ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

ミュウ その13

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akakami

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  • ゴクvsイアン

「出てこい、バンギラス!」
フィールドにバンギラスの巨体が姿を現す。
『ゴクの主力は炎。
 バンギラスならタイプ的に有利のはず!』
そう、ジャイアンの使えるポケモンは2体のみ。
このバンギラスで、相手の手持ちを出来るだけ減らすことが重要なのだ。
しかし…
『……勝った!計算通り!』
しかし、ゴクはジャイアンが炎に有利なバンギラスを使うことを予想していた。
ジャイアンの欠点は正直過ぎる所。
少し頭を使えば、ジャイアンの行動など簡単に予測出来る。
そしてゴクは、ジャイアンのその欠点を利用したのだ。
「ヒャハハ、さぁ楽しいゲームの始まりだぁ!出てこい、マグカルゴ!」

「マ、マグカルゴだと!」



【マグカルゴ】
その弱点の多さと能力の低さで、
一般的には卵要員としか使われない悲惨なポケモンである。

「ゴク……お前ふざけてんのか?」
「何言ってんのさ。僕はバトルの時はいつでも本気だよ」
「だ、だよなぁ…」
だが目の前に居るのはマグカルゴ。
ジャイアンは、ゴクの行動が不思議で堪らなかった。
『まぁ俺からしたらラッキーだ』
「バンギラス、波乗りであのカタツムリをナメクジにしてやれ!」
ブン!
「ヒャハハハハハ」
バンギラスが津波を起こそうと手を振り上げた瞬間、ゴクの笑い声がドームに響いた。
その声に驚き、バンギラスの手が止まる。
「ヒャハ、あっ、命拾いしたね」
「どういうことだ?」
「ハハハ、簡単なことだよ。
 このマグカルゴに波乗り何てしたら、観客の命が危ないってことさ」

ゴクの意味深な言葉。
だが、その意味が掴めない。
何故、マグカルゴに波乗り したら観客の命が…
『普通のマグカルゴなら危ない訳が無い』
「まさか…そのマグカルゴ、改造されてんのか?」
ジャイアンは思い出した。
地下アジトで戦った、炎に強いアリアドスのことを。
「あっ、イアン改造のこと知ってたんだ。
 そのとーりだよ。こいつは雷電が改造した僕専用マグカルゴなのさ」



「水蒸気爆発って知ってる?
 すっごい熱い液体に、冷たい水がかかることで起こる爆発のことなんだ(例:火山の噴火)。
 まぁ、詳しいことは自分でぐぐってよ、説明めんどいからさ」
「……なるほど」
とりあえずうなずくジャイアン。
細かいことは分からないが、波乗りをしたらマグカルゴが爆発すると言うことは分かった。
「だけどよぉ、爆発が起きても俺のバンギラスはマグカルゴと離れてるから平気だぜ?
 なのに何で命拾いになるんだよ?」
ジャイアンの言葉を聞いたゴクは、やれやれといった顔をし言った。
「危険なのはイアンじゃない。
 僕達の周りに居るこの観客達さ」
「な!?」
マグカルゴの体は高温のマグマ。
もし、そのマグマの体がここで爆発すれば……
「そう、観客達は大火傷に、いや死んじゃうだろうね」
「ゴク、てめぇ卑怯だぞ!」
「卑怯?作戦と言ってくれたまえ、イアン三等兵。
 バトル何てものは所詮殺し合い。殺し合いにルール何て無いのさ!」
「クソッ!
 バンギラス、ストーンエッジ!」
「無駄だよ、地震だ!」
バンギラスが岩の固まりを造り出す前に、地面が唸りを上げ、バンギラスの体力を奪う。

『ヒャハハ、焦りはミスを招く。この試合……貰った』



「くっ、バンギラス!」
相手が使ったのは効果抜群の地震。
いくら巨大バンギラスでも体力をかなり削られたのは明らかだ。
しかもバンギラスの巨大な体は、その圧倒的な攻撃力の代わりに素早さを犠牲にする。
波乗りなどの遠距離系の技ならともかく、
ストーンエッジなどの直接当てる技、または発動に時間が掛かる技は当てられないだろう。

『いくらトロいマグカルゴでも、地震なら確実に体力を削られる。
 もし、あと一発でも地震をくらえばバンギラスは終わりだ!』
「ヒャハハ!いくら考えても無駄なんだよ!無駄無駄ー!!!
 さぁ……これでゲームセットだ。マグカルゴ、地震!」
大きな地響きがドームを包みこむ。
「バンギラス、負けるな!こっちも地震だ!」
ジャイアンの声と同時に強くなる揺れ。
その大きな揺れはフィールドを崩壊させ、差別することなく二匹を傷つけた。
「ヒャホホっ!、何て揺れだ!?」
思わず座り込んでしまうゴク。
二匹同時の地震。しかも一体は巨大バンギラス。
こんな状況では、人間が立っていることなど不可能に近い。
いや、人間だけじゃなくポケモンだって…
「ぐぅ、負けるなマグカルg…………はぁ?」
思わず目を疑うゴク。
「ハハハ…うわぁぁぁ!!!」
フィールドに砂煙が舞った。
別にバンギラスが攻撃した訳じゃない。
地震の揺れで体が傾いたバンギラスが、ゴクの方へ倒れてきたのだ。
何とかゴクは逃げ切れたが、動きが遅いマグカルゴは文字通りぺしゃんこになった。

「勝った……計算通り!」



「…まさかイアンがここまで考えていたとはね。
 だけど君は1つ気づかなかった点がある。何か分かるかい?」
「…何だよ」
「ヒャハハ!こいつに勝てたら教えてやるよ!
 出てこい、ファイヤー!!!」
美しい炎を纏った鳥がフィールドに現れた。
その姿は、まるで日本の神と言われる朱雀の様だ。
「ゴク、バンギラスにファイヤーは…」
ジャイアンがそう言いかけた、その時…

シュン

一瞬、空気を切り裂く様な音が聞こえた。
そして、顔を横に向けるとバンギラスから炎の線が延びている。
いや……違う。
良く見るとそれはファイヤーの残した軌跡だった。
『は、速すぎ…』

ザクッ!

バンギラスの悲鳴がドームに響く。
ファイヤーの鋭いクチバシが、バンギラスの右肩を貫通したのだ。
暴れるバンギラス。
だが、ファイヤーはクチバシを突き刺したまま動かない。
「…あっ。バンギラス、雷のキバ!」
我に帰ったジャイアンが支持を出すが、
その支持を実行に移す前に、ファイヤーはバンギラスから素早く離れた。

「ヒャハハハ……どうだい?イアン。
 岩をも貫くクチバシと、圧倒的な機動力を持った僕のファイヤーは…」



バンギラスの顔が痛みで歪む。
右肩を骨ごと貫かれたのだから、その痛みはかなりのものだろう。
「不味いぞ……ゴクのやろうとしてることは分かった。
 きっと両肩を潰して、バンギラスが攻撃出来ない様にする気だ」
ほとんどの攻撃が、発動する前に何らかの形で手を使う。
もし、もう片方の肩まで潰されたら事実上の戦闘不能になってしまうのだ。
「さぁ、行くよ。
 ファイヤー…ゴッドバードの準備だ!」
ファイヤーの周りに炎が集まっていく。
今回のフィールドは炎に囲まれているので、その炎の勢いも一段と激しい。
「今しかねぇ!
 バンギラス、ストーンエッジだ!」
バンギラスが片手が岩の固まりを作り出した。
「良し!それをファイヤーに…」
遅かった。
ファイヤーはもうバンギラスの目の前まで来ていたのだ。
「バ、バンギラス!?
 ガードだ!左肩を岩で守れ!」
左肩を守るバンギラス。
だが、ファイヤーはそれをあざ笑うかの様に動きを変えた。
「バンギラス!」
ファイヤーはバンギラスの右膝を貫く。
血が吹き出し、バンギラスの悲鳴がジャイアンの耳に入った。

「ヒャハハハハハ!本当に恐ろしいのはまだこれからだよ!
 君たちは僕の前にひれ伏すんだ!僕の家来となってね!」



「……酷すぎる」
観客の1人が誰にも聞こえない様に言った。
あれから10分。
ゴクはわざと左肩を狙わず、
バンギラスの体の他の部位ばかり串刺しにし、じっくり、じっくりと苦しめている。
「…気に入らないなぁ、その目」
もうフラフラのバンギラス。
だが、まだその目には闘志が込められていた。
「両足、腹、腰、胸。
 普通なら死んでもおかしくない程攻撃を受けたのに……まだそいつは立ってくる。
 何で?倒れや良いじゃん!じゃないと死ぬよ?イアンも何か言えよ!そいつが死んでも良いのかよ!」
目が虚ろのジャイアン。
周りが火の海の状態でもう40分も戦っているのだ。
喉も乾くし、頭もフラつく。
だが、ジャイアンはこの試合、まだ一度も倒れていない。
「ゴク…俺達は倒れる訳にはいかねぇんだよ。
 お前には分かんねぇだろうな。人を守るってことがよ。
 俺やバンギラスを支えてんのは筋肉や骨何かじゃねぇんだ。
 俺を支えてんのはなぁ……大切な奴を救いたいって叫ぶ俺の中の魂なんだよ!」
再びバンギラスの体に力が入る。
そして片手を掲げ…ボクシングの構えをとった。
「バンギラス!俺達の魂、見せつけてやるぞ!」
「ヒャハ…ヒャハハ」
今まで呆然と話を聞いていたゴクは急に笑い始めた。
「ああ臭かったぁ。
 そんな恥ずかしい言葉を良く人前で話せるねぇ、尊敬するよ。
 でも、それももう終わりだ。ファイヤー、最後の攻撃の準備をしろ!」



「くっ!熱い…」
激しい熱風が辺りを包み込む。
ファイヤーが体に周りの炎を自分に引き寄せ、巨大な炎の固まりを作っているのだ。
「美しい…美しいよ。さすが僕のパートナーだ」
自分の世界に入り込むゴク。
その目はもはや、炎を纏ったファイヤーの姿しか見ていない。
「キモ…」
観客の女子高生がそう言った。

「地獄へ旅立つ準備は出来たかい?
 さぁ…ファイヤー。トドメのゴッドバードだ!!!」
「くっ、バンギラス!来るぞ!」
睨み合う二匹。
先に動いたのは…ファイヤーだった。

シュン

近づくファイヤー。
指示を出そうとジャイアンが口を開…

「イアン、予選で君が戦ったカンナは僕が殺したよ」
「!? 今何て…」

ブシャ!!!



「し、しまった…」
気づいた時にはもう手遅れ。
ファイヤーのクチバシは左肩を貫通し、バンギラスを完全に戦闘不能にしていた。
後悔するジャイアン。
だけど今、ジャイアンを支配していたのは怒りだった。
「ゴク…てめぇはぁ!!!」
ゴクの方へ走り出すジャイアン。
ゴクはもちろん、司会者や観客までもが驚いた。
「イ、イアン?落ち着こうよ!ね?ね?
 僕だって悪気があって殺した訳じゃあ無いん…ダベラッパ!!!!」
奇声を上げて吹き飛ぶゴク。
ゴクの顔に赤い拳の痕が残った。
「…立て、ゴク。お前だけはこの俺様が直々にボコッてやる!」
「…ちょっと体がデカいからって調子に乗りやがって!
 おい、ファイヤー!いつまでそんなデカブツの相手してんだ!
 早くこっちに来て、このブタゴリラを焼き豚にしてやれ!ミディアムでなぁ」
ゴクが叫ぶ。
だが、ファイヤーは動かない。いや…動けない。
「ファ、ファイヤー…」
「バンギラス、まさかお前…」
バンギラスは意識を失いながらも、
ファイヤーに噛みつき、密着した状態から動けなくしていた。
しかも、周りの炎とファイヤーの体の火により熱せられたバンギラスの岩の体は、
密着していたファイヤーの体をも焦がし、その体力を奪っていたのだ。
もう、すでにファイヤーの意識は無い。
バンギラスは勝った。
確かに試合上は引き分けかも知れないが、
バンギラスの強い魂が、確かにファイヤーの力を上回ったのだ。



「バンギラス、ありがとな…」
ボールに戻すジャイアン。
ジャイアンは、さっきの自分の行動を深く反省した。
『バンギラスは、俺の失敗のせいで倒されてしまった…
 もう惑わされない!バンギラスの為にも……この試合絶対勝つ!』
『目に…また力が戻ったな。
 ヒャハハ。でも、もうタイムオーバーだ。僕の計算だと……あと10分以内に……』
「なぁ、イアン。さっきの問題の答え知りたくない?」
「うるせぇ、早くエンテイを出せよ」
「(くっ!)まぁまぁ。
 おかしいと思わなかったかい?僕が水蒸気爆発なんて言葉知ってること」
「思わねぇよ!」
「(なにっ!?)ハハハ。まぁ落ち着こう。
 実は言うとね、水蒸気爆発なんて言葉僕良く知らないんだぁ。
 ぷぷっ!イアンも読者も騙されたぁ!小学生がそんなの知る訳無いじゃんw」
1人で笑うゴク。
ジャイアンはそんなゴクを見かね、腰からボールを取った。
「ゴク、早くお前も…ボールを……と…れ」
思わず膝をつくジャイアン。
「な、何だよ、これ…体が、言うことを…聞かねぇ……ぞ…」
「ヒャハ…ヒャハハハハ!タイムオーバーだぁ!
 体が動かない理由を教えてやろうかい?君は僕の作戦にハマっていたのさ!」

次回決着



熱い 視界がボヤける 体が……動かない?

ジャイアンは、地面に着いた膝を上げようとする。
だが、その膝は重りが付いている様に、なかなか動かない。
 いや、違う…
体が、自分の体の部位の多くが、思うように動かないのだ。
 ……何かが足りない。体が何かを求めている。

そう、それは…「水だ」

「アヒャアヒャヒャヒャ!勝った、勝ったぁ!もうイアンは動けなーい!」
「ゴク…てめえ!」
「まだ喋れるのぉ?アヒャw本当に人間離れした体力だね。
 でもそれもここまで。この戦いが始まってからもう一時間…
 君の体の水分は、このフィールドの周りの炎が奪われたのさ!」
「な、周りの炎…だと!?」
「イアンは最初から僕のワナに掛かっていたんだよ。
 いや違うな、戦いが始まる前からか。
 イアンはこの周りの炎を、技の威力を上げる為の物だと思っていたみたいだけど、
 それだけじゃない。
 この炎は、君を苦しめるための物でもあったのさ!
 いやぁ、良くイアンも耐えたよねぇ、試合前に何も飲んでないのに」
「くっ…あの時俺のお茶を飲んだのも…作戦だったのか」
「その通りさ!
 さすが僕。凡才じゃ考つかないことを平然とやってのける。
 そこに痺れる憧r…
《これ以上は作者も限界なので自粛します》



「出てこい、カビゴン…」
ジャイアンの声と共に大きな巨体が姿を現す。
そして、カビゴンはジャイアンの体を持ち、戦闘体勢をとった。
「アヒャヒャ、良く考えたねぇ。
 でも、こいつの攻撃から逃げ切れるかなぁ?
 出てこい、我が最強の相棒であり下部、ゴッドエンテイ!」
※ただのエンテイです

「アヒャヒャ!
 さぁ、攻撃を始めるよ。エンテイ、炎の渦!」
ゴクの指示と同時にエンテイが地面に足を叩きつける。
それと同時に、カビゴンとジャイアンの足元が赤く光り始めた。
「な、何だ…うおっ!?」
激しい爆発音と共に、火柱が空に昇る。
「フハハハハハハ!
 油断したな。僕のエンテイの技は少しアレンジしてあるのさ!」
ゴォォォ……… 火柱が静かに消える。
すると、炎の中から…
「フハハハ、ってあれ?イアン…」
「上だ!」「!?」
空中にジャンプしていたカビゴンが、エンテイに向け落下する。
エンテイは横にジャンプし、その攻撃を避けた。
落下の衝撃により、地面が音を発てて砕ける。
「まだだ!カビゴン、波乗りで追い討ちをしろ!」
カビゴンは片手を地面に叩きつけ、巨大な波を発生させた。
「……無駄だよ。
 エンテイ、大文字で吹き飛ばせ!」
「うわぁぁぁっ!」
エンテイの炎は、波を一撃でジャイアンと共に後ろへ吹き飛ばした。
「このエンテイは周りの炎を吸収して強くなる。
 このフィールドで僕のエンテイに勝つことは不可能なんだよ!」



「ぐっ…周りの炎を吸収するだと?」
「ああ、このエンテイは周りに炎があればある程強くなる。
 いつもは炎の渦を使ったりするんだけど…今回はその必要は無い。
 これが、このフィールドのもう1つの意味さ」
「はっ、そんなの波乗りで消しちまえば…」
「無駄無駄。さっき波乗りが通った場所を見てみなよ。
 このフィールドの炎は、消えてもすぐに再点火する様になってるのさ」
ゴクの言う通り、さっきの攻撃で消えた炎は、もう勢い良く燃え盛っていた。

『どうすりゃ良いんだ…』

ジャイアンの思考が焦る。
ただ1つだけ良かった点は、さっきの波乗りで水を飲むことが出来たこと。
そのおかげで、さっきより体が落ち着き、意識もハッキリとしている。
『考えろ……炎を消す方法は?
 雨ごい?いや今ドーム内の天気は晴れに固定されている。
 雨ごいじゃ無理……いや…ちょっと待て。ドーム内じゃ無理なら…』
「ゴク、見つけたぜ。
 お前をぶっ飛ばす最高の作戦がな」



「……ぷはぁっ、僕を倒す作戦だってぇ?」
腰に付けていたファンタを飲み終えたゴクは、そう言った。
「…まさか雨ごいとか言うんじゃないだろうね?
 言っておくけど今天気は晴れに固定されてる。
 どれだけ雨を降らせようとしたって無意味だよ」
「それはどうかな?カビゴン、雨ごいだ!」

………………………………
「ほらぁw何も起きない!もう頭が逝っちゃったのかな?
 イアン、安心して。さっさと殺してあげるから!」
ゴクはエンテイに乗り、攻撃の準備をする。
だが、先に仕掛けたのはジャイアンのカビゴンだった。
「カビゴン、波乗り!」
「アヒャヒャ!?エンテイ、大文字!」
意表を突かれたゴクだったが、冷静に指示を出して危機を脱した。
だが……
「またイアンが居ない…上か?エンテイ、辺りに気を払え」
周りを見渡すゴク。
だが、ジャイアンの姿は見つからなかった。
バキッ バキバキ!
「な、何だぁ?この音…」
ゴクは上を向く。
すると、顔に何かが落ちてくるのに気が付いた。
ポツッ ポツポツポツ!
「つ、冷たい…まさか……イアンがやってるのは!?」
そのまさかだった。
ジャイアンの目的は、ドームの天井を破壊することだったのだ。
「カビゴン、トドメだ!破壊光線で天井をぶち破れ!」
バキバキッ!……ザァァァァァァァ…
天井が壊れた事により、外で降っている雨がドーム内にも降り注ぐ。
その雨のおかげでフィールドの炎は消え、喉の乾きも充分に潤すことが出来た。



僅かに残った天井にぶら下がる照明の上に乗り、
フィールドの様子を伺うジャイアン。
もう周りの天井はほとんど壊したため、ドーム内は水浸しになっている。
もう、明らかに勝負は見えていた。
そして、さっきまで笑顔だったゴクの顔が歪む。
まさに鬼の様な形相になったゴクは、上空のジャイアンを睨み叫んだ。
「この程度の低い凡人がぁぁぁ!
 神に選ばれた僕をナメてんじゃねぇぞ!
ぶっ殺してやる、絶対バラバラに引き裂いてやるぞ!
 さっさと降りてこい!この凡人低脳筋肉ゴリラがぁ!」
ついに本性を見せたゴク。
そんなゴクにジャイアンは言い放った。

「ゴク、この一撃で……お前を倒してやる!」



「カビゴン、あれの準備だ」
カビゴンが腕を空に掲げる。
すると腕が巨大な電気に包まれて、激しく音を発て始めた。
「エンテイ、力を溜めろ!あのゴリラとブタを、仲良く焼き肉してやるんだ!」
『本当は出木杉との戦いまで使わないつもりだったけど…』
「ゴク、良く聞け!
 この技を食らったら、もしかしたら死ぬかもしれない!
 命が惜しいならギブアップをしろ!」
「ギブアップだぁ?
 ゴリラが生意気な口を聞くんじゃねぇ!
 死ぬのはお前らだ!」
「…そうか、じゃあ覚悟しろ。
 カビゴン、そのままジャンプして転がるだ」
カビゴンは、腕に電気纏ったまま、空中で転がり始める。
その姿は、まるで電気の塊。
そうこの技は…カンナとの戦いで使った技の発展技なのだ。
落下のスピード、雨で激しくなった電流、転がるの回転の勢い。
その全てが混じりあい、凄まじい技を完成させる。
「行け、カビゴン!最大限の雷パンチだ!」

降り続ける雨の中、一筋の眩しい光が地面へと注がれる。
「エンテイ!大文字で吹き飛ばしちまえ!」
エンテイからフィールドを覆う程の炎が放射された。
「カビゴン、気合いで貫け!」
光と炎が……空中で激突する。

その瞬間――



「う、うぉあぁぁ!」「でへー!?」

凄まじい爆発が起き、二人はもちろん、観客も後ろへ仰け反った。
その爆風で、目を開けることが出来ない。
そしてさらに… 「し、しまった!」
爆発の勢いで、天井の照明に乗っていたジャイアンが足を滑らした。
「うわぁぁぁぁぁ!」
天井から地面までかなりある。
ジャイアンは死を覚悟し、目をつむった。
「あああ…」 ボフン!
『ボフン?』
ジャイアンが目を開けると、ボロボロになったカビゴンのお腹の上に居た。
「カ、カビゴン…エンテイは?」
カビゴンが後ろを指を指す。
「ぐっ、この…凡人がぁ!」
エンテイはフィールドに倒れ、血を吐いていた。
そう、カビゴンはエンテイの炎を貫き、攻撃を決めたのだ。
その衝撃により、ゴクの体にも大量の傷がつき、大怪我を負っている。

「…勝者、ジャイアン選手!」
会場から惜しみ無い拍手がジャイアンに送られる。
「よっしゃぁ!」
ジャイアンは空に手を突き上げた。
先ほどまで降っていた雨が止み、空には虹が架かる。
ジャイアンは遂に勝利したのだ。幹部のリーダー…地獄のゴクに




「ゴク、大丈夫か?」
「僕に触るな!汚れちまうだろ!
 ハァ…ハァ…僕は……僕は認めないぞ!
 今回のはただのマグレだ!次は…次こそは必ず殺してやる!」
「ゴク、お前の負けた理由は、ポケモンとの信r…」
「はいはいはいー!
 来たよぉ、お決まりのこれぇ!
 何?戦ったライバルは勝負の後味方になる理論?
 そんな物僕には関係無いよ!
 僕は自分の考えを変えようとは思わないし、したくもない!
 僕は神に選ばれた特別な人間なんだ!」
「…ちっ、勝手にしやがれ!」
ジャイアンはゴクに背を向け、フィールドを跡にした。

「アヒャヒャヒャヒャ!
 待ってろよ、イアン!出木杉様の計画がぁぁぁぁ…」
絶叫をしながら、ゴクは闇の底へと消えていった…… 

ジャイアンVSゴク――完?



補足
カビゴンの天井への移動について。
カビゴンのジャンプ力は島と島を飛び越すくらい凄いんだよ。
  • ゴクの水分補給。
ファンタを隠し持っていた。



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