ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

セカンド その2

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akakami

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「よし、よくやったぞ!ナエトル」
バトルで勝てるのかな、と危惧していたのがウソのように辺りのトレーナーを倒していく僕。
性格が似ているせいか、僕とナエトルのコンビネーションは中々のものだった。
『ここを抜ければコトブキシティか』
タウンマップを見て調べる僕。
何せ、僕はダイヤモンド・パールをプレイした事が無いのだ。
『とりあえず進もう。皆に遅れを取りたくないし』
僕がそう考えていた矢先、建物がずらりと並んでいる町が見えてきた。
コトブキシティだ。

ようやく町に着いた僕は、ひとまずトレーナーズスクールに入ってみた。
『なんだ、こんな事ぐらい全部知ってるさ』
今更習う事じゃないな、と感じた僕は、トレーナーズスクールを後にした。
そして僕が町の中心に来た時だった。
「あれは……スネ夫!」
僕の目に映ったのはスネ夫だ。
「あ、のび太じゃん」
丁度いい所に居合わせてくれた。
コトブキシティからは道が三つに分かれていて、どこへ進めばいいかわからなかったのだ。
ゲームをプレイした経験のあるスネ夫ならきっと知っている……そう踏んでの事だった。



それから数分後、僕は東の道を進んでいた。
スネ夫曰く、「東の道に行けばクロガネシティに着く。そこが一番目のジムだ」との事だ。
スネ夫にしては珍しく親切だと思ったけど……。
『今の僕とナエトルなら、ジムリーダーにだって勝てるかも』
僕は急ぎ足でクロガネゲートを抜けていった。

町に着くと、真っ先に耳に入ったのが威勢の良い人の声だった。
炭坑採掘で有名な町と聞く辺り、おそらくその手の仕事の人達の声だろう……。
『なんか、独特な匂いだよな』
僕は心の中でそう呟くと、目的地であるジムへと入っていった。

「ジム戦、お願いします」
僕の目に映ったのは、ジムリーダーのヒョウタ。
「また挑戦者か……いいだろう、受けて立つ」
ジムリーダー認定トレーナーの所を見ると、僕以外の全員の名前があった。
『皆進むの早すぎだろ……常識的に考えて』
僕が心の中で愚痴を吐くと、ヒョウタが1匹目のポケモンを出した。
「いけ、イシツブテ!」
それに合わせて僕もポケモンを繰り出す。
「頼んだぞ、ナエトル!」
初めてのジム戦とあって、僕の胸は今までに無い程高鳴っていた。



「ナエトル、はっぱカッター!」
僕の緊張とは裏腹に、ジム戦は終始僕の優勢で進んだ。
岩タイプのポケモンが草タイプのナエトルに勝てるハズも無い。
「負けてしまったか……ほら、これがバッジだ」
ヒョウタはそう言うと、僕にコールバッジを手渡した。

見事に勝利した僕は、ナエトルを回復させるべくポケモンセンターへと歩き出す。
足取りはもちろん、軽やかにだ。

その後ナエトルの回復を済ませた僕は、ふと窓越しに空を見上げた。
空は夕焼けによって赤みがかかっている。
「あれから大分時間が経ったんだな……」
そう考えると、体中に疲れがどっと押し寄せてきた。
「今日はもう寝ようか……」
ひとまず僕はポケモンセンターに泊まる事にした。
ポケモンセンターはトレーナー達の憩いの場でもあり、宿泊する事も可能なのだ。
ベッドの上で「あぁ、疲れた……」と呟くと、僕は深い眠りへ落ちていった。

皆の手持ち
のび太(ナエトルLv15)



「ふわぁーあ……」
朝の日差しを直に受け、不本意に目を覚ます僕。
決して清々しい朝ではなかった。
『まだ眠いよ……』
そう思って僕が二度寝しようと思った時、不意にドラえもんの言葉を思い出した。
『確か最初にチャンピオンになった人が勝ち、だったっけ』
確かマサゴタウンへの道中にそんな話をしていた。
「よし、行こう」
僕は自分に言い聞かせるように呟くと、ポケモンセンターを出た。

町の人曰く、「北の道は自転車が無いと行けない」との事なので、僕は元来た道を戻ることにした。
おそらく、コトブキシティから抜ける違う道を行く事になるハズだ。

「あれは……?」
コトブキシティに戻った僕は、町の北側にナナカマド博士の姿を見た。
その隣には助手と思われる女の子、そしてその二人の前には変な格好をしている奴が居る。
『行かなきゃ!』
僕はボールを握り締め、走っていった。
「さっさと研究レポートをよこして下さい。そうしないとその助手を痛い目に合わせますよ」
変な格好をしている奴の一人が言った。
この状況を危険だと察知した僕は、博士の元へと駆け寄った。
「どうしたんですか?博士」
博士は僕を見ると安心したようで、落ち着きを取り戻して言った。
「君は以前の……。コイツ等はギンガ団、ポケモンを使って悪事を働く連中だ」



博士の言葉にハッとする僕。
『確かこの前、スネ夫がゲームで「鬱陶しいな、このギンガ団」なんて言ってたような……』
僕が考えていると助手と思われる女の子が言った。
「あなた、トレーナーよね?ダブルバトルでコイツ等をやっつけましょ!」
成る程、ポケモンバトルでやっつけるというワケか。
「わかった!いけ、ナエトル」
女の子の方はピッピを繰り出す。
対して、ギンガ団はケムッソとズバットを繰り出した。

それから程なくして。
「くそ!お前達……覚えてろ!」
「我々の邪魔をすると、痛い目見るぜ!」
ギンガ団の二人は小悪党らしい捨て台詞を吐いて去っていった。
話を聞くと、この女の子の名前はヒカリ。
僕の踏んだ通り、ナナカマド博士の助手を勤めているらしい。
「それじゃあ、僕は行きます」
二人に別れを告げると、僕は北の道を行った所にある洞窟へと走っていった。

『ギンガ団……そんなに気にする事じゃないよな』
そう考えた時、僕は既に洞窟を抜けていた。
そして、心地良い風が僕を包む――だが、それも一瞬だけだ。
直後に、ポツリポツリと雨が降ってきたのである。
「ああ、濡れちゃう……」
僕は降り注ぐ雨から逃げるように走っていった。



僕が数分走って着いたのは、至る所に草花が咲いている町――ソノオタウン。
その頃には雨も止み、名残の水滴が花びらから滴り落ちるだけだ。
『どうやら、この町にジムは無いみたいだな』
なら、いつまでもグズグズこの町に留まっている必要も無い。
僕は早くも町を出ることにした。

そして、それは僕が町を出てすぐの事。
「ねーねー、お兄ちゃん」
見ると、小さな女の子が僕の服を掴んでいた。
その子の用件はこうだ。
「私のパパが変な人達に連れ去られて、発電所に閉じ込められてるの。だから……」
つまりは、発電所にいるパパを助け出してくれ、というもの。
『助けたいけど、こんな所で遅れを取ってちゃなぁ……』
僕がそう考えた矢先、女の子は目に涙を溜めていた。
これで僕の選択肢はただ一つ……その子のお父さんを助けることだ。
「よし!お兄ちゃんに任せて!」
僕はそう言うと、勇んで発電所へ向かった。

「あ……!」
発電所の扉の前には、見覚えのある人物が居た。
先程戦ったギンガ団の一味の内の一人だ。
『コイツを倒して中に入るか』
僕は右手でモンスターボールを握り締めた。



それから僕はその下っ端を倒し、発電所の中に足を踏み入れた。
見ると、数人の下っ端が僕の周囲を取り囲んでいる。
『や、やばいかも……』
実際、その通りだった。
数人いる下っ端の半分を倒す頃には、ナエトルの体力は限界に達していた。
「トドメだズバット!噛み付く!」
そして、下っ端のズバットがナエトルにトドメを指そうとした時――
「こ、これは!」
目を丸くして驚く僕。
突如ナエトルの体が光り始めたのだ。
「進化……したんだね」
そう、ナエトルはハヤシガメへと進化していた。
体が一回りも二回りも大きくなり、見るからに強そうだ。
「ハヤシガメ、はっぱカッター!」
進化したハヤシガメの力は、なるほど、確かにナエトルのそれとは段違いに強い。
僕は次々を下っ端を倒し、奥へと進んだ。

「あら、下っ端達を倒してきたのね」
奥に居たのは赤い髪をした女の人。
その服装や態度から見るに、ギンガ団の一味である事は間違い無い。
「中々やるようね……私はマーズ。ギンガ団幹部のマーズよ」
そう言うと、マーズはモンスターボールを放った。



マーズのボールから出てきたのは、太いネコ。
図鑑によると、ブニャットというらしい。
「ブニャット、だましうち!」
素早い攻撃で僕のハヤシガメを圧倒するブニャット。
やはり、ギンガ団幹部の称号は伊達じゃない。
しかも、僕のハヤシガメはさっきの戦闘で大分消耗している。
最早僕に勝ち目は無かった。
『もう……ダメか』
僕が諦めかけた、正にその時だった。

「おーい、のび太くーん!」

不意に、懐かしい声が耳を通る。
僕は考えるまでもなく察知した。
「ドラえもん!」
そう、傍らのムクバードを従えて立っていたのは……ドラえもんだ。
「ムクバード、翼で打つ!」
ハヤシガメが大分消耗しているとはいえ、実質二対一だ。
いくらギンガ団幹部でも、勝てる確率は限りなく低い。
結果僕達は見事に勝利を納め、マーズは発電所から去っていった。



ひとまず僕達はポケモンセンターに戻り、今までの事を話し合った。
「なるほど、ギンガ団がねぇ……」
神妙な顔をして頷くドラえもん。
ドラえもんも僕と同じくこのゲームは未プレイなので、当然ギンガ団の存在は知らない。
「多分、この後も何らかの形で接触する事になるだろうね」
そう言うと、ドラえもんは空を眺めた。
『この後も何らかの形で接触する……』
僕が一人考えに耽っていると、ドラえもんが言った。
「もう暗くなってるし、今日はここで泊まらない?」
僕は迷う事無く賛成した。
今日は色々あって疲れ切っていたからだ。

数時間後、僕達はベッドの上に居た。
「ねぇ、ドラえもん」
「何だい?のび太君」
「いや、何でもない。もう寝よう」
「うん」
僕はドラえもんに何か言おうとしたが、止めた。
『明日に備えて、寝るとするか』
僕は前座がてら欠伸をすると、ゆっくりと目を瞑った。

皆の手持ち
のび太(ハヤシガメLv18)
ドラえもん(ムクバードLv16 他不明)



翌日、僕等は朝早くに起床した。
「早く行かないと、ますます遅れるよ?」
と、ドラえもん。
確かに尤もな意見なのだが、どう足掻いてみてもまだ眠い。
僕は半ば睡眠状態のまま、ポケモンセンターを出た。

「眠いよ、ドラえもん……」
「すぐに覚めるって」
「はぁ……」
そんな他愛の無い会話をしている内に、不気味な森が見えてきた。
どうやらハクタイの森と言うらしい。
「は、入るの……?」
「当たり前じゃないか、のび太君」
おそるおそるハクタイの森へと入っていく僕達。
並居るトレーナー達をダブルバトルで倒し、出口に着く頃には僕もドラえもんもフラフラだった。

「ふう……やっと着いたね、ドラえもん」
「そうだね。どうやらこの町にはジムがあるらしいよ」
そのドラえもんの言葉を聞くやいなや、一際目立つ建物へと歩き出す僕。
「のび太君、どこ行くの?」
「ジム戦だよ、ジム戦!」
僕は疲れているにも関わらず、ジムの中へ入っていった。
何故だか知らないけど、勝てる気がしたからだ。



それから数分後には、トボトボとジムを出る僕の姿があった。
無論、負けたからだ。
「はぁ……やっぱダメだな」
弱点を突けないハヤシガメは中々決定打が出ず、数で押された末に倒されてしまったのだ。
『新しいポケモンを捕まえるしかない……か』
ひとまず僕は草むらを探索した。
すると……
「あっ!……あれはホーホー?」
いつの間にか辺りは暗くなっていた。
これなら夜行性であるホーホーが居るのも頷ける。
『飛行タイプなら……丁度いいや』
僕はホーホー向かってモンスターボールを投げた。

それから暫くして、僕は再びジムの中へ入っていった。
結果は……快勝。
ドラえもんはと言うと、ムクバードの翼で打つで余裕だったそうだ。
「下のサイクリングロードに行くには自転車が必要らしいね」
メモ帳を見ながら言うドラえもん。
わざわざメモを取る所がドラえもんらしい。
「でも……自転車屋さんの店長はあのビル……ギンガ団のビルで囚われているらしいんだ」
「ギンガ団……だって?」
過剰に反応する僕。
僕達はポケモンを回復させると、ギンガ団の居るビルへと足を進めた。



月明かりが町を照らす中、冷たい夜風が容赦無く僕達を吹きつける。
「流石に寒いね、ドラえもん」
「そうだね……早くビルの中に入ろうよ」
このシンオウ地方は北の大地がモチーフとあって、かなり寒い。
僕達は急ぎ足でビルに入ろうとするが……
「木が邪魔で入れないよ、ドラえもん!」
そう、ビルの前には僕達の行く手を阻む木が立っていた。
「どうしよう、ドラえもん……」
「どうにも出来ないよ……」
僕達が半ば諦めかけたその時、黒い服を身に纏った金髪の女の人がやって来た。

その人は名をシロナと言った。
どうやらポケモンの神話について研究しているらしい。
だが、肝心なのはそこからだった。
「まあ、あなた達はポケモン図鑑を持っているのね……」
僕達がポケモン図鑑を持っている事を知ったシロナさんは、ある物を渡してくれた。
「これは秘伝マシンのいあいぎり。ポケモン図鑑を完成させる為の助けになるわ」
とのこと。あっけにとられる僕達を尻目に、シロナさんは去っていった。

「もしや、これで中に入れるんじゃない?」
ドラえもんが秘伝マシンを見ながらボールを取り出す。
「出ろ、コロトック!」
ドラえもんは秘伝マシンをコロトックに使い、僕達は何とかビルに侵入する事が出来た。



中の様子は僕が予想していたものと殆ど同じだった。
「ホーホー、つつく!」
「ムクバード、翼で打つ!」
二人がかりでどんどん下っ端を蹴散らしていく僕達。
無論、下っ端如きに負けるハズも無い。

最上階で僕の目に映ったのは、紫色の髪をした女性だった。
『ギンガ団幹部だ!』
僕はすぐさま悟った。
だが、口を開いたのはドラえもんだった。
「お前、ギンガ団幹部だな!」
「あら、良く知ってるわね……そういえば、マーズから連絡が来てたわ」
マーズ……発電所で戦ったギンガ団幹部だ。
「メガネをかけた小僧と青いタヌキに負けちゃった、ってね……行きなさい、スカタンク!」
「僕はタヌキじゃない!猫型ロボットだ!」
「行くよ、ドラえもん!」
僕はホーホーを、ドラえもんはムクバードを繰り出す。
幸い二対一なので、相手が幹部とはいえ有利にバトルを展開出来る。

数分後、見事に幹部を倒した僕達は自転車をゲットしていた。

皆の手持ち
のび太(ハヤシガメLv20、ホーホーLv16)
ドラえもん(ムクバードLv20、コロトックLv15)



「う、うわああああああアッー!」
自転車に乗り、サイクリングロードを下る僕とドラえもん。
だが、面倒な事に僕達は二人とも自転車を上手く乗りこなせない。
やっとの事で下り終えた時の疲労は、町内を一周した時のそれを軽く上回っていた。

「タウンマップによると、次の目的地はヨスガシティらしい」
「それってどこ?ドラえもん」
「このテンガン山を抜けたとこ……かな。とりあえず行こう」

暫く歩いていると、やがて薄っすらとテンガン山が見えてきた。
「なるほど……あの山の洞窟を抜けるというわけだね、のび太君」
ドラえもんの先導により、僕達はテンガン山へと入っていった。
「ん?あれは……」
ドラえもんが斜め前方を丸っこい手で指している。
そこには青髪の男が居た。
見ると、こっちへ向かってきている。
「君達は世界の始まりを知っているか?」
何やら難しい事を言う男。
僕は意味がわからなかった。
「昔は争い事など無かった……争っても何の意味も無い。
君達もポケモントレーナーならその事を考えて欲しい」
そう言い残すと、男は首を傾げる僕達を尻目に去っていった。



その後僕達はテンガン山を抜け、やっとの事でヨスガシティに着いた。
「はぁ……疲れるよ、ドラえもん」
「そうだね……僕も限界だよ」
僕とドラえもんは既に息が切れている。
やっぱり僕って体力無いんだな……と改めて実感した瞬間だった。

暫くしてここのジムリーダーが居ない事を知らされた僕達は、別行動を取るようになった。
別行動といっても、この町の中での事だ。
「コンテスト会場に行ってみたいんだ」
と、ドラえもん。
僕は特にする事も無いので、町の中を散策する事にした。
「それにしても、この町は民家が多いなぁ……」
僕がそう呟いた時の事だった。

「やあ、野比君」
不意に、僕の後ろから聞き慣れた声がする。
間違い無い……出木杉だ。
「出木杉じゃないか」
そっけない返事をする僕。
僕は元から出木杉の事を良く思っていない。
「この世界に来てから初めて会うね……じゃあ、僕は先を急ぐよ」
特に話すことも無いから、と言いたげに去ろうとする出木杉。
だが、僕はそれを引き止めた。
「待ってよ、出木杉。僕と……勝負だ!」



僕に勝負を挑まれ、少し戸惑う出木杉。
『現実の世界では負けちゃうけど……ポケモンでなら勝てるかも知れない』
自分でも幼稚な考えだと思ったが、僕は引かなかった。
前々からこいつだけは気に食わなかった……静香ちゃんとの関係が一番の理由だ。
「いいよ、受けて立とう」
出木杉から返事が来た。
僕と出木杉のバトルが始まる。

「ユンゲラー、サイケ光線!」
「ああ、僕のハヤシガメ……」
勇んで切り出したまでは良かったが、そのバトル内容は酷いものだった。
勝負を挑む時の威勢が嘘のように静まってしまう僕。
自分でも情けなかった。
「それじゃあ、僕は行くから」
ユンゲラーを戻し、何事も無かったかのように去っていく出木杉。
僕はそれを遠い目で見るしか無かった。

『……畜生!畜生!』
宛も無くトボトボと歩いていく僕。
いつの間にか空には夕日が出ていた。



それから暫くして、僕はドラえもんに再会した。
「のび太君、何をしてたんだい?」
「いや、何にも……」
無論、真っ赤な嘘だ。
僕はさっき出木杉に負けた……だが、そんな事は口が裂けても言えない。
「ねえ、ドラえもん。今日はここに泊まらないかい?」
僕が提案する。
「えー?もうちょっと進んでからにしない?その方がいいって」
ドラえもんが反論するも、僕はわがままを押し通した。
だが、その理由は疲れたなんて安直なものじゃない。
夜の内にここを抜け出し、一人で旅に出る……それが本当の理由だ。
ドラえもんには悪いけど、何だか一人になりたかったのだ。

そしてこの町に泊まることを決めてから数時間……僕達はポケモンセンターに居た。
「もう寝ようよ、ドラえもん」
本当は寝る気なんて無いのに、わざと眠たそうな顔を作る僕。
だが、僕の心配とは裏腹に、ドラえもんはすぐに眠ってくれた。
夜空では星が幾つか輝いている……いよいよやる時が来た。
「ばいばい、ドラえもん」
僕は小声でそう呟くと、書き置きをドラえもんの枕の傍に置き、忍び足で抜け出した。

「……よし、行くぞ!」
僕は無理に自分を奮い立たせると、夜の草むらに足を踏み入れた。



いつに無く早足で進む僕。
この夜でなるべくドラえもんと差をつけたいからだ。
『追いつかれちゃったら面倒だしな……』
そんな事を考えていた矢先、高い塔が僕の目に映った。
一見するとただの不気味な塔だ。
『入ってみようか』
無性に好奇心が沸いてきた僕は、駆け足で塔へと入っていく。

「これは……お墓ばっかりじゃないか」
塔の中は、正に不気味という言葉がそのまま当て嵌まるような光景だった。
その奇怪さに比例して僕の足も震え出す。
『とりあえず一番上の階まで行こう』
震える足を押さえ込み、無理に階段を上っていく僕。
背筋に冷気が走っていくのが自分でもわかる。
そして、最後の段を上り終えた時……

「のび太じゃないか……」
最上階に着いた瞬間目に入ったのは、あのスネ夫だった。
この世界で会うのは二度目になる。
「久しぶりだね、スネ夫」
僕が声をかけると、スネ夫はやけに真剣な表情で僕を見据えた。



「なあ、のび太。ギンガ団って知ってるかい?」
突然切り出すスネ夫。
「知ってるよ。旅の途中に戦ったからね」
僕がそう告げた途端、スネ夫は暗い顔になった。
「このタワーを上る途中にスキンヘッドが居ただろ?
そいつのポケモン、ギンガ団に殺されたらしいんだ……」
「えっ……」
僕は驚きを隠せない。
『ギンガ団……そんなに悪い奴等なのか』
「僕は既に知っていたけど、いざこうして聞いてみると悲しいな……」
スネ夫の顔には紛れも無い怒りが表れていた。
「それじゃあ、僕は行くから」
そう言って、立ち去っていくスネ夫。
僕は棒立ちになってそれを見つめていた。

「僕も戻ろうか……」
やがて下の階へと下りていく僕。
だが、その足取りは重かった。
この塔が醸し出している雰囲気もあるが、一番の理由はスネ夫から聞いた話だ。
「あ、町だ……」
ふと窓を覗くと、小さな町――というより、村が目に映った。
幸い眠気が襲ってきた所なので、丁度良い。
僕はそこで一夜を過ごす事にした。

皆の手持ち
のび太(ハヤシガメLv26、ホーホーLv19)
ドラえもん(ムクバードLv25、コロトックLv22)
スネ夫(不明)


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