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ロケット団信者たちが、ポケモンリーグを乗っ取った・・・
信じたくない・・・でも、目の前のテレビはそれが事実だということを告げている。
何度も同じ発言を繰り返すキャスターの声が、僕にはとても残酷に聞こえた。
その場に立ち尽くし、深く絶望している僕を呼ぶ者がいた・・・ 先程まで動く気配すら見せなかったドラえもんだ。
「出木杉、大変なことになっちゃったね・・・」
「ドラえもん、もう終わったんだよ!何もかも・・・」
僕の目的はこのゲームをクリアし、スネ夫を甦らせることだ。
だがこのゲームのクリア条件は、参加したプレイヤーの内、一番最初に“チャンピオンを倒すこと”だ。
チャンピオンのいるポケモンリーグが信者のものになったいま、チャンピオンに挑戦することは不可能となったのだ・・・
「ゲームをクリアすることが出来ないし、この世界にずっといたらその内裏切り者に殺される!だからもう僕たちは終わったんだ・・・」
「そんな事ないよ!」
絶望する僕をドラえもんが元気づけようとする。
「これからみんなをここに集める、そこで僕の考えを話すよ。
その時になれば君もわかるさ、まだ道はあるということをね・・・」

一時間ほど経つと、メンバー全員が揃った。
みんなもうポケモンリーグ乗っ取り事件のことは知っているようで、青ざめた顔をしていた。
そんな場をドラえもんの言葉が刺激した。
「みんなもうゲームクリアは不可能だと諦めているみたいだけど、まだクリアの方法は残されているんだ。」
その一言でうるさくなった場を気にせずドラえもんが続けた。
「クリアの条件はあくまでチャンピオンを倒すこと・・・なら手段は一つしかない。
信者を倒してリーグに再びチャンピオンを戻し、そのチャンピオンを僕らが倒せばいいのさ。」



ドラえもんの言葉にだれも反論しようとはしなかった。
スネ夫を助けるために残された唯一の手段だ、僕らはそれを実行するしかない・・・例えそれが信者と戦う道だったとしても、だ。
僕らは覚悟を決め、信者と戦ってポケモンリーグを取り返すことを決意した

場面は変わって、ここはトキワシティポケモンセンター前。
いまから僕たち5人は別々の場所へ旅立とうとしていた。
現在の僕たちでは信者たちと戦うのはあまりにも無謀だ、だから10日間ポケモンを鍛え、10日後再びこの場所で会うことになった。
ジャイアンはトレーナー修行の定番と呼ばれるシロガネ山へ、山籠りとはいかにも彼らしい選択だ。
ドラえもんは禁断の場所と呼ばれるハナダの洞窟へ、あんな危険な場所に行く勇気は尊敬に値する。
のび太と静香、そして僕は辺境ナナシマへ行くことにした(ただし3人とも別行動)前述した2人に比べて比較的安全な選択だ。
「じゃあここでお別れだね。」とドラえもん
「みんな、元気でね。」と静香
「お互いがんばろう!」とのび太
「じゃあみんな、10日後もう一度会おうぜ!」
ジャイアンの一言でみんなはそれぞれの目的地へと飛び立って行った。



僕とのび太と静香はナナシマへ向かうことになっているから、ナナシマ行きの船が出ているクチバシティまでは一緒に行くことになる。
だが僕は先に済ましておきたい用があったので2人に別れを告げてヤマブキシティの方へ向かった。

ヤマブキに着いた僕は警察署へと向かった。
ナナシマで修行する前に、どうしてもやりたいことがあった・・・この10日間の間に裏切り者の正体を暴くことだ。
いま僕の推理には大きな謎が3つあった。
一つ目は、スネ夫の死体が消えたこと。
二つ目は、捕らわれていたのび太の前に現れた僕。
三つ目は、サカキが裏切り者を後継者に指名したということ。
ここに来たのは三つめの謎を解く鍵となる、サカキという人物について知るためだ。
この警察署の刑事とはスネ夫殺人事件の時に面識があるので、彼に協力してもらうことおうと思ったのだ。
刑事は快く僕を迎え入れてくれ、サカキの演説をこっそり録音したテープがあるという資料室に案内してくれた。
資料室の“ロケット団関係”と書かれた段にそのテープはあった。
だがそのテープより、その横に不自然なスペースがあるのが気になる。
「刑事さん、ここだけ開いているのが気になるんですけど、なにかここにあったんじゃあ・・・」
刑事は少し躊躇ってから返事をした。
「鋭いね・・・そう、そこにはそのテープと同じようにサカキの演説が収められたテープがあった。
だが、数日前にそのテープは何者かに盗み出されてしまったのさ・・・」
サカキの演説が録音されたテープが盗まれた・・・どうやら、この謎についてはなんとなく真実が見えたような気がした。
「刑事さん、やっぱりそのテープは結構です、もう必要ありませんから・・・・・・」
僕はそう告げると、警察署を出てクチバシティへ向かった。



のび太たち2人に遅れて、僕もナナシマの一つ、1の島に足を踏み入れることが出来た。
1の島には温泉と、伝説のポケモンファイヤーが住むと言われる灯火山がある。
願わくばファイヤーを手持ちに・・・と思って灯火山へ向かった。
灯火山へ向かう途中の火照りの道で、僕は意外な人物と会った。
禿げた頭に少し残った白髪、黒く怪しく光るサングラス・・・グレン島のジムリーダーであるカツラだ。
「やあ、えーと・・・出木杉君だったかな? こんなところへ何のようじゃ?」
「いや、ちょっと灯火山へ行ってみようと思いましてね。カツラさんは?」
「わしは温泉に疲れを癒しに来ただけじゃよ・・・そんなことより、いま灯火山は火山活動が活発だから危険じゃ、近づかないほうがいいぞ。」
僕はカツラの忠告を素直に聞き、彼に礼を告げてポケモンセンターへ引き返した。

1の島にはもう用はないので、次に4の島へ行くことにした。
4の島には高レベルなポケモンが生息するいでだきの洞窟がある、そこで何日か修行しようと考えたのだ。
だがそこに行くことは出来なかった、島と島を行き来するシーギャロップ号の船員いわく
「4の島はいま周辺に巨大な竜巻が発生して船が近づくことが出来ねえ。
おまけに電話による連絡も出来ない、4の島はいま完全に孤立しているのさ。」
とのことだ。
僕は4の島行きを諦め、同じく強力なポケモンがいる7の島へ向かうことにした。
たくさんのトレーナーが修行に訪れるといわれる7の島のしっぽう渓谷、そこで僕は意外な人物を目にした。
青い服を身にまとい、鞭を持った女性・・・現ポケモンリーグチャンピオン、ドラゴン使いのイブキの姿がそこにあった・・・・・・



ポケモンリーグチャンピオン、イブキ。
ポケモンリーグが信者のものとなったいま、何故彼女がこんなところにいるのだろうか?
このまま立ち去るわけには行かない、僕は思い切ってイブキに訪ねてみた。
「あのー、チャンピオンのイブキさんですよね・・・ どうしてこんなところにいるんですか?」
僕のほうを向いたイブキは、イライラしながら答えた。
「ポケモンリーグが乗っ取られたとき、私はこの島に出かけてたのよ。
つまり・・・信者に私の不在を狙われたってこと、じゃあ修行の邪魔になるからどっか行ってくれない?」
なるほど・・・彼女がここにいる理由は分かった。
だが、何故彼女はここで修行をしているのだろうか・・・イラつくイブキに恐る恐る聞いてみた。
「本当なら今すぐにでもポケモンリーグを取り返しに行きたいんだけど、今の私の実力じゃあたぶんやられてしまう。
だからここでこっそり修行してるってわけよ。」
どうやら彼女は信者を倒すためにここに修行しているらしい、なら・・・
「イブキさん、実は僕も信者を倒すために修行しているんです。
だから、僕とその仲間に協力してもらえませんか?」
チャンピオンである彼女の力が加われば戦いがかなり楽になる、思い切って頼んでみると、こんな返答が飛んできた。
「私に協力しろ、か・・・ なかなか面白いこと言うねえ。
目的は同じだから協力するのはかまわない、ただし・・・あなたに協力するだけの価値があればの話だけどね。」
イブキはどうやら僕の実力を試すつもりのようだ。
彼女を仲間に引き入れるためにも、ここは受けて経つしかない!
それにしても、本来ならポケモンリーグで行われたであろうチャンピオン戦がこんな形で実現するとは・・・
お互いのモンスターボールからポケモンが放たれ、戦いの火蓋が切って落とされた。



数分後―――
そこには地面に手をついて落ち込む僕と、それを無言で見ているイブキの姿があった。
僕と彼女のバトルはあっという間に決着がついてしまった。
僕はどうにか彼女のポケモンを一体倒すのが精一杯だった・・・つまり、圧倒的な実力差を見せつけられる結果となってしまったのだ。
あわよくば、チャンピオンに勝てるかも知れない・・・
そんな僕の甘い考えは、彼女のポケモン達の強力な技で打ち砕かれてしまった。
これでは彼女は僕に協力しようなどと考えないだろう・・・ しかし、彼女の口から意外すぎる言葉が放たれた。
「まあ、合格ね・・・ いいわ、あなたに協力してあげる。」
「本当ですか? 僕はボロ負けしたのに・・・・・・」
「たしかに、バトルは私の圧勝だった。
でも、あなたには素質がある・・・バトルの最中にそれに気付いたのよ。」
僕に素質がある、チャンピオンである彼女からそう言われたのはかなり嬉しかった。

「じゃあ10日後・・・にまた会いましょう。」
「待ちな、まだ帰らせるわけにはいかないよ。」
一度ポケモンセンターに戻ろうとした僕を彼女が引きとめ。こう言った。
「たしかに、あなたには素質がある・・・ でも、それがまだ開花していなくては意味がないのよ。
これから決戦の日まで私があなたをみっちり鍛えてあげるわ。」
彼女がそういった時、僕のもとに近づいて来る少年の姿があった。
「おーい、出来杉―!」
こちらへ近づいて来る少年を見て、状況が理解できないイブキは少々混乱していた。
「あ! 彼は僕の仲間です・・・ そうだ!修行なら彼も一緒に鍛えてあげてください。」
「あんまり戦力にはなりそうもないけど・・・まあいいわ。」
「あれ、出木杉・・・どうかしたの?」
事情も分からぬのび太を巻き込み、僕の地獄の修行が始まった・・・



 現在の状況
       7の島
手持ち リザードンLV46、サーナイトLV43、ポリゴン2LV41、サンダースLV42、トドグラーLV41
    バッジ 8個

     出木杉メモ
  名前     手持ち
  のび太    ケッキング、キノガッサ、ダグトリオ、フーディン(7の島時)
  ドラえもん  フシギソウ、ピジョン、ビリリダマ(タマムシシティ時)
  静香     ロゼリア、他不明(セキチクシティ時)
  ジャイアン  エビワラー、ニドキング(シオンタウン時)



イブキは修行を始めると言い放った後、いきなり僕たちを島の北側へと連れて行った。
「あのー、どこまで行くんですか?」
「うるさい! もう少しだからおとなしくしろ・・・」
のび太の問いをあっさりと切り捨てたイブキは突然足を止めていった。
「さあ着いた、ここだよ。」
イブキが僕たちを連れて行った場所・・・そこには高い塔がそびえ立っていた。
この建物は知っている・・・しかし名前が出てこない。
「あのー、ここどこですか?」
僕のかわりにのび太が質問し、それにイブキが答えた。
「ここはトレーナータワーといって、トレーナーたちが力を高めるところだ。
トレーナーは一階から最上階まで途中にいる7人のトレーナーを倒しながら進み、その登る速さを競い合う・・・ それがトレーナータワーのルールだ。」
そうだ、ファイアレッドではたしかに7の島にそんな施設があった。
でもゲームでは結局入ったことがなかったのでどんなところかイマイチ分からない。
「で、僕たちにここを登って見ろということですか?」
「その通り! なかなか物分りがいいじゃないか。」
僕の質問が終わると、早速僕らはトレーナータワーを登ることになった。

中にいるトレーナーは自分の手持ちの最高レベルにレベルを合わせてくるのだが、使ってくるポケモン自体が弱いのでたいしたことはない。
だが、塔を速く登るためにはトレーナー自身が速く走らなければならない、その疲労が頭のカンを鈍らせ、ポケモンバトルへ影響を及ぼす。
結局、思ったよりバトルに時間をかけてしまったが、なかなか速く登ることができた。
一方のび太の方はというと、走ったことによる疲労で倒れて死人のように動かなくなっている。
イブキがその後タイムを教えてくれた・・・僕が7分30秒、のび太が8分25秒(走る速さによってこれだけの差がうまれた)
まあまあかな・・・と満足していた僕に、イブキが衝撃の一言を放った。
「こりゃダメね、遅すぎるわ。」



遅すぎる?自分では結構いいタイムだと思っていたのに・・・
ショックを受ける僕に、イブキがとどめの一言を投げかけた。
「もしかして、あんなタイムで早いとか思っているんじゃないわよね・・・いいわ、現実を教えてあげる。
四天王のタイムは平均で5分30秒程度、ちなみに私は4分53秒よ。」
四天王は自分より2分も速く、チャンピオンのイブキに至ってはそれよりさらに30秒速い。
自分の目標がこんなに手の届かないところにあったことを知って、僕は絶望した。
そんな僕に、イブキはとんでもない試練を出した。
「落ち込んでいる場合じゃないよ! あなたたちにはこの10日間で、私と同じ4分台が出せるようになってもらうよ。」
4分台・・・最低でも今より2分30秒はタイムを縮めなければならない、のび太はさらにキツイ3分30秒程度だ。
そしてこの後、トレーナータワー4分台を目指して壮絶な修行が始まるのであった。

僕たちは次にしっぽう渓谷の南端まで連れて行かれた。
そしてそこにつくなり、なんといきなり手持ちのポケモンを全て取り上げられてしまった。
「このポケモンたちは私が鍛えといてあげる。
あんたたちはその間、この島の陸地部分を一周走っておいで。
日没までに帰ってこなかったら晩飯はなし、分かったらさっさと行って来な!」
反論する間もなく、僕たちはこの島内を走りに行かされた。
7の島はたしかに狭いが、走って一周となるととても大変だ。



脚がだんだん痛みを増し、息が荒くなってくる。
走り始めてどの位経っただろう・・・腕に巻かれたポケッチに表示された数字が僕を苦しめる。
まだ走り始めてから30分も経っていない、距離もまだ全然進んでいないようだ。
運動音痴ののび太のことがふと脳裏に浮かぶ、彼は大丈夫なのだろうか・・・
後ろを見ると、そこには膝をついて止まっているのび太の姿があった。

「のび太君!大丈夫かい?」
心配した僕が駆け寄っていっても、のび太は何も言わない。
「立てられるかい? 手を貸してあげよう。」
「うるさいなあ、僕のことなんか放っておいてよ!」
僕が差し伸べた手を彼は払いのけ、邪険に振舞った。
これにはさすがにちょっとイラついたが、冷静に彼に告げた。
「しんどくてもここはがんばらなきゃ。さあ、早く立って一緒に走ろう。」
だがのび太は何も言わない、僕はとうとう彼を怒鳴りつけた。
「いい加減にしろよ!そんなんだから君は何をやってもダメなんだよ!」
「うるさい!大体何で僕がこんなしんどいことしなきゃいけないんだ!
この修行だって訳が分からないうちに勝手に参加させられただけ、僕は1人でのんびり楽しくやるつもりだったのに。
それに僕が走って何になるんだよ!戦うのは僕たち人間じゃなくてポケモンだ、人間が体を鍛えてもバトルじゃあ何の役にも立たないのに・・・」
のび太はそう言うとその場に座り込み、顔を伏せて完全に塞ぎこんでしまった。
これ以上何を言っても無駄だろう、僕は彼を無視して再び走り始めた。
のび太のことを頭から振り払うかのように、僕は猛ダッシュで先へ進んでいった。



あれからだいぶ時間が経ち、僕はついに島の北端まで辿り着いた。
だがもう脚も心臓も限界である、やはり最初に飛ばしすぎたのが原因だろう。
だが日没まであと2時間を切ってしまった、ここで休んでいる暇は無い。
僕は悲鳴を上げる脚を再び動かし、残り半分となった距離を走り始めた。
だがそんな僕に空がとどめを差す、雨が降り始めたのだ・・・
足場が悪くなり、走りにくくなったうえに転倒までしてしまった。
膝から血が出始め、その痛みが走りに影響を与え始める。
残りあと4分の1の地点まで来ると、僕は遂にその場に座り込んでしまった。
ふと、のび太の言葉が頭をよぎった・・・『戦うのは人間ではなくポケモン、人間が走って何のいみがあるのか』
そう、その通りだ・・・なんで僕はこんなしんどい思いをしてまでして走っているのだろうか、走っても何の意味があるかも分からないのに・・・

すっかりやる気をなくした僕に、遠くから走って来る1人の少年の言葉が聞こえてきた。
「何やってるんだよ出木杉!さっきあれだけ偉そうなこと言っておいて・・・」
「のび太・・・君?」
黄色のシャツに青い半ズボン、間違いなくそれはのび太の姿であった。
「どうして、また走り始めたの・・・」
「あの後、僕気付いたんだ・・・僕がここで立ち止まっていたら、スネ夫を救うことは出来ないって。
だから僕は走る、たとえその意味が分からなかったとしても・・・」
よく見ると、彼の足や腕のところどころに転んで擦り剥いた傷が残っている。
自分より何倍も傷つきながら、それでも彼は走っている・・・その姿に僕は感動を覚えられずにはいられなかった。
立ち上がり再び走り始めると、先程まで重かった脚が急に軽くなり、どこまでも走っていける気がした。

―――1時間後、日没とともに僕らはイブキの下へと帰ってきた、



あの後、イブキは僕らのゴールしたタイミングが日没とほぼ同時だったことに少しケチをつけたが、一言、
「よく頑張ったな。」
と言い、ポケモンセンターで豪華な夕飯をご馳走してくれた。
食事の最中、僕はイブキに聞いてみた、先程の修行にはどんな意味があったのかと。
イブキはこう答えた。
「目的は体を鍛えることじゃないから、走ること自体には意味は無かったのさ。
私があんたたちに鍛えてもらいたかったのは“精神力”さ。」
「精神力?」
「そう、精神力・・・どんな状況でも決して諦めないという力さ。
あなたたちはあの状況でも、諦めずに日没までにゴールしてみせた。
あなたたちは今日の修行で、強い心を手に入れることが出来た・・・それはかならずポケモンバトルでも活きてくるわ。」

あの修行は僕たちの心を鍛えるためのものだった、イブキはそう言った。
たしかに僕は精神力を磨くことが出来ただろう・・・だが、僕が手にすることが出来たのは強い心だけじゃない・・・
「ん、どうしたの出木杉?」
隣の席にいるのび太が僕に問う。
僕は一言、「なんでもないさ。」と言うと、彼に微笑みかけた・・・すると、彼も嬉しそうに微笑む。
この修行でもう一つ、僕は大切な物を得ることが出来た・・・そう、目の前にいるこの少年の笑顔が、何よりの証拠である・・・・・・



現在の状況
       7の島
手持ち リザードンLV47、サーナイトLV45、ポリゴン2LV43サンダースLV45、トドグラーLV43
    バッジ 8個

     出木杉メモ
  名前     手持ち
  のび太    ケッキング、キノガッサ、ダグトリオ、フーディン(7の島時)
  ドラえもん  フシギソウ、ピジョン、ビリリダマ(タマムシシティ時)
  静香     ロゼリア、他不明(セキチクシティ時)
  ジャイアン  エビワラー、ニドキング(シオンタウン時)



あのマラソンからの翌日、僕らは全身筋肉痛でとても動けるような状態ではなかった。
イブキはどうやらこうなることを予測していたようで、今日はセンター内でポケモンバトルの戦術を徹底的に叩き込まれた。
次の日、3日目からは再び修行が再開された。
だがその内容は、どんな状況でも冷静さを失わないための精神修行、ポケモンと意思の疎通を深めるためにポケモンと遊ぶなど、一風変わったものが多かった。
勿論、その一方できちんとしたレベル上げもしているのだが・・・

修行期間が残り半分となった時、僕たちはイブキからモンスターボールを渡された。
「あのー、これは一体何ですか?」
「私からのプレゼントよ、中に入っているポケモンを出してごらん。」
イブキの指示に従って中を見ると、僕のボールにはタツベイ、のび太のボールにはミニリュウが入っていた。
「育てるのは難しいけど、最終形態まで育てればきっとかなりの戦力になる。
あなたたちならきっと育てられる、そう思ってこのポケモンを譲ることにしたわ。」
これで六匹、全てのメンバーが決まった。
頼れる相棒リザードン、積み技と強力な特殊技を使いこなすサーナイト、驚異的な素早さを誇るサンダース、残りのポケモンも進化すればかなり強くなる・・・でも、
「ポリゴン2を進化させるには怪しいパッチが必要なんだよな・・・」
僕が何気なく呟くと、イブキが突然僕のバッグを取り上げて言った。
「前から思ってたんだけどさ、何であんたこれを使わないの?」
そう言いながらイブキが取り出したのは、僕が昔地下通路で拾った黒い箱だ。
まさか、これが怪しいパッチだというのか・・・
こんな近くに新たな戦力を手に入れる鍵があったとは・・・
のび太の協力によって、ポケモン界最高級の特攻を持つ新たな戦力、ポリゴンZが誕生したのだった・・・



それからも様々な修行を経て、ついに最後の修行日を迎えた。
僕たちはいまトレーナータワーに向かっている・・・目標の5分台を達成するときが来たのだ。
トレーナータワーでの戦いは、以前よりかなり速く進めることができた。
進化やレベルアップをして強くなったポケモンたち、そして修行で鍛えた僕自身の力が最大限に発揮されたからだろう。
精神修行のおかげでいつも冷静に指示することができ、ポケモンとの親交を深めたことによってポケモンが僕の考えをうまく理解してくれる。
戦いだけでなく登るのもしんどかったが、一日目のあのマラソンに比べればたいしたことはない・・・そして最後まで諦めずに全力を尽くした。
塔を登り終え、疲れ果てていた僕らの前にイブキが来て、タイムを発表した。
「のび太は4分56秒!あんたバトルだけじゃなくて根性もかなりついたわね。
そして出木杉は4分47秒!まさか私の記録を上回るとは、たいしたものね。」
4分47秒・・・その記録を聞いた僕の心は達成感で満たされた。
だがもはや舞い上がる気力もない僕らは、倒れたまま腕だけ上げてガッツポーズをとって彼女に答えた。

「じゃあ、今日はもうポケモンセンターに戻ってゆっくり休みなさい。」
「え、まだ4時ですよ!」
「あなたたちは修行中、5、6時間しか寝てないからかなり疲れているはず・・・
さすがにそのボロボロの体で戦う訳にはいかないでしょ。」
イブキの予想外の言葉を受けて、のび太は両手を上げて喜びながらポケモンセンターへと帰っていった。
僕も速く眠りたいので、のび太の後を追ってセンターへ向かった。
のび太は、5時までに夕飯を終えると、センター内のベッドで死んだように眠り始めた。
今の時刻は7時、ちょっと早いけど僕ももう眠ることにしよう・・・
僕は今までの疲れを癒すため寝室へと向かった。



夢の世界が遠のいていき、目を見開けば再び現実の世界へと引き戻される。
先程から寝たり起きたりを繰り返していた、もうこれで二度寝どころか五度寝くらいだ。
枕元の時計は現在の時刻が午後9時であることを示している・・・隣のベッドで寝息を立てながら心地よさそうに寝ているのび太はもう4時間寝ている計算になる。
一度外の空気でも吸ってリフレッシュすれば、のび太のように眠れるかもしれない・・・
そう考えた僕は、ポケモンセンターの外へ出て周辺を散歩し始めた。

ふと、地面に座って星を見ているイブキの姿が目に入った。
「なんだ、まだ寝てなかったのか・・・明日の決戦のためにも早く寝たほうがいいぞ。」
僕の姿を見るなり彼女はそう言った。
僕がうまく眠れないことを告げると、彼女は僕に隣で一緒に星を見ようと誘ってきた。
現実の世界では決して見られない満天の星空を見ながら、僕はあることを考えて彼女に言った。
「ねえイブキさん・・・寝る前にバトルしませんか?」
彼女は無言で頷き、モンスターボールを取り出した。

―――それから30分程度経過した、お互い3匹のポケモンが倒れてここまでは互角だ。
僕が今出ているポケモンに指示を与えようとすると、突然イブキはポケモンをボールに戻した。
「もうやめよう。この続きは今度・・・そう、信者を倒してポケモンリーグを取り返したときに・・・」
どうやら彼女はかなり疲れているようだった、無理もないだろう。
この間の戦いで四天王の内シバは重傷を負い、カンナは行方不明、キョウとイツキは死亡した。
イブキは仲間を失い、必死で修行している上に僕たちの修行の面倒まで見てくれたのだから。
僕は無言でポケモンをボールに戻し、彼女に頭を下げてセンターへと戻っていった。
ベッドに入った途端物凄い眠気が僕を襲ってきた・・・抵抗する間もなく、僕は夢の世界へとおちていった。



―――夢を見た、スネ夫も含めた僕たち空き地で楽しく遊んでいる夢だ・・・
僕はこの戦いに勝って、あの世界に戻らなければならない・・・・・・

場所は変わって、ここはトキワシティポケモンセンター前。
僕たちがここに来た頃には、もう他の全員が集まっていた。
「遅いぞのび太、出木杉! ・・・ん?その人は?」
「この人はポケモンリーグチャンピオンのイブキさん!凄いでしょ。」
ジャイアンたちにのび太がイブキが仲間になってくれた経緯を説明する。
僕はと言うと、今日の戦いについてドラえもん、イブキと話し合っていた。
「とりあえず全員の戦力を確認しよう、じゃないと作戦は立てられない。」
僕の提案に皆が賛成してくれ、早速それぞれの手持ちを披露しあった。
ドラえもんと静香のポケモンは均等に育っている。
それに対してジャイアンは、強いポケモンと弱いポケモンのレベル差が激しいが、一番強いギャラドスはなんと64レベルである。
のび太とイブキの手持ちは一緒に修行しただけあってよく知っている。
全員のポケモン確認が終わったところで、早速ポケモンリーグへ行く手順を話し合った。
ポケモンリーグの近くは信者が多すぎて近づくことができない、結局チャンピオンロードから近づいていくことになった。

「おい、何だよこれ・・・」
チャンピオンロードに入った瞬間、ジャイアンがそう口を開いた。
作戦では守りが手薄だったはずのチャンピオンロードには、すでに300人程度の信者が待ち構えていた。
「落ち着けみんな! ここは私がこいつらと戦う、お前らはポケモンリーグへ向かうんだ。」
イブキが叫び、信者たちの輪に飛び込んでいった。
「戻ってくださいイブキさん、1人じゃ無茶です。」
「なーに、大丈夫! 私の実力は一緒に修行したあんたが一番良く知っているだろう。」
その通りだ・・・彼女なら1人でもこの信者たちと戦うことができるだろう。
僕たちは彼女のおかげで、無事この信者の軍勢を切り抜けることができた。



あの信者の軍勢を切り抜けると、全くと言っていいほど敵がいなかった。
おそらくあの場所に信者を仕向けたのは裏切り者だ、あそこで僕たちの戦力を削るつもりだったのだろう。
だが、僕たちがイブキという強力な戦力を加入させたので、裏切り者の作戦は脆く崩れ去ったことになる。
裏切り者といえば、結局いまだにその正体がつかめないままだ。
修行期間はイブキの指示したメニューをこなすのが精一杯だったので、あまり考える余裕がなかったのだ。
結局、この中途半端な状況のままでチャンピオンロードを抜けてしまった。

ポケモンリーグの入り口付近には、何故か信者が1人もいなかった。
まるで裏切り者が僕たちを待ち構えている、そんな感じがした。
「ついに、ここまでやって来たね。」
入り口の前に立ち、ドラえもんが言った。
「この世界のためにも・・・」
「スネ夫さんのためにも・・・」
「絶対に、負けられない!」
ドラえもんに続き、ジャイアン、静香、のび太の三人が発言する。
僕はと言うと、いまだに信者の正体をしつこく考えていた。
他人とそっくりに姿を変えられる道具でもあれば、2人目の僕の謎は解けるのにな・・・
「ねえのび太君、他の人とそっくりに姿を変えられる道具、なんてものはないの?」
半分投げやりな気持ちでのび太に訪ねてみると、予想外の答えが返ってきた。
「そんな道具はないけど、姿を消せる“透明マント”っていう道具ならあるよ。
というか何で今そんな話をするの? 戦いに集中しなきゃ・・・」
姿を消す道具、透明マント・・・この道具の存在を知った瞬間、頭の中でバラバラになっていた全てのピースが次々と繋がっていった。
『そして僕は辿り着いた、裏切り者の正体に・・・』
僕は知るべきではなかったのかも知れない・・・苦悶する僕のことなど知らずに他のみんなは戦いへの決意を固めている。
様々な思いが交差する中、遂に僕たちはポケモンリーグへ足を踏み入れた。



 現在の状況
       ポケモンリーグ
手持ち リザードンLV61、サーナイトLV58、ポリゴンZLV56
    サンダースLV59、トドゼルガLV55、ボーマンダLV60
    バッジ 8個

     出木杉メモ
  名前     手持ち
  のび太    ケッキング、キノガッサ、ダグトリオ、フーディン、カイリュー(最終決戦時)
  ドラえもん  フシギバナ、ピジョット、マルマイン、ペルシアン、ジュゴン(最終決戦時)
  静香     カメックス、ライチュウ、ウインディ、ロズレイド、ハピナス(最終決戦時)
  ジャイアン  エビワラー、ニドキング、ケンタロス、ギャラドス(最終決戦時)