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#プロローグ1

ある夏の日の昼下がり。
ここ、空き地ではお馴染みのメンバーが集まっていた。

「よっしゃあ!俺の勝ちだぜ!」
さっきまで静かだった空き地に、大声が響く。
誇らしげにガッツポーズを取りながら叫ぶのは、ジャイアンだ。
「あぁ、また負けちゃった」
対して、リーゼントもどきの少年、スネ夫が呟く。
今、この二人はポケットモンスターダイヤモンド・パールの通信対戦を行っていたのだ。

ポケットモンスターダイヤモンド・パール。
つい最近発売された、ポケットモンスターのDSソフト。
その人気は半端ではなく、東西南北至る所でポケモン旋風を巻き起こしている程のもの。
今ではほとんどの子供達がプレイしているといっても過言ではないだろう。

そして、それはのび太達が住んでいるこの町も例外ではない。
いや、寧ろ完全に当て嵌っていると言えよう。

この物語は、そのダイヤモンド・パールの世界を舞台に、のび太達が冒険を繰り広げる――
そんなお話。



#プロローグ2

「そういえば、のび太。お前、まだ買ってないのか?」
藪から棒に聞くジャイアン。
何を買っていないのかと言うと、例のダイヤモンド・パールだ。
示さなくても通じる所から、その知名度の高さが伺える。
そしてジャイアンの問いに、
「買ってないよ」
と、一人で違うゲームをしていたメガネ少年が答える。
この少年こそ、我等が主人公野比のび太である。
この物語は、この少年――野比のび太を中心に進めていくのだが、それはまた後のお話。

それから数秒の沈黙が流れ、一人の少年が口を開いた。
さっきジャイアンと通信対戦を行っていた、骨川スネ夫だった。
「のび太は買ってないんじゃなくて買えないんだよね、ハハ」
塞ぎ込んでいるのび太に追い討ちをかけるように、核心を突くスネ夫。
それに対し、静香と出木杉がフォローを入れようとするが――

「うわああああああああん!」

毎度お馴染み、最早お約束なのかも知れない。
のび太は両目に涙を溜め、空き地を飛び出した。



#プロローグ3

「はぁ……はぁ……」
森を駆けるヒョウの様に――いや、サルのように走るのび太。
コンクリートの大地を蹴り、横目で住宅街を見ながら角を曲がる。
その先に自分の家を確認すると、さっきよりもスピードを上げて入っていく。
乱暴に靴を放ったのび太は、真っ先に自分の部屋へと向かった。

「ドラえもーん!」
襖を開けるや否や、大声を出すのび太。
すると、それに反応した青い猫型ロボット、ドラえもんが顔を見せた。
「今日はどうしたんだい、のび太君」
さっきまで辛うじて止まっていたのび太の涙が、一気に流れ出す。
「空き地で――ジャイアンとスネ夫が――だから――」
凄まじいマシンガントーク。
だが、涙声になっているせいか、早口すぎるせいなのか、ドラえもんには通じていない。

「要するにどうしてほしいんだい?」
「だから……ポケモンをやりたいんだよー!」
この言葉はドラえもんにもハッキリと聞こえた。
そして、のび太の様子を見て堪り兼ねたドラえもんは、自らのポケットから秘密道具を繰り出す。
「ポケモンプレイヤー」
現れたのは辞典ぐらいの大きさの機械。
「このポケモンプレイヤーはね……」

ポケモンプレイヤー。
即ち、ポケモンの世界で冒険出来るようになる道具だ。



#プロローグ4

「凄い!凄いよドラえもん!」
ポケモンのゲームをやるどころか、ポケモンの世界に行ける事を知り、興奮するのび太。
その目は、期待によって紛れも無く輝いていた。
「みんなを呼んでくるね!」
そう言い残すと、のび太はドラえもんを他所に家を飛び出した。

皆が集まったのは、それから程無くしての事。
静香、スネ夫、ジャイアン、出木杉の計4人がのび太の部屋に入ってくる。
「これでよし……っと」
調整を終え、額の汗を拭うドラえもん。
人数が多いせいか、皆が興奮しているせいか、いつもより一層暑い部屋の中で機械は起動された。
ドラえもん曰く、まだ設定の段階だというが。
「舞台はダイヤモンド・パールのシンオウ地方……っと」
これで全ての設定が終わったようだ。
「いよいよポケモンの世界に行けるんだな?ドラえもんよぉ!」
ひどく興奮しているせいか、鼻の穴が広がっているジャイアン。
そんなジャイアンを無視し、ドラえもんは皆に聞いた。
「皆、準備はいい?」
その問いに、全員が頷く。
「よし、それじゃあ……いざ、ポケモンの世界へ!」
ドラえもんの丸い手によって、機械の起動ボタンが押される。

次の瞬間、のび太達の姿は跡形も無く消えた。
眩い光を伴って――



「ん……ここは……」
ゆっくりと目を開け、起き上がるのび太。
そこで彼が見たのは、正に夢のような光景だった。
「シンジ湖……なのかな」
自然を感じさせる木々、そして澄み渡っている湖。
紛れも無く、シンオウ地方のシンジ湖だ。

「うわあ、凄い!シンジ湖だ!」
いつの間にやら立ち上がっていたスネ夫が、感嘆の声を漏らす。
それに続き、次第にドラえもん達も立ち上がっていく。
そして、全員が確認した。
ここがシンジ湖――つまり、ポケモンの世界である事を。

それから暫くの間、一同は実際に見るシンジ湖を堪能していた。
すると、不意にジャイアンが尋ねる。
「そういやドラえもん、まずはポケモンを貰わないといけないんじゃなかったのか?」
その言葉にハッとする一同。
「そ、そうだ!ポケモンを貰いに行かなくちゃ始まらないね」
丸っこい頭を掻き、いかにも忘れていたと言いたげなドラえもん。
「それじゃあ皆、そろそろ行こうか。ナナカマド研究所のある町、マサゴタウンへ!」
こうして、のび太一行はマサゴタウンへと向かったのだった。



彼等がマサゴタウンに着いたのは、出発してから数十分後の事。
「結構歩くのね……流石に疲れたわ」
皆に比べて体力の無いしずかは、少し疲れているようだ。
だが、そのしずかよりも疲れている男が一人。
「うわーん、もう歩けないよぉー」
座り込みながら実に情けない声を漏らすこの男は、もう言わずもがなだろう。
「とりあえず研究所にポケモンを貰いにいこうよ、のび太君」
ドラえもんが無理矢理のび太を引っ張り、一同はナナカマド博士の研究所の中へと足を踏み入れた。

「こんにちはー!」
一斉に挨拶する6人。
それに反応したのはどこか風格のある老人だった。
「君達、新米トレーナーかね」
この威厳漂う老人こそ、日夜ポケモンの研究を重ねているポケモン研究家のナナカマド博士だ。
「はい、そうです!」
一同が元気に返事をすると、ナナカマドはテーブルの上から6つのボールを取った。
「一人一つずつ取りなさい。このポケモンが君達のパートナーだ」
一同は言われた通りにボールを取ると、ナナカマドに礼を言って研究所を後にした。

しかし、何故、研究所内でポケモンを出さなかったのか――理由はただ一つ。
「あそこは空気が重いから、外の方が断然いいよね」
と、ドラえもん。
空気の重い研究所より、心地良い潮風が吹く街中の方が好ましい。
一同は「いっせーのーで」の声をかけ合うと、それぞれのパートナーポケモンを出した。



眩い光と共に、次々とその姿を現すポケモン達。
「やった!ヒコザルだ!」
第一声を発したのはスネ夫。
その他の皆もそれに続くが、その描写は省略して結果だけを書き記す事にしよう。

スネ夫はヒコザル。ジャイアンはズガイドス。静香はポッチャマ。
出木杉はケーシィ。ドラえもんはムックル。
そして、のび太は……
「君は……ナエトルだよね?」
ゲームをやった事の無いのび太でも、最初に貰えるポケモンぐらいは知っている。
ナエトルをまじまじと見つめるのび太の顔は笑っていた。

「それじゃあ、俺は行くぜ!」
パートナーのズガイドスをボールに戻し、マサゴタウンを飛び出すジャイアン。
それに続き、他の皆も一斉に走り出す。
その様子を、ナナカマドは窓越しに見ていた。
「新たなトレーナー達が旅立ったか……私も昔はあんな感じだったのかな」
ナナカマドはそう一言呟くと、手元の研究レポートに目を落とした。

かくして、6人の冒険の旅が幕を開けた。
長い長い、冒険の旅が――