ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

DPでも書こうか その8

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akakami

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「はいざんね~ん」
洞窟内に高いのび太の声が響く。
階段を登りかけていたジャイアンは咄嗟に後ろを向いた。
「マスキッパ!パワーウィップでぶっ飛ばせ!」
剣の舞を一度舞ったマスキッパの攻撃力は凄まじい。
ジャイアンの出したドダイドスもろとも突き飛ばし、ジャイアンに当たった。
ガシャーンとも捕らえられる音が耳を貫いた。
そのままジャイアンは動かなくなってしまった。

「ふぅ、エテボースが守るを覚えてくれて良かった」
ポケモン達をボールに戻した僕は、岩の下敷きになったバックを引っ張って取り出す。
ケチャップでベチョベチョになった両手を岩に擦り付け、ジャイアンの横を通り過ぎて行く。
「シャレてんだな」と一言吐いたのび太の目には、真っ二つに割れた金色のブレスレットがあった。



テンガン山 頂上
「そ、そんな……私の言うことが聞けないのか!?」
アカギは赤い鎖で撒きつけられた2体のポケモンから離れようと後ずさる。
しかしトン、と背中に何かが当たった。
「アカギだっけ?お前、邪魔だから消えていいよ」
先ほどバトルした少年、出来杉だった。
アカギは少年の形相に恐怖を覚えながらもモンスターボールを手で探る。
「バトル?面倒だからコイツ等にでも食われてろよ」
「?」
出来杉は右足を思い切りアカギの腹にぶつけた。
子供とは思えないパワーで、アカギの体は宙に浮かんだ。
飛ぶ先は……空間ポケモンパルキア。

再び舞台は戻る。
「あっ、ジャイアン殺しちまったよ
 ……まぁどうせ悪党だし報いを受けて当然か」
のび太は笑みを浮かべ、また階段を登り始める。
彼も又、おかしくなり始めていたのだ。

今となってマトモなのはドラえもん、そして後もう一人となってしまったのは
本人達は知る由も無い。

「うぐ……」
冷たい洞窟の中、オレンジのセーターを纏った少年が長い眠りから覚めた。
彼こそが最後の希望となる。


  • 以降、みんなのてもちは廃止



テンガン山 頂上
2体のポケモンからは凄まじい力が感じられる。
効果音で現すと「ゴゴゴゴゴゴ」みたいな感じか。
髪の毛が強い風で激しく靡く。
「ふーん、楽しめそうじゃん」
出来杉は醜い笑みを浮かべると、懐からボールを取り出した。

「待て出来杉!」

突然の叫び声に出来杉は手の動きを止める。
彼の後ろにはギザギザ頭でキツネ顔の奴が足を震わせていた。
確か「スネオ」だったか。



「おい、見ろよ、スゲェだろ」
含み笑いを隠しながら、出来杉は振り向き、後ろのポケモンを指差す。
スネオの顔は「恐怖」に歪む。
しかしそれはすぐに「喜び」と変え、スネオを勇気付ける。
「こ、これが伝説のポケモン……
 このボクにこそ、ボクにこそ相応しい……!」
狂喜のあまり、出来杉の肩にぶつかったことも気づかず
ポケモンに近づくスネオ。
スネオは「あぁ、あぁ……」と興奮を抑えるように、小声を漏らす。
その右手には空のモンスターボールが握られていた。

スネオの背後にはそれをニヤニヤと見つめる出来杉が居た。
強風によりスネオの髪はいつものトゲトゲ感が無い。
既に焦点の定まっていない目のスネオは、パルキアに思い切りボールを投げた。

雷が轟く。
赤い目が少年を捉える。
左手がゆっくりと上がる。
少年の叫び声が空に響く。
そして少年は居なくなる。

そこに残されたのは一つのモンスターボールとなった。
出来杉は堪えきれずに盛大に吹き出す。
その一部始終を目の当たりにしたドラえもん。
彼はこの事態に元々青い顔を更に青くした。



「出来杉さん、そこ、邪魔なんだけど」
物陰から出てきたのはしずか。
その服は乱れもしていないし、汚れもしていない。
(ふん、中々やる奴なのかもな)
出来杉は初めて自分と対等に戦えそうな人物を発見したのだ。
彼の初バトルが始まる。

「ガブリアス、地震」
単調な命令でエンペルトは一撃で倒された。
「何だ、期待外れ」かと出来杉は呟き、ガブリアスをボールに戻す。
「そんな……私が負けるなんて……」
しずかは膝を地につき、唖然とする。
「俺が邪魔なんじゃなくて、お前が邪魔だ」
出来杉は冷たい言葉を放つと、しずかの胸倉を掴み、2体のポケモン
の方へと吹っ飛ばす。

悲鳴は聞こえなかった――――



「起きろぉ!」
ドラえもんの声で目が覚めた。
そうだ、俺は確か……ギンガ団のアジトで話しを聞いて……
起きたばかりの頭がフル回転し、上半身だけを跳ね起こす。
「ド、ドラえもん!大変なんだ!」
「……分かってる。出木杉君の様子がどうもおかしい」
言葉では「おかしい」で済ませたが、先ほどのバトルを見る限り
そんなレベルじゃない。
ドラえもんは更に説明を続けた。
「スネオ君としずかちゃんは出来杉君に倒された
 のび太君が何も知らないまま山頂へ向かっているんだ
 早く止めないと!」
突然の出来事で全てを飲み込むことは不可能だったが、一つだけ確かなことがあった。
「とてつもなく大変な事態」だってこと。



服の汚れを乱暴に取りながら階段を駆け上がる2人。
1日中動きっぱなしでやられっぱなしのジャイアンは走り始めて数分で倒れこんでしまった。
「急げ!時間が無いんだぞ!」
「道具でも何でも出してくれよ……」
力なくジャイアンが呟く。
その言葉にドラえもんは顔を輝かせた。
「その手があったか!」
彼は長いポケモン生活のため、自分が道具を自由に扱えることを忘れていたのだ。
尤も、冒険の初めにポケットは使うな、とのび太に言われたんだが。
「ほら、タケコプターだ!」
ドラえもんはポケットから小さな黄色いプロペラを出すとジャイアンの頭に取り付ける。
懐かしいようなプロペラ音と共に、2人は階段を飛んでいった。

「…………」
圧倒的な威圧感から声も出ない。
強風の先には出来杉、そしてのび太が居た。
「のび太君!」
ドラえもんがすかさず飛び出す。
「来るんじゃねえ!狸が!」
のび太の罵声が槍の柱に響く。
ドラえもんは悟った。
のび太はもう、普通じゃないことを。



「出来杉、何でこんなことしてるんだ!」
ジャイアンがドラえもんの近くに駆け寄り、出来杉に叫ぶ。
その答えはあまりにもふざけていた。
「え~?暇つぶしかな
 最近楽しいことないし」
顔はマジだ。
きっとそれが本当の理由なのだろう。
ジャイアンとドラえもんは怒りを通り過ぎ、呆れてさえ居た。

「ところでノビタ、お前何のために此処に来た?」
出来杉は突然のび太に問う。
その答えも普通じゃなかった。
「……何か理由があった気もするが忘れた」
「じゃあお前、俺の仲間にならない?」
「さーんせい!アハハハハ!」

「ドラえもん、まさか道具の力とかじゃないよな?」
ジャイアンはひそひそとドラえもんに話し掛ける。
「まさか、僕はこんな効果のある道具は使ってないし
 ……あ」
ドラえもんはあの日の事を思い出す。
のび太にせがまれ、しぶしぶリアルゲームを買ったときだ。

「飛び蹴りした時に何かが弾けた音がしたようなしなかったような……」
ドラえもんは今度は元々白い顔を更に白くした。

元凶が自分だということに。



「どうした?」
出来杉の声で目が覚めるドラえもん。
彼の思考回路は凍っていた。
「お、おいドラえもん!」
ジャイアンがドラえもんの肩揺らすも、まったく気づいてない。
これじゃあ起きるのに時間が掛かりそうだ。
「ジャイアン!コイツら止めたいんだろ!?」
のび太が一歩前に出、叫ぶ。
親指の方向は伝説のポケモンらだ。
赤い鎖は既に壊れそうにさえボロボロになっている。
唯でさえ不完全なものだ、赤い鎖が耐えてくれるのもそう長くは無いだろう。
「あぁ、止めたいさ」
「ポケモンバトルしようよ!お前が勝ったらコイツ等をマスターボールで捕まえて、
 渡してやってもいいぜ」
のび太は更に一歩踏み出し、手にモンスターボールを握る。
出来杉は近くの岩にもたれかかり、俺達の方をいやらしい笑みを浮かべ、見つめていた。
(性的な意味ではない)
「行け!ギャロップ!」
「チャーレム!頼むぞ!」



「ギャロップ、フレアドライブだ」
単調な命令に反応し、ギャロップは炎の塊となり突進してきた。
チャーレムも俺の指示に従い、横っ飛びで攻撃を避ける。
が、ギャロップは止まらずにそのまま突進を続けた。
「僕の狙いはポケモンじゃないよ、君さ」
「なっ、クソ!ハガネール!」
俺は咄嗟にもう一つのボールを取り出し、自分自身を救うことに専念した。
が、俺を守ったハガネールの巨体は横倒れとなる。
「いきなり一体瀕死かよ……ってアッー!?」
ハガネールの倒れた先はさっきまでドラえもんが直立不動していた場所だ。
つまり下敷きに……。
「もう一度フレアドライブだぁああ!!」
のび太の声が不意に耳を通り抜けた。
すぐに横を振り返るが、もう遅い。
時速何百の炎が俺に突進してきたのだ。

ジャイアン「あぁ、その時は本当にやばかったよ。もう2度とあんなことはしないさ」
と、ジャイアンは戦闘後に語った。



俺が目を開けたとき、前にはギャロップが倒れていた。
その脇にはチャーレムが立っている。
「助かったぜチャーレム!」
「……行け、ラムパルド、マスキッパ」

「もうルールは関係なしか、面白いぜ」
本当の事を言うと面白くない。
それよりか危機的状況だ。
俺の手持ちはドダイドスとドンカラスのみ。
のび太はゴルダック、そしてエテボースだ。
分が悪い。
俺はいやに冷静な頭で速攻で戦略を練る。
が、導き出した答えは一つ、「ただ突っ込む」これだけだ。
「よっしゃあ行け!ドダイドス、ドンカラス!」
「おいおい、お前の手持ちそれで全部だろ?
 僕は控えにまだ2匹もいるんだぜ?」
「知るかそんなもん!」
理屈じゃ勝てないのかもしれない。
でも俺はそんなもんに頼らないで、自分の力で奇跡みたいなのを起こしてやろうと思うわけだ。
「総攻撃だ! 地震に辻斬り、飛び膝蹴り!」
何時か聞いたことある。
奇跡って起きるもんじゃなくて、起こすものって。
「思念の頭突き!パワーウィップ!」
こんなこと言ったら笑う奴も居るかもしれない、だけど。
俺はその言葉、信じてる。

その砂埃の中、立っていた奴は誰一人と居なかった。



えー、さっき言った事はちょっと撤回してくれ。
うん、悪いな。

勝てるわけないっつーの!
俺は漫画でも映画でもそう言う登場人物じゃないの!

あぁ、そうだよ。
俺、ちょっと調子乗ってた。
ごめんなさい。

頭の中で反省文を必死に考えることしか出来ない俺は多分。
いや、きっと馬鹿なんだろう。
ドラえもんはもう使いモンにならねぇ。
(ちょっと洒落)
ヤバイな、このままじゃバッドエンド確実だわ。

「ハハン!大したことねぇな!」
のび太がツカツカ(一瞬ハムカツに見えた俺は負け組)と歩み寄ってきた。
あ、無理。
動けねぇ。
顔面に蹴りを食らった俺は無様にも大の字に転がった。
「手こずらせやがって……この豚野郎!」
「うぐっ!」
豚野郎、か。
何だかな、何時か見た漫画に「ブタゴリラ」つーあだ名のデブが居たかな。
のび太は右足に体重を更にかけ、俺の腹を圧迫する。
痛い痛い痛い痛い。
背中側にある石も地味に痛い。
「死ね」
のび太が再び俺を蹴り飛ばした。
テンガン山の急斜面を俺は岩のように転がりだした。



「あっけねぇーなあ」
ヒステリック気味に笑いながらのび太は崖を見下ろしていた。
流石にこの高さじゃ死ぬだろ。
生存フラグな気もするが。
「終わったぜ、出……!」
のび太が見たものは信じられない光景だった。

「マジかよ……」

パルキアの爪に串刺しにされた体からは夥しい量の赤い液体が流れていた。
制御していたハズの赤い鎖は壊れている。
そう言や、あの鎖は不完全なものだった。
元々3匹の伝説のポケモンの力を借りて使うのだが、
少々予定が狂い2匹のポケモンで作るハメになっからか。
赤い目をギラギラと光らせた2匹が俺に近づいてくる。
地響きが、凄い。

「まったく、ヤレヤレだよ本当に」

先ほどまで太陽が出ていたが、急に暗くなった。
多分ディアルガの足だろう。

別に死ぬのは怖くなかったし、そんなに痛くなかった。
即死、ってやつなのかな。


「ねーねー、おじいちゃん」
「何だい?」
「あの木のとこに立ってる銅像って何?」
無邪気に笑いながら窓の外を指差す。
俺は昔では考えられなかった笑顔を浮かべ、答えた。
「あれはね、猫だよ」
「ねこ?たぬきじゃないの?」
狸、か……。
アイツも狸って呼ばれたら怒ってたよな。
まぁ、もう呼ばれる事も無いのだろうが。
「昔ネズミに耳を食べられちゃったんだよ」
「あはははは、面白い猫だね」
俺は不自由となった足で少々ふらつきながらも……しっかりとした足取りで外に出た。

「俺の孫も今年で4歳になったよ」
所々茶色い錆がある銅像に向かって俺は独り呟いていた。
「別にアイツ等は恨んでないさ……
 この世界でも幸せに暮らせてるからな」
ふっと横を見ると息子と孫が遊んでいる。
何と平和な光景なんだろうか。

なぁ、ドラえもん。
俺、今年で65歳になるよ。

END


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