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 226番水道

のび「早く行かなきゃ。ドラえもんがきっと追ってくる。」
ドラえもんから電話が来てのびたは焦っていた。
折角ドラえもんから離れて一人旅に踏み切ったというのに、まさかドラえもんからお呼びが来るとは思わなかった。
あのビーダル、ちゃんと伝えたんだろうな…
そんなことを考えながらのびたはまた後ろを振り返った。

のび「急ごうと思ったらこれだよ。勘弁して欲しいなァ……」
のびたが出くわしたのは幅の広い川。
といっても、海に流れ込んでいる部分、つまり河口なのでほぼ海と同じ水質だろう。
のびたはそわそわと落ち着き無く後ろを何度も確認すると、仕方なく水に飛び込んだ。
のび「向こう岸までだけだから、頼んだよ。」
泳げないのびたは手持ちの中で唯一水タイプであるのカラナクシに捕まり、バタ足の推進力で海を渡ることにしたのだった。

のび「まいったよ…まさかこの世界で服が濡れることがあるなんて。」
波乗りをしても服は濡れないので、自分が泳いでも同じだとのびたは考えたらしい。
ちなみにこの世界で『服が濡れる』という概念は存在しないが、寒気や不快感など現実世界と同じように感じるものはある。
のび「もういいや!このまま行っちゃえ!」
ドラえもんが追ってきている。常にそう感じているのびたにとっては服を乾かす時間も惜しいらしい。
しかし、急ぐ者に天は微笑んでくれなかった。
分かれ道だ。
別にそれだけならいいが、右の道は砂、左の道は火山灰がそれぞれ降っている。
服が濡れているのびたにとってはどちらも有難くない。



のびたは焦り始めた。
右も左も地獄、戻ればまた海、そしてドラえもん。
まさに八方塞がり。正確に言えば三方だが。
のび「どうしよう。どうしようもないよ。まさかドラえもんがこんなに怖い存在だとはな…」
のびたが追跡者ドラえもんの存在を意識しただけで背後の波の音が大きく聞こえる。
さらにはポケトレを使ったわけでもないのに草むらが揺れ、ザワザワと音を立てる。
のび「ぼくはちゃんと一人旅の理由を伝えたんだけどな……ビーダルに。
もしかしてあのビーダル、ドラえもんにちゃんと伝言しなかったな!!」
ドラえもんが付いて来ているということでさえ自身の妄想だというのに、良くこんなことが言えたものである。
のび「!…こんなこと考えても仕方ない!とにかく選択肢は三つに一つだ!」
とりあえず後戻りはしない、とのびたは決めた。これで砂を取るか、火山灰を取るかの二択に絞られる。
そして最後に二つに一つの決定を下すべくのびたはどちらかの道を選ぶ要素をタウンマップで探した。
右の道―――砂嵐の吹く道は228番道路という名前で、リゾートエリアという町へと続く道になっている。
左の道―――火山灰の降る道はハードマウンテンに繋がる山道。起伏が多く、最後は行き止まりのようだ。
のび「右だろ。常識的に考えて………でも、もし左に行ったらドラえもんをやり過ごせるかな?」

のびたの頭の中が想像の世界と化した。

ドラ「ハア…ハア…のびたくん進むのが早いよ!どっちに行ったんだろう?」
分かれ道で立ち止まるドラえもん。タウンマップでそれぞれの道がどこに行き着くかを調べる。
ドラ「リゾートエリアかハードマウンテンだったら絶対のびたくんはリゾートエリアを選ぶはず。ならこっちだ。」」
そんな呟きを残し、右の道に進むドラえもん。

のび「これを上手く利用すればドラえもんをやり過ごせる!早速実行だ!!」
要は、ドラえもんがリゾートエリアに行くのを見越してのびたはハードマウンテンに隠れる、という計画だ。
少々強引だが、この程度の作戦で満足したらしいのびた。足取りも軽くなり、火山灰の降る道に突っ込んだ。



寒い。冗談じゃなく寒い。
のびたがそう感じるのは当たり前。こちらの道は火山灰が太陽の光を覆い隠しているのだ。
のびたはバッグからマフラーを出し、首と腕に巻きつけた。
そろそろ服の水滴も冷えてきたらしく、体が永続的に冷やされていく。
のび「今こそ…炎ポケモンがいれば良いのに……ポニータが欲しい…」
初代からずっと「かっこ悪い」「弱い」といって無視し続けたポケモンをのびたは今求めていた。
頑張って先に進めばハードマウンテンにたどり着く。そこは炎どころか溶岩のポケモンすら生息するほどだ。
無事に着くことが出来ればのびたが必要としているポケモンはいくらでも要る。
ただ、そこへの道にあるのはのびたが苦手としている障害、距離と高低差だ。
のび「助けて…誰か……もうしんどい。寒い。だめだァ!」
“だめだァ”の一言がのびたの全てを表しているといっても良いだろう。
誰かが拾ってくれるだろうと、火山灰の厚く積もった地面に倒れこむのびた。

のび「いや~、助かりましたよ!」
いきなり場面は変わるが、ここはハードマウンテンのふもと。名も無いお節介な婆さんが住む平屋だ。
その家のこたつにのびたはあぐらをかき、婆さんの淹れてくれた濃い緑茶をすすっている。
なぜのびたが急にこんなところに移ったかという理由は言うまでもない。
見るからに貧相な格好で道路に倒れたりすると、たいてい気づいた時にはどこかの家に寝ているのだ。
これは作り話のお約束。もっとも現実にも道端で倒れている者を見捨てるものがあろうか。

婆さん「上半身裸の男があんたを抱えて急に入ってきてね、ちょっと休ませてやれってあたしに預けたのよ。」
婆さんがのびた救出の経緯を述べる。
婆「ハードマウンテンはそんじょそこらのまっ平らな山とは違う。もう少し……せめてあと一ヶ月休んで行きなされ。」
これが今作のケンコーばあさんか、とのびたは気づいた。
しつこいが諦めも良いこの婆さんの対処法をのびたは良く知っている。
のびた自身、ルビー・サファイアの時代にそこで1時間以上足止めを食らったことがあるからだ。
のび「お気持ちは有難いのですが、ぼくはもう行かなくちゃいけません。お婆さんさよなら。」



途中の過程は省くが、多くの困難と段差を乗り越えたのびたは遂に洞窟の入り口に着いた。
のび「ポケモンが飛び出してこなかったのは助かった。丁度草むらを刈った後みたいだったし。」
のびたは「草が刈ってあった」と表現したが、実際には荒れ果てていただけだ。
のび「ここでドラえもんが通り過ぎるのを待つかなあ…どうしよう。」
ちらりと洞窟の入り口を見やるのびた。
もう一度山のふもとを見下ろすのびた。
その二つの行動で洞窟に身を隠すべきか外で待機するか迷っているのが分かる。
が、すぐにのびたは結論を出すことになった。

バク「お?誰だおめえ。ハードマウンテンに何の用だよ。」
突如現れたバクという人物。
特徴的な髪型をのびたは毛が薄いんだと勘違いした。
バク「黙ってちゃ分からねーだろ!何とか言えやコラ!!」
のび「あ…その、ぼくはえーと………隠れてるんです。敵から。」
ドラえもんが敵。思わず口から出てきた不本意の言葉にのびた自身が驚いた。
バク「それは大変だな。そうだ!俺が隠れるいい場所紹介してやるぜ!付いてきな!」
バクがのびたに手招きして歩き出したのはハードマウンテンの洞窟だった



ノモセシティ

ジャ「はぁ~……やっちまった。俺としたことが…!!」
町のど真ん中ということも気にせず、ジャイアンは地面に倒れこんだ。折角洗った服がまた泥だらけだ。
「もしもし、君さっきマキシマム仮面に挑戦したよね?」
ジャ「んあ?」
昼も夜も町に突っ立っているキャラクターが話しかけてきた。
ジャ「何の用だよ…」
キャラ「あの、勘違いされないために言うけど、
マキシマム仮面はあれでも貧しい人たちに寄付金を贈るためにジムリーダーとして働いているんだ。…ごめん、それだけ。」
キャラクターはそそくさと行ってしまった。
ジャイアンは「なんだよあいつ…わけ分かんねえ。」と言いながらもそのことについて考えていた。


 サファリゾーン

そろそろポケモンの頭数に不安を覚えたジャイアンはここで手持ちを補充することにした。
受付「500円いただきます」
ジャ「召し上がれ」
門をくぐったジャイアンは一瞬怯んだ。
辺りは一面の泥。場所によってはその上に草が生えている。
ジャ「何っちゅうサファリゾーンだ!気に食わねえな。」
怒ったり怖がったりしながらジャイアンは泥に足を踏み入れる。
場所によって違いはあれど、大体深さは数cm程だ。
ジャ「そう…でもないな。これ位ならダッシュも出来るぜ。」
そう言うとジャイアンは体格に似合わぬスピードで走り出した。



何分かが経ち、ジャイアンの持っていたサファリボールには数匹のポケモンが収まっていた。
ジャ「どうもパッとしねえ。マリルとかルリリとか、お前ら前作にも出てきただろうってんだ!」
ジャイアンはダイヤモンド・パールの新ポケモンを使いたい。
以前と比べて珍しいポケモンの生息数が少ない今作のサファリゾーンにジャイアンは不満が募る。
ジャ「こんなことなら100円をケチったりしないで望遠鏡覗けばよかったぜ…」
節約の為に襲ってくる後悔の念がジャイアンに次の行動を促した……

ジャ「カブトプスッ!このいまいましい草むらを切り裂け!」
珍しいポケモンの為にジャイアンは強硬手段をとった。
カブトプスが自慢の鎌を振るい、折角伸びた草を燃えるゴミの山にしていく。
ジャ「もっともっとだ!せめて俺が今いる第6エリアぐらいの範囲は丸坊主にしとけよ!」
ポケモンが成長するにつれてジャイアンの態度が変わってきていた。
カブトプスを働かせ、自分はというと硬い地面で休んでいる。
DSを操作するのでさえ面倒だった現実世界でのことを考えれば当然と言えば当然だ。
苦労している者には幸福が舞い降り、楽をしている者には…

数分後カブトプスが戻ってきた。
ジャイアンに草刈りの場所の指定をしてもらいに来たのだが。ジャイアンはどこかに行ってしまったようだ。
仕方なく別の場所を探しに行くカブトプス。

ジャ「た…しゅ…け…て……」
誰も聞くことの無いか細い声。
それは他の場所と比べて一段と深い泥沼から発せられていた。
ジャ(くそう!!俺としたことが!…泥沼にはまっちまうとはな。どうしたもんやら……)
ジャイアンは今泥から頭だけ出ている。
顔を上に向ければ呼吸くらい出来るが、手ごたえの無い泥の中で上に浮き上がることは出来ないという器用な状態だ。



相当の時間が経ったが、カブトプスが戻ってくる様子は無い。
もがくこともやめてジャイアンはじっとしていた。

「…ったりー」

ジャ「ん?誰かいるのか?」
確かにどこからか聞こえてきた声をジャイアンは聞き逃さなかった。
ジャ「助けてくれ!ここから出してくれ!」
ジャイアンは必死で助けを請う。
すると、

「しゃーねーな。拾ってくれたお礼に助けてやるよ。」
ジャ「おおっ!誰か知らないけど助かるぜ!」
「言っとくけど俺はお前を引っ張り上げるなんて事は出来ねー。
だが、ちょっとばかりお前の行動に口を挟むことは出来るのよ。」
ジャイアンの、泥に半分隠れている顔が輝いた。
ジャ「そうか、お前が誰だか知らないけど悪い奴じゃなさそうだな。どうやったら脱出出来るんだ!!?」
ジャイアンとしては一刻も早く泥から抜け出したかった。足が冷えて痺れていた。
「まァ、お前が出来ることといったら…そだな、左手の近くの蔓を握る……位かな。」
ジャ「本当か!?それで俺はここから出られるんだな!?」
「試してみろよ」



ジャイアンは左手を無理やり動かし、泥の中をまさぐった。
何か太いものに手が当たる。これがあの声の言う「左手の近くの蔓」なのだろうか…
意を決してジャイアンはそれをしっかりと握った。
ジャ「んっ…うおああっ!!」
ジャイアンの握った蔓が暴れ始めた。
必死で蔓を手繰り寄せるジャイアン。すると体が浮き上がるのを感じた。
ジャ「この……植物…宙に浮いてるのか!?」
確かにそうだった。ジャイアンの足は空をかき、泥だらけになった衣服がここ数時間ぶりの風を浴びているのを感じる。
ジャイアンは強張った首を無理やり反らし、蔓の出所を見上げた。
無数の蔓をぶら下げながら高度を上げていく正体不明の植物。顔の部分が食虫植物のようだ……
ジャ「マスキッパか!!そういやコロコロに載ってたぜ。サファリゾーンで出現するとはな。」
下を見下ろすと、ずっとジャイアンを探していたカブトプスが数メートルの宙に浮かぶ主人を見て追いかけてきていた。
ジャ「良かった…で、この状況はどうしたもんやら。」
マスキッパは風に流されてヨスガ方面へ進んでいた。
眼下ではそれを追いかけるカブトプスがサファリゾーンの敷地から出ようと金網を破いている。
ジャ「ま、ノモセジムへの再挑戦はまた今度にしとくか。」



バク「ここにいれば安全だ!絶対に!誰かに襲われるなんて事ねえぜ!」
バクがのび太を押し込んだのは洞窟の最奥の小部屋。
至る所から溶岩の流れる音、滴り落ちる音が響いてくる。
のび「本当に大丈夫ですよね!?まさか噴火したりなんか……」
一時も静まらない山に不安を感じたのび太。
バク「だいじょぶ。この山さ、これでも活動が穏やかな方なんだ。」

そう諭されてのびたは置き去りになった。
のび「怖いよ…こんなことならドラえもんと一緒に……」

 『シグナルビーム!!』

昨日の夕方に高速船の上で何があったかをのび太は思い出した。
唇を噛み、口から出かかった言葉を押し殺す。
のび(ぼくはドラえもんに頼らないって決めたじゃないか!
折角こんなに高くて急な山に登れたのに……また助けを借りるなんて、冗談じゃない!!)
のび太は小部屋の奥に体を向けた。
のび「ぼくには…ドラえもん無しで出来ることが沢山ある。たかがゲームくらい自力で出来なきゃどうするんだ。」
そう自分に言い聞かせるとのび太はずんずん歩き出した。

ごぼっ ごぼぼぼ…………



のび太は瞬間的に腰が抜けた。
たった今気合を入れたばかりなのに、奥から聞こえる正体不明の鳴き声にすっかり臆してしまったのだ。
のび「あわわわ……あそこ!あそこに何かいる!!」
のび太は人差し指を立てた手を振り回し、奥の暗がりを示す。
すると、そんな主人を見かねたのびたのポケモン達が次々にボールから飛び出し、のび太の指す方向へ走っていった。
数秒間のびたは耳をそばだてる。
だが、乱暴な音は聞かれず、暗がりから出てきたエテボースが「大丈夫」と言うようにのび太を手招きした。

のび「火口ポケモン、ヒードラン…」
のびたが図鑑を出して名前を確認しているポケモン、つまりのび太のすぐ前にいるポケモンは怪我をしていた。
ぐったりと地面に横たわり、体の金属で出来ている部分は凹んだり割れたりしている。
のび「伝説のポケモンのプレッシャーみたいなのが……まるで無いよ。とりあえず、どこかに運んで手当てしよう。」
伝説のポケモンで、自分の物ではないだけにボールには入れられない。
そう思ったのび太はひとまずヒードランの下に入り、手持ちのポケモンたちと共にヒードランを運び始めた。

430kgの重量級ポケモン。ポリゴン2は狂っている。ハードマウンテンは強いポケモンがいっぱい。
この過酷な条件の中、どうやってヒードランを運び出すのかのび太には見当も付かなかった。
だが、ひとまずのび太には信頼できる手持ちがいる。エテボースにエレブーにカラナクシ。
のび太とその愉快な仲間達は敵を倒しつつ、ハードマウンテンを後にした。



ようやく下山したのびた一行。
とりあえずヒードランに傷薬を与えるが、あまり回復していない様子だ。
のび「どうしよう……サバイバルエリアは川を渡らなきゃ行けないし、
でも体のひびを治すにはポケモンセンターに行かないと。ぼくだけじゃどうしようもない……」
のび太がヒードランを見ると、ヒードランもまた若干力の戻った目で見つめ返してきた。
のび「行く……かい?リゾートエリアへ」

のび太は一時間ほど前に行くことを止めた道に足を踏み入れることになるとは考えもしなかった。
だが、現に今のび太は228番道路にいる。
弱って自力では歩けないヒードランを自分のポケモンたちと一緒に介助しながら……

細かい砂粒が、トレーナーが、野生ポケモンが襲ってくる中のび太達は少しずつ道を進んでいく。
怪我のヒードランが鋼タイプの特権で砂嵐のダメージを受けないのはのび太にとってありがたかった。
自分と、自分のポケモン達は砂嵐によって今も体力が削られている。
こんな砂嵐がリゾートエリアまで続くようなら間違いなくぼくとポケモンたちは倒れる。
だけど…ヒードランだけは助かるはずだ。
のび太はそれを信じて歩き続けるだけだった。



リゾートエリア直前、229番道路に差し掛かったところでのび太は地面に突っ伏した。
続いてエテボース、エレブー、トレーナーとの戦いで進化したトリトドンも倒れる。
そんな中で一匹だけ砂嵐とトレーナー戦の疲労が無いヒードランは地面に横たわるポケモンとその御主人を見つめ……


「あら?バトラー、このポケモンってハードマウンテンの主じゃないかしら。」
「本当だ!しかし背中に乗せているのは一体……」
「いずれにしろこんな珍しいポケモンに会ったのは幸運だわ。是が非でも捕らえましょう。」
エリートトレーナーの二人はヒードランに有利なドククラゲ、ネオラントを繰り出す。
ヒードランはエリートトレーナーを一睨みすると、口から灼熱の風を出した。
ドククラゲとネオラントはその威力に手も足も出ず、あっという間にひからびてしまった。
唖然とするエリートトレーナー達を尻目にヒードランはリゾートエリアへ急ぐ。

今のヒードランの望む事、
それは背中に乗せている人とポケモンが―――自分をここまで連れてきてくれた人達が一刻も早く回復することだった。



あげてすみません


のび太の部屋

丁度今ピアノのお稽古を終えたしずかがゲームに入った。

しず「さてと、次はハクタイシティに行こうかしら。……新しいポケモンたちを育てながらね。」
卵から孵ったリオル、それと無理やり捕まえたフワンテだ。
パチリスは元々それなりのレベルだから後回しにしよう、という訳だ。

トレーナーを無駄なく倒し、ハクタイの森の左側の道を通ったしずかはほんの30分ほどでハクタイに着いた。
しず「まずはジム戦。さっさと倒して先行かなきゃ。」
以前にも増して行動が早いしずか。足がぶれて見えるほどだ。
しず「ジム戦お願いしまーす。」
しずかは既にナタネの前に立ち、ジム戦を催促している。
うたた寝していたナタネは顔を上げた。
ナタ「はぁ?ジム戦……分かったわよ!やるわよ!どうせあんた余裕で勝つんでしょ!?」
しず「はあ……どうかなさいましたか?」
ナタネはしずかの言葉を無視してポケモンを繰り出した。
しず「…!!そのポケモンは…」
猫のような目に体から生い茂る若葉、イーブイの進化系に共通の独特のビジュアルを備えたそのポケモンは…
ナタ「リーフィアよ。」
しずかは大いに感激した。
何を隠そう、しずかは無類のイーブイ好き。GBA版ではイーブイパーティを作るほどだったのだ。
しず「ああ、素晴らしいわ…この毛並み、それに何だか空気が澄んでる。もしかして自分で光合成を……」
ナタ「早くポケモンを出して頂戴。」
厳しい顔で命じられるとしずかのうんちくも止まった。
しず「フワンテ行きなさい!」
たにまのはつでんしょで昨夜捕まえた風船ポケモン。しずかにも大分懐いている。
しず「かぜおこしっ!」



フワンテが自らしぼみ、リーフィアに風を吹きかけた。
だが全くと言って良いほど効いていない。リーフィアはそよ風に吹かれているような顔だ。
ナタ「あらあら、今度のガキはずいぶんと弱いのね。沈めてあげなさい!」
ナタネが追い立てると、リーフィアの尻尾が尖りフワンテを襲った。
しず「熱くなっちゃ駄目ですよ。ジムリーダーなんだから。」
しずかは至って余裕の表情。
それもそのはず、リーフィアの尻尾の鋭い刃は一回もフワンテに当たっていないのだ。
ナタ「ひかりの粉かしら…ええい!もっともっとリーフブレードよ!」
リーフィアが勢いよく空振りを続ける。
しずかはタイミングを見計らい、フワンテにまた風起こしを命じた。
ひときわ大きな空振りをしてバランスを崩していたリーフィアはその風に飛ばされ、地面に思いっきり頭を打ち付けた。
しず「まずは1匹持って行ったわ。」
ナタ「うるさい!ミノマダム、あいつにリーフストームよ!!」
葉っぱのミノをまとったまま進化したミノマダムが登場し、大量の葉をフワンテにぶつけてきた。
その大部分はリーフブレードのようにフワンテに当たらないまま落ち葉と化したが、流石に1,2発はフワンテをかすめる。
しずかの表情が変わった。
しず「あら?鋭い葉っぱがフワンテに当たったわ……もし割れたりしたらどうするつもりだったの?」
しずかはしずかにナタネを問い詰める。
ナタ「え…いや、だってさっきもリーフブレード使ったし、これはポケモンバトルよ。何をそんなに……」
しず「もはやあなたに弁解の余地はないわ。死になさい。」
フワンテがしっぺ返しを使い、ミノマダムを戦闘不能にさせる。
するとナタネが最後のポケモンを出す。ロズレイドだ。
しず「毒タイプが入っているせいでこの技は命取りね。」
フワンテをボールに戻し、しずかが出したのは……ハヤシガメの進化系、ドダイトスだ。



しず「じしん!!」
そう言うが早いか、しずかはドダイトスの背中に飛び乗る。
次の瞬間、地面が激しく揺れ始めた。
地面に亀裂が走り、折角植えられていた木は根こそぎ倒れてしまった。
無論ロズレイドは抗う間もなく瀕死。
しず「ふふっ、フワンテを傷物にした罰よ。バッジを渡しなさい。」

しず「ああ、いい気晴らしになったわ。次は自転車の為にハクタイビルにでも行きましょ。」
既に次の行動のための情報収集もバッチリだ。
手持ちの中でも特に気に入っているらしいフワンテを携え、しずかはビルに乗り込んだ。


 ハクタイビル最上階 

銀女「ふむ……今は昼食時間だったかな?」
しず「いいえ違うわ。おばさん」
銀女「そうか、ではギンガ団に全く関係ないガキが……この最上階まで踏み込めるのは何故だ?」
しず「私があの雑魚共をなぎ倒してきたから。」
窓のほうを向いていた銀河団の女はしずかを振り返った。
その眼光の鋭さにしずかは息を呑んだ。
銀女「自己紹介はどんな場面にも必要だな。初めまして、私はジュピター。ギンガ団最強の幹部よ。」
まだ他に二人実力の見合う幹部がいるのに、ジュピターという女は自分が最強だと言う。
しずかはそんなこと知らないが。
しず「そうなの?私は源しずか。最強のあなたを倒すために来てやったわ。」
二人の他愛ない会話はそこで止まり、ジュピターがボールを投げる。
愛らしい鳴き声を上げてピィが出てきた。
しず「ピィですって…この期に及んでよくも小手調べのような真似を……!」
ジュ「小手調べなどと言っていられるのも今の内。だいもんじだ!」
ピィが突如凶悪な目つきに変わり、自分の体と同じ形の炎をフワンテに吐きかけた。



しず「…かぜおこし。」
フワンテが息を吹きかけると、だいもんじはたちまちピィに跳ね返った。
自らの吐いた炎に焼かれ、ピィは戦闘不能になる。
しず「能力の低いポケモンが威力だけ強い技を使おうとしても上手くいかないものよ。」
ジュ「ン…フフフ…ハハハハハハ!!」
急にジュピターは笑い出した。
ジュ「フフフフ…あー、久しぶりにいいトレーナーだ……だけど残念、私はボスの用事を言い付かっている。
元々ここには長くいられないのだ。それでは!」
ジュピターはボールから出したソルロックに捕まり、窓ガラスを割って外に飛び出した。
しず「……大人しくこのビルを明け渡すって事かしら…もうここは用無しだ、とか。」
ジュピターが消えた辺りの空を見上げてしずかはそう呟いた。

その後、自転車を手に入れたしずかはサイクリングロードを下り、テンガン山の洞窟を抜けた。
そして、ヨスガシティのゲートをくぐり抜けた。
「ミミロルちゃあん!!捕まえて!捕まえてぇー!!」
町に入って早々、しずかは悲鳴を聞いた。
さらに次の瞬間、しずかの胸にミミロルが飛び込んできた。
息が上がった女性がその後から不恰好に走ってくる。
「ありが…とう……ございました。このミミロルすぐ逃げちゃうんですよ。さあ、参りましょうね!ミミロルちゃん」
しずかからミミロルを引き取った女性はヨスガシティのコンテスト会場へ歩いていった。



今の状況

のびた  エテボース エレブー トリトドン ポリゴン2 【ヒードラン】(現在地…リゾートエリア)
 ヒードランを助け、今ヒードランに助けられている。主人公だけに手持ちが強力。

ドラえもん  ビーダル ペラップ ロトム リーシャン (現在地…?)
 のびたを探し、ファイトエリアを駆けずり回っていた。ただ今は何処にいるのか不明。

しずか  ドダイトス ブニャット パチリス リオル フワンテ 【ダークライ】(現在地…ヨスガシティ)
 急に進んで今はヨスガシティ。手持ちが多く、なおかつレベルが高いのが特徴。

ジャイアン  モウカザル カブトプス ドーミラー 【マスキッパ、かなめいし】(現在地…ウラヤマさんち上空)
 サファリで助けられたマスキッパに捕まって空のお散歩中。風でヨスガ方面に流されている。

スネオ  ポッタイシ ムクホーク キルリア ビークイン ゴンベ 【GBAの伝説など】(現在地…クロガネ上空)
 進化したムクホークに捕まって空のお散歩中。ドラえもんから情報を仕入れてキッサキに向かっている。