ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

挑戦者 その12

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ユリとハヤトは次の町を目指して進んでいた。
道のそばには岩山が高く聳えて連なり、ゴツゴツした山肌を剥き出しにしている。
天候はやや曇り気味。普通の人なら急ごうと思うだろう。
しかしユリたちは岩場で腰をおろし、休んでいた。
「そろそろ次の町にいかないと。雨が振り出したら面倒だぞ」
ハヤトがイライラした口調でユリに伝えた。
頭の上のムックルは雨の気を感じているのか、丸まっている。
「うん。そろそろ行こうか」
ユリはそう答えると、ゆっくりと立ち上がる。
「……お前は普段からそんなにゆっくりと行動するのか?」
ハヤトの質問に、ユリは少し上を見てから答える。
「ボクはマイペースだからね。
 『のび太』にものまねしていたときに、色々性格のこととか聞かされたけど
 あまりボクと変わりない子だったから簡単にものまねできたんだ」
「しかしな……もうちょっとペースを速くしないか?」「例えば?」
「休憩の回数を減らすとか、次の町まで歩き続けるとか」
「ふ~~ん、なら」「その答えも長い!もっと短くk」「ふん!」「……何かやだな」
「じゃあいったいどうすれば」「だから丁度いい長さで――!!」
突然ハヤトは言葉を切る。
ほぼ同時にハヤトとユリの間で、何かが落下してきた。



落下してきた大きな鳥は、疲れきった様子でぐったりしている。
「――ピジョット?」
ユリが言ったように、その鳥はピジョットだ。
ハヤトは急いでピジョットを調べ始めた。
そこで、足に巻かれたメールに気づく。
ハヤトは心に取っ掛かりを感じながらメールを開いた。
「これは!?」
ハヤトは思わず声をあげる。
ユリもそのメールを覗き見て、息を呑む。
「ねえ、これって……」
「ああ、あのメールにあったものと似た筆跡だな」
二人は暫く黙りこくっている。
そのメールには短い文字が書かれていた。

SOI――



いや、よくみると『501』だ。
ハヤトはそれに気づき、ハッとしてリュックに手を伸ばす。
そしてあの、ムックルに巻かれていたメールを取り出した。
それを開くと、例の文字。
SOS――
「……いや、もしかしたらこれは『SOS』じゃ無くて『505』じゃないか?」
「それって……つまりどういうこと?」
「それはわからない。
 でも、このピジョットの持ち主なら知って」
「すいませーん!」
いきなり声を掛けられ、二人は振り向いた。
寝癖のついた茶髪の少年が道の先から走ってくる。
「そのピジョット、僕のです」
その言葉を聞いた瞬間、ハヤトの顔が輝く。
「そうか、お主のか!
 ……なあ、このピジョットの足のメールはどういう意味なんだ?」
「え、どういう意味って……」
その少年は少し詰まりながら答える。
「飛行レースのエントリーナンバーですけど」



「「飛行レース?」」
ユリとハヤトは口を揃えて言う。
「ええ」
少年はあっさり首を縦に振る。
「僕らの町で毎年一回開催される祭りがあって、三鳥祭って言うんです。
 三羽の神の鳥を崇めるための祭りなんですけど、その中の行事のひとつが飛行レースです」
短い説明を終えた少年に礼を言うと、ハヤトは道案内を頼む。
「いいですよ」
少年は快く受け入れると、ピジョットに近寄る。
少年は手際よくピジョットの足に巻かれたメールを外す。
途端に、ピジョットは立ち上がって飛び立っていった。
「え?逃がしちゃっていいの?」
ユリは思ったことを素直に口にする。
「ああ、あのピジョットは野生のポケモンなんです。
 飛行レースに参加するポケモンはみんな野生のポケモンで参加することが原則。
 さっきのメールは、巻かれたポケモンをゲットしたときと同じように扱えるんです。
 さて、町へ行きましょう」
少年はそう言うと、二人を先導する。



「僕の名前はリア」
少年は自己紹介を始めた。
「ずっと同じ町で暮らしていたから、三鳥祭のことはよく知っています。
 飛行レースに参加するのは初めてなんですけどね」
「?飛行レースって、町の人全員参加するんじゃないの?」
「いえ……」
リアは少し間をおいてから答える。
「飛行レースは三鳥祭の目玉でもあるのですが、とっても危険なんです。
 毎年500人ほどがエントリーして、100人が怪我をしますから。
 だから、10歳以上でないとエントリーさせてもらえないんです」
そうこうして話しているうちに、周りにも人の姿が見えてくる。
低空飛行しているポケモンもいれば、断崖から滑空してくるポケモンもいる。
そのいずれも、足にメールを巻いてあった。
「……僕も一応エントリーしたのですが」
リアが小さく語りだす。
「どうにもポケモンの扱い方がわからなくて、さっきのように失敗ばっかり。
 このままではもしかしたら辞退するかもしれません」
リアの声はどこか寂しくきこえた。
「……ところで」
ハヤトが話題を変える。
「このメールが誰のものかわかるか?」
そう言ってハヤトはあのメールを取り出す。
リアはそれを見て、息を呑む。
「どうした?知ってるのか?」
「あ、……はい。
 そのエントリーナンバー『505』の子なら知ってます」
リアは少し俯きながら答えた。



一行は町に着いた。
町の周りは〔来たときの道と同じように〕切り立った岩山に囲まれている。
ただ、その岩山の高さはかなりのものだ。見上げるだけで首が痛くなってくる。
町の建物は、〔風の影響を減らすためか〕岩山と相反して小さくなっている。
しかし町の中央にある塔だけは逆に高く、岩山の囲いから見える空を突き刺すように聳えている。
その塔は下部の黄色から上部の赤へと色を変えている。
塔の壁には所々に突起物が見受けられた。
なだらかに塔の壁に引かれた線が不思議な模様を描いている――
「ここが僕らの町です」
リアは一言そう言うと、立ち去ろうとする。
「お、おいちょっと待て!」
ハヤトが呼び止める。
「まだ『505』の子の家を教えてもらってないぞ」
「え?あ、ああそうでした」
リアはとぼけたように頭を掻いて道案内を始める。
暫くしてリアは、赤い壁の民家に案内する。
「ここがその子の家です。では、本当にここで」
「あ、ちょっと」
ハヤトはリアを呼び止めようとしたが、ユリに小突かれて動きを止める。
「黙って!」
何か言おうとしたハヤトをユリは叱った。
「ほら、入るよ」
ユリはハヤトを先導して家の扉をノックする。
わけのわかってないハヤトをそのままにして。



家の中から出てきた少女は、ハヤトの頭を見るなり歓喜の声を出す。
「あ、あのときのムックル!」
少女はそう叫ぶと、ムックルに手を伸ばす。
だがムックルはビクッと体を震わせてハヤトの肩へ逃げる。
「ああ、すまない。今は俺のポケモンなんだ」
ハヤトが弁解すると、少女は寂しそうに「そう」と言う。
「それより、これ」
ハヤトは『505』のメールを取り出す。
再び、少女の顔に生気が戻った。
少女は礼を言いながらメールを受け取る。
「あたしの名前はラクレ。
 本当は何かお礼をしたいんだけど」
「いいのよ。そんなこと」
ユリが否定しながら話をし出す。
「ボクたちはジムリーダーに挑戦するために来たんだ。
 この町にジムリーダーはいるの?」
すると、ラクレは眉間に皺を寄せて
「う~ん、いることにはいるんだけど……
 何なら行ってみるといいわ。祭りのことで町長の家にいると思うから」

数分後、ユリとハヤトは町長の家でノックしていた。
町長の執事が出てきて、ジムリーダーを呼んでくる。
すると、ハヤトが真っ先に反応した。



「ナギさん!!」
玄関に現れた人物に向かって、ハヤトは驚嘆の声を掛ける。
その人物、ジムリーダーのナギは少し驚きながらも気づく。
「ああ、向こうのジムのハヤト君じゃない!」
ハヤトは大きく頷いた。
「まさかこんな所で会えるなんて」
そんな中、ユリは困惑したようにハヤトを小突く。
「えっと、二人は知り合いなの?」
「知ってるも何も!
 ナギさんは全ての飛行ポケモントレーナー使いの憧れなんだぞ!!」
ハヤトは飛行ポケモン使いでしかもジムリーダーであるため、ナギに相当憧れていたらしい。
堰を切ったように語りだすハヤト。
そんな様子をユリはぽかんとしながら見ていた。
「――そ、それよりナギさん!」
ユリは無理やり話を切り、声を掛ける。
「今からジム戦できますか?」
唐突な質問だったが、ナギはすぐに答えを出す。
「今は無理ね。祭りで忙しいから」
「あ、ああ、そうですか」
ユリは少し落胆する。
「――でも」ナギはひらめいた様子で、一つ提案する。
「ふふ、こんなこと考えるなんて、わたしも少し浮かれているのかしら。
 明後日の飛行レースでわたしに勝てたらバッジをあげてもいいわよ」



町役場でエントリーを終えると、ユリは意気揚々と出てきた。
エントリーナンバー『525』。
「……所でお前、今まで飛行タイプ使ったことあるのか?」
ハヤトほフッとユリにきく。
「ううん。無いよ」
ユリが素直に答えると、ハヤトは肩を落とす。
「お前、それで大丈夫なのか?レースは明後日だぞ」
「大丈夫だよ。明後日だから……明後日……あさ」
ユリは次第に、ことの大変さを感じてきた。
「明後日ぇ!?」
「き、気づいていなかったのか!?」
うん、と頷くユリ。
ハヤトは溜め息をつく。
「仕方ない。拙者のポケモンを貸そう。それで練習しろ。
 ドラえもん殿たちとの約束があるんだ。こんなところで時間を費やす暇は無いからな」

二人がポケモンセンターに入ると、いきなりラクレに出会った。
「あ、あのこれ」
ラクレは『505』のメールをハヤトに渡した。
ハヤトは不意をつかれて目をぱちくりさせた。
「もらって下さい。あたしはもう必要ありませんから」
ラクレはそう言うと、足早にセンターから出て行った。
「な、何か怒ってないか?」
ハヤトが首を傾げて呟く。
「うーん、きっと何かあったのね。リア君と」
「……ん?何でリアが出てきたんだ?」
頭の中で疑問符を並べているハヤトを置いてけぼりにして、ユリは宿舎に向かった。



夜――
ユリは早速ハヤトからズバットを預かり、練習しに行った。
そして帰ってきてから一言。
「ハヤト~!
 ズバットが進化しちゃった~!」
ユリがポケモンを繰り出すと、ゴルバットが現れた。
大きな顎を垂らしながら飛び回るゴルバットを見て、ハヤトはがっくりと膝をつく。
「目が……目がぁ……目がついたぁぁ……」
ハヤトは精神にダメージを受けた。
それでもゴルバットは悠々と進化の喜びに浸りながら飛んでいた。



レース前日――
ユリとハヤトは町を出て、岩山に登りポケモンを探す。
「このレースは野生のポケモンを捕まえることから始まるんだって」
ユリは手をかざして辺りを見回しながら説明する。
「開始の時刻は夕方。三鳥祭が最高潮の頃。
 どこかの岩山の一つに選手が集まってスタートする。
 野生ポケモンにメールを巻きつけて、小型カメラとマイクもつける。
 選手はそのカメラを通して状況を把握してマイクで指示をだす。
 野生ポケモンを最も速く塔の頂上に上らせれば勝ち。
 ただ、塔の一番下にある何かをつついてから登らないと駄目みたい」
「よく調べたな……て、何だそのメモは」
「え、これはジョーイさんに教えてもらった時にメモったの」
あっさりとユリは言ってのける。
ハヤトは感心したことを少し悔やんだ。



 岩山には飛行ポケモンが豊富で、練習は十分に行えた。
二人とも飛び回る野生ポケモンを捕らえることにだんだんと慣れてきたようだ。
夕日に照らされながら、ユリがオニドリルの足からメールを取った時。
「お二人さ~ん!」
岩山の下から誰かが呼んでくる。
二人が顔を見合わせていると、声の主が岩山に登ってきた。
手を振りながら、リアが愛想良く近づいてくる。
「二人ともレースに参加するんですか?」
「ああ」「うん」
二人が頷くと、リアは妙に明るい顔になる。
「ぜひレースを楽しんで下さい。
 僕も応援してますから」
「だが、お前もレースに参加するのだろう?だったら」
「いえ……」
リアはすまなそうに笑いながら否定した。
「僕はキャンセルすることに決めましたから」
「え……でもずっと参加することを楽しみにしていたんじゃ」
「いいんです。本当に……!」
リアの目が、ハヤトの持ったメールに移る。
『505』のメールだ。
ハヤトはそれに気づいて声を掛けようとしたが、リアは振り向いてしまう。
「では、明日は頑張って下さい」
そう言い残すと、リアは岩山を降りていった。
「……そうか、参加しないのか。残念だな。
 ?……どうした?」
ハヤトはユリの、何やら真剣な顔つきを見て心配する。
「何か気になる」
ユリは短くそう言う。
「まあ、リア殿が参加しないのは残念だが、あいつの分も」「追うわよ」「え?」
ハヤトの疑問を無視して、ユリはリアの後を追う。



ハヤトは町の入り口でユリに声を掛ける。
「おい、待て!お主!
 何でリア殿を追わなくてはならんのだ?」
「気になるからよ」
ユリは何と無しに答える。
「いやでも見つかってしまったら何ていえば」
「大丈夫。ボクのものまねの道具、あるから」
ハヤトは反論したげな顔を
「そうか」
いいのか。

リアは町を駆けながらある民家についた。
ラクレの家だ。
リアはそのドアを激しくノックする。
やがて扉が開き、ラクレが姿を現す。
ラクレは声を掛けようとしたが、それに割り込むようにリアが喋りだす。
「どういうことだよ?ラクレ」
リアはそう質問した。
「あなたが出場しないなんて言うからでしょ」
ラクレは毅然とした態度で答えた。
「別にお前まで出ないでいる必要はないじゃないか!
 僕は自分で判断して出場しないって決めたんだから」
その後、リアは幾つか反論していたが、結局ラクレに扉を閉められてしまった。



「ほら、やっぱり何かあるのよ」
ラクレの家から二軒離れた家の横で、段ボール箱がひそやかに喋る。
「そうなのか……ところでユリ。
 これはものまねなのか?」
ムックルが乗っかった茂みが疑問を投げかける。
その正体は茂みのように擬態できる服を着たハヤトだった。
「そうよ。それは茂みのものまねよ。
 因みにこれは段ボール箱のものまね」
「段ボール箱を被ってるだけじゃないか!」
ハヤトが思わず大声を出す。
「何言ってるの。この姿を見て段ボール箱以外のものだと言う人がいる?
 まさか人間だなんて言う人間、いるわけないわ」
「だが、これはもうものまねじゃ無いだろう?
 ただの……そうだな、忍者のような」
「そんなことない!『物』を『真似』るからものまねなの!
 第一、ものまね娘であるあたしにものまねのことで反論してくるなんて」
「そうか?そうか、いや違うだろ!
 こんなのそこら辺の忍者ごっこと同じ」
「そこまでひどい事言われる筋合いは」
「……お二人とも、こんなところで何やってるんですか?」
突然話しかけられ、ユリとハヤトは振り向く。
二人ともいつの間にか立ち上がっていた。
二人の向く先には、すっかり困惑した様子のリアがいた。



「……始めにレースに参加したのはラクレなんです」
星空に照らされる公園のブランコに座り、リアが打ち明けはじめる。
「僕は彼女に勧められてとりあえず参加しました。
 僕と彼女は幼馴染だから、昔から仲がよかったんです。
 なので始めのうちは二人でよく練習していました。
 でも……あるときラクレのメールをつけたまま、ムックルが飛んでいってしまったんです」
「ははぁ、それがこのムックルか」
ハヤトは頭の上で寝息を立てるムックルを指差す。
リアはコクリと頷くと話を続けた。
「それ以来、僕は練習に集中できなくなってきて……
 本当はラクレのメールが戻ってきて嬉しいんです。
 でも、僕はすっかり自信を無くしちゃったからもう参加しないと決めたんです。
 そしたら、彼女突然、メールをハヤト君に渡しちゃって。
 いくらきいても教えてくれないし。いったいどうしてでしょう?」
いきなり質問を浴びせられ、ハヤトは焦る。
「あ~、どうしてかは知らないが、とにかくレースに参加してみろ」
「そうね。参加したほうがいいわね」
ユリが珍しくハヤトに同調する。
「ラクレはきっと、リアに参加してもらいたいのよ。
 なんだったら、明日あって直接言ってくればいい。参加するって」
すっかりタメ口になったユリだが、リアは気にしない。
「でも……やっぱり不安なんです。
 僕、本当にポケモン操るのが苦手なようなんです」
「大丈夫。きっと本番は何とか」
「でも、でもレースは明日ですよ!?いったいどうすれば……
 いえ、少し考えて来ます」
トボトボ歩くリアの背中はとても焦っているように思えた。



朝が来た――
空は昨日の星空がうそのように曇っていたが、祭りに影響はない。
ユリとハヤトがセンターで落ち合った時には、町は活気に満ち溢れていた。
垂れ幕が塔の上から掛けられ、三鳥祭開催を四方八方に知らせている。
塔の元には、伝説の飛行ポケモンを模した三つの石像が置かれている。
それらは祭りのシンボルとして飾られていた。
本来なら町民に混ざって騒ぐところ、ユリとハヤトはレース参加者の集会に向かった。
メールを配られた時に知らされたことだ。
集会では簡単なルール説明があった。

レースは西方最大の岩山の中腹から始まる。
各々、笛の音と共にポケモンを捕らえ始める。
捕まえたポケモンたちはみなマトマの実をくわえる。
北、東、南の岩山に置いてある輪をくぐり、トレーナーのもとへ戻ってくる。
トレーナーの手のひらにマトマの実を置くと、塔へ向かう。
塔のもとの石像を嘴でけずると、塔の上に登っていく。
塔の頂上に置いてある輪をくぐるとゴール。
飛んでいる途中で、マトマの実を喰ったり、捨てたら失格。
石像をつつかずにゴールしても失格。
北、東、南、及び塔の頂上の輪のそば、石像のそばには監視員と中継カメラが置かれている。
それらの映像はテレビでも放映され、全町民が観戦できる。

レースのルール説明が終わり、解散する。
その時、ユリはあることに気づいて、ハヤトに声を掛ける。
「ねえ、リア結局来てないわよ」



二人はリアの家に着いた。
ノックするとリアがフラフラと出てきた。
「あまり寝て無いんだ……」
リアのか細い声は、二人に絶望的に聞こえた。
「じゃあ、結局出ないんですか?」
「うん……こんな時間じゃもう練習なんて出来ないし」
「まったく、だらしないわね!」
突然誰かが、ユリ、ハヤトの背後から声を上げる。
その場にいた全員が振り向く。
そこにいたのはラクレだった。
ラクレはリアの腕をつかむと、反論もきかず引っ張っていく。
「お、おい!まだ寝癖が」
「いっつもボーボーじゃない!」
ラクレは一喝するとずいずいと歩を進めていく。
ハヤトはちらっとユリを見た。
ユリも丁度ハヤトを見たところだ。
すると、ユリは仕方なさげに小さく頷く。
ハヤトはホッと安堵しt
「追うわよ」
「追うのかよ!」
ハヤトの突っ込みに耳を貸さず、ユリは尾行を開始する。



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