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『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第九話 「クラウド」

「『エルド・カンパニー』……?」
のび太がマイクに書かれた文字を読み終えたその時、
真上からマタドガス2匹の上に乗った、灰色の髪に、黒いサングラスを掛けて、
真っ黒なバイクスーツを着た男が現れた。
男はスネ夫が血を流して倒れているのを見つけると、
慌てて、マタドガスから降りて、なにやら薬を取り出し、
スネ夫の傷口に塗り始めた。
すると、スネ夫の傷口はみるみるうちに消え、毒も抜けたようだ。
「いや~すまんかったなあ、わいのポケモン達が迷惑かけて」
男はきさくにのび太達に話し始めた。
「わいは『クラウド』。今、仕事でこの辺の珍しいポケモンを探しとるんやけど、
見なかったかのう?」
「あんた……『エルド』の『毒雲のクラウド』ね……」
のび太の背後で、オリーが低く憎しみのこもった声で呟き、
いきなり、エアームドを繰り出し、クラウドを襲った。
クラウドは一瞬ひるんだが、マタドガスを壁にして、攻撃を防いだ。
「何やねん、ねーちゃん。危なっかしいわあ」
そういうクラウドには余裕の表情が伺えた。
オリーはミミロップも繰り出し、完全に戦闘態勢に入っている。



のび太達も何がなんだかよくわからないが、それぞれポケモンを繰り出した。
「……まあ、そのねーちゃんが『エルド』のこと知ってる時点でわいに取っちゃ、
大問題やからのう……殺すか」
そう言うとクラウドは両手の全てに着けてあるマイクに向かって何かを喋りだした。
すると、クラウドの毒ポケモン軍団が一斉に隊を組み、戦闘態勢に入った。
「ど、どうなってんの?」
のび太があたりをきょろきょろ見回す。
「騒がないで!とにかく四人とも、離れないで!」
オリーが怒るように指示を出し、のび太達は焦って、
オリーと背中あわせになるように立った。
クラウドはガムらしきものを噛みながら、にやつきながらオリーをサングラス越しに
見つめている、そして再び手を口に寄せ、指示を出した。
「殺れ」
一番手前にいたニドリーノ達が飛びかかってきた。
「わ、わ、大変!モウカザル、かえんぐるまだ!」
のび太のモウカザルがニドリーノに突撃する、攻撃されたニドリーノはその場に倒れるも、
後ろから次のニドリーノ達が襲ってくる。
「私も加勢しなくちゃ!」
「しずかちゃんは後ろを!」
静香はピチューに指示を出そうとしたが、オリーに止めさせられた。
静香が慌てて振り向くと、上からグレッグルの隊が飛びかかってきていた。
「こいつめえ!ニャルマー、きりさけ!」
スネ夫もグレッグルに気づき、ニャルマーで攻撃をする。
ドラえもんは一人で、アーボの隊と交戦している。



「このアーボ達、一匹一匹は弱いけど、キリがない!」
ドラえもんの言うとおり、クラウドのポケモン達は一匹一匹は弱いが、
数が多すぎる、まるで、スズメバチを倒すため群がり熱して殺すミツバチのようだ。
「エアームド、ほえる!」
オリーのエアームドが威嚇するように雄叫びを上げる。
すると、クラウドのポケモン達はビクリと体を震わせ、一瞬硬直した。
「今よ、皆!」
この隙を逃さずに、のび太達は一気に反撃に出た。
短い攻撃だったが、ニドリーノ隊、ドガース隊、アーボ隊は撃破できた。
クラウドはほーっと関心したように息を吐くと、紫色のモンスターボールを三つ取り出し、
それぞれ三つの隊をモンスターボールで一度に回収した。
「やるやん、今回、戦闘になるん思うてなかったもんやから、
レギュラーの隊、持ってきいへんかったもんなあ。
ほんじゃ、久々にわいのパートナー達で相手したるかな?特別やぞ!」
クラウドはホルダーからボールを二つ掴み、投げた。
ボールからは、ニドキングとドクロッグが現れた。
「さて、こいつらならさっきとは……ん?なした?」
クラウドがオリーの方を見て首をかしげる、
のび太もつられてオリーを見ると、ぎょっとした。
オリーは頭を抱えうずくまり、体を震わせ、ブツブツ呟いている。
どう見ても、異常だ。



「許せない許せない許せない許せない許せない――あああああああああああああ!」
オリーは絶叫した、それと同時にエアームドとミミロップがクラウド目がけ、
突撃する。
それをニドキングとドクロッグが食い止めようとする。
「エアームド、エアカッター!」
エアームドは翼を振るい、真空の刃で、ドクロッグをなぎ払う、
しかし、ドクロッグはすぐに体勢を立て直し、エアームドを殴りつける。
ミミロップもニドキングのアイアンテールを受け、吹き飛ばされた。
「諦めえよ、そんな惰性じゃあ……」
クラウドは、はっとして、口をつむんだ。
戦闘不能と化したはずのエアームドと、ミミロップが立ち上がったのだ。
「あんただけは許さない!行け、エアームド、ミミロップ!!」
再び、エアームドとミミロップが突撃する、しかし、さっきと同じように、
吹き飛ばされる。
しかし、2匹はまた立ち上がる、その目にはオリーと同じような憎しみが浮かんでいた。
「さあ、もう一度ぉ――」
「ニャルマー、催眠術!」
スネ夫はオリーの目の前に踊り出て、オリーを眠らせた。
のび太は崩れるオリーの体を受け止め、ドラえもんと静香はエアームドと、
ミミロップをボールに戻した。
「……何のつもりや?」
クラウドが聞く、ドラえもんはキッとクラウドを睨み、答えた。
「オリーちゃんが、苦しみながら戦うのを、見てられなかったんだ。
だから、僕らがお前を倒す!」
ドラえもんの言葉が終わると、のび太達はそれぞれポケモンを繰り出した。




『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第十話 「反撃のスネ夫」
「頭大丈夫かいな?まあ、遊んだるわ」
クラウドが指を鳴らすと、ニドキングとドクロッグが、
のび太達目がけ、向かってきた。
のび太は迎撃しようと構えるが、ドラえもんがそれを制した。
「まず、僕が戦おう。カメール、みずでっぽうで、ニドキングを!」
ドラえもんのカメールが、ニドキングめがけ口から勢いよく放水する。
しかし、ドクロッグがニドキングの前に踊り出て、代わりにみずでっぽうの的になった。
「まあ、ダメージは与えたかな……カメール、今度はこうそくスピンだ!」
カメールは甲羅に身を隠し、回転しながらひるんでいるドクロッグに迫った。
そして、カメールの攻撃はドクロッグの腹部に命中した。
が、ドクロッグはニヤリと笑い、カメールを思いっきり殴りつけ、
ドラえもんの方へ投げつけた。
「どわっぷ」
ドラえもんはカメールとぶつかり、その場に倒れた。
カメールの甲羅には大きなひびができていた。
のび太はすっかりのびてしまったドラえもんを見て、唇を噛みしめた。
「よくもドラえもんを……!」
「待て、のび太!僕としずかちゃんに任せろ!」
スネ夫には何か策があるようだ。
「しずかちゃん、頼む!」
「ええ」
しずかはボールから、チェリンボを出した。



「チェリンボか?タイプ相性も悪いし、どないするっちゅうねん?
まあ、ええわ、ドクロッグ、ひねりつぶしたれ!」
ドクロッグは先程、カメールを倒したこともあり、かなり調子に乗っていて、
警戒もせずに真っ直ぐ突っ込んできた。
「ブラッキー!足止めするんだ!」
スネ夫は一番レベルの高いブラッキーを出した。
「あほか!かくとうタイプやぞ?」
「ふん、ならこれでも喰らいな、サイコキネシス!」
ブラッキーの放った強い念波が、ドクロッグに直撃する。
かなり効いているようだ。
ドクロッグは怒りに震え、ブラッキーに突撃する。
それを、ブラッキーは華麗な身のこなしで避ける、
そして、木の隙間から一番日の光が差し込んでいる位置にドクロッグを誘導した。
しずかはそれを確認するとチェリンボをそこに飛ばした。
「今よ、チェリンボ!にほんばれ!」
チェリンボのにほんばれで日差しが一気に強くなり、
辺りの湿気が吹き飛んだ。特に、ブラッキーとドクロッグが立っている位置は、
特に効果が強かった。
そのときだった。ドクロッグの体に変化が起きた。
潤ってピチピチした肌が、だんだん干からびてしわしわになっていったのだ。
「今だ、止めのサイコキネシス!」
弱ったドクロッグはブラッキーの攻撃に崩れ落ちた。
「……よう分かったなあ、わいのドクロッグが『かんそうはだ』やて」
「最初にオリーちゃんのエアームドのエアカッターが炸裂したときに、お前のドクロッグは
すぐ回復して、突撃した。それに、ドラえもんのカメールのみずでっぽうのときだって、
むしろ体力が回復したように見えたんだ。そこで、こっそりしずかちゃんと作戦を立てたってわけ」
スネ夫は自慢気に言う。
こいつを連れてきて正解だった。と、のび太は改めて思った。



「やるやないか、でもなあ、このニドキングは別格やで」
のび太達は改めて、ニドキングを見た。
仲間がやられたというのに、なんの表情も浮かべず、
ただ、のび太達を見据えている。
その目を見ていると背筋が冷たくなるのを感じる。
「ニドキング、じしんからじわれ!」
ニドキングは雄叫びを上げ地面を勢いよくたたきつけた。
地面に一気に衝撃が走る。
のび太たちはそれに足を取られ、身動きができなくなった。
さらに、地面に大きな亀裂が走り、のび太達に向かってきた。
「うわああああああ!」
のび太達は悲鳴を上げ、ドラえもんとオリーを担ぎながら、
とにかく逃げた。
「あははははははは!どこ行くん?」
クラウドはニドキングと共にのび太達を追った。


のび太達は逃げ回った。チェリンボがにほんばれをしてくれているから、
さっきみたく地面はぬかるんでいないが、さすがに体力に限界がきている。
「……あっ……あれは!」
しずかの指さしたのは光る小さな泉だった。
「もしかして、ここがほんとの『竜宮の泉』?」
「わかんないけど……そうよこの岩の陰に隠れれば……」
泉の近くには大きな岩があった。
スネ夫はクラウドが近くにいないことを確認し、
岩陰に隠れさせた。



のび太達は岩の陰に息を殺して隠れている。
「お~い、こっちに来たのはわかっとるでえ!」
クラウドの声と、ニドキングの足音が聞こえる。
足音がだんだん近づいてくる。
「はひい……はひい」
のび太は緊張と恐怖のあまり奇妙な声を出し始めた。
しずかは慌ててのび太の口を塞ごうとしたが、遅かった。
「ん?こっちからなーんか聞こえんなあ?」
クラウドの声が岩越しに聞こえる。ニドキングの荒い息づかいも聞こえる。
「んじゃあ、かくれんぼもお終いにするでえ!」
ニドキングの雄叫びが辺りを包む。
―終わった。
主人公がそう思ったとき、大抵奇跡は起きるものだ。
泉からなにかが飛び出す音が聞こえ、
その直後にニドキングの雄叫びが悲鳴にかわったのだ。
クラウドの悲鳴も聞こえる。


激しい戦闘の音が途絶えた。
しずかは意を決し、岩陰からこっそりと覗いてみた。
しずかの目の前には、気絶している、クラウドとニドキングの姿があった。
泉には神々しい姿で、ポケモンが聳え立っていた。ミロカロスだ。



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第十一話 「猛火」

時間はさかのぼり、一時間程前。
ちょうどのび太達が403番道路を抜けたころだ。
ジャイアンは一足先にカイルンシティに到着し、ポケモンセンターで軽食(ジャイアンにふさわしい)を取っていた。
ジャイアンは、チキンカツサンドを頬張りながら、メモ帳を眺めていた。
「ここのジムリはほのおタイプの使い手か」
ジャイアンはポケモンセンターに入る前、あちこちで情報収集をしたのだ。
「うし、行くか!」
ジャイアンは席を立ち、勘定を払うと、ポケモンセンターを飛び出した。


ジャイアンはジムの中に入った。
中はなんとなく、相撲部屋のような感じだ。
上座には和服のような服を着て、長い髪の毛をポニーテールにした若い女性が座っていた。
「ようこそ、カイルンジムへ!私はジムリーダーのビスカ!」
「俺はジャイアン、ガキ大将だ、早速勝負してくれ」
「いいわ、じゃあ、挑戦者サイドに立って」
ジャイアンは指示された場所に立ち、気合を入れるため四股を踏んだ。
「ルールを説明するわ、手持ちに制限は無いけど、そのうち一体でも
戦闘不能になったらお終い。わかったかな?」
ジャイアンは無言で頷く。
『試合開始!』
女性審判の合図でバトルは始まった。



「マグマラシ!」
ビスカの先鋒はマグマラシだ。
「暴れて来い、ラムパルド!!」
ジャイアンはラムパルドを繰り出した。
「ラムパルド、ずつきだ!」
ラムパルドは自慢の硬い頭を敵に向け、突撃する。
「マグマラシ、あなをほる!」
ラムパルドのずつきが当たるすれすれでマグマラシは穴を掘って地中に隠れてしまった。
「さあ、どうする?」
ビスカが挑発したように言う。
「おい、ラムパルド、じしんだ」
ジャイアンはいやらしい笑みを浮かべていった。
最初はすこし戸惑ったが、ラムパルドはジャイアンの言いたいことを理解すると、
地面を踏み込もうとした。
「ま、まずい!脱出よ!」
ビスカの指示でマグマラシはラムパルドの手前から飛び出した。
「がーはははははは!もろはのずつきだあ!」
「へ?」
ラムパルドは突然じしんの体勢から、もろはのずつきの体勢にチェンジアップし、
そのままマグマラシに必殺の一撃を加えた。
マグマラシは宙を舞い、地面に落ちた。まだ、体力はあるようだが、足元が震えている。
「戻って、マグマラシ」
ビスカはこれ以上の戦闘を無理だと判り、マグマラシを戻した。
「……あんた、そのラムパルド……じしん使えないわね?」
「フッ、そうだ、あのじしんは、あんたのマグマラシを引きずり出すためのハッタリ。
上手くひっかかってくれたぜ」



「ワカシャモ、でんこうせっかから、かわらわり!」
ワカシャモは目にもとまらぬ速さで、ラムパルドに接近し、
ラムパルドの脳天に鋭い手刀を浴びせた。
「ひるむんじゃねえ!」
ジャイアンが吼える。
だが、ラムパルドはあまりの痛さに、体を震わせている。命令は届いていない。
「あんたのラムパルドはもう無理よ、負けたくなかったら交代なさい」
ビスカが促す。
ジャイアンは舌打ちし、しかたなくラムパルドを戻した。
「姉ちゃんよ、俺様のとっておきを見せてやんぜ!」
ジャイアンは次のポケモンを出した。
キングラーだ。
「がはははは!キングラー、クラブハンマー!」
キングラーは高く飛び上がり、大きいほうのハサミでワカシャモを襲った。
「あんたバカ!?避けなさい、ワカシャモ」
ビスカはジャイアンを罵倒し、ワカシャモを回避させた。
キングラーのハサミは空しく地面を殴りつけた。
「ワカシャモ、にどげりよ!」
ワカシャモが体勢を立て直し、キングラーにとびかかる。
キングラーはワカシャモの蹴りをくらい、吹っ飛んだ。
「諦めんな!マッドショットだ」
キングラーは力を振り絞り、小さいほうのハサミから泥の塊を噴射した。
見事、マッドショットはワカシャモの目の辺りに命中した。
ダメージも与え、命中率も下げることが出来た。

「うし、キングラーよバブルこうせんで仕留めろ!」
「こらえて!ワカシャモ」
ワカシャモはなんとかキングラーのバブルこうせんを耐えた。
「戻って、ワカシャモ……意外とやるじゃないの?」
ビスカはワカシャモをボールに戻した。
「けど、ジムリーダーとして簡単には負けない!
行きなさい、バクフーン!」
「ぬわにい!?」
ビスカの切り札はバクフーンだ。



手持ち
のび太 モウカザルLv29 マスキッパLv31 ヤミカラスLv26
ドラえもん カメールLv30 ペルシアンLv29 ?
しずか ピチューLv20 チエリンボLv20 ?
ジャイアン ラムパルドLv27 キングラーLv26 ?
スネ夫 ニャルマーLv23 ブラッキーLv32 ?
オリー ミミロップLv40 エアームドLv42



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第十二話 「オリー」

しずかはおそるおそるミロカロスに近づいた。のび太とスネ夫も続いた。
ミロカロスはしずかに気づくと、美しい毛をなびかせ、近づき、歌うような声で何かを言った。
のび太としずかにはそれが理解できなかった。しかし。
「『私達の泉を荒らす者を食い止めてくれてありがとう。』だってさ」
スネ夫には理解できたようだ。スネ夫はポケッチの「ほんやくアプリ」を使用したのだ。
ミロカロスはしばらく無言でのび太達を慈しむように見つめ、
泉の中へ、姿を消した。


その後、のび太達はとりあえず、クラウドをその辺にあった大きな木に縛りつけ、
カイルンシティへ向かった。



カイルンシティのポケモンセンターにたどり着いたのび太達は、すぐさま
手持ちのポケモンを預け、寝室を借りた。


「……あれ……?ここは?」
数十分後、オリーは目覚めた。
のび太達は笑顔を浮かべオリーの側に寄った。
「大丈夫かい、オリーちゃん?」
のび太が心配そうに言う。
オリーは小さく頷き、ベッドから体を起こした。
「心配かけてごめんね、もう大丈夫!」
オリーは青白い顔をしながらも、精一杯の笑顔を浮かべた。
「ところで、さっきの『エロド』だっけ?それって何なの?」
オリーは初めて出会ったとき、自分の名前を間違えたのび太の姿を思い出し、
クスリと笑った。
「『エルド』よ、そうね……そろそろ話したほうが良いかしら。ようく聞いてね」
のび太達は身を乗り出した。



「まず『エルド』について。あの組織こそ、『地龍の巣窟』に近づけてはいけない、
私達の敵よ。今から4ヶ月後、アルセイオ全体に大きな戦争をしかけてくるわ。
さっき戦ったクラウドはその幹部の一人で、今から5ヶ月後にゼンマイ博士を殺したの」
「だからさっきはあんな風に発狂してたのか」
スネ夫の言葉にオリーは頷く。
「まあね……博士があいつの毒に体を蝕まれていくのを私は見てるだけだった。
それが、やっぱトラウマになってたのかな……」
5人の間に沈黙が流れる。


「オリーちゃん、そろそろキミ自身のことを話してくれないか?」
沈黙を破ったのはドラえもんだった。
「敵の正体はわかった。けど、これからも共に戦うわけだし、お互いにわかりあわなきゃ
いけないと思うんだ」
「けど……私はちょっと……」
オリーは左腕をさすりながらためらう。すると。
「僕は野比のび太!十歳で、特技はあやとりと射的!勉強は苦手だけどね」
のび太がいきなり自己紹介を始めた。
皆きょとんとしているが、しずかもドラえもんもスネ夫も笑みを浮かべて言った。
「源静香です、ピアノとヴァイオリンとお風呂が好きです。よろしく!」
「僕、ドラえもんです。22世紀からきた猫型ロボットだよ」
「僕は骨川スネ夫。大金持ちでVIPな生活を送ってるよ」
オリーはぽかんとした表情で四人を見つめている。
そして、小さく笑った。
「ありがと、あなたたち……やっぱ、いい人達ね……あなたたちなら。
本当の仲間になれそうな気がする」
オリーは左腕を強く握ると、皮膚をズボっと下げた。



オリー以外の全員がハッと息をのんだ。
オリーの左腕は機械のようなもので出来ていたのだ。
「……驚かせてごめんね?私の左腕、いくつかの臓器は作り物なんだ」
「どどどどどどどど、どしてなの?」
のび太が尋ねる。
「話せば長いけど、聞いて欲しいの。
……私はレイヴンタウンってところで生まれたの、両親はいつも仕事仕事で、
私に構ってくれなかった……。で、そんな日々が続いてて、両親は……まあ、
職場も違ったし、すれ違いが多くて離婚したの。
私は母の方についていった。これからは私のことだけを見てくれる!……
そう思ってたんだけど、母は、新しい夫を作って、毎日朝昼と仕事、毎晩新しい父と夜遊びして、
また私は一人になった!!……そのうちまた離婚して、私は母と一緒に色んなとこに流れていった。
それを一年のうちに何度も繰り返した!友達がやっと出来てもすぐに離れ離れ!
ポケモンを捕まえようとしても「邪魔なだけ」って否定される!
……そんな嫌なループが永遠に続くと思ってたら、ある日、
珍しく母と一緒に森にピクニックに出かけたの、
もの凄くうれしかった。母は疲れた顔をしてたわ。
そうして森の奥へ奥へ入っていくと、母が突然、私の両肩を掴んでこういったの。
「私と死にましょう」って」
のび太達は唖然とした表情で話を聞いている。
しずかにいたっては、目に涙を浮かべている。
「……私ははっきり嫌って言った。でも母は泣きながら、私を地面に突き飛ばして、
首に手をかけてきた。……凄い力だった。今でも覚えてるわ。
だんだん息が出来なくなって、目の前の母の顔が見えなくなってきた……。
そんなときだった。母の腕の力が緩んだの、母は野生のハブネークに殺されたの」



「ハブネークは尻尾の先の刃で母の背中を切り裂いていたの。
私は倒れこんだ母の体を押しのけ必死で逃げた。
でも、ハブネークのほうが速かった。
ハブネークは尾を私目がけ振り下ろしてきたの……」
「そ、そのときに手足を……?」
オリーは頷く。
「そう、あたしの手足は切断されて宙を舞った。
ハブネークはそれを上手に舌にからめて飲み込むと、すぐさまあたしに噛み付いてきた。
腹のあたりを噛み付かれて、すごく痛かった。毒が体に巡るのを感じたわ。
その時だった。偶然フィールドワークに来ていた、ゼンマイ博士がハブネークを倒し、
わたしを自分の研究所に連れて行ってくださったの」
「それが、出会いだったんですね?」
「ええ、私は博士に治療を受けたは左腕に左足、それにいくつかの臓器をつくってもらったの。
その時から私は博士に精一杯恩を尽くそうと頑張ってきた。ってわけ。
話長くてごめんね……でも、あなた達に私のこと、知って欲しいの」
のび太達は頷いた。
「ちょっと、怖い話だったけど……これでオリーちゃんはほんとの仲間だね」
「そうね、のび太君、お互いのことを知り合ったり分かり合ったりするだけでも、
大分違うよね」
オリーは微笑む、そしてのび太に手を差し伸べた。
「これからも、私と一緒に戦ってくれる?」
「もちろん!」
のび太はその手を握った。その上にドラえもん、しずか、スネ夫も手を重ねる。
こうして、彼等は絆を深めた。残るはジャイアン。彼が揃ってこそ、真の結束が生まれる。
物語は始まったばかりだ。

第一章 完

次章予告―
ジャイアンとの再開……

『エルド』の猛攻……

地龍の正体……

のび太、謎の「七匹目の手持ち」……

愛、そして死……

様々な「想い」が交差する第二章。
パズルが組み合わさっていくように、謎が明かされ、
光があるところに生まれる影の如く、新たな「敵」が生まれる。

第二章【のび太覚醒編】