ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

ミュウ その10

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  • エスパー麻実とタケシ君

「あぁ!暇だぁ!」
ジャイアンのストレスはもう限界に達していた。
のび太の怪我の治療にスネ夫が付き添い、
試合までの時間を一人で潰さないといけなくなったからだ。
しかも昼n…仮眠をしていたせいで、
のび太のパパの試合を見忘れたのでなおさらだ。
「クソッ、スネ夫でも殴ってく…ん?何だあれ」
ジャイアンは窓の外に人の群れが出来ているのを発見した。
「…行ってみるか」
ジャイアンは面白そうなので見に行くことにした。

「スゲェ!」「どうなってんだ!」「超能力だ!」
群れからは驚きの声が漏れている。
「悪いけど通してくれ。俺も見てぇ」
「 嫌 だ 」
バキッ!ポキッ!
『これは不可抗力だよな?』
「どれどれ……うお!何だありゃ!」
ジャイアンの目に映ったのは踊る少女の姿だった。
しかもただの踊りではない。
少女だけじゃなくて、周りのほうきやモップも一緒に踊っていたのだ。
『この姉ちゃん超能力者か!』
気づけばジャイアンも踊りに夢中になっていた。



「ふぅ……見てくれてありがとう。
また会いましょう、みなさん」
踊り終えた少女はドームの中へ入っていった。
「……はっ、待ってくれぇ!」
ジャイアンは少女を追い掛けドーム内に入った。
そしてなんとか少女に追い付くことが出来た。
「あら?どうしたの、君?」
「これ落としたぜ」
ジャイアンは星の形を珍しいペンダントを見せた。
少女はそのペンダントを見るとはっとした様な顔をし、それを受け取った。
「ありがとう……これを落とすなんて私もまだまだね」
少女はそう言ってペンダントを首に着け直す。
「それ大切な物なのか?」
「ええ、これは私の一番大切な人に貰った物なの」
「大切な人……かぁ」
ジャイアンは自分にとっての大切な人を考えてみた。
『ジャイ子にのび太にしずかちゃんに出木杉に
ドラえもんに母ちゃんに父ちゃんにあとスネ夫も……』
「ああ!いっぱい居すぎて分かんねぇよ!」
ジャイアンは一人でキレた。
「クスッ、面白い子ね。対戦が楽しみだわ」
「えっ、もしかして姉ちゃんって……」
「私が君の対戦相手のエスパー麻実(あさみ)よ。
よろしくね、ジャイアン君」



その後敵同士であるにも関わらず仲良くなった二人は、
ホールへ向かいながら話をすることにした。
「私の夢は世界一のマジシャンになることなの。
さっきの踊りも実はマジックなのよ」
「へぇ……夢かぁ。
良いなぁ、夢。俺も持ちたいぜ。
姉ちゃんはどんな夢が良いと思う?」
「う~ん、私に聞かれてもなぁ……歌手……とか?」
「!?」
この何気ない一言が後に歴史に名を残すバンド
『ジャイアンメイデン』を生むことをアサミはまだ知らない……

それから二人がしばらく話していると2つに分かれた通路が見えてきた。
ホールへの入り口はホウオウの門とルギアの門の2つがあるので、
必然的にホールへ続く道も2つになるのだ。
「ここでお別れだね。いくら友達だからってバトルでは油断しちゃダメだよ」
「……そのこと何だけどよぉ。1つ聞いていいか?」
「良いよ。何でも聞いて」
「何で姉ちゃんはこんな危険な大会に出てるんだ?」
ジャイアンはずっと気になっていたのだ。
こんな何処にでも居るような女性が、この大会に出ている理由が……
アサミは少しためらっている様子だったが、理由を話し始めた。



私には物心つく頃には両親が居なかったの。
二人とも事故で死んでしまったらしいわ。
一人だけ残された幼い私は親類全員に厄介者扱いされ、
すぐに格安の施設に預けられることになった。
その施設はとても古く暖房もろくに備えて無かったから、
冬になると施設で暮らすみんなと体を寄せあって、寒さをしのがないといけなかった。
思い出何て1つも無いわ。
覚えてることと言えば冷たいコンクリートの感触と、
ゴミを見るかのような施設の管理者の冷たい視線だけ。
でも誰一人文句を言う人は居なかった。
私達にはここ以外に生きる場所が無かったから……
8才の12月頃だったと思う。
町には活気が溢れ、通りには幸せそう人々の姿があったわ。
だけど私は……ただぼんやりとその町を眺めることしか出来きなかった……
『どうして私ばかりこんなに不幸なの……』
ふと気がつくと私はいつもそう思っていたわ。
『お母さん、お父さん……戻って来てよ……』
一人で泣いていたクリスマスの夕暮れ。
私はある初老の男性に出会った。



「どうしたんだい?
子供がクリスマスに泣いてちゃ神様が悲しむよ。
子供はクリスマスには笑うものだ、ほら顔を上げて」
「オジサン……ダレ?」
「私はただの手品師さ。
どうして泣いていたんだい?言ってごらん」
「お父さんとお母さんが……私には居ないから……」
私の言葉を聞いたオジサンは、少し考えてから言ったの。
「ここで待っていなさい」
オジサンは施設の中に入って行き、10分程で出てきたわ。
「オジサン、何してたの?」
「ちょっと契約をしていたんだ。子供を一人貰う契約をね」
「え……ってことは」
「君のお父さんはこれから私だよ。よろしくね、アサミちゃん」

これが私と私の父親『天草史朗』の出会いだった



お父さんはとても良い人だった。
毎日温かい食事を出してくれたり、学校に行かしてくれたり、
まるで本当の子供のように私をかわいがってくれたわ。
休日にはいつもマジックを見せてくれて、
私がマジックが好きになったのもお父さんのおかげなの。
だけど……不幸は続くのに幸せは短いものよね。
それからお父さんは私以外に3人の子供を引き取り、生活はだんだんと苦しくなっていったわ。
それなのに……お父さんは必死で働いて、私を高校に行かしてくれたの。
でも……私の卒業式の帰り……
「お父さん……もうお父さんの子供になってから10年経つんだね。
いろいろあったけど私……幸せだったよ」
「そうか……私もアサミが子供で良か……っ」
「お父さん……お父さん!」
死因は働きすぎによる過労死。
本当はもういつ死んでもおかしくない体だったみたい……
私は神様を恨んだわ。
どうしてこんな良い人を連れて行くのってね。
でももっと辛いのはそれからだったの。
家は私達に残してくれたから大丈夫だったわ。
でも働けるのは私一人。
子供3人を養うのは到底不可能だった……
『絶対他の人にこの子供達は渡さない!』
そう思っていた私はとても悩んでいたわ。
そんなある日のことだったの。
この大会のことを知ったのわ……



「それで……大会に優勝して出木杉の側近になろうとしたのか」
ジャイアンはアサミの話に割り込むように言った。
「……そうよ。出木杉様の側近になれば……きっと」
「姉ちゃん……実は出木杉は…」
「言わないで!何も…言わないで…」
「……………」
ジャイアンは察した。
アサミは本当は分かっているのだと。
この大会で優勝しても何も変わらないことを……
でもこの大会で負けたらもう元の生活に戻れない。
だから戦うしかないのだ。戦うしか……
アサミは無言で奥へ進んでいった。
『俺はどうすりゃ良いんだよ……』
ジャイアンの実力ならアサミに勝つのは難しくないだろう……
だがジャイアンには2つの道がある。
【わざと負けてアサミを救う道】
[アサミを倒して出木杉と戦う道]
『俺は……俺は……』

「俺はどっちも選ばない!」
ジャイアンは決意を胸にホールへ向かった。



二人の試合はジャイアン優勢で進んでいた。
最初のバリアードにはカビゴンが力押しで勝ち、
ピジョットにはカビゴンは倒されたものの、ブーバーンが勝利した。
そしてアサミは最後のポケモンであるミミロップを出したのだった。
「この娘はそう簡単には負けないわよ。
ミミロップ、思いっきり跳ねて!」
ミミロップは空中に跳ね上がり見えなくなった。
「ブーバーン、上に火炎放射を射て!」
「無駄よ。ミミロップ、ブーバーンに急降下しなさい」
ミミロップが凄まじい速さでブーバーンに接近する。
「今よ、とびげり!」
「ブーバーン、避けろ!」
ブーバーンは紙一重で回避それを回避した。
「今だ、炎のパンチを撃て!」
隙を突き、ブーバーンのパンチがミミロップに当たった。
その威力でミミロップは壁に吹き飛ぶ。
「良し!」「まだよ、ミミロップ!」
ミミロップは壁に足から衝突し、その反動を使いブーバーンへ突っ込む。
「ブーバーン、避けろ!」
ジャイアンの指示は間に合わず、ミミロップのとびげりはブーバーンに直撃した。
もちろんその一撃でブーバーンは倒れ、ジャイアンは切札を出すことになった。
「出てこい、バンギラス!」
「バンギラス……でも私は負けられないの!」



「勝者、ジャイアン選手!」

ミミロップの攻撃ではバンギラスには傷つけられなかった。
それほどバンギラスは鍛えられ強くなっていたのだ。
アサミは確かに強かった。でもこのバンギラスは特別なのだ。
「……タケシ君。やっぱり強いね。私じゃ……勝て…ない」
アサミの目には涙が溢れていた。
この大会での敗北の意味を良く知っているからだ。
だが……この後会場の誰もが予想しなかったことが起きた。
「おい、出木杉!頼みがあるんだ!聞いてくれ!」
叫んだのはジャイアンだった。
ジャイアンの声はドーム全体に響きわたり、VIPルームの出木杉にも伝わった。
「何だい、剛田君」
ホールの中央にミュウと共に出木杉が現れた。
「頼みがある。この姉ちゃんを落とすのを止めてくれ」
ジャイアンの予想外の一言に会場がざわつく。
「タケシ君良いのよ!」
「大丈夫、俺にまかせといてくれ」
「僕が理由も無しにそんなこと許すとでも思っているのかい?
こっちにメリットがあるなら別だけど……」
「分かってるさ。だから俺は……
次のゴクとの試合、ポケモン2体だけで戦う!」



ジャイアンの一言にさすがの出木杉も驚いた。
「剛田君……清姫君(ゴク)は強いよ。本当に良いのかい?」
「ああ……男に二言はねぇ!」
「ふふっ、Bブロック決勝戦……楽しみにしてるよ」
そう言い残し出木杉とミュウは帰っていった。
「タケシ君……あなた…」
「何も言うな。姉ちゃんは笑って子供達の所に帰ってやれよ、な!」
「……本当にありがとう」

ドームの入り口に着いたアサミを出迎えたのは、あの子供達だった。
「あなた達……」
「俺たちアサミ姉を待ってたんだぜ。大会勝ったのか?」
「ううん、負けたよ。でももう良いのよ……
私はあなた達が居ればね……」
「ア、アサミ姉、どうしたの?」
「だれが泣かしたんだよ!許さないぞ!」
「ううん、悲しいわけじゃないよ……嬉しいの」

20年後。
ある一人の世界的に有名な女性のマジシャンが孤児院を作った。
その孤児院には多くの子供が住み、いつも笑い声が絶えなかったそうだ。
その孤児院は後にこう呼ばれることになる。
天使の館……と



  • スネ吉VSクリス

ジャイアンの戦いから一時間。
スネ夫はミクリが行方不明の為不戦勝になり、
次の試合でクリスと戦うスネ吉の所へ出向いていた。
「やぁ、スネ夫君。君が僕の所に来る何て珍しいね」
「いや……兄さんにちょっと言いたいことがあってさ」
「試合なら辞退何てしないよ」
「!?」
「図星か……魂胆が見え見えだよ、スネ夫君」
「クリスは危険すぎる!
あいつは人を簡単に傷つけるんだよ!」
「ヨノワール、出てこい」
「な、何を…する……んだ」
ドサッ
ヨノワールの催眠術にかかり、スネ夫は眠ってしまった。
「僕も……もう逃げるのは嫌なんだよ」
俺は、最初俺をゴミ扱いする父親を見返すため、
ゲームの天才の俺なら最強だと自信満々で大会に挑んだ。
だが最近は後悔してばかり。
予想以上に強いトレーナーが集まっているこの大会。
優勝所か大会を勝ち進むのもかなりの苦戦を強いられるからだ。
しかも次の相手は予選で一瞬で巨大パラセクトを倒したあのクリス。
勝てるはずが無い。確実に殺される……
逃げ出そうとも何度も考えた。
でも……逃げたくなかった。
ここで逃げたら一生逃げ続ける人生になる気がしたから……



「……ネ夫。起きろ、スネ夫」
『ここは……』
目を開けると、そこには見慣れたゴリラ顔があった。
「ジャイアン、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもあるか!
お前の親戚の兄貴がクリスと戦ってるんだよ!」
「!? しまった……」
スネ夫はジャイアンを突き飛ばし観客席へ走った。
「はぁ…はぁ。兄さんは……」
「スネ夫、大丈夫だよ」
そう言ったのはのび太だった。
どうやらスネ夫が来るのを待っていたらしい。
「スネ吉さん、なかなか頑張ってるよ。
今あのクリスと良い勝負してるんだからね」
今フィールドに立っているのは、スネ吉とクリス。
それにヨノワールとレジスチルの二体のポケモンだ。
のび太の話では、今までかなり壮絶な戦い続いたらしい。
一体目のレジロックとダイノーズの岩石対決は、
力と力の押し合いのすえ、レジロックが勝利。
だが、次のポケモンハリテヤマがレジロックの硬い体を砕き、勝負をフリダシに戻した。
続くレジアイスもタイプの相性の良さもあり、ハリテヤマが倒したのだが、
倒れる間際にレジアイスがハリテヤマに電磁砲を放ち、戦いは相討ちに終わった。
そして二人はお互いに最後のポケモンを出すことになったのだ。
「……あなた。目が変わったわね。
そう……お兄ちゃんのような目に…」



「お兄ちゃん?今一瞬そう言ったような…」
そう言いかけたスネ吉だったが、言い終わる前に言葉は遮られた。
前を向くとレジスチルが拳を振り上げ、スネ吉に襲いかかろうとしていたのだ。
「!?」
「…アームハンマー…」
床を砕くほどの威力の拳がスネ吉を襲った。
「うわあああっ!」
スネ吉はレジスチルの拳を何とか避けたが、
その拳の威力で砕け散った多くの床の破片までは避けきれず、
何個かの鋭い破片が体に突き刺さった。
「兄さん!」
スネ夫が観客席から身を乗り出し、大声をあげた。
「早くギブアップするんだ!兄さんは良く頑張ったよ!」
その言葉を聞いたスネ吉は思った。
『ギブアップしよう。俺は頑張ったじゃないか』
スネ吉は勝負を諦め言った。
「キブアッ…」「兄さん、後ろ!」
「!?」
レジスチルがスネ吉を捕まえ、上へ持ち上げた。
「兄さん!ギブアップを…」
スネ夫は誰よりも早く異変に気づいた。
レジスチルは自分の体にスネ吉の顔を押し付け、口を開くことを封じていたのだ。
これではギブアップを言うことはもちろん息すらも出来ない。
「司会、試合を止めるんだ!」
だが、クリスはスネ夫の必死の訴えを打ち砕く一言を言った。
「レジスチル…大爆発…」
フィールドの端で大きな音を立て爆発が起こった。
スネ夫はただ……その爆発を呆然と眺めることしか出来なかった……



「兄さん……」
治療室の上のランプはオレンジ色に光っている。
今回のケガはあまりにも酷すぎる為、町の一番大きな病院で治療が行われたのだ。
あの時……爆発の瞬間レジスチルの腕の力が緩み、
爆発の直撃を避けることが出来たおかげで即死はまのがれた。
だが至近距離からの爆発による熱風によるヤケド。
飛び散ったレジスチルの破片による刺し傷と切り傷。
目に見える傷だけでも数えきれない程多かった……
《今夜が峠です》医者の言葉が頭によぎる。
さっき見えた包帯だらけの親戚の姿を思い出すと吐き気がした。
『もしかしたらもう兄さんには会えないんじゃ?』
そんな考えが浮かび始めた時、頭の中で男の声が聞こえた。
《 屋上で待つ 》

ガチャリ
屋上には白いシーツが干されていて、人の姿は無かった。
「空耳か……」
そう言ってスネ夫が屋上を去ろうとしていた時、
スネ夫は見えない力で動きを封じられてしまった。
「空耳何かじゃないさ、スネ夫」
見えない力で勝手に体が後ろを向く。
「お前は……ミュウ!」
前に居たのは出木杉のミュウ。
その赤い瞳はスネ夫の心まで見通してるような気さえした。
「安心しろ。今日はある取引きをしにきただけだ。
今の君にとって一番大切な人を救う取引きをね」



「……取引き?」
「ああ取引きだ。
私の力を使えばあの程度の怪我を治すくらい訳は無い。
もし……お前が条件を飲めば怪我を治してやるよ」
「……条件を言え」
「ふふ、物分かりが良いな。教えてやるよ。
お前があいつらを裏切り、出木杉様の手下になるなら……治してやるよ」
「な!……そんなこと…」
スネ夫は迷った。
もし本当に兄さんを救って貰えるなら……この条件を……
ミュウは手を差し出した。
「さぁ、この手を掴むんだ。さぁ…」
「……………」
スネ夫は無言で手を差し出した。
「……それで良い。お前は正しい道を選んだよ」
ミュウが手を握ろうとした時、
スネ夫は差し出していない方の手でボールを掴み、ジバコイルを出した。
「10万ボルトだ!」
電撃は直撃し、ミュウを屋上の金網まで吹き飛ばした。
「スネ夫、貴様…」
「動くな!少しでも動いたらもう一発お見舞いしてやるぞ!
僕はお前らの仲間にはならない。だけど兄さんは治してもらう!」
スネ夫のその言葉を聞いたミュウはにやりと笑い、言った。
「悪かったな。私の判断は間違っていたようだ。
お前も出木杉に勝てる心の持ち主だったようだ」



「出木杉を倒せる心?」

スネ夫はミュウの言葉に興味を持ち、言葉を続けた。
「何だよ、その心ってのは。僕以外に誰が持ってるんだよ」
「良い機会だ。話しといてやるよ。
私の目的と……この世界の真実を……

私はこの世界が作られた時、支配者にふさわしいと出木杉に選ばれたポケモンだ。
あの箱型の道具の力で出木杉は自分が望んだ通りに町を変え、
私の力も限界まで強化しこの町の支配者になった。
そして邪魔なあのドラえもんと言うロボットを監禁し、私をお前らの所に派遣したんだ。
そこまではお前らも知っているだろう?」
思い出したくも無いが、ちゃんと覚えている。
三ヶ月前のあの日……戦いが始まった日だ……
「1つ気になることがあるんだ。
どうしてあの時僕達を倒さなかったんだ?
あの時に僕達を監禁すれば計画はもっとすんなり行ったはず……」
「それを今から話す。ここからが重大な話だ。良く聞いてくれ。
実は俺は……出木杉を裏切って、お前達を助けていたんだ」
「な、何だって!?どうして…」

そしてミュウは話始めた。
この長い長い戦いの真実を……



  • ミュウの過去

「俺達はこの町が変わる前からすでに存在していたんだ。
分かるか、この言葉の意味が?」
「もしかして……何か違う生き物だったとか?」
「その通り。
私達は皆お前ら人間が動物と呼ぶ生き物が変化して生まれた存在なんだ。
例えばピカチュウはネズミ、ポッポはハトのような感じでな。
もちろん私も例外じゃない……
私は昔、お前ら人間がまだ知らない生物だった。
まぁ仲間はほとんど死に、私は弟と二人きりだったがな……
だが、ある日視界が光に包まれて……目を開けると姿が変わっていた。
すると出木杉が現れ、私と弟をボール型の機械に閉じ込めたんだ……
その後私が暗い地下室で目覚めると、また姿は変わっていて、
今度は肌がドス黒くなっていた……
そして檻から周りを見渡して、私が弟を探していると、二人の男の声が聞こえてきた。
『もう片方の失敗作はどうしますか?』
『捨てておけ。もう……必要無いからな』
その時私は見逃さなかった……檻に入れられたぐったりとした弟の姿を……
私はその時誓ったんだ。必ず弟の復讐をしてやるとな!」



「…そんな…お前にそんな過去が…」
「ああ。私は本当は三ヶ月前のあの日、お前達を殺す様に言われていた。
だけど私は、お前らはもう逃げた後だったと嘘をつき、ある提案をしたんだ。
三ヶ月後に大会を開いてトレーナーを皆まとめて労働力にしたらどうか……とな。
そして出木杉は私の提案に納得し、大会を開くことを決めたんだ」
「ちょっと待って!
あのパソコンに書いてあった計画ってのは何なの?」
「悪いがそれは私も分からないんだ……
だが、あるポケモンを捕まえることが目的なのは分かってる。
それにその計画は私が実行させない。
だからお前達は安心して戦いに集中すれば良いんだ」
「……それじゃあ出木杉を倒せる心って言うのは?」
「これから出木杉は、お前達の心の隙間を狙って誘惑してくる。
それに耐えられる心って意味さ。
正直君は誘惑に負けると思ってた。
だから私は君に何も渡さなかったんだ。
ホウオウも……巨大なバンギラスもね」
その言葉を聞いたスネ夫は全て納得した。
今まで少し上手く行き過ぎていると思うことが良くあったのだ。
だが、これで全てつじつまが合う。
今までのび太達はもう一人の仲間に助けられていたのだ。
このミュウと言うもう一人の仲間に……



スネ夫が黙っていると、ミュウはまた口を開いた。
「お前にはこれを渡しておく。
あの男の怪我も私が治しておくから安心しろ。
それじゃあクリスとの戦い……油断するなよ」
ミュウはそう言うと姿を消し、代わりに下から看護婦が上がってきて言った。
「手術は成功です!もう安心ですよ!」
「そうですか……」
看護婦の言葉を聞いたスネ夫は一言そう言った。

スネ夫は一度に多くのことを知り過ぎ、
パンクしそうな頭で必死に考えていたのだ。
これからのことや……この世界のことを……



のび太とジャイアンは、スネ夫に「心配要らない」と言われ、
病院を出て自由に時間を過ごすことになった。
だが、ジャイアンは用事があると家へ帰り、のび太は一人になってしまった。
「僕は何をしようかな?」
そんなことを言って歩いていると、のび太は久しぶりにある人を見つけた。
「あれは……ママだ!おーい、ママ…」
ママの様子は何かおかしかった。
何か人の目を避けてる様でコソコソと通りを歩いていた。
『どうしたんだろ?』
そう思ったのび太は、こっそりと後を追い掛けることにした。

一方ジャイアンの家では……
「ジャイ子のことは忘れろってどういうことだよ!」
「理由は良いの。とにかく……ジャイ子のことはもう忘れるんだよ!」
「もう良い!こんな家出てってやる!」
ジャイアンは家を飛び出し、町中を走った。
『ジャイ子……お前はどこにいるんだよ!』

真実を知ったスネ夫 困惑するジャイアン そしてのび太
三人のそれぞれの思いをよそにドームでは、
次の戦いの組み合わせが決まっていた。

Aブロック決勝 のび太VSパパ     Bブロック決勝 しずかVSレッド
Cブロック決勝 ジャイアンVSゴク   Dブロック決勝 スネ夫VSクリス



size(medium){『この話の時間軸』}

【一日目】
AM9:00   出木杉がポケモンの世界で遊ぶことを提案。
AM10:00  出木杉が町をポケモン世界に変える。
(この時のび太達は気絶し、町の変化の過程を見ていない)
AM11:00  町の姿が完全に変わる。
(この時に出木杉はミュウとその弟を発見し、ドーム地下に監禁した)
AM11:30  ミュウと弟の改造を開始する。
        ミュウの改造は成功するが、
        弟は失敗し廃棄される。
PM1:00   出木杉がミュウにのび太達を殺す様に命令する。
PM1:30   のび太達が目覚め、ミュウと遭遇する。
        この時のび太達が助かったのは、実はミュウのおかげである。
PM3:00   のび太達が大会出場を決意する。
        この時ミュウは出木杉に大会の開催を提案する。
        出木杉はミュウの言葉に納得し、大会を開催することを決める。
PM3:30   のび太達はそれぞれパートナーを探す為旅立つ。



【二日目】
のび太達はそれぞれのパートナーを見せあい、修行を開始する。
【三ヶ月後:大会初日】
大会の予選が始まる。
AM9:00~PM12:00
のび太達はそれぞれ予選を勝ち抜く。
PM1:00   スネ夫と一旦別れ、出木杉の家へ
        そこで出木杉の母に会い、出木杉変貌の真実を知る。
三人はドームへ戻り、控室で就寝。

【大会二日目】
AM:10:00  四人は一回戦の組み合わせを知る。
PM12:00~PM6:00
一回戦開始。ゴヘエ、業火などと対決。
この時スネ夫が怪我を負い、のび太達は治療室に付き添う。
PM11:00   スネ夫の意識が戻り、皆それぞれ部屋で就寝。



【大会三日目】
AM1:00    のび太は眠れないため外へ散歩に行く。
         その途中ベンチに座るしずかに会い、少し話す。
AM2:00    のび太としずか就寝。
AM8:00   のび太達起床。一時間ほどしずかを探すが、発見出来ず……
AM9:00   二回戦開始。
AM10:30  しずかの様子がおかしくなる。
AM11:00  のび太がしずか(ジン)を問いつめ、
        しずかが監禁されたことが判明する。
         だが、のび太はジンに勝負で負け、大怪我を負う。
PM4:00   のび太の意識が戻る。
PM4:30~7:00
二回戦の続きが行われる。
この時ジャイアンは幹部のリーダー清姫極と出会う。

PM9:00   のび太達が裁きの穴での特訓を開始する。
         また同時刻ミュウとタイムパトロールが交戦。



【大会四日目】
AM0:00   のび太達が地下アジトへの入り口を発見。
         その時タイムパトロールの隊員Bとも遭遇する。
AM1:00   幹部ミクリに勝利。
AM1:30   雷電の実験室を発見。コンピュータから様々な情報を知る。
AM2:00   のび太がアリアドスに勝つが、瓦礫の息埋めに……
(この時タイムパトロールのクッドが秘密道具を使い、少しの間時間を止めた。
そのためのび太達がアジトを脱出したのも2:00と言うことになる)
AM2:30   クッドと別れ、のび太達就寝。

AM5:00   のび太一人で起床。
        その後外でクッドに会い、タイムパトロールによる
        出木杉への攻撃が近々行われることを知った。
AM9:00~2::00
それぞれのブロックの決勝戦。
その後スネ夫はクリスとの戦いで大怪我を負ったスネ吉の付き添いで病院に行く。
そこでミュウと出会い、この戦いの真実を聞かされたのだった……



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