。」
ジャイアンの記憶が蘇ってくる。
そういえば、地下通路でマサキのじいさんにイーブイをドラえもんかのび太に渡すように言ったっけ。

傍らで小さく呟くドラえもん。
ドラえもん「本当に運が良かったよ。
もし、ジャイアンがそのままイーブイを貰ってたら……。
マサキのお祖父さんがイーブイを渡したのがのび太君だったら……。
イーブイを貰うのが直接対決の前じゃなかったら………。」
考えてもゾッとする。
ドラえもんはそんなポーズをとった。



ジャイアン「成程……。良くわかった……。良くわかったところで後は……」

ジャイアンは言う。
そして右手からボールを取り出した。
ジャイアン「アイツをぶちのめすだけだな。」
ジャイアンはボールを投げ、イノムーを繰り出す。

ゲンガー「くっ!」

スネ夫「よくもロケット団の人々を殺してくれたな……。そして……」
スネ夫はスリーパーを繰り出す。そして息を思いきり吸い、叫んだ。
スネ夫「よくも僕に恥をかかせてくれたな!」

三人に完璧に取り囲まれた形になったゲンガー。
その姿はかつてない動揺をさらけ出している。
ゲンガー『チクショウ!チクショウ!チクショウ!チクショウ!
なんとかこの状況を打開する手は……』

ジリジリと三人は迫ってくる。
ゲンガー『チクショウ!チクショウ!チクショウ!チクショウ!』
ドラえもんが言った。
ドラえもん「覚悟しろ!時間犯罪者!」

三人が一斉に飛びかかろうとしたその時だった。
突如、ゲンガーは不気味に笑いだした。

ゲンガー「キシシシシシシ。お前らは俺を殺せない。」



スネ夫「なに?」
謎のゲンガーの発言に一瞬脳裏にクエスチョンマークを浮かばせるスネ夫。
それに対してゲンガーはただニヤニヤと笑っているだけである。

スネ夫『攻撃できない?そんな訳が……。まさか何か……』
スネ夫がそう考えた瞬間、

ジャイアン「イノムー!じしん!!」
ジャイアンの指示が飛び、イノムーはじしんをゲンガーにヒットさせた。
ゲンガーは弱点の攻撃をモロに受けたが、レベルの差もあり大したダメージになっていない。
しかしその体は地面に伏される。
ジャイアン「ボサッとしてんじゃねえ!スネ夫!かなしばりの持続時間は限られてんだぞ!急げ!急げ!」
ジャイアンがスネ夫に罵声を飛ばす。

様子から察するに、ジャイアンはノートに触れていないから、奴の言葉が分からないのだろう。
さっきから話してたのはドラえもんだけ(翻訳コンニャクでも使ったんだろう)だし。

まあ、奴の発言は謎だが、ジャイアンの言う通り今は攻めまくるしかない。
スネ夫がそう思ったその時、
ゲンガー「イテテテテ…。」
ゲンガーがその場に立ち上がる。
ドラえもん「立ち上がったぞ!
次の攻撃………。」

その時だった。
ゲンガーの二つの目が怪しく輝いた。



そしてゲンガーの体から影のような物が出て、ドラえもん達の足元へと伸びていった。
ジャイアン「なっ、なんだ!?」
ドラえもん「よ、避けられない!」
影が三人の足元を覆った瞬間、彼らは言いようの無い寒気と悪感に襲われた。

言うなれば、インフルエンザを患った時の感触、それに似ていると言っていいだろう。

だが、永遠に続くかと思われたその感触は、次の瞬間に消え去ってしまった。
しかしなんだか、なんだか気分が悪い。

ゲンガー「キシシシシシシ。」
ただ不気味に笑い続けるゲンガー。
硬直する三人。
しかしジャイアンは、そのなんとも言えない雰囲気に耐えられなくなったのか、大声で叫んだ。
ジャイアン「テメエ!俺達に何をしたぁ!!!!」

ジャイアンの問いにゲンガーは笑いながら答えた。
ゲンガー「キシシシシシシ。
お前らに「みちづれ」をかけた。
俺を殺そうとすればお前らも巻き込まれるぜ。」



スネ夫「な、なんだって!?」
スネ夫はすっとんきょうな叫びを上げる。
ジャイアン「なんて言ったんだ?アイツは?」
ジャイアンはやはりゲンガーの言葉が分かっていないようだ。
スネ夫は無言でノートの切端をジャイアンに押し付ける。

ゲンガー「キシシシシシシ。
もう一度言う。俺はお前らにみちづれをかけた。
故に俺を殺せばお前らも自動的に死ぬ。」

ジャイアン「なんだと!」
やっと状況を把握したジャイアンは驚きの声を上げる。

この状況はヤバイ。
奴を倒せばみちづれ共倒れ。
だが、みちづれのPPが切れるまで待てば、先にかなしばりが解け、シャドーボールで全滅させられてしまう。
まさに板挟み状態。どうしようもない。
ドラえもん「どうすれば………。」
ドラえもんの嘆きに近い声も、ただ空虚に消えてゆく。
頭はフル回転しているのだが、打開策が見つからない。

ゲンガーはそれを見て満足そうに笑う。
ゲンガー「キシシシシシシ。
どうする?どうするよお前ら。」
ドラえもん達はただ立ち尽くす事しかできなかった。



ドラえもん「どうする……?」
スネ夫「どうしよう?」
ジャイアン「どーすんだ?」

三人は必死に頭を捻らせる。
時間は限られている。いつ、かなしばりが解けるか分からないのだ。
一刻の猶予も許されない状況の中、三人は焦っていた。

そしてその焦りは致命的な判断ミスをしばしば引き起こす。
三人は焦りで「みちづれ」の根本的な効果を忘れていたのだ。

みちづれ―――
それは自分が倒れた時に、みちづれをかけた相手を巻き添えにするという技。
しかし、巻き添えにするのはある条件がある。

それは『相手の攻撃によって倒される』と『倒された相手しか道連れにできない』という二点である。
ジャイアンとドラえもんはその二点の存在を知らなかった、そしてスネ夫は完全に『焦り』で忘れていた。

ゲンガーはこの事を知らないでこの策を採ったのか?
いや、ゲンガーは元から知っていた。
それならば何故敢えてこの策を採ったのか?

理由は簡単。他に時間稼ぎの方法がこれしか残されていなかったから。

彼の策は実を言うと心理的ブラフ。
簡単に言えば完全なるハッタリである。
しかし彼はそれに勝つ自信があった。
人を欺く事。彼の最も得意で、かつ好きな事だった。



そしてそれは今、絶大な効果を挙げている。
現にドラえもん達は彼の言葉に惑わされ、何も出来ずにいる。
ゲンガー「キシシシシシシ。
どうした?どうしたお前ら。
悔しいか?悔しいよなぁ。キシシシシシシ。」
内心のドキドキは表には絶対出してはならない。後少しの辛抱。かなしばりが解けるまで……。

ゲンガーは勝ちを確信した。
後少しでかなしばりは解ける。解ければ勝ち。そう思っていた。
しかし全てはうまくはいかなかった。
ゲンガー「さぁ!後少しでかなしばりが解ける!
テメエらはもう終わりだ!」
そう言って、ゲンガーが笑い始めた時だった



突然、あの忌々しい、あの不細工なロボット狸も笑い始めた。
顔は絶望から一転、自信に満ちている。
ドラえもん「スネ夫、ジャイアン、そして時間犯罪者。
君に勝つ方法が見つかった。
君は、さっき言ったよね。団員達を倒した事によって超レベルアップをとげたって。
だとしたら僕のさっき捕まえたばっかりのコンパンと、君はかなりのレベル差があるよねぇ。」
そう言いドラえもんはポケットをあさる。
中からは赤いモンスターボールが出てきた。
しかしそのデザインは市販の物とは違っている。
ゲンガー「ま、まさかそれは……。」
ゲンガーは気づいた。それが何なのか、を。

ゲンガー「やめろ!やめてくれ!」
ドラえもん「くらえ…時間犯罪者………!」
ゲンガーがそう言う前にドラえもんは既に行動をすませていた。

ドラえもん「いけぇッ!!レベルボール!!!」



ゲンガー「チックショーーッ!」
ゲンガーの雄叫びが自然公園に響く。
コーン。
ボールは無事ゲンガーに命中した。

歓喜の余りジャイアンは言う。
ジャイアン「よし!当たったぞ!後は捕まえられるかどうかだけ…………え?」
ジャイアンの言葉はそこで中断された。
予想外の事だった。
通常、モンスターボールを当てられたポケモンは、ボールに当たった直後、それに吸い込まれる様に捕獲される。
しかし、ドラえもんが放ったボールは、その本来の効力を全く発揮する事無くどこかへ転がっていってしまった。

その場に居た一同は、皆その光景に目を奪われ誰も動こうとしない。
いや、動く事が出来なかったという表現の方が正しいか。
少しばかり時が経ち、やっとその『原因』が分かった誰かが口を開いた。

ゲンガー「…………キシッ、キシシシシシ!キィシシシシシィッ!馬鹿かお前らは!?
俺はこのメガネのポケモンだぜ?
知らなかったのか?人の物を盗ったら泥棒なんだよーッ!」
ゲンガーは緊張から解放され、かつて無い程の笑いを見せる。
スネ夫「どッ………どどどどどどどうするんだよぉーッ!ドラえもーん!ドラえもん!ドラえもん、ねぇったら!」
スネ夫は絶望的状況に泣き叫ぶ。なんか股間がムズムズする。



ジャイアン「チクショウ!チクショウ!
ここまで……ここまでやっと追い詰めたのに………!
チックショー!」
ジャイアンの絶望の雄叫びが自然公園内に響き渡る。

そろそろ「かなしばり」も解けてしまう。
このままでは、皆殺されてしまうのは火を見るより明らかだ。
スネ夫「マッ、ママァーーーーッ!!!」
スネ夫の股間が本格的に濡れてゆく。
ゲンガー「なんだ?テメエ、失禁か?」
そんなスネ夫の元へ、悪魔が歩みを進めてくる。
そして言った。

ゲンガー「後少しでかなしばりも解ける。
これでお前らは終わりだ。
お前らにお礼を言っとくぜ。
お前らがロケット団員を集めてくれてたからこんなにレベルアップ出来た。
これでデキスギも倒せるだろ。
だが、その前に………。」
ゲンガーは勝ち誇り、全ての物を凍りつかせる様な笑みを浮かべながら、「別にお前などどうでもいい」と言わんばかりに、今度はスネ夫の元から離れてゆく。



そしてゲンガーは最も憎むべき、彼の元へ歩み寄った。
ゲンガー「青狸。俺はテメエを許せねぇ。
俺に恐怖を与え、何度も俺をビクつかせた事が、どうしても許せねぇ。
だからテメエは始めに殺す。
抜け目ねぇ奴だしな。」
彼はそう言い、右手をドラえもんの鼻先に突き出す。コウの時と同じ格好になった。

ゲンガー「さぁ、俺にビビれ。恐怖しろ。カスが。ん?」
そこまで言って、ゲンガーはある事に気づいた。
彼はてっきり、にっくき青狸の顔は、さぞ恐怖に歪んでるだろうと思っていた。
しかし、その青狸の顔は恐怖どころか、何か違う物を含んだ笑みさえ浮かべていた。
信じられない表情にゲンガーはゾッとした。
まだ油断は出来ない。まだ何かが起こる。
ゲンガーは直感でそう感じた。

そして青狸は大きな口をゆっくりと開いた。
ドラえもん「時間犯罪者。
僕はただ君を捕まえようとして、レベルボールを投げたと思ってるだろ?
僕の狙いは君だと思っただろ?
違うんだよ。僕の本当の目的は……。」

その時だった。

「………うーーん………。」
今まで地面に伏していた「彼」が体を震わせた。