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「はぁ……しんどいなぁ……」
歩きながら愚痴をこぼす僕。
僕は今、ズイタウンを抜けた所にある道路を進んでいた。
『喉は乾くし、足は痛いし……』
水の出が悪いせいか、ズイタウンでは申し訳程度の水しか飲んでいない。
それに加えて、この暑さ。
「もう……限界」
僕は最後にそう吐き捨てると、その場に大の字の形で寝転んでしまった。

「ん……?」
僕の顔に水滴が落ちる。
見ると、ここはさっき寝転んだ所じゃない。
暗い洞窟だった。
「何でここに……?」
疑問が過ぎる。
すると、突然辺りが明るくなった。
炎を纏った馬……ポニータによるものだ。
「君が僕をここまで運んでくれたのかい?」
ポニータは無垢な表情で僕を見ている。
外ではいつの間にやら雨が降っていた。
「そろそろ行くか……君も来るかい?」
僕が促しても、ポニータは一向に着いてくる気配を見せない。
「あ、そうか……お前、水苦手だもんな」
僕はポニータをボールに収め、洞窟を後にした。



次の町……トバリシティに着く頃には、服も髪もずぶ濡れだった。
「風引いちゃうよ……クシュン!」
思わずくしゃみが出てしまう。
そして僕がポケモンセンターに入ろうとした矢先……
「ん?何だあれは……」
この町で一番高いビルの前で、ギンガ団の連中と誰かが交戦している。
僕は必死に目を凝らす。
「……あ!」
微かにだが、見えた。
あのトゲトゲリーゼントといったら、アイツしかいない。

「スネ夫ーっ!」
見ると、スネ夫は大量のギンガ団相手に奮闘していた。
だが、既に手持ちは全て瀕死状態で、本人も崩れ落ちている。
『やるしかないか』
意を決して、僕はその中に飛び込んでいった。
「もういいだろ!こいつの周りから去ってくれ!」
必死に頼む僕だったが、そうは問屋がおろさないらしい。
「ギンガ団に歯向かう奴がどれだけ愚かなのか、教えてやるよ!」
そう言うなり、大量のポケモン達を繰り出してくるギンガ団。
相手が人海戦術で来るならば、こっちも戦力を全て出すしかない。
「いけ!ハヤシガメ、ホーホー、ポニータ!」



「ハヤシガメ、はっぱカッターだ!」
得意の技でギンガ団のポケモンを倒していくハヤシガメ。
だが、やはり相手が多すぎる。
「ホーホーはつつく!ポニータは火の粉!」
ホーホーとポニータも技を繰り出す。
そして、ようやく下っ端の半数が倒れた時だった。
「お前達……何をやっている」
ビルから出て来たのは青髪の男。
その妙な威圧感で僕は悟った。
『ギンガ団幹部か……!』

幹部の強さは圧倒的だった。
「ユンゲラー、サイコキネシス」
一撃で粉砕されていく僕のポケモン達。
幹部は僕とスネ夫を一瞥する。
「今回は見逃してやる……だが、次は容赦しないぞ」
そう言うと、幹部は手負いの下っ端達を置いてビルの中へ戻っていった。
「今の内に……」
スネ夫を背中におぶり、重い足でその場から逃げ出す僕。
既に熱が出ていた影響もあり、体中が悲鳴をあげている。
やっとの事でポケモンセンターに入った時には、既に意識が遠のいていた。



「三十八度五分、か……」
目を覚まして体温を計ると、やはり熱があった。
走ってポケモンセンターに戻っていた時よりもかなりしんどい。
僕の隣のベッドで寝ていたスネ夫は、外を見つめていた。

「何で……何で助けたんだよ」
再び寝転んだ僕の耳にスネ夫の声が入ってくる。
「何で、って……危険な状況だったし……」
「余計な事をするな!」
仰向けになりながら答える僕に、スネ夫の怒声が飛んで来る。
僕は一瞬言葉が詰まった。

「お前が来なくても、僕は勝ってたんだ!」
意地を張り続けるスネ夫。
これには流石にカチンときた。
僕は反論するべく起き上がる。
「何言ってんだよ!僕が来た時、君は既に戦えない状態だった!もし僕がいなかったら……」
「うるさい!余計なお世話なんだよ!」
そう言って部屋を出るスネ夫。
「まだ回復してないんだろ!」
僕が怒鳴るも、スネ夫は無視して扉を開ける。
返事代わりに乱暴な扉の閉まる音が響いた。
「なんだってんだよ……」

皆の手持ち
のび太(ハヤシガメLv28、ヨルノズクLv26、ポニータLv25)
スネ夫(モウカザルLv31、ゴルバットLv29)



翌日に熱が回復した僕は、真っ先にジムへと向かっていた。
風邪が完治したせいか、妙に気分が良い。
負ける気はしなかった。
「よし、行くか……」
僕はジムの中へと足を踏み入れた。

案の定、ジム戦は至って楽勝だった。
鼻歌を歌いながら町を後にする僕。
ジムリーダーに余裕勝ちした事もあり、そこからの道中も大して苦にならない。
やがて着いたのはリッシ湖のほとりだった。
「今、ここは誰も入れません。ある人に言い付けられているのです」
と、言い張る二人の男。
どうやらリッシ湖には入れそうにも無い。

『ちぇっ、仕方ないか……』
僕がそう思った時だった。
「あれは……レストラン?」
僕の目に映ったのは、確かにレストランだ。
しかも、何処と無く高級な雰囲気を醸し出している。
腹が減っていた僕には願っても無い幸運だった。



「ふうー、満腹満腹!」
高級レストランで次々と料理をたいらげる僕。
『そろそろ出るか……』
僕がレジで会計を済ませようと思った時の事だった。
「五十万円になりまーす」
「……え?」
何を言っているのかわからなかった。
五十万円なんて僕に払える筈が無い。

「あ、あの……今、何て言いましたか?」
「あなたが全て食べた分で五十万円ですよ。払えないんですか?」
僕が払えない事を告げた途端、レジの男の形相が変わる。
「払えなかったら、ここで暫く働く事ですね。代金分は払ってもらいますから」
訳がわからない。
僕が食べた分じゃ、いくら何でも五十万円は有り得ない。
多めに見たとしても、ざっと二万円ぐらいのものだ。
「とりあえずここを出て右の建物に入ってて下さい。仕事の時間に呼び出します」
「いや、僕は……」
無理矢理レストランの右にある建物に連れていかれる僕。
『なんなんだよ……』
正直、かなり混乱していた。
「オラ、ダラダラしてないでさっさと行け!」
抵抗しても無駄だとわかった僕は、されるままに建物の中に連れ込まれた。



「え?これって……」
建物の中は酷い有り様だった。
そこら中に木屑が散乱していて、所々にカビが生えている。
だが、僕が驚いたのはそれだけじゃない。
「静香ちゃん……だよね?」
そう、建物の中には僕達と共に旅立った仲間――静香ちゃんが居たのだ。
「のび太さん……」
だが、その顔は昔の静香ちゃんのものじゃない。
完全に笑顔を失っていた。
「まさか、静香ちゃんも……?」
僕が恐る恐る聞くと、静香ちゃんはコクリと頷いた。

それから静香ちゃんは今までの経緯を話してくれた。
僕と同じような感じで無理矢理連れ込まれ、働かされるようになった事……
睡眠時間無しで一日中働いていた事……
本当に酷いとしか言い様が無かった。

「二階にも沢山の人が居るわ……皆私達と同じような境遇なのよ」
静香ちゃんが言い終えると、そこにいた一人のスキンヘッドが口を開いた。
「そのお嬢ちゃんの言う通りさ。しかも抵抗した奴は容赦無く殺されるんだ……」
「殺される……?」
僕が聞くと、スキンヘッドは悲しそうに俯いた。
「俺と一緒に働いてた友達が居てな、そいつはちょっと抵抗しただけで殺されちまったんだ……」
スキンヘッドは遠い目で天井を見上げた。



「畜生……許せねぇ……!」
拳を握り締めるスキンヘッド。
「ポケモンは?ポケモンは使わなかったんですか?」
堪らず聞いてみる僕。
「それは無理だ。奴等はああ見えてかなり強い……特にアイツは別格だ」
「アイツ?」
「確かサターンと言っていたか……奴の実力は半端じゃない」
サターン……聞いた事も無い。
「でも、怪しいよな。こんな小規模なレストランが何故こんな事を……」
スキンヘッドがそこまで言った時、僕は直感した。
「静香ちゃん、来て!」
静香ちゃんの手を引いて、建物を出る僕。
「何なの?のび太さん……」
「いいから、来て!僕の予想が正しければ……」
僕が目をつけたのはレストランの奥にある小部屋。
幸い、外から中の様子を監視出来るようになっている。
中からはこんな会話が聞こえてきた。

「作戦は順調です、サターン様」
「そうか……だが、ずっとここで働いてもらうのも辛いだろうな」
「と、言いますと?」
「時期を経て、我々ギンガ団の手駒になってもらうとするか……ふふふ」

ギンガ団という言葉に反応する僕と静香ちゃん。
「ということは……」
「これはギンガ団の仕業だったんだわ!」
僕と静香ちゃんが真相に気付いた、丁度その時。
「どうやら蟻が紛れ込んだみたいだな……」
小部屋の窓が割れ、サターンと名乗るギンガ団幹部が現れた。



「まさか聞いていたとは……ならば、お前達を始末する他無いようだな」
見ると、トバリシティで交戦状態になっていた幹部だった。
それに続き、下っ端達もぞろぞろと出てくる。
「静香ちゃん、準備はいい……?」
「ええ、いつでもいいわよ」
モンスターボールを握り締める僕達。
腹は決まっていた。
「ポケモンバトルか……なら、お前達は下がっていろ」
下っ端を首で促すサターン。
その命令に従い、下っ端達は引き下がっていった。
「私に歯向かった事を後悔しろ……いけ、ドクロッグ!」
サターンのボールからはドクロッグが繰り出される。
「出番だ、ポニータ!」
「ロゼリア!」
相手のドクロッグを二匹のポケモンが挟む。
三匹が動いたのは次の瞬間だった。

「もう終わりですか……?」
冷酷な表情で僕達を見下すサターン。
二対一にも関わらず、奴のドクロッグは完全に僕達を圧倒していた。
既に僕達の戦力も底をついている。
「そろそろ終わりだ……ドクロッグ、どくづきだ!」
その右腕に毒を宿し、それを今にも突き刺さんとするドクロッグ。
ターゲットは……静香ちゃんだった。
「静香ちゃああぁぁぁぁん!」
必死に叫ぶ僕だったが、もう遅い。
次の瞬間には僕の耳に響いてきたのだ。
僕の叫びよりも遥かに大きい、静香ちゃんの悲鳴が――



「何……!」
どくづきを受けたのは静香ちゃんでは無かった。
ドクロッグの拳と静香ちゃんの間に割って入ったのは……
「よくやったぞ、ゴローン!」
先程のスキンヘッドのゴローンだった。
「へっ、お前達だけに任せる訳にはいかねぇからな……」
見ると、スキンヘッドの後ろには数十人のトレーナーが控えている。
トレーナー達は一斉にポケモンを繰り出した。
「この数を見てもまだやるか?ギンガ団幹部のサターン!」
サターンを威嚇するスキンヘッド。
この状況では、流石の幹部も手が出せない。
「くっ……状況が状況だ……ここは撤退するか」
そう言うなり、ヤミカラスを繰り出してそれに飛び乗るサターン。
それに続き、他の下っ端達もその場を去っていった。

「ありがとうな、お嬢ちゃん達!」
僕達に礼を言うスキンヘッド達。
英雄みたいな気分でちょっと気持ち良かった。

「それじゃ、僕はこれで……」
やがてスキンヘッドと別れた僕達は、レストランを後にする。
今日の夕焼けは、何故だかいつもより一層綺麗に見えた。

皆の手持ち
のび太 ハヤシガメLv31、ヨルノズクLv30、ポニータLv29
静香 ポッタイシLv33、ミミロップLv32、ロゼリアLv28