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「くらえ、バクオングのハイパーボイス!」
「うわ、やられた!やっぱジャイアン強いや…」
ここはいつもの空き地。
土管のうえではジャイアンとスネ夫がDSを突き合わせて対戦している。
のび太はそれを恨めしそうに見ているしかなかった。
「のび太、お前もポケモン買えよ」
「ジャイアン、のび太はDSすら持ってないんだよ。ポケモンだけ買っても意味ないっしょ」
「わはは!そりゃそうだな!」
「う、うええええ~ん!」
いつもの調子で言葉責めを受け、のび太は泣きながらその場を後にした。

「ドラえもぉぉぉぉん!」
自分の部屋に入るなり、いつものごとくのび太はドラえもんに泣き付いた。
「ドラえもん、DS出してよ」
「無理無理」
ドラえもんは『またか』といった顔をする。
大方ジャイアン達にDSを自慢されたんだろう、こんなくだらない事で自慢のひみつ道具を使う気にはなれなかった。
のび太もそこは承知の上である。知恵はないが天才的な屁理屈を展開する。
「ドラえもんはボクがDSを持ってないことで仲間外れにされても平気なんだ……」
「いや、そういうことじゃなくて」
「ああ!皆はポケモンの対戦をしているのに、ボクだけ孤立して、いずれは自殺なんかも考えてしまうかもしれない!」
「それはないと思うけど……」
「ドラえもんはボクに死ねというんだね!」
のび太のいつもの調子にドラえもんはやれやれといった顔をする。



「わかったわかった、要するに皆でポケモンをやりたいんだね。」
のび太はしめしめといった顔をしながら、ドラえもんに感謝の言葉を述べる。
「じゃあ一緒にポケモンをやりたい友達をつれてきなよ」
ドラえもんの発言の意図がわからなかったが、のび太がいくら聞いても「後で説明する」の一点張り。
のび太は仕方なく家を出る。
「やっぱりしずちゃんとやりたいよな!」
のび太はしずかの家に向かった。

「しずちゃーん!」
「あら、のび太さん。どうしたの?」
玄関先でのび太は斯く斯く然々と説明した。
「ポケモンはやったことないけど、なにか面白そうね」
「そうでしょ!いこいこ!」
「出木杉さーん、のび太さんがポケモンしようって!」
奥から出てきたのは憎き恋敵、出木杉だ。おそらく二人で勉強していたのだろう。
出木杉の同行を断る理由も見つからず、のび太は仕方なく了承した。



のび太の家。
そこにはドラえもんと、招かれざる客が二人座っていた。
「ジ、ジャイアン!スネ夫!」
「いよう、なんか面白い事やるらしいじゃん」
ジェスチャーで謝罪を表明しているドラえもんにうんざりしながら、のび太は腰を下ろした。
「では……もしもボックス~!」
四次元ポケットから出したのは、いつもより大きなもしもボックス。
「ささ、みんな入って入って!」
大型のもしもボックスだが、さすがに六人だと窮屈である。
ドラえもんは受話器を取り、叫んだ。

「もしもここがポケモンのゲーム世界だったら!」


ボックスを出た一同は、のび太の部屋から見える世界が一変したのがすぐわかった。
「よし、ここから皆はライバル同士!最初にチャンピオンになった人が勝ちだよ」
「おおーっ!」

ここから皆の旅が始まったのだ。



家を出ると、そこはのどかな田舎町といった雰囲気だ。
どうやら「ミシロタウン」というらしい。
その名を聞いた瞬間、出木杉、ジャイアン、スネ夫はなにやら必死に考えを巡らせはじめたようだ。
「じゃあ皆で研究所にいこうか」
ドラえもんの先導でこの町でひときわ目立つ建物に向かうことになった。

「いやー、今オダマキ博士は留守でね。ジョギングに行ってるんじゃないかな?」
オダマキポケモン研究所の所員は申し訳なさそうに答えた。
「そうですか…じゃあ待たせてもらおっか」
「あれ?ジャイアン達がいない!」
確かにこの場にいるのはドラえもん、のび太、しずかだけだ。
「どうしたのかしら、もしかして迷子にでもなったら……」
しずかも三人を心配している。しかし、その心配はすぐに解消された。
通りの向こうからいなくなっていた三人と、恰幅のいい大人が連れ添って歩いてきたからだ。
「みんな!無事でよかった~」
のび太の安堵の言葉とは裏腹に、ジャイアンやスネ夫はニヤニヤと笑っている。
「いやぁ、この子達に助けられちゃってね。っと、自己紹介がまだだったな。私がここの所長のオダマキです」
ジャイアン達を先導してきた大人は、皆を研究所に迎え入れた。



オダマキ博士から一通りポケモントレーナーの説明を受けると、最初のパートナーとなるポケモンの選択が始まる。
しかし…
「うーん、私を助けるときに彼らがポケモンを使っちゃったからね。懐いてるようだし、この三匹は君たちに託そう」
「えええーーっ!」
驚くのび太達を尻目に、ジャイアンはミズゴロー、スネ夫はキモリ、出木杉はアチャモを受け取る。
「よし、ポケモンも貰ったし、さっさと行くぞ!」
「待ってよジャイアン!」
「ごめん!のび太くん、しずかちゃん…」
そう、彼らはゲームのシナリオを分かっているのでフラグを立てて優先的にポケモンを入手したのだ。
失意のドラえもん達にオダマキの追い打ちがかかる。
「あー、君たちに渡すポケモンがほとんど残っていないんだが……二、三日待ってくれればなんとか…」
「ええっ!そんなぁ…」
残念ながらのび太はゲーム世界でも負け組になってしまった。
ドラえもん達三人は仕方なく研究所を後にする。



ジャイアン達に先を越されてやることもないので、ドラえもん達はとなり町に向かうことにした。
ショップはとなり町にしかないので、冒険の準備くらいはしておこうと考えたのだ。
「のび太さん、大丈夫?」
ポケモンをやった事がないしずかはいたって平静だ。
その落ち着き具合がのび太をかろうじて元気づける。
「だ、大丈夫だよしずちゃん」
よくよく考えてみれば、しずかと二人で旅ができるのだ。こんなにうれしいことはない。
「よし、くよくよしても仕方がない!頑張るぞ!」
のび太は意気揚揚と草むらに踏みいった。
「あ、のび太くん草むらは…」
ドラえもんの警告もすでに遅し、のび太の眼前に現われたのは…

ぐるるるるる…

「い、犬っ、犬っ!」
のび太の脳裏に下校時の忌まわしい記憶が甦る。いつも自分を追い掛けていた猛犬と同じ目をしている。
「のび太くん!」
ドラえもんは必死に四次元ポケットに手を入れる。
「あれでもない、これでもない…あった!」
ドラえもんのポケットから出されたのは網袋に入ったお菓子。
「桃太郎印のきびだんご~!」
のび太に噛み付こうと開けた犬の口にドラえもんはきび団子を投げ入れた。
瞬時に大人しくなる犬。
「た、助かった…」
のび太は腰を抜かして立ち上がれない。
しずかはポケモン図鑑で犬の事を調べる。
「このワンちゃん、ポチエナっていうのね」



のび太達は自分達のポケモンを桃太郎印のきびだんごを使って確保することにした。
先に捕まえたポチエナはドラえもんのものとなり、しずかとのび太は草むらでポケモンを捜索する。
「やったわ、ラルトスをゲットよ!」
しずかはすでにジグザクマとラルトスを入手している。
「いいなぁしずちゃん…」
最初の遭遇以来、のび太の目の前にはポケモンが現われない。
そんなこんなでとなり町、コトキタウンに着いてしまった。

「あーあ、なんでボクの前にはポケモンが出てこないんだろ」
しずかとドラえもんは捕まえたポケモンを収めるモンスターボールを買いにいっている。
自分だけ置いていかれている状況に我慢ならなくなったのび太は、ひとりで103番道路へ向かった。
「ポケモン、ポケモン、強くてかっこいいボクのポケモン…」
草むらを書き分けながら奥へ進んでいく。
不意に足元の地面がなくなった。
「うわぁっ!」
どぼーーん!!
草むらを抜けると、そこは川だった。
「だずげで、おぶっ、だずげごぼぉっ!」
カナヅチののび太の姿はすぐに水面から消え、その体はゆっくりと沈んでいった。



「のび太くーーん!」
「のび太さーーん!」
ドラえもんとしずかはかれこれ一時間以上のび太を探し回っている。
しかしその姿は見つからない。
「のび太くん、いったいどこに行っちゃったんだ……」
ドラえもんはただ途方にくれるしかなかった。

「うう……ボクは確か……」
のび太は気が付くと、ゆっくりと体を起こした。
自分は川に落ち、溺れていたはずだ。
辺りを見回すと、川岸に一匹のポケモンがいた。
2本の長い触手の先に桃太郎印のきびだんごを掴んでいる。
「君が助けてくれたのかい、ありがとう!ありがとう!」
のび太は分かっていないが、このポケモンはメノクラゲ。しかも珍種の色違いだ。
そして、この場所は103番道路対岸である。

そう、のび太はたった一人ショートカットしてしまったのだ。



ドラえもんとしずかはのび太の捜索をあきらめ、仕方なくトウカシティに向け出発した。
のび太がどこにいるかは分からないが、ゲームの世界である以上どこかのイベントで出会うはず、そう思ったからだ。

「がんばれ、ポチエナ!」
ドラえもんは野生のジグザグマと相対していた。
ジグザグマに鳴き声を使われ、思うように力を発揮できないポチエナ。
ジグザグマの体当たりがヒットし、ポチエナはよろよろになっている。
「あぶなーい!」
思わずドラえもんはポケットからショックガンを取出し、ジグザクマ目がけて光線を放っていた。
ジグザクマを撃退したドラえもんは、大事そうにモンスターボールにポチエナを収めた。

しずかはいたって順調だった。
「かわいいから」という理由でゲットしたジグザクマ3体は全て物拾いの特性を持っており、その道具を使ってラルトスの育成を進めていた。

トウカシティに着く頃には二人はのび太のことをすっかり忘れていた……



トウカの森。
出木杉はここでジャイアン達と別れた。
ここは炎タイプであるアチャモの育成場所としては申し分ない。
ここでやることは二つ、アチャモの育成とキノココのゲットだ。
「剛田くん、骨川くん、僕はただ遊ぶためにここに来たわけじゃないんだ」
そう、出木杉の目的はしずかと親密になること。
ここで苦戦するしずかを強力な出木杉のポケモンが助ける。
「きっとしずかちゃんは僕を頼ってくれる……」


のび太は途方に暮れていた。
110番道路はラクライやプラスル、マイナンなど、電気タイプのポケモンが多発する地帯なのだ。
幸い電気技を使ってくることはないが、メノクラゲは静電気によってすでに麻痺していてほとんど動けない。
「ドラえもん、助けてよ……」
とぼとぼと歩くのび太の前に現れたのは一匹の不気味な緑のポケモン。
「な、なんだこいつ…」
そのポケモンはのび太目がけガスを噴射した。
「うわっ!げほげほっ!」
のび太の呼吸が阻害され、口からは泡が吹きでる。
それはゴクリンの毒ガス。
のび太はそれを全身に浴びてしまったのだ。

そのまま、のび太は目の前が真っ暗になった。



「うーん…」
のび太が目を覚ましたところは広い和室だった。
「気が付いたかね?」
体を起こすと、その声の主が茶の間に座っていた。
「私はカラクリ大王。君が草むらで倒れていたのでうちに連れて来たんだが……」
どうやらこの親父に助けられたようだ。
「あ、ありがとうございます」
「いやいや、気にしなくていいよ。それより君のポケモンだが、どうやらモンスターボールに入っていないようだね」
「そ、そうだけど…」
きびだんごで仲間にしたが、モンスターボールは買っていない。
「ワシのモンスターボールをあげるよ。すでに入れておいたから受け取ってくれたまえ」
「あ、ありがとうございます!」
思わぬ幸運に歓喜したのび太だったが、すぐにその顔が曇る。
「あのー、ボールが2個あるんだけど…」
「あれ?君のそばで麻痺していたメノクラゲと、君の下敷きになっていたゴクリンなんだが……」
なんと毒ガスをくらって倒れた時に偶然ゴクリンの上に倒れこんだようだ。

不幸なのか幸運なのか分からないが、とにかくゴクリンをゲットしたのび太だった。



「ふふっ、こんなものかな」
出木杉はトウカの森でアチャモをワカシャモに進化するくらい育成していた。
ゲットしたキノココも順調に成長している。
これで後は、ゲームのことを何も知らないしずかが苦戦するところに颯爽と登場すればいい。
「さて、近くの虫取り少年でもいたぶるかな」
虫取り少年はたいして小遣いを持っていないが、手持ちの資金は少しでも増やしたほうがいいだろう。

「あら、出木杉さん」
「久しぶりー」
「し、しずかちゃんとドラえもん?」
出木杉が倒そうとしていた虫取り少年はすでに倒され、その小遣いはしずかが受け取っていた。
『まさか、ポケモンの事を何も知らないしずかちゃんが?』
いや、勝てるはずがない。
そうだ、ドラえもんが何か道具を使ってしずかちゃんを助けたんだ。
自分の推測に少し安堵した出木杉は、別プランを実行することにした。
「しずかちゃん、僕とバトルしないかい?」
「え、ええ。いいわよ出木杉さん」
しずかは戸惑いながらもそれを了承した。
『しずかちゃんに僕の実力を見せ付け、そして尊敬させてやる!』
出木杉はキノココのボールを投げた。



『まずは様子見だ』
キノココはメガドレインややどりぎの種を覚えている。
しずかの手持ちポケモンを確認しつつ戦うにはもってこいだ。
しかし出木杉の狙いはいきなり外れることになる。
「お願い、わたしのキルリア!」
しずかが繰り出したのは何とキルリアだった。
「キルリアだって!」
「キルリア、ねんりきよ!」
キルリアの目が怪しく光り、キノココは見えない力に吹き飛ばされる。
それっきりキノココは動かなくなった。
「な……」
ラルトスからキルリアへの進化レベルは20、キノココ程度では勝ち目がない。
「くっ…次はワカシャモだ!」
しかもアチャモからワカシャモに進化してしまったので、ワカシャモには格闘属性が付いてしまっている。
『にどげりは効かない、となると…』
「ワカシャモ、つつく攻撃!」
ワカシャモのつつくはしずかのキルリアにヒットし、その体力を大幅に削る。
「キルリア、すぐ治療してあげるわ!」
しずかはキルリアに傷薬を使っている。
しかしこの状況ではたかがHP20を回復したところで結果は見えている。
「まだまだ戦いに慣れていないようだね。とどめだ!」



しかしワカシャモは出木杉の命令も聞かずに、小刻みに震えたままその場を動けないでいる。
「ま、麻痺しているだって?」
出木杉脳がフル回転し、ある結論を叩きだす。
キノココの特性である胞子がキルリアにトレースされていたのだ。
「キルリア、ねんりきよ!」
ゲームを知らないしずかでも、当然キルリア唯一の攻撃技を使ってくる。
ワカシャモは効果抜群の念力をくらい、倒れた。
「そんな、馬鹿な……」
出木杉は敗北に打ちのめされ、膝を落とした。
その上から同情するように見つめるしずか。
「た、楽しかったわ、出木杉さん」
「しずかちゃん、これ勝利報酬だよ!」
いつの間にかやってきたドラえもんが勝手に出木杉のポケットを漁り、有り金を全部しずかに渡す。
「出木杉さんに悪いわ……少し残しておくわね」
しずかの親切心で出木杉の目の前に500円玉を残し、しずかとドラえもんは去っていった。

「くそっ!僕は出木杉だぞ!畜生、畜生っ!」
誰もいなくなった森のなかで、出木杉はひたすた地を殴り続けていた。
「あのメスブタとポンコツめ…いつか、いつか必ず復讐してやる!」
出木杉の心には暗い影が落ちていた。



「はひぃ、はひぃっ…」
のび太はひたすら走っていた。


カラクリ屋敷を出たのび太だったが、ポケモンバトルの腕前は相変わらず散々。
他のトレーナーと戦いたくないので伏し目がちにコソコソと隠れ進むしかなかった。
『このままでは強くなれない』
キンセツシティに着いたのび太は、町から出ることもできずに途方に暮れていたのだ。
しかしのび太を天は見離さなかった。

「ポケモン育て屋」

そう、戦わなくてもポケモンを育てることのできる唯一の手段があったのだ。
のび太はメノクラゲとゴクリンを育て屋に預け、育成のためにキンセツシティでひたすらジョギングをしているのだ。

「も、もうダメ、走れな~い」
元々運動が苦手なのび太だ、ジョギングも長くは続かない。
しかし頼るべきドラえもんとはぐれてしまった今、のび太にできる事は走る事だけだった。
「助けて……助けてよドラえもん……」



カナズミシティ。
ジャイアンとスネ夫はダブルバトル主体で戦い、カナズミに一番乗りしていた。

「スネ夫~ここでは何するんだっけ?」
「秘伝マシンをゲットしてカナズミジムに挑戦しないと。あそこは岩タイプ主体だから僕らなら余裕だね!」
スネ夫はメモ帳をめくりながら答えた。
「じゃあまずは秘伝マシン取りにいこうぜ!」
「あ、ジャイアン……僕はちょっと買い物してくるからジムで合流しようよ!」
ジャイアンは意気揚揚と居合い斬り親父の家に向かっていった。

スネ夫は一人、ショップにも向かわずに町を歩く。
「ふん、脳みそが筋肉でできているゴリラはおだてれば簡単にパシリになるな」
スネ夫が向かっているのはトレーナーズスクール。
「確かここには先制の爪をくれる先生がいたはずだ。」
そう、スネ夫はジャイアンの腰巾着をしながらちゃっかりアイテムを回収しているのである。
「キモリにタネマシンガンも覚えさせたし、これでリーフブレードを覚えるまでは何とかなるだろ」
ジャイアンの様子はキャモメに追わせてある。
馬鹿な行動をしようとしたらすぐ駆け付けて止めないと。
「ゴリラの世話も大変だよ」
スネ夫はいやらしい笑みを浮かべた。



カナズミジムで合流したジャイアンとスネ夫は、いよいよジムに挑戦することになった。
「たーのもー!」
ジャイアンの怒声が響く。
その奥にいたのはジムリーダー・ツツジだ。
「カナズミジムにようこ…」
「バッジよこせ!」
「対戦方式はシング…」
「うるせえ!バッジよこせよ!」
相も変わらぬ剛田理論でジムリーダーすら圧倒しているジャイアン。
有無を言わさず、いきなりミズゴロウを繰り出した。
「い、イシツブテっ!」
ツツジは怯えながらもイシツブテのボールを投げる。
「ミズゴロウ、みずでっぽうだ!」
水鉄砲の容赦ない水撃がイシツブテを襲う。
「ははん、ざまぁみろい!」

戦いは一方的だった。
ツツジの出すポケモンは水タイプのミズゴロウになすずべもなく、切り札のノズパズもいいところを見せる事無く轟沈。
ジム戦はジャイアンの圧倒的勝利で幕を閉じた。
「やった!俺様のミズゴロウが進化するぜ!」
ジャイアンのミズゴロウはヌマクローに進化を遂げたのだ。
「やったぜスネ夫!って何でお前のキモリも進化してるんだ?」
スネ夫の横にいたキモリもすっかり姿が変わっている。
「ジャイアンのかっこよさにビックリして進化しちゃったみたい」
嘘である。
スネ夫はジャイアンのバトル時にこっそりキモリを出しておいて経験値を半分いただいていたのだ、まさにコバンザメ。



フラワーショップ「サン・トウカ」

そこは三人の姉妹が経営する小さな花屋である。
世界を花いっぱいにする夢を語る長女。
じょうろでの水やりをかかさない次女。
そして旅人に種を配り姉の夢を実現させたい三女。

ある日のこと。
一人の美少年が店にやってきた。
彼は一通り店内を見渡し、長女にこう聞いたのだ。
「女の子と青いタヌキの旅人を知りませんか?」
長女はつい先日この店で仲良くなった可愛らしい女の子の事を思い出した。
この少年と知り合いなのだろうか。確かにお似合いのカップルである。
女の子の名前は確か…
「シズカちゃん…かしら」

その瞬間、少年の顔が豹変した。
「しずか、しずか、しずかしずかしずかしずかっ!」
少年のモンスターボールからキノココが出てくる。
「しびれごなだっっ!」
店内にしびれごなが充満し、三姉妹の自由を奪う。
「あのメスブタを辱める前に、まずはお前らで実験してやる!」
少年…出木杉英才は長女の体に手をかけ、布切れを引き裂いた。
その様子を見ることしかできない妹たち。瞬間的に悟り、絶望した。
「姉の次は私たちだ」と。

その日からサン・トウカは店を開けていない。



ドラえもんとしずかはカナズミシティに来ていた。

到着当日、ドラえもんはのび太の捜索を行い、しずかはトレーナーズスクールでポケモンの基礎を学んだ。

その夜、ポケモンセンター。
「やっぱりのび太くんはいないみたい」
「のび太さん、大丈夫かしら」
心配そうにするしずかにドラえもんが明日の予定を提案する。
「明日はカナズミジムに行ってみるよ。確かここのジムバッジをもらわないと先に進めないはずだから…」
「ここから先に行ったかどうか分かるのね?」
手がかりが得られるかは分からない。しかしやれることはやっておこう。

翌日、カナズミジム。
「こんにちはー!」
二人がジムに入ると、そこには一人の少女がいた。
「こんにちは、私はここのジムリーダーのツツジと申します」
「私、しずかといいます。」
「あらあら、かわいい挑戦者ね」
いつのまにか挑戦者扱いされ、話の流れがジム戦になっていく。
「あのー、実は聞きたいことが…」
「ジム戦が終わってからにいたしましょう」
しずかの問い掛けもあっさりかわされ、ジム戦が開始されてしまった。



済し崩し的に始まってしまったツツジとしずかのジム戦。

「イシツブテ、お願いします」
「ジグザグマ、頑張って!」
ツツジはイシツブテ、しずかはジグザグマを繰り出した。
『この子素人かしら。岩タイプ相手にノーマルポケモンを出すなんて』
ツツジは疑問を抱きつつも戦いに集中する。
「すなかけ!」
しずかのジグザグマはイシツブテに砂をかける。
「すなかけの一回や二回……イシツブテ、いわおとし!」
岩をぶつけられたジグザグマは戦闘不能になってしまった。
『育て方も甘い?やっぱり素人かしら』
しかししずかはツツジの予想をはるかに超えた戦術を使っていたのだ。
しずかは次々にジグザグマを繰り出し、砂かけばかりを使ってきたのだ。
「まさか、あなた……」
ツツジはその戦術を理解した。
ジムリーダーがポケモンの入れ替えが不可能なことに目を付けたしずかは、最初の一匹に砂かけを使い続けたのだ。
そして、最後に出てきたキルリアは……
「キルリア、めいそう!」
敵の攻撃にも当たりにくい安全な状況で限界まで瞑想を積んだキルリアは一匹、また一匹とツツジのポケモンを倒していった。



「完敗だわ、しずかさん」
ツツジは勝者であるしずかにバッジを進呈する。
「ドラちゃんはジム戦しないの?」
「いやー、ボクはまだポチエナ一匹しか捕まえてないし……」
それにポチエナは過保護すぎるドラえもんの手助けのせいで全くレベルが上がっていない。
「え?この動物ってポケモンじゃないの?」
ツツジが驚きの声をあげる。
「ボクはポケモンなんかじゃ……」
と、ここまで声に出した時点でドラえもんは考えた。
かわいいポチエナを戦わせたくない。のび太の保護者代わりのドラえもんの悲しい性である。
「ボクはトレーナー兼ポケモンのドラえもんだ!」

その後、ドラえもんには悲惨な運命が待ち受けていた。
何度も岩をぶつけられ、ノズパズに体当たりをくらいながらも、最後はコエカタマリンの一撃で勝利したのだ。

「むぎゅ~」
「ドラちゃん、大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫……」
結局ツツジからはのび太の有力情報を聞き出すことはできなかった。