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研究所の外を出ると、外はもう茜色に染まっていた。
ずいぶんと研究所の中にいたようだ。
もういないかもしれないがとりあえずのび太は、マサゴの浜へと足を進めた。
「ここがマサゴの浜...。」
海に夕日が映り綺麗だった。
目を凝らして見ると、ヒカリが浜辺に座っている。
こっちに気づいたのかヒカリは手招きをして呼んでいる。
のび太はヒカリの隣に腰を下ろし、手足をのばした。
「あァー、今日は色々あったなァ。あ、ヒカルは?」
「もう寝てるからあんまり大きな声出さないで。疲れてるみたいね。」
「ゴメン...。」
ヒカルはヒカリの膝でぐっすりと眠っていた。
まるで天使の様だ。
「可愛いね。ヒカル。」
「私より?」
突然の言葉に驚くのび太。なんと言い返せば分からない。
「アハハ。冗談よ冗談。・・・・・・・・。
あのさ...私ね、一ヶ月より前の事が何もわからないの。」

きたこの話だ―――――――



「私、前にキッサキシティに住んでいたの。
でも突然マニューラの群に襲われて...私の...私の大切な人を傷つけてしまった。」
「え?なんでヒカリがそのことを知っているの?」
のび太はあわてて口を塞ぐ。
しまった―――――――
「そうナナカマド博士に聞いたの。博士はいい人よ。
私を傷つけまいと、決してその事は言わなかった。でも...。でも私は覚えてるの。」
しばらく沈黙が続いた。
が、その沈黙を破ったのはのび太の方だった。
「その大切な人って...君の恋人か何か...?」
何聞いてるんだボクのバカ!
だが内心心配で心配でたまらなかった。
もし恋人がいるのだとすればぼくは―――――――
「ううん、分からない。でも本当に大切な人なのは確かよ。」
涙を流すヒカリ。見てるだけでもつらい。


「あのさ...。ぼく、友達を捜すためにキッサキシティにも行くんだ。
もし良かったらヒカリも一緒に行かないかい?」



「え...?冗談でしょ?」
目をキョトンとするヒカリ。
「冗談じゃないよ。」
どうやら本当のようだ。のび太の顔はいたって真剣そのもの。
「ダメだよ...。私...おじいさんやヒカルにまだ恩返ししてないもの。」
ヒカリが話し終わった時、後ろからある人影が現れた。
「お、おじいさん!?」
「行っておいでヒカリ。」
おじいさんの顔はいつもとは全く違った。
「ダメだよ...。おじいさん、私は...!」
「いいから行ってきなさい!」
おじいさんは怒鳴った。声が震えている。
「私が...邪魔...なの...?」
おじいさんは首をよこに振った。
「そんなわけ...、そんなわけないだろう...!」
おじいさんはヒカリをぎゅっと抱きしめる。
「おじいさん...。」
ヒカリをおじいさんを見た。涙が出ている。
こんなおじいさんをみたのは初めてだ。
おじいさんは涙を拭きながらこう言う。

「私は...、もう十分にヒカリに恩返ししてもらったよ...。」



「私は、ひとりぼっちだった。」
おじいさんは語り出す。
「私もトレーナーとしてチャンピオンを目指していることもあった。
しかし...ギンガ団とかいう謎の組織によって私のポケモンが全て奪われ、目の前で殺された...。それ以来私は誰も信じられなくなり全てを拒んだ。
その時だよ...ヒカリ。おまえが来てくれたのが。おまえと暮らしているうちに私は閉ざされた心を再び開くことが出来た。」
のび太はおじいさんの話の中の ギンガ団 というところに注目した。
人のポケモンを奪って殺すなんて間違ってる...!
おじいさんは話を続ける。
「ヒカルだってそうだ。いつも一人のヒカルをあんなに元気な子にしてくれたのはおまえ以外の何者でもない。私達はもう十分に恩返ししてもらったよ...。」
ヒカリの純粋な眼からワッと涙があふれ出した。
ヒカリはおじいさんを強く抱きしめ、泣き続けた。

のび太はそれを見ていた。
彼らの話には感動したがどうしてもギンガ団の存在が許せない。
歯ぎしりをし、拳を強く握りしめる。

その時のび太の心のなかに 憎しみ という感情が生まれた...。



朝日が上り、今日が始まる。
こんなに早く起きたのは久しぶりだ。
おじいさんの姿が見えなかったが、気にしないことにした。
朝食を急いで済ませ、僕たちは旅の支度を始めた。
ぼくは食べ物と生活用品をランドセルの中に入れた。
今、ランドセルに入っているのは
食料 教科書 懐中電灯 リコーダー マッチ お金
ぐらい。
他の物はヒカリに持ってもらった。
旅の支度を終え、ヒカリの家を出るとナナカマド博士が立っていた。
「博士...。」
ヒカリは博士の胸に飛び込む。
最後のお別れ、ということだ。
「ヒカリ...。これを持って行きなさい。」
博士は一つのモンスターボールを取り出した。
ボールから出てきたのはリーフィア。
「このリーフィアは...彼の最後の贈り物だ。」

「ありがとう...。」



ヒカリはリーフィアを抱きしめる。
とても温かくて心地がよい。
「そしてコレは私からのプレゼントだ。」
博士は二人にポケモン図鑑とポケッチを渡した。
「博士...ありがとう。」
二人は礼を言い、マサゴタウンの出口付近へと足を進めた。
そこには、村中の人々が集まっていた。

ヒカリ!がんばれよ!応援してるぞ!
ヒカリおねえちゃんがんばってぇ~

ヒカリを応援する声がそこら中から聞こえる。
そこにはヒカルとおじいさんもいた。
ヒカリは笑顔でみんなに手を振り、のび太の腕をつかむ。
「行こ。のび太。これ以上笑顔でいられそうもないから。」
ヒカリはもう泣いている。それほど別れが悲しいんだろう。

「うん。さァ行こうか!」

こうしてのび太は仲間探しに、ヒカリは記憶探しの旅に出ていったのであった。



ハクタイの森

昼間なのに暗い森。
夜になっても暗い森。
それがここ、ハクタイの森。
その森で修行を続けている少年がいた。
重力に逆らっているその髪は、世にも奇妙な姿だった。
彼の名は骨川スネオ。
嫌らしい戦法を好み、ジワジワと攻めるのが得意。
そんな彼は相棒、ドンカラスの育成をしていた。
「へへへ...、これなら誰にも負けないぞ...!」
変な笑い方をしているスネオの頭上に大きく真っ黒な影が現れた。
スネオは上を見上げ、その影がリザードンの物であると確認した。
「リザードン。シンオウ地方にはいないはずだ。トレーナーがいるんだろ?
ぼくと勝負しろよ。けちょんけちょんにしてやるよ。」
そう叫ぶとリザードンは地上に降りてきて、背中に乗せているトレーナー、煉獄を下ろした。

「貴様、てんかいのふえを持っているか?」



スネオは怖かった。
よく見るとリザードンは黒。
そしてこのトレーナーも黒いコートに身を包んでいる。
全ての闇をかき集めても足りないような漆黒の眼。
額から左眼を通り、頬にまでのびている弧状の大きな古傷があった。
その眼と同じくらい見事な黒髪。肩まで伸びている。
身長はだいたい175㎝ぐらい。
顔立ちはかなりいいが、その男からは負の感情しか読みとれる物がなかった。
「質問に答えろ。貴様はてんかいのふえを持っているか?」
スネオは横に首を振る。怖くて怖くてちびりそうだった。
「そうか。ならばいい。失せろ。」
スネオはこの言葉にカチンと来てその男、煉獄に向かってこう言った。
「ぼくが元々ここにいたんだオマエが失せろ!」
煉獄はその眼でスネオを睨み、ボールを取り出す。
「へっ!やる気か!いけっ、ドンカラス!オマエの力を見せてやれ!」
スネオはドンカラスを繰り出し、攻撃を命令する。
が、煉獄はまだボールからポケモンを繰り出していなかった。
ドンカラスは空高く昇り、煉獄に向かって急降下した。
上空からの勢いをつけたドンカラスはとてつもなく速く、とてつもなく危険だった。
そのくちばしに当たると何もかも破壊できるくらいの威力だった。
しかし煉獄は、ドンカラスの攻撃を軽くよけ腹部をおもいきり蹴った。
すさまじい音と共にドンカラスは倒れていた。

「雑魚が...。俺をなめるんじゃねぇ...!」



スネオは震えていた。
素手でポケモンを倒した...?そんなのあり得ない。
倒れたドンカラスがスネオの方を見ている。
スネオを信じきった目。次のスネオの命令を待っている。
スネオはすごいきずぐすりを飲ませ、ドンカラスに向かってこう命令する。
「すこし卑怯だが、この際仕方がない。ドンカラス、思い切り鳴けぇ!」
ドンカラスはそのたくましい身体から大きな声をだした。
空気が震えているのがわかる。その声は森中に響き渡った。
バサバサと羽音が聞こえる。
空を見るとヤミカラスの群が集まってきていた。
空は完全にヤミカラスに覆われ、全てが黒になっていた。
100...200...いや500はくだらないほどのヤミカラス達が集まり、煉獄を睨んでいる。

「このドンカラスは慕われていてね。この森のヤミカラス達の首領なんだよ!」



煉獄は 不敵に笑った。
「くだらん。数で勝負か?身の程しらずが!」
そう言うと煉獄はボールからサンダース、ブースター、シャワーズを繰り出した。
「サンダース、めざめるパワー炎。」
煉獄がこう命令するとサンダースはブースターに向かって攻撃を始めた。
「正気か?自分のポケモンを攻撃するなんて。」
スネオは煉獄の行為が全く理解できなかった。
500対3
この圧倒的な数の有利によりスネオは勝利を確信していた。
その時、短気なヤミカラスがサンダースに攻撃をしかけた。
「サンダース、めざめるパワー氷。」
ヤミカラスはサンダースの放っためざめるパワーにあたり即瀕死状態になる。
スネオは驚いた。
「バカな!めざめるパワーは1体1体によってタイプが決まっているはず...。
なぜ炎と氷の属性が同時に出せる!?」
やれやれと言った表情で煉獄は説明をし始める。

「この能力はコイツの生まれ持っての力だ。」



「俺のサンダースの特殊能力は属性変換。そしてブースターは火力補正。
シャワーズは水分拡散。この様にポケモンの中でもまれに特殊な力を秘めて生まれてくる者がいる。
が、大抵はそのまま気づかずに死んでいくケースが多い。
まだこの事は表向きにはには実証されてはいないが我々ギンガ団にとってはもう実証済みだ。」
スネオは彼に問う。
「ま、まさかオマエはギンガ団の...!」
煉獄は笑みをうかべてこう言う。
「そうだ...!おれはギンガ団の副団長、煉獄。アカギ様の信頼を最も受け、
アカギ様の考えを最もよく理解している。」
スネオは完全にビビっていた。
強大な組織ギンガ団の副団長。
ボクなんかがかなう相手じゃない。

「さァ...始めようじゃないか...愚かな少年の埋葬を!」



「シャワーズ、中心部にハイドロポンプ。」
シャワーズはヤミカラス達の中心にハイドロポンプを放つ。
数十羽のヤミカラス達がびちょびちょに濡れ、その周りがどんどん湿っていく。
「ククク...。シャワーズの特殊能力、水分拡散...。
一匹でも濡れれば周りにだんだんと水分が行き渡る。」
続いてサンダースの十万ボルトが炸裂した。
水に濡れたヤミカラス達は次々と地面に落下してくる。
その光景をスネオは見ていることしか出来なかった。
あまりにもレベルが違いすぎて命令も何もできない。
「あと約300羽。ブ-スター、とどめだ。オーバーヒート。」
サンダースのめざめるパワーによって炎の威力が上がったブ-スターは、
体内からとてつもなく強大な炎を繰り出す。
「サンダース、シャワーズ、まもる。」
サンダースとシャワーズは守りの体勢に入り、じっとその光景を見つめていた。
炎はヤミカラス達の近くで大きく爆発した。
爆風はすべてのヤミカラスを包み込み、叫び声をあげさせる。

「ククク...。いいぞォ。
この死の断末魔にあげる叫び声が、唯一俺の心に安らぎを与えてくれる。」



「全てのヤミカラス達が地面で倒れている。
生き残っているヤミカラスはどこにも見あたらない。
たくさんの命を奪った爆風が煉獄の長い髪をなびかせている。
「ククク...。水の電気分解で酸素と水素を分解させ、熱を加えて爆発させたんだ。子供にこの原理が理解できるか?」
スネオは立ち尽くしていた。
500羽のヤミカラスが3匹のポケモンにすぐに殺されてしまった。
その現実が理解できなかった。
スネオはたまらずドンカラスに飛び乗り、どこかへ逃げてしまった。

「コイツも持ってなかったか...。まァいい。プロジェクトはもう動いている。
シンオウ地方もあと少しの命だ...!」

煉獄の笑い声がハクタイの森を響かせる。
約500匹の遺体を越えて...。

  • 注意
煉獄の「煉」は代用漢字使用(変換不可?)



202番道路

ギラギラと照りつける太陽がぼくを苦しめる。
目の前にいる短パン小僧、ユウタもかなり暑そうだ。
「負けたよ...。君のビッパ、ずいぶん打たれ強いね。」
そう、ぼくが初めて捕まえたポケモン、ビッパは身体が頑丈だ。
図鑑によるとこのビッパの性格はゆうかん。
特に防御も特防も上がりやすい性格ではない。
「のび太ァ。早く行こォ。」
木陰で休んでいるヒカリ。その傍らにはリーフィアとナエトルがたわむれていた。
「さて次はナエトルを鍛えるかな。」
「よくやるわねぇ。この暑い中。」
今朝、のび太はナナカマド博士からナエトルをもらった。
どうやらヒコザルはもう他の人にもらわれたらしい。
一体誰だろうか?



太陽が頭上に昇り、そろそろお腹が減ってきた。
「のび太ァ。もう気が済んだァ?コトブキシティにご飯食べに行こ!」
ヒカリがあくびしながら言う。
やけに静かだと思っていたら今まで寝ていたらしい。


「わかった。でもその前に...勝負だヒカリ!」


勝つ自信はあった。
捕まえた頃と比べると見違えるほど強くなっている。
それは確かだ。
でも負けた。それほどヒカリのポッチャマは強い。
あの鍛えられ方はハンパではない。



気が付くと、もうコトブキシティに到着していた。
かなりの大都市だ。人工も多い。
「早くのび太ァ。」
のび太はヒカリに連れられポケモンセンターに入っていった。
「うわ!すごい人だ!」
中は人でごった返していてとてもボールを預けられる状態じゃなかった。
とりあえず食堂へと向かい食事をとることにした。
今日の昼食はスパゲティ。余談ではあるがポケモンセンターの料理は安くておいしい。
のび太はビッパ、ナエトルの育成をしたせいか、かなりのスピードで食べた。
「あれ?のび太。口の周りにミートソースついてるよ。」
ヒカリは側にある紙ナプキンを取り出しのび太の口を拭こうとした。
「ちょ、いいよ!恥ずかしいってば!」
のび太はあわてて窓ガラスの方を向く。
すると、ある人物が目に映った。

「ジャイアンだ...!」



のび太は思わず席を立った。
ヒカリが何か言っていたがそんなことはどうでもいい。
全速力でポケモンセンターを出、ジャイアンを探す。
だが、もう人混みに紛れたのかジャイアンの姿はなかった。
確かに見た。オレンジ色のシャツに紺色の半ズボン。
あれはジャイアン以外に考えられない。
「どうしたの?いきなり出ていったりして。」
ヒカリが息を切らして走ってきた。

「ジャイアンがいたんだ...。」



それからヒカリとぼくとで別行動を取ることになった。
どうやらヒカリは用事があるらしいので、ポッチャマを預かり噴水の前で遊んでいた。
いや、子守をさせられた、と言った方が正しい。
「ハァ...なんでオマエはそんなに強いんだ~?」
ポッチャマの頭を撫でてやると、笑って喜ぶ。こう見るとただのポッチャマだ。
その後、ポッチャマは噴水の中に入り水浴びを始めた。
「コラコラ。出てきなさい。」
すかさずボクは手をのばしポッチャマを引き戻そうとする。
ドン!
すると何者かがぼくにぶつかり、噴水の中に頭をつっこんでしまった。
鼻の中に水が入り、苦しくなる。
いくら暑いとはいえ、いきなり水の中に顔をつっこませられると苦しい。
「お!悪ぃ悪ぃ。」
髪の毛が黄色の少年はそう言い残し立ち去っていった。
年はだいたいぼくと同じぐらい。薄手のマフラーを巻いている。
ヒカリの知り合いだろうか?
ぼくはポッチャマをボールに戻し、その男の後をついていった。



ボクが後をつけて5分ほど後、少年はある建物の中に入っていった。
「トレーナーズスクール?」
その建物にはそう表記されていた。
ぼくはびしょぬれの状態なのにもかかわらず戸を開いた。
「おい!髪の黄色い少年!ポケモンバトルだ!」
自分でも何をいっているのか分からなかった。
ただ謝って欲しいだけなのに何でポケモンバトルなんて言っちゃったんだろう。
「お前はさっき突き飛ばしちまったやつじゃねぇか。ごめんな。おれはせっかちなもんでな。ポケモンバトルか?さぁやろうぜ!」
早口で話しているのであまり聞き取れなかったが、最後のところは聞こえた。
ぼくはボールを取り出し、ビッパを出す。
「いけ!ビッパ!ってあれ...?」
すでにビッパは疲れ果てていた。
そうだ。あの時ポケモンセンターで回復してもらってない!
「へ!なんかお前のビッパ疲れてるじゃねぇか。行け!ヒコザル!」
そう叫ぶとボールからヒコザルが飛び出した。
ヒコザル...!こいつもナナカマド博士にもらったのか!?

「さぁバトル開始だぜ!」